海上自衛隊幹部学校

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 留学制度

留学生便り

ジョンズホプキンス大学
高等国際関係学大学院
3等海佐 齋藤 久就

 

はじめに
   私は、2017年夏から約1年間、ジョンズホプキンス大学高等国際関係学大学院(SAIS: School of Advanced International Studies, Johns Hopkins University。以後、SAIS。)に留学しました。大学院の受験から現在に至るまで多くの方々にご支援いただき、充実した環境の中で勉学に励むことができました。

DCで学ぶということ
   SAISは米国の首都であるDCに所在します。DCは1800年から米国の首都機能を担う歴史ある国際都市です。DCで学ぶ意義は以下のDCを構成する要素に集約されます。これらの要素および、それを構成する機関の人的ネットワーク、社会コミュミニティーが大学院における座学に大きな付加価値を与えています。
1 シンクタンク
   1910年に初めてのシンクタンクとして設立されたカーネギー国際平和基金をはじめ、米国の外交・安全保障政策を形成する上での重要な要素として機能している数多くのシンクタンクが存在しています。
2 国際性
   SAISの周辺に位置するオーストラリア大使館やフィリピン大使館をはじめとして、多くの大使館が所在しています。また、国際機関として世界銀行や国際通貨基金、世界自然保護基金が第二次世界大戦以降設立されています。
3 教育機関
   DCには、いずれも国際的に高い評価を得ている23校の大学が所在しており、さらにはスミソニアン博物館群に代表される教育研究機関複合体も存在していることから教育する土壌が確立されています。

ジョンズホプキンス大学の概要
   SAISは1943年に政治家ポール・ニッツエ及びクリスティアン・アーチボルド・ハーターにより、国際政治におけるリーダー育成のために設立されました。ジョンズホプキンス大学の一部ではありますが、独立した大学院として実務家向けの国際関係学/国際経済学、そして語学に特化したプログラムを有する学校です。国際関係学の分野においてはジョージタウン大学及びハーバード大学に次いで高い評価を得ており、DCの他にイタリアのボローニャ及び中国の南京にそれぞれキャンパスを有しています。北朝鮮情勢に係る日本のニュースでも使用される衛星画像分析で知られる38ノース(38North)はSAISの米韓研究所プログラムであったため、自衛官にとってもなじみのある存在です。

国際行政学修士課程(MIPP: Master of International Public Policy)
   私が所属したMIPPは、7年以上の職務経験を積んだプロフェッショナルを対象としたミッドキャリア向けプログラムです。約9か月間(2学期)という短期間で8科目を履修することで、専門職修士を取得することを目的としています。なお、開講される科目は2年制修士課程の学生と共通です。これは授業において大学卒業から間もない2年制修士課程の学生に対するミッドキャリアの視点からのフィードバックが期待されているためです。MIPPの学生は40名程度と少数ですが、その分学生同士のつながりは強くなります。特にミリタリー同士は「共通の言語」を持つ仲間として言語や文化の壁を越えて付き合いが深まります。私の在籍時には、アメリカ陸軍、海軍及び海兵隊、オーストラリア陸軍の学生も在籍しており、感謝祭等の折にはホームパーティにおいて家族ぐるみの交流を行いました。在学期間が短い社会人向けのプログラムのため、学業に比較して学生同士のネットワーク構築に比重が置かれていることも特徴です。学生は毎週水曜日にハッピーアワーという軽食イベントを実施するほか、週末には基地研修、野球観戦及びクルージング等のイベントを企画してMIPP同士の交流の場を設けて親交を深めます。

   最後に、多様な背景を有する学生が集まっている教室は新たな物事の見方を学び、自らの視野を広げる絶好の機会となりました。例えば、講義形式の授業等で受動的な姿勢で教育を受けると知識を鵜呑みにしてしまいがちです。しかし、討論形式の授業では思考が止まることはなく、能動的に自分の考えを展開して問題に取り組むため、「知識を消化する」感覚が得ることができました。これまで受けてきた教育や経験等全てが自らの意見を創出するため、日本人かつ海上自衛官としての私の意見もクラスの中では一つの重要な物の見方となり尊重されました。更には、自らの意見を発信することで他の学生からは様々な反応を得ることができました。その多くが全く別の視点からのアプローチを提供してくれるものであり、意見を交わすことで思考が益々深まり多くの学びを得ることができました。

おわりに
   SAISへの留学は、家族を含め私の人生を大きく変える出来事となりました。本大学院留学に際し、ご支援をいただいた関係各位に改めて感謝を申し上げ、結びといたします。