海上自衛隊幹部学校

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 米海大ナウ!

 最新の安全保障トピックを提供する:7つの地域研究グループ

(047 2016/02/19)

米海軍大学   客員教授
1等海佐    下平   拓哉


   米海大は、米海軍最高峰の教育研究機関です。米海軍をはじめ陸軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊、国務省やCIA等のシビリアン、及び100か国を超える世界の国々から集まった学生を教育するとともに、米国防総省や海軍省等の要求に応じた研究を進め、さらに世界中に所在する各艦隊司令部等への支援も実施しています。
   教育は、「統合軍事作戦(Joint Military Operations:JMO)」、「国家安全保障(National Security Affairs : NSA)」及び「戦略・政策(Strategy and Policy : S&P)」の3部が主として担当します。また、研究については、中国に関する最新の安全保障問題に取り組む中国海事研究所(CMSI)を含む戦略研究部や図上演習部、ストックトンセンター(国際法学部)、歴史学部等からなる「海戦研究センター(Center for Naval Warfare Studies :CNWS)」が主として担っています。そして、各艦隊司令部等への支援は、「戦略作戦統率部(College of Operational and Strategic Leadership: COSL)」が行っています。
   約300名からなる米海大の教授陣は、このいずれかに所属して教育研究及び艦隊支援等に当たっていますが、これらと並行して学部横断的に、より実際的な研究を目標として、7つの地域研究グループ(Regional Studies Group: RSG)が設置されています。地域研究は、第2次世界大戦中、いわゆる敵国研究として米国で発祥したと言われ、当該地域の特色を把握するため、政治、経済、文化、社会といった学際的なアプローチをとる学問領域です。米海大においては、アジア太平洋、ヨーロッパ/ロシア、中東、インド洋、アフリカ、ラテンアメリカ、北極海の7つの地域研究グループがあり、学内のみならず、学外からも数多くの専門家を招いて活発な議論を展開しています。
   7つのRSGのコーディネーターをしているローリグ(Terence Roehrig)教授は、RSGの今後の活動に関して、限られた厳しい財源の下で、「一般大学やシンクタンクとの一層の交流促進を図るとともに、最新の研究成果の学生への還元」が大きなテーマであると指摘しています。また、ローリグ教授は、アジア太平洋研究グループ(APSG)の責任者として、現下の厳しいアジア太平洋地域の安全保障環境のなかで今の日本に求められていることは、「アジア太平洋地域における様々な安全保障問題に関して、キープレイヤーである米国や中国に対して、日本がいかにバランスをとっていけるかにある」ことを強調しています。アジア太平洋地域における安全保障において、日本が果たすべく役割はますます大きくなってきているのです

(2016年2月7日記)

【米海大アジア太平洋研究グループ】
https://www.usnwc.edu/Research---Gaming/Asia-Pacific-Studies-Group.aspx