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 戦略研究会

 マティス米国防長官の世界観: Intellectual Fire Power

(コラム114 2018/07/13)

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   マティス国防長官は、6月15日、米国ロードアイランド州ニューポートにある米海軍大学校の卒業式で演説をした1。卒業生たちに対し、「世界は再興する大国と大国間の競争に巻き込まれ、我々はそれを目の当たりにしている」と述べ、その課題を「暴力的過激主義」、「軍事力」及び「政治的意思」の3つの挑戦に分け言及した。それらの中で取り上げられた北朝鮮、暴力的過激組織、ロシア、中国のうちで最も多くを言及したのが中国である。
   マティス長官は、かつての「明王朝」をモデルとし、現在の中国が「一帯一路:One Belt, One Road」政策を利用し、諸外国にいわゆる「朝貢国」になるよう求めていると言及した。その「一帯一路」は実のところ「複数の帯と複数の道:many belts and many roads」を有しているとする。さらに、中国が諸外国を借金漬けにする手段により略奪的な経済活動を行うとともに、南シナ海の岩礁を軍事化していることにも触れた。また、これまで中国は、開かれた国際社会から膨大な恩恵を受けているにもかかわらず、それに挑戦しようとしているとし、我々がどのように中国に関与し、そして中国がどのように協力のための選択を行うかによって、将来の関係のロードマップが描かれると指摘した。
   その上でマティス長官は、今年1月に発表した米国国防戦略の中で示した民主主義を守るための3つの努力方針について言及した2。まず、「さらに高い壊滅的軍事力:more lethal force」を確立すること、2つめには、「軍事同盟の強化及び新たなパートナーシップの確立:strengthening our military alliances and building new partnerships」、3つめには、「国防省をさらに機能的にするための改革と近代化:reforming and modernizing the Department of Defense」を実行するとした。
   マティス長官は、日本をはじめ世界66か国からの留学生を含む米海軍大学校卒業生に対し、彼らの持つ「知的火力:Intellectual Fire Power」を駆使し、直面する安全保障上の課題に対処するよう強調した。我が国は同盟国として、様々な課題に対応するため、米国とのさらなる協力や連携を進めている。本校の「知的火力」も磨いていかなければならない。

(幹部学校防衛戦略教育研究部 戦略研究室 尾藤 由起子)

(本コラムに示された見解は、幹部学校における研究の一環として発表する執筆者個人のものであり、防衛省、海上自衛隊の見解を表すものではありません。)

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1 James N. Mattis, “Remarks By Secretary Mattis at the U.S. Naval War College Commencement, Newport, Rhode Island, ” https://www.defense.gov/News/Transcripts/Transcript-View/Article/1551954/Remarks-by-secretary-mattis-at-the-us-naval-war-college-commencement-newport-rh/, 2018年7月9日アクセス。
2 米国国防戦略の概要は海幹校HPにおけるコラムを参照。増本健明「2018米国国防戦略(National Defense Strategy)を概観する」http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-096.html, 2018年7月9日アクセス。