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 米海大ナウ!

 ミャンマーの戦略的重要性と日本のアプローチ
-インド・太平洋地域における新たな安全保障ダイヤモンド-(その2)
下平1佐の執筆論文が日本戦略研究フォーラム季報『JFSS』に掲載

(048 2016/03/01)

米海軍大学   客員教授
1等海佐    下平   拓哉

   日本戦略研究フォーラム(JFSS)が編集している季報『JFSS』第67号(2016年1月)に、私の原稿が掲載されました。本稿では、インド・太平洋地域において、中国が推し進める「海上シルクロード」構想を整理し、同地域におけるミャンマーの戦略的重要性を踏まえた上で、サイクロン・ナルギスの教訓を検証し、同地域における安全保障と経済的発展を担保するため、ミャンマーに対する具体的な安全保障アプローチとしての「新たな安全保障ダイヤモンド」構想を明らかにしています。その2では、ミャンマーの戦略的重要性とサイクロン・ナルギスの教訓を検証しましたので、ここにその一部を紹介いたします。


要  旨

「ミャンマーの戦略的重要性と日本のアプローチ-インド・太平洋地域における新たな安全保障ダイヤモンド-」(その2)

サイクロン・ナルギスの教訓

   ミャンマーは、2011年3月の23年振りの民政移管によって大きな転機を迎えています。しかしながら、権威主義的な軍事政権に大きな転機が訪れたのは、皮肉にも甚大な被害をもたらしたサイクロン・ナルギスの影響です。
   サイクロン・ナルギスは、2008年4月27日にベンガル湾中央部で発生したカテゴリー4のサイクロンであり、死者14万人、行方不明者240万人を超える甚大な被害を伴い、ミャンマー軍事政権に大きな衝撃を与えることとなりました。
   ミャンマー軍事政権は、被災当初から国際援助活動を受け入れることに消極的姿勢でしたが、国連とASEANの働きかけにより、被災状況の現実を認識することとなり、その後、国際救援活動は徐々に軌道に乗ることとなります。
   サイクロン・ナルギスは、ミャンマー軍事政権による災害対応が稚拙で、時間とともに広がる食糧不足と物価の上昇等が軍事政権の不安定性を明らかにし、権威主義的な政治体制を変化させる要因となったとともに、国際社会における協力の重要性を示したのです。自然災害への対応における国際社会のプレゼンスは、国内の政治的発展と国際社会との関係構築に密接な関係があり、政治体制に大きな影響を与えるのです。

(2016年2月14日記)

【日本戦略研究フォーラム HP】
 http://www.jfss.gr.jp/kiho.htm