海上自衛隊幹部学校

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 米海大ナウ!

 ホット・ウォッシュアップとセットアップ

(038 2016/01/15)

米海軍大学   客員教授
本校戦略研究会(SSG)
1等海佐    下平   拓哉


   「統合軍事作戦(Joint Military Operations:JMO)」のシニア・コース(主として大佐・中佐級)が終了しました。終了後、早速実施されるのがホット・ウォッシュアップ(Hot Washup)と呼ばれる成果所見の取りまとめであり、併せて2月から開始されるインターミディエイト・コース(主として少佐・大尉級)のセットアップ(Setup)と呼ばれる準備が加速されます。
   ホット・ウォッシュアップでは、主に担当教授の成果所見とともに学生の所見に関しての議論がなされます。それに先立って担当教授は、受け持ち課目終了後の各セミナーからの聞き取りを基に分析を行い、週1回を目途に実施される教授会における審議を経て、次回への反映事項を含んだ成果所見を提示しなければなりません。また、学生については、JMO終了時にアンケート調査が行われるとともに、教授代表及び学生代表からなる委員会(コミッティ)が、教育期間を通じて設置され、学生の意見や要望がすぐに反映されるようになっています。このように教授と学生の関係が重要視されているのが特徴です。
    今回のJMOにおける最大の成果は、教授陣の指導の徹底さが評価されたことでした。JMOの最大の特徴は、その課目の性質柄、教授陣がシビリアンと現役軍人に2分していることにあります。双方の誤認識を防ぎ、共通認識を確認し、お互いの弱点を補強し、強点を伸長させるため、毎週、ブーツの紐を締め直すことを意味する「ブーツ・ストラップ(Bootstrap)」という教授会を開き、次週のセミナーの目的、重点事項、変更事項等について議論を重ねています。この不断の努力の積み重ねが、教授陣において正の熱意の連鎖を生み、学生にも伝わっているのだと実感しています。
   また、次のコースのためのセットアップにおいては、担当教授がそれぞれの受け持ち課目の目的や重点事項について説明を行います。次のインターミディエイト・コースの特徴は、各ビークルの能力(Capability)を踏まえた戦術(Tactical)レベルのセミナーが追加されたことです。当該コースは、艦隊司令部や地域軍司令部といった司令部における幕僚業務、主としてオペレーショナル・レベル(Operational level)の業務が円滑に実施できることを目的としていますが、その理解のための基礎中の基礎となるのが戦術レベルの理解です。何事も基礎ができていないと、ステップアップはかなわないということです。