福井丸の絵画

旅順港閉塞決死隊の「福井丸」

作者は当時の従軍画家「東城鉦太郎画伯」です。

 日露戦争の緒戦の一撃以来、ロシアの旅順艦隊は遼東半島先端に ある旅順港に留まり兵力温存を図り、そこから出撃しては日本の艦隊を 苦しませていました。

 遠くヨーロッパからは同じくロシアのバルチック艦隊が太平 洋艦隊に合流すべく準備を進めていることが伝えられ、日本海軍は旅順 港のロシア艦隊を封じ込めるために、その湾口の狭いことを利用し、貨 物船を湾口に沈める封鎖作戦を計画しました。

 左上に沈められる貨物船福井丸の船体、手前には決死隊が脱 出を図るボート、右上にはロシア軍要塞のサーチライトが描かれていま す。 福井丸の船上には部下を気遣う広瀬中佐の姿が見えます。

 この画を囲む額縁は、日露戦争終結後、旅順湾口から引き上 げた福井丸の船体で作られており、船喰虫の跡や、旅順港に沈められて いた際についたカキ殻がついています。この画は、額縁を含め極めて貴 重なものです。