• スイス・バーゼルタトゥー2016 参加記録

     海上自衛隊東京音楽隊(隊長:2等海佐 手塚 裕之(当時))は本年7月15日から8月2日の間、スイス連邦軍主催「スイス・バーゼルタトゥー2016」に招待され参加しました。
     バーゼル・タトゥー(以下、BT)は、世界各地で行われているタトゥーの中でも英国の「ザ・ロイヤル・エディンバラ・ミリタリー・タトゥー」に次ぐ第2位の集客規模(例年約12万人)を誇るものです。ちなみにタトゥー(tattoo)とは、一般的に知られている「入れ墨」のことではなく、帰営らっぱや太鼓をドンドン叩き続けること、あるいは、夜間に催される軍隊のパレードを意味し、今日では軍楽祭のことを指す言葉として使用されています。
     海上自衛隊東京音楽隊が(以下、東音)がタトゥーに参加するのは、2014年「ノルウェー・ミリタリー・タトゥー」以来2回目となります。
     私たち隊長以下54名は、赤色の一般旅券とは異なり、公務で海外渡航する人に発行される緑色の公用旅券を携え、7月15日(金)0時30分羽田発の民間航空機でスイスへと旅立ちました。
     到着は、16日1600頃で所要時間は約23時間の長旅となりました。皆、疲労困憊と思いきや、隊員の多くは、おいしい食べ物と飲み物を求め、早速街へと繰りだしました。日本との時差はマイナス7時間。北海道よりも緯度の高いスイスは、この時期昼が長く夜9時でもまだ明るくついつい夜更かしをしてしまいます。明後日以降、体力的にも精神的にも「きつい」リハーサルが待っていることなどこの時点でだれが想像していたでしょうか。
     翌17日には、プレイベントとして英国海兵隊バンド、東音及びバグパイプチームが参加するコンサートが開催されました。
     まずは各団体の単独演奏。東音は、このコンサートのために編曲した「さくらさくら」など日本を強く印象付けるプログラムを披露。フィナーレでは日英合同で息の合った迫力ある演奏を行い、約1500名の来場者を得て、大盛況に終えることができました。18日から20日の3日間は、ドレスリハーサル(本番同様に衣装を着て行われる最終練習)も含めたリハーサル期間でした。
     今回東音の出番は、単独ドリル(8分間)、日本体育大学集団行動との合同、英国海兵隊との合同演技及びフィナーレの4場面と、盛りだくさんの内容でした。
     日体大集団行動とは、テレビ番組でも大きく取り上げられ話題のサイレントマーチングで、彼らも今回招待されており、是非ともコラボレーションして欲しいというBT側の強い要望があったため実現しました。この様子は、8月下旬にテレビ放映されたのでご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
     さて、リハーサルはというと英語で進められるため、英会話が不得手な隊員にとってはそれだけでも相当なストレスであるうえ、連日30度を超える炎天下での練習ということで一日が終わると皆グッタリといった状況でした。
     そのような厳しいリハーサルを経て、21日から30日の11日間に及ぶ全13回公演の幕が開きました。
     東音のドリルは、東京オリンピックファンファーレで荘厳に幕開け、東京オリンピックマーチで整斉と行進。そして、紅くあでやかな振袖を着た三宅3曹が日本の心「ふるさと」を歌唱。続いて和太鼓など和楽器を前面に「八木節」を熱演。ラストは、東音の十八番、海上自衛隊の公式行進曲「軍艦」に乗せて錨のフォーメーションを180度回転させるという大技を見事にやり遂げました。(毎年11月に日本武道館で行われる音楽まつりをご覧になったことのある方は良くご存じの「あれ」です!)終始日本人らしい精緻な演技を披露。聴衆からは、拍手喝采を受けることができたのはもちろんのこと、他国出演者からも、我々の正確無比な動きへの感嘆の声を多数いただけました。
     日体大との共演では、今回の出演団体中人気NO.1と言って良い彼らの演技に花を添えることができ大変有意義でした。引き続いて行われた英国海兵隊との合同演技では、振袖から演奏服に着替えた三宅3曹が元東京音楽隊長作曲の「祈り」と世界的に有名な「アメイジンググレイス」を歌い上げ日英のフレンドシップを示すことができました。フィナーレでは、軍楽祭らしく全出演団体がフロアを往復しながら圧巻のパレード。熱狂のうちに約1時間40分のイベントは幕を閉じました。
     回を重ねるごとに他国出演者との交流が深まり、楽しく充実した日々を過ごすことができました。そのため最終公演では、大変な日々がやっと終わることへの喜びよりも、これで終わってしまうのだという寂しさを感じている隊員も少なくないようでした。
     本公演以外には、市中パレードやチルドレンズデーといった子供達とふれあうイベントもあり、言葉の壁を越えて、音楽を通しバーゼル市民、子供たちと密度の濃い交流をすることができました。
     また、今回のスイス滞在中は1日のオフもなく連日公演ではありましたが、日中のフリータイムを利用し、BT斡旋のツアーに参加するなど隊員各々がスイスを満喫することもできました。
     今回の「スイス・バーゼルタトゥー2016」への参加をを振り返ると、トラブルもなく、隊長の統率の下、総員が自らの役割を適切に果たし自衛隊のみならず日本国のプレゼンスを示すことが出来たと思います。
      自衛隊音楽隊は、遙か遠くの国の海上、海中及び大空で活躍しているPKO、海賊対処や南極観測をはじめとするたくさんの自衛官の活躍について、機会あるごとに紹介し、日本のみならず、世界中の人々に自衛隊への興味を持っていただけたらと思っています。
     我々音楽隊員は、「音楽隊は、自衛隊の精強さを示す平時の最前線部隊である。」ということを心に刻み、今後とも任務にまい進してまいります。

    海上自衛隊東京音楽隊 岩田1尉

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