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出船の精神

艦船が港にある場合、舳先(へさき:船首)を港口に向けている状態を出船(でふね)と言い、いざ出港というときには直ちに出港することができます。

逆に艫(とも:船尾)を港口に向けている状態を入船(いりふね)と言い、岸壁を離れた後いったん方向変換をする必要があります。時間的な余裕があるときはいいのですが、緊急の場合にはそれだけ時間を無駄にすることとなります。これは他の事柄についても言えることです。

特に、艦船や航空機の運航においては、何かが必要になるとき、通常それは直ちに使用する必要があるということであり、そのためにはあらゆるものがすぐ使える状態で置いてあることが望ましいのです。

例えば、緊急用の消火ポンプは、火災が発生した場合にはスイッチを入れるだけで起動するようにしておく必要があり、いざというときに燃料を補給したり、部品の組立作業などが必要な状態であってはものの役には立たないのです。また、隊員が夜、就寝するときに衣服を整頓して身近に置いておくのも、緊急事態が発生した場合には直ちに着替えて、事態に対処するためです。

つまり人、物、組織などあらゆるものが常に直ちに使える状態にしておくことが肝要で、このための心構えを「出船の精神」として表現しています。

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