防衛大臣記者会見概要

平成28年11月11日(10時26分〜10時53分)

1 発表事項

 なし。

2 質疑応答

Q:アメリカの大統領選挙で勝利したトランプ氏なのですけれども、安倍首相との電話会談で「日米同盟を強化したい。日米関係は卓越したパートナーシップで、特別な関係を強化していきたい」と述べました。選挙戦中の日本に関する発言からすると、若干歩み寄った印象もありますけれども、大臣はこの発言についてどうお考えになられますか。

A:いうまでもなく、日米同盟、そして日本と米国との関係を強化するということは、非常にわが国にとっても重要なことだと思います。それで、総理がいち早くお電話をされて、今、御指摘があったようなやりとりがあったわけですけれども、総理と次期大統領であるトランプ氏との間で信頼関係を築いていくということは、大変重要だと思っています。17日にはニューヨークで会談を行う方向で調整が進んでいるものというふうに承知をいたしております。繰り返しになりますが、日米同盟はわが国の安全保障にとって重要であり、また、アジア太平洋地域の平和と安定、そして繁栄のためにも、トランプ次期大統領と総理が信頼関係を築くということは、非常に喜ばしいというか、重要なことだと思っています。

Q:関連しまして、昨日、在日米軍トップのマルティネス司令官が、岩国基地での記者会見で、トランプ氏の就任後の日米同盟について、「日本に展開中の米軍は、今と同じように力強く展開を続けると思う」と述べました。期待感を示されたのですけれども、大臣はトランプ氏が今後、日本に現状と同様の在日米軍の駐留を続けるとお考えでしょうか。それに加えて、大臣は現状と同規模の駐留が望ましいと考えていらっしゃいますでしょうか。

A:まず、トランプ次期大統領がどのような政策をとられるかについて、現時点で予断を持ってコメントをすることは差し控えたいというふうに思います。その上で、日米同盟は、わが国の安全保障の基軸でもありますし、わが国に駐留する米軍のプレゼンスというのは、わが国の防衛のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定、そして何よりも、力ではなくて法の支配を貫徹するという意味においても重要だというふうに思います。こういった中で、わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しているわけでありますので、日米同盟の重要性というのは増しているというふうに思います。米軍の前方展開を維持しつつ、トランプ次期政権との間での日米同盟を一層深化・発展することを期待しています。

Q:変わりまして、南スーダンのPKOに関してなのですけれども、首都のジュバで7月に発生した戦闘の際に、PKOの指揮命令系統が不適切だったとして、国連がケニア人の司令官の解任を決めたのを受けて、ケニア軍が撤収を開始したのですけれども、ケニア政府は「PKOが構造的な機能不全に陥っている」と非難していますけれども、日本のPKO部隊に与える影響をどう捉えていらっしゃいますでしょうか。

A:今御指摘のとおり、ケニア政府が7月の武力衝突事案に関して、国連の決定で司令官を辞任させたということについて、撤退を開始したということは、非常に残念ですし、また、ケニア政府は、南スーダン北西部のワウ市を中心に1千名を超える要員を派遣して、これまでUNMISSに多大な貢献をしてこられたというふうに思います。引き続き、ケニア政府及び国連側の対応を、強い関心をもって注視してまいりたいというふうに思います。ただ、わが国の施設部隊について何か影響があるというふうには考えておりません。

Q:関連して、ケニア軍の撤退というのが、新任務付与の判断にどういう影響を与えると大臣は考えていらっしゃいますでしょうか。

A:ケニア軍が撤退したことが、何かわが国の施設部隊派遣に影響するとは考えておりません。もちろん、いつも言っていますけれども、新任務付与に関して、しっかりと自衛隊の訓練は防衛省として対応できる程度にまで習熟しているというふうに判断していますけれども、それを政府部内でも共有しつつ、やはり緊張感をもって南スーダンの情勢は見ていき、安定的な合意が維持されるかどうか、その判断をしていきたいと思っています。

Q:アメリカ大統領選挙の関連なのですけれども、トランプ氏になったことで、今後の具体的な政策をよく見ていかなければいけないということですが、北朝鮮の弾道ミサイル防衛等、そういったものに対して現時点で何か影響があることはないのでしょうか。

A:まず、繰り返しになりますけれども、トランプ次期大統領の政策について、予断をもってお答えすることは控えます。ただ、冒頭の質問にもありましたけれども、総理とトランプ氏との間でしっかり信頼関係を築いていくということはとても重要ですし、さらにアジア太平洋地域の平和と安定、繁栄にとって、日米の同盟をさらに深化させていくということは非常に重要なことだと思います。そういった意味において、何かトランプ大統領になったことでミサイル防衛等に変化があるということではないというふうに考えます。

Q:トランプ氏になったことで国防長官も変わると思いますけれども、次に国防長官になられる方にどのようなことを期待されますか。

A:まだ変わられるかどうかも分からないというふうに思います。特に、カーター長官との間では、非常にわが国を取り巻く情勢等についても意識は共有しておりますし、良い会談もできたところであります。日米同盟の重要さというのは、どなたが国防長官になられても変わることはないというふうに思いますので、しっかりと信頼関係を築いていきたいと思っています。

Q:トランプ氏の関連なのですけれども、トランプ氏が大統領になることで、同盟国に対して負担を求めていると、これが日本側からすれば自主防衛を強化するきっかけになるのではないかと、そういった議論があると思うのですけれども、大臣はこの点についてどうお考えでしょうか。

A:繰り返しになりますが、選挙期間中に様々なことをおっしゃっておられましたが、実際にトランプ氏が大統領になられて、どういった政策を採られていくのかということは、予断をもってコメントをすべきではないというふうに思います。ただ、今御指摘のとおり、選挙期間中に様々仰っていたことなどもあり、それぞれ、日本においても自分の国は自分で守る、さらには日米同盟の強化、そして関係諸国との連携、私がいつも三点申し上げておりますけれども、そういったことについてしっかり考える機会でもあるというふうに思っています。

Q:関連してなのですけれども、先ほどから大臣どのような政策を採られるかについては予断を持ってコメントをすることは差し控えるということなのですが、同盟を維持するというのと、駐留軍の規模というのを維持するというのはまた別の話だと思いますが、在沖海兵隊を含めて、今いる在日米軍の規模の縮小というのは、日本政府として、今後交渉など求める考えなどありますでしょうか。

A:繰り返しになりますが、次期大統領であるトランプ氏がどういった政策を採られるかについて、予断を持って答える立場にはありません。その上で、日米同盟の強化、さらには沖縄における米軍の展開等々も抑止力、そして今の厳しい状況の中では重要だと思いますので、そういったことなども考慮しつつ、日本の立場ということは説明をしていく必要があるというふうに思います。

Q:トランプ氏の発言とは関係なく、日本の在日米軍の駐留費などは十分だとお考えでしょうか。それとも、増やしてでも米軍を維持すべきでしょうか。

A:十分だと考えております。

Q:それは、これ以上は払う気がないということですか。

A:今、現状でしっかり負担すべきものは負担しているというふうに思います。

Q:いくら要求されても、これ以上払う気がないというお考えでしょうか。

A:その要求されてもということについては、仮定のことでありますので、お答えする立場にはありません。

Q:「駆け付け警護」についてなのですけれども、「駆け付け警護」は、従来、国や国に準ずる組織との戦闘になった場合に武力の行使に当たる恐れがあるということで見送られてきたのが、今回新たに法制で入ったのだと思うのですが、南スーダンでは政府軍兵士の残虐な行為であるとか反逆行為であるとかが伝えられていますし、例えば政府軍と国連PKOとの間で戦闘があったというようなことを言う人もいます。そういった中で、新たに任務を付与するに当たって、政府軍との交戦を防ぐための具体的な手立てというのはどのようにお考えなのでしょうか。

A:まず、例えば、今御質問の念頭にあるのが、国連が調査に入ったホテルでの暴行、そして性的暴行の事案だと思いますが、それは、正規の政府軍の行いではなく、実際にそれを鎮圧したのが、南スーダン政府だったわけであります。この「駆け付け警護」は、あくまでも日本の派遣している施設部隊が対応できる範囲で、要員の安全を確保しつつ対応できる範囲で、人道的見地から緊急の要請に基づいて行うものでありますので、今仰ったような、例えば紛争に巻き込まれるとか、武力行使に当たるというようなことはあり得ないというふうに思います。

Q:特定のケースでなくて、一般的に政府軍との交戦が、要するに今回そういうような政府軍の兵士の中に狼藉を働くような者がいるというような、必ずしも統率の取れた組織とは言えないのだと思うのです。そういった人達との交戦を防ぐために、政府軍側と何かしら、もうちょっと密な交渉なり、連絡体制なりというのがないと、政府軍との交戦をしっかり防ぐのは難しいのかなと思っていまして、そういったところをもう少し具体的にお考えではないのでしょうか。

A:まず、「駆け付け警護」は、参加五原則を満たしている、すなわちそこに武力の紛争が存在しない、また武力の紛争である当事者である国または国準の存在がないということとともに、その派遣国の受け入れ同意が安定的に維持される、そういった場合にのみ「駆け付け警護」については実施をするということでありますので、その受け入れ同意が安定的に維持されている場合に、派遣国の政府軍が、わが国の部隊に敵対するものとして登場することは想定されないというふうに思います。さらには繰り返しになりますけれども、「駆け付け警護」は、施設部隊である自衛隊が対応可能な範囲においてNGO等の活動関係者が襲われて、その他速やかに対応できる国連部隊、すなわち国連には歩兵隊もいるわけですけれども、そして、南スーダンの治安の組織もあるわけでありますが、そういったものが存在しない極めて限定的な場合で、要請を受け、応急的かつ人道的な見地から対応できる範囲で行うものでありますので、何か軍と衝突するとか、そういったことは想定されないというふうに思います。また、その実施に当たっては、まず相手側と粘り強く、今仰ったように、説得したり武器以外の手段で対応することが第一でありますので、そういった意味からも、武力の行使に発展するとか、武力紛争に巻き込まれるというような事態は想定されないというふうに考えます。

Q:限定的にされるという方針はよく分かったのですけれども、要するに、例えば、「駆け付け警護」に行く前に、政府軍側なり、現地の治安当局に「行きますよ」とか、「そこで何か起きていますけれども、あなたたち行けないけど、では代わりに私たちが代わりに行きますよ」とか、そういった連絡を日本の派遣施設部隊なりPKOの司令部なりが取った上で行くということになるのですか。

A:もちろん、そういった南スーダン政府のみならず、国連も含めて、しっかりと連絡や情報を取った上で行うということであります。

Q:「駆け付け警護」は、日本の法律なり規定の中で、安全が確保できて云々という条件が整ったときに派遣すると。それ以外の時は「駆け付け警護」をしませんということを仰っていますが、7月の報告書なりNGOが、どこの軍も助けに来なかったと、どこのPKO部隊も助けに来なかったということを非難しています。日本が、もちろん法律に則ってやるのですけれども、これから「駆け付け警護」の任務が付与されたとして、日本が駆け付けなかった場合に、国際社会から理解を得られるというふうにはお考えですか。

A:私も南スーダンに行って、国連特別代表のロイ氏にお会いしたい時も、それから、先日、柴山補佐官がお会いした時も、あくまでもわが国が派遣をしているのは施設部隊、すなわち、道路を作ったり施設を作ったりしている部隊でありますので、その「駆け付け警護」というのは、緊急的な場合で人道的な見地から対応できる範囲で行うものですと、その日本の「駆け付け警護」 の意味についてはしっかりと説明をしているところであります。そういった意味からすると、7月の、今問題になっているようなホテルにおける大規模な事案において、日本の施設部隊が駆け付けるというようなことは想定されないというふうに思います。ですので、そういった日本の派遣している部隊の意味、それから、「駆け付け警護」の日本の法律の中で認められている任務の意味等については、しっかりと説明をしておりますし、これからも説明はしていく必要があるというふうに思っています。

Q:それは特別代表から理解を得られても、国際的なNGOや国際社会から理解が得られるというふうにお考えですか。

A:ただ、あくまでも自衛隊の活動というのは、わが国は法治国家ですから、法律に基づいたものであります。そのことを国際社会にしっかりと説明すべきであり、国際社会からの批判があるからといって、法が予定する以上の行動を自衛隊に行動させるということはあり得ません。

Q:在日米軍の駐留費の質問に戻らせていただきますけれども、駐留費の日本の負担については、昨年暮れに今年度を含む5年間の負担額に関する協定を結ばれていると思いますけれども、トランプ氏も選挙中の主張に関わらず、この協定は基本的には見直すお考えはないということでよろしいでしょうか。

A:何度も申しますが、政権が変わって、次期大統領からどういった政策を打ち出されるかについては、予断をもってコメントをすることは差し控えたいと思います。先ほどの質問も現時点の駐留費についてどうかという質問であったので、私は十分であると、そういった答えであります。

Q:南スーダンに戻るのですが、法治国家だから法律を変えて「駆け付け警護」できるようにしたわけですが、その上でUNMISSの司令部から「駆け付け警護」に行って下さいといって断ったから、ケニアの司令官が解任されて、要請を断った中国軍とエチオピア軍が国際的に非難されているわけです。日本は法治国家だから「駆け付け警護」を法的に認めたと。その上で要請が来て断って、さらに国際社会から非難が来てもいいのですか。

A:ちょっと、今の質問はややごちゃごちゃしていると思うので整理をしますと、7月の事案、そして7月の段階でわが国の自衛隊に「駆け付け警護」の任務の付与はしていなかったわけですね。そして、仮に「駆け付け警護」を、今後付与するということになったとしても、7月の事案のように、非常に自衛隊の要員の、施設部隊の対応の範囲を超えるような場合には、個別具体的には今後起こっていく事案によって違ってくると思いますけれども、そういった場合には日本のPKO法における「駆け付け警護」の範囲は超えているので、そこはもちろん説明も、今、していますし、これからも国際社会に対して説明する必要はあるというふうに思いますけれども、そこは法が予定している以上のことをするということはないということです。そして、今、ケニア、中国が、国際社会から批判をされているとすれば、やはり、歩兵部隊であって、わが国の自衛隊とはそもそも任務を異にする、治安であったり警護であったり、そういった任務はわが国の自衛隊には与えてないわけですから、そういった意味で同じレベルで考えるのは違っているのではないかと思います。

Q:マンデートとしては、市民保護というのは同じですよね。

A:国連のマンデートとわが国が派遣している部隊の与えている任務は、あくまでも施設部隊、すなわち、土木工事や道路、施設を作ったりするものなので、わが国の自衛隊に、治安や警護といった任務は与えていませんし、仮に与えるとすればご承知のとおり国会の承認がいるわけですから、そういった施設部隊としての任務の範囲内で、できることをやるということです。

Q:UNMISSのマンデートは市民保護でなくて、市民保護のための武器使用、武力攻撃を認めていますよね。そういった意味では、その範疇に自衛隊の活動も組み込まれるわけですよね。それについてどう考えますか。

A:あくまでも、日本の自衛隊の任務は施設部隊としての任務でありますので、その与えている任務の範囲内で行います。そして、今回、仮に「駆け付け警護」の任務を与えるとしても、それは施設部隊として対応可能な、しかも、要請を受けて応急的に人道的な見地から行うものだということであります。

Q:マンデートは、施設建設やインフラ建設ではなくて、マンデートはあくまでも市民保護ですよね。

A:このマンデートの中に、その日本が行っているような国造りですが、新しい国造りの中に、施設部隊が行っているそういった任務も入っています。

Q:マンデートを変更して国造りから市民保護に変わったわけじゃないですか。

A:ですから、そこは新たに地域保護部隊というのを作るということであります。

Q:今まで、地域防護部隊が来るまでの間も市民保護というマンデートはあるわけじゃないですか。

A:ですので、いくつかマンデートがある中の、日本の部隊が分担をしているのは施設ということです。

Q:政府が使っているマンデートという言葉は最重要任務という意味で使っていますよね。

A:政府はマンデートという言葉は使っていないと思います。

Q:マンデートという言葉を解釈する時、最重要任務という単語として使っていますよね。

A:UNMISSの、南スーダンにおける任務の中身ですが、任務遂行の具体的な内容については、文民保護と人権状況の監視及び調査、人道支援実施の環境作り、そして合意の履行支援というABCDの4つのものを作っているということであります。そして、施設部隊はその中でも文民保護支援、人道支援実施の環境作りとして、国連トンピン地区、ハウス地区の施設内で道路整備、外壁構築等を実施するということであります。

以上


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