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 米海大ナウ!

 「図上演習部長」デビッド・デラボルペ教授

(042 2016/01/27)

米海軍大学   客員教授
本校戦略研究会(SSG)
1等海佐    下平   拓哉


   米海大における図上演習の歴史は長く、米海大創立の1884年のわずか3年後の1887年には既に図上演習を開始しています。図上演習は、米海軍トップの海軍作戦部長、海軍省、艦隊、同盟国、学生教育等、様々なニーズに基づいて実施されており、米海軍において図上演習の意義は高く評価されているとともに、歴史的に多くの実績を積んでいます。
   特に、太平洋戦争前に対日作戦計画「オレンジ計画」策定に係って実施された図上演習は、あらゆる想定を考慮に入れた図上演習における議論の重要性を今に伝え、そのノウハウは現在も「新たな戦い」を考える米海大海戦研究センターのハルゼー・グループ等に生かされています。
   米海大の図上演習における最大の貢献者がウィリアム・マッカーシー・リトル(William McCarty Little)大尉であり、1886年から1915年の28年間、図上演習部長を務めあげています。現在、図上演習装置がおかれている建物は、彼に敬意を表してその名前を冠し、「マッカーシー・リトル・ホール(MLH)」と呼ばれています。その次に長い勤続を誇っているのが現在の第66代図上演習部長デラボルペ (David DellaVolpe) 教授であり、2008年からその任についています。なお、ミッドウェー海戦を勝利に導いたスプルーアンス(Raymond Spruance)提督も、1937-1938年にその図上演習部長を務めています。
   デラボルペ教授によれば、「複雑な(Complicated)問題は解くことができるが、構造が不明確(ill-structured)な複合的な状況下(Complex)においては、知識の集積が必要であり、図上演習の重要性が一層高まってきている。将来の予測はできないが、傾向をつかみ、準備することができる。」と図上演習の意義を評価しています。

【ウィリアム・マッカーシー・リトル】

   ウィリアム・マッカーシー・リトルの有名な言葉が残っています。
   “Now the great secret of its power lies in the existence of the enemy, a live vigorous enemy in the next room waiting feverishly to take advantage of any of our mistakes, ever ready to puncture any visionary scheme, to haul us down to earth.”
   「今、力を行使する最大の秘訣は、敵そのものにある。敵は、我らの失敗を利用し、将来の計画を台無しにしようと常に考え、我らを地の底へ陥れようと、隣の部屋で必死に待っている。」
   今日の日本を取り巻く安全保障環境を踏まえれば、あらゆる状況に対しての平素からの備えが必要なのです。

【図上演習部 HP】
https://www.usnwc.edu/Research---Gaming/War-Gaming.aspx