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 米海大ナウ!

「米海大初代学校長」ルース提督

(055 2016/04/05)

米海軍大学   客員教授
1等海佐    下平   拓哉

   1827年3月25日は、ステファン・ルース(Stephen B. Luce)の誕生日です。

【米海大アーカイブ所蔵】

   ルース提督は、1884年、ニューポートに設立された世界最古の軍事大学である米海大の初代学校長として知られています。
   ニューヨーク州アルバニ―に生まれ、イギリスとオランダの血を引いています。14歳で海軍に入った後、続く7年間、地中海や南米等世界中を航海しています。1849年に米海軍兵学校卒業。その後7隻の艦長を務めていますが、その間、広範な分野の書籍を多数読了し、特に古典の教訓を学ぶという自己学習法を続けていたと言われています。1860年には、米海軍兵学校において、リーダーシップと砲術の教鞭を執り、その後、教育や訓練、管理、組織といった分野を中心に自己の考えをまとめて発信し、米海軍における改革の必要性を訴え続けていきます。
   1884年10月6日、ルースが起案したチャンドラー(William E. Chandler)海軍長官一般命令325号に基づき、米海大初代学校長に就任します。そして1年後の1885年9月、9名の学生から教育が始まりました。1886年、ルースは後を第2代学校長のA.H.マハン(Alfred Thayer Mahan)に任せて、大西洋艦隊司令官の配置に就きます。ルースが日頃から考えていたとおり、米海大において理論を発展させ、艦隊において検証、実践することを自ら示したのでした。そして、退役後も、強い海軍を創り上げるために、自分の考えを書き続けています。例えば、海軍と沿岸警備隊を統合することへの反対や商船隊の復活などを提言し、特に1915年の海軍作戦部長室の設置には大きな貢献をしています。
   1917年7月28日逝去、享年90歳。ニューポート近くのポーツマスにあるセントメリー聖公会に眠っています。

 (2016年3月22日記)

【ルース著作集】
John D. Hayes and John B. Hattendorf eds., The Writings of Stephen B. Luce, RI : Newport, Naval War College Press, 1975.
www.ibiblio.org/anrs/docs/E/E6/1203luce_writings.pdf