大臣会見概要

平成27年7月21日(10時34分〜11時02分)

1 発表事項

 本日の閣議におきまして、平成27年版防衛白書、これを説明の上、配布を致しました。この防衛白書につきましては、例年、5月末までの概ね1年間の主要な出来事につきまして、取りまとめたもので、今年の白書は、新たに、日米防衛協力の指針の見直し、防衛省改革、普天間飛行場における空中給油機の岩国飛行場への移駐完了を含む沖縄の基地負担軽減の取組等について記述するとともに、政府が国会に提出を致しました平和安全法制に関する法案の概要、これを記述をしております。併せて、わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しているということ等について記述するとともに、わが国を守り抜くため統合機動防衛力の整備、積極平和主義の理念の下に進めている各国との安全保障協力等についても、わかりやすく説明をするように、また、紹介をするように努めております。工夫と致しましては、A4版にして、文字を大きく致しました。見やすくするとともにページ数については、余白の排除等によりまして、ここ10年で最もコンパクトなものに致しております。一人でも多くの国民の皆様方が今年の白書を読んで頂いて、防衛省・自衛隊に対するご理解をさらに深めて頂けることを願っております。

2 質疑応答

Q:先週、陸上自衛隊が新多用途ヘリコプター(UH−X)の開発事業者について、富士重工業に決定したと発表されました。大臣から改めてUH−Xの開発と導入の意義についてお願いします。

A:UH−X開発事業につきまして、平成23年度の事業者選定における官製談合事案を受けまして、事業を一旦白紙化しておりましたが、その後、前回事案での不正事案に係る再発防止策を着実に実施し、IPT(統合プロジェクトチーム)による客観性・公平性を有した管理体制の強化のうえ、開発事業者の選定作業を進めておりました。去る17日、選定作業が終了致しまして、開発事業者を富士重工業とすることで決定を致しました。UH−Xは、将来の陸自ヘリコプターの根幹を成す機体であり、開発事業者が決定されたことは、極めて意義深いものと考えております。今後、UH−X開発の事業管理を徹底して行い、着実に装備化を進めて行きたいと考えている訳でございます。

Q:先ほどの防衛白書の関連ですが、今回、海洋を巡る動向という節を新たに設けられたということなのですが、大臣から安全保障環境の厳しさというお話もありましたが、その新たに海洋を巡る動向というのを設けられた意義について伺えますか。

A:今年の白書においては、東シナ海の日中中間線の中国側において、中国が新たな海洋プラットホームの建設作業などを進めていることが確認されている旨、また、わが国から繰り返し抗議をすると同時に、作業の中止等を求めている旨をまず記述いたしました。また、中国が南シナ海の南沙諸島にある7つの岩礁におきまして、急速かつ大規模な埋立て活動を強行しているほか、一部の岩礁では滑走路や港湾を含むインフラ整備を推進をしていると見られ、米国をはじめ国際社会から懸念が示されている旨記述を致しました。こうした最近の動向等を踏まえて、海洋における利害が対立する問題をめぐって、「中国は高圧的とも言える対応を継続させ、自らの一方的な主張を妥協なく実現しようとする姿勢を示している」との認識を新たに補足をしているところですが、中国の軍事動向等は、軍事や安全保障に関する透明性の不足とあいまって、わが国を含む地域・国際社会にとっての懸念事項であり、わが国として、今後とも強い関心をもって注視をしていく必要があるということで、基本的な認識に変化はありませんけれども、今年の白書におきまして、こういうところを記述をさせて頂いているところでございます。海洋における動向については、これまで各国ごとに書かれていた海洋における取り組みをまとめて書いたということで、この宇宙、またサイバーと同様な形にした訳でございます。

Q:中国に対する脅威認識なのですけれども、結構、白書、中国のところの章のボリュームもそうですが、概要についてのところもそうですけれども、繰り返し中国のところに懸念を示し、多く見られるのですが、大臣の中国の脅威認識について改めてお願いします。

A:これは中国の軍事動向等については、公船によるわが国、領海への断続的侵入、また、海軍艦艇、航空戦力の太平洋への進出等、中国軍等の活動がわが国周辺海空域において、急速に拡大・活発化している現状について、国内外にその事実を正確に伝えるとともに、これらに対する防衛省の分析・評価これを示すことを目的として記述を致しました。一方、防衛白書におきましては、中国が国際社会における自らの責任を認識し、国際的な規範を共有・遵守するとともに、地域やグローバルな課題に対し、より協調的な形で積極的な役割を果たすことを強く期待している旨、また、海空連絡メカニズムの早期運用開始をはじめとして、中国との関係の強化を図るべく、引き続き、中国に対して、様々なレベルで対話を働きかけて、日中の信頼関係・相互理解を増進をしていくことが重要である旨についても併せて記述を致しております。防衛省・自衛隊といたしましては、急速に拡大・活発化する中国の活動に対しては、東シナ海等で警戒監視活動及び対領空侵犯措置に万全を期す一方、わが国から事態をエスカレートさせたとの口実を与えることがないように、冷静かつ自制的に対応しております。いずれにしましても、中国の軍事動向等は軍事や安全保障に関する透明性の不足とあいまって、わが国を含む地域・国際社会にとっての懸念事項であり、わが国としても今後も強い関心をもって注視をしていく必要があるという基本的な認識に変化はないということでございます。

Q:中国との関係で、南シナ海においては、能力構築支援などを徐々に進めていこうとお考えだと思うのですけれども、改めて南シナ海における、防衛省としての対応をどのように、キャパビルも含めて、どのように考えていらっしゃるか。

A:これは従来、国会でもその姿勢をお話を致しておりますけれども、現在、自衛隊は南シナ海において常続的な警戒監視は行っておりません。また、そのような具体的な計画も有しておりません。他方で防衛大綱・中期防においては、警戒監視能力・情報機能の整備・強化、アジア太平洋地域における二国間・多国間における共同訓練・演習、キャパシティビルディング支援等の推進を行うことにしております。こうした中で自衛隊は、これまでにフィリピンやベトナムなど、南シナ海周辺の国々に対する能力構築支援や、米海軍との共同訓練を行う等の地域の安定に資する活動に積極的に取り組んできております。従いまして、南シナ海における警戒監視につきましては、南シナ海における情勢がわが国の安全保障に与える影響を注視をしつつ、今後とも、十分に検討を行っていくべき課題であると考えているというところでございます。

Q:日本の自衛隊が、今後、南シナ海で米軍の活動に加わる可能性はありますでしょうか。

A:今、お話しをいたしましたとおり、防衛計画の大綱、また中期防におきまして、警戒監視能力・情報機能の整備・強化、また二国間・多国間による共同訓練・演習、能力構築支援等の推進をアジア太平洋地域の国々と行うということといたしておりまして、これまでにフィリピンやベトナムなど、南シナ海周辺の国々に対する能力支援活動、米海軍との共同訓練を行うなど、地域の安定に資する活動に積極的に取り組んできておりまして、引き続き、こういった活動を行っていくということでございます。

Q:今回の白書でいろいろな安全保障上のリスクが指摘されていますけれども、今、国会で審議中の安全保障法案が整備されれば、こういった安全保障環境の変化に切れ目なく対処できるというふうにお考えでしょうか。

A:まさに隙間を埋める。そして、あらゆる事態に対応できるような切れ目のない日本の防衛体制、平和安全法制、こういうことを整備するということを目的といたしておりまして、近年における情勢の変化等は、国会でも説明をいたしておりますけれども、急速に変化をしてきているわが国周辺の安全保障環境の変化に対応すると。そのために法律の整備が必要であるという認識でございます。

Q:今回は、国際社会の課題というところで、イスラム国を初めて大きく取り上げられています。それで例えば、米軍の作戦が長期化するというような指摘があった上で、日本にとってもISILの脅威は他人事ではないという記述があって、さらに、国際協力の重要性が増しているという部分を強調されていますけれども、まさに安保法制、新法が通ればこういった部分で米軍や多国籍軍に対する協力支援、具体的にISILというのは視野に入っていくと考えてよろしいのでしょうか。

A:白書におきましては、国際情勢の変化の中で、特に中東、これはいろいろな情勢、各国の変化の中でISILの事案は非常に大きなものがありました。国際社会の中でも大きな脅威となっております。その他にも各国のテロとか、情勢についても記述をいたしておりまして、ISILにおきましては、法案成立後も、もう既に政府といたしましては、非軍事分野で支援をするということを表明しておりますので、法案成立後においてもわが国の対応においては、非軍事分野で支援をしていくということでございますが、白書は、こういった国際情勢の変化の中で記述をさせていただいたということでございます。

Q:つまり、今度できる新法で協力支援ができ、今、非軍事とおっしゃいましたけれども、軍事的分野での後方支援・協力支援ができるようになるわけですけれども、こういった白書の中で国際社会の課題として、国際的に協力が重要だと大々的にやっているものが、その新法の協力支援の対象にはなり得ないということですか。

A:国際社会においては、大きな課題であると認識をいたしておりますが、もうすでにISILへの対応におきましては、政府として非軍事分野の支援を行っていくということを表明をいたしております。従いまして、この法案が成立した後も非軍事分野での支援、これを行っていくということでございます。

Q:今回、新たな記述として辺野古の埋立承認手続きについての政府側に瑕疵はないとの記述が非常に多く掲載されているのですけれども、その一方で、翁長知事が反対を訴えて当選したことや、沖縄に根強く反対の声があることなど、意見が対立しているということには一切触れられていないのですけれども、この辺りのことを掲載しなかった理由を含めて教えて下さい。

A:政府といたしましては、手続きにおきまして、沖縄県で協議も行いながら、法律に従って進めてきているわけでございまして、その必要性に基づいた対応をしてきております。特に、代替施設の建設事業に係る公有水面の埋立申請につきましては、公有水面埋立法に基づく審査を経て、沖縄県知事から承認をされておりまして、これらの手続きは、関係法令に則り、適正に行われたものと考えております。防衛省といたしましては、普天間飛行場の危険性の除去のために、一日も早いこの普天間飛行場の移設と返還に向けて取り組んでまいりたいという姿勢を記述したということでございます。

Q:白書の中にある普天間代替施設に関する経緯という年表があるのですけれども、その中では例えば99年に岸本名護市長が受け入れを表明したですとか、2013年には当時の仲井間知事が埋め立てを承認したということが掲載されているのですけれども、これで翁長知事とか沖縄県民が辺野古に反対の声を訴えている。例えば政府との意見の対立があるみたいなことを書いていないのであれば、防衛省側に都合のいいものだけを書いているのではないかというふうに思われても仕方がないのではないかなと思うのですけれどもいかがでしょうか。

A:今年1年ということでございますが、現在、この問題については、審査の請求中でありまして、まだ結論に達していないということでございます。沖縄県とは、政府としましても、審査を請求致しておりまして、その点の結論が出ていないということでございます。

Q:今の確認なのですけれども、今、農水省への審査請求の結論がまだ出ていないので、今回の白書には記述をしていないということでよろしいでしょうか。

A:まだ審査が続いておりますので、それのご判断もありますし、また、政府としても審査をお願いしているという立場でございますので、その点について、まだ結論として書いていないということでございます。

Q:新国立競技場が白紙撤回、金曜日にされましたが、これについて大臣の受け止めをお願いします。

A:2020年に東京でオリンピックが開催されるということは、国民にとっても、また、オリンピックを目指している選手にとっても大事なことでもありますし、開催する以上は、国民的な合意と選手の皆さんが希望が持てるような状況の下に開催されるべきでありまして、そういう意味で再検討をするという決断をしたということは、正しい決断だと思っておりまして、やはり国民の皆さんに理解されるような競技施設を作って、できるだけお金がかからないような施設であるべきだと私も思っております。

Q:その1年前のラグビーのワールドカップは間に合わないですけど、それについてどのように感じていらっしゃいますか。

A:いずれにしても、国民の税金や、都民の方々のお金を使ってやるわけでございますので、やはり納税者の理解を得る必要がございますので、そういうものに基づいた施設であらなければならないというふうに私も思います。

Q:白書の中で、島嶼防衛の中に、与那国島への陸上自衛隊が監視部隊配備とか、航空自衛隊の第9航空団の新編など、島嶼防衛に関する記述もこの1年を踏まえて増えたと思うのですけれども、改めて島嶼防衛に対処する部隊を配備するということの重要性をお聞かせください。

A:日本地図を見ていただいても分かるように、九州から南の南西のエリアというのは、ほぼ、日本の国土の半分近くある非常に広大なエリアがございます。この領域、わが国を防衛をしていくということにおいて、近年の安全保障環境の変化に対応しまして、やはり島嶼防衛、それぞれの離島とか島を守って行くということは非常に重要な部分でございまして、既に、防衛大綱によって明記をしているわけでございますが、この与那国島などの沿岸監視部隊の新編、また、水陸両用作戦機動を備えた水陸機動団、これの新編、また、那覇基地に第9航空団を新編するなど、こういった平素からの防衛基盤を強化をするということの方針は、決定を致しておりますし、また、これの能力向上を図って行くために、機動展開能力の向上のための装備の導入、また、日米間の共同訓練、米国における海兵隊との実動訓練等を通じて、水陸両用作戦機能・能力の向上を努めていくことによって、この周辺海域の安全保障の確保を進めていくというのが考え方でございます。

Q:南シナ海に戻りますけれども、先程、大臣が「今後、南シナ海の情勢が日本に安全保障に与える影響を注視していき、検討していきたい」ということですが、この防衛白書の中で南シナ海の衛星写真がいくつかありました。日本が、そもそも南シナ海の情勢をどこまで、今、認識しているのでしょうか。つまり、今、この情勢が日本の安全保障に影響を与えているというふうにお考えですか。

A:これは、シャングリラの、シンガポールのアジア国防大臣会議等でも協議をされましたけれども、各国からこういった力による支配とか地域の安全保障環境を崩していくことに対して、それぞれ大きな懸念の声も上げられております。そういう中で、防衛省の認識と致しましては、まず、中国が南沙における7つの岩礁において、急速かつ大規模な埋立活動を強行している他、一部の岩礁では滑走路や港湾を含むインフラ整備を推進していると見られ、米国をはじめ、国際社会から懸念が示されているということ、そして、先程お話しをしましたが、防衛白書の中に、そういうことも記述を致しておりまして、そういう点において防衛省として、この地域の安定が図られるような観点で注視をしているということでございます。

Q:オスプレイの佐賀空港への配備計画が出て、ちょうど1年になるのですけれども、現状への受け止めをお願い致します。

A:これにつきまして知事さんが交代されたということで、新たにもう一度地元の理解を得るべく説明を続けておりまして、地元にも様々な御意見があるということを承知を致しておりまして、防衛省と致しましては、なぜ必要なのか、そして安全保障上の重要性、こういうものを踏まえまして、早期に佐賀空港を利用できるように、引き続き、丁寧な説明と要望をして参りたいと考えております。

Q:確認なのですけれども、漁業者との間で「軍事利用はしない」という取決めがあります。この覚書の存在を承知されたのはいつだったのでしょうか。

A:国会でも質問があったことがあると思いますが、これは知事選の前に、地元に説明を致しておりますので、その時点で防衛省は承知をしていたのではないかと思います。

Q:昨年7月の時点でよろしいですか。

A:平成2年の3月に佐賀県と地元漁協の間において、空港建設及び共用に際して、公害を未然に防止をし、環境基準の維持に努めるために、公害防止協定書等が締結されたと承知を致しておりまして、防衛省が入手したのは昨年の7月22日、これに防衛省が申し入れを行った際ということでございます。

Q:わかりやすい説明とおっしゃる中で、何が一番わかりにくいかというと、具体的な事例になったときになかなかお答えになれないというところだと思うのですね。それで防衛白書が出たので、ISILの件、聞いた訳ですけれども、これだけ大々的な脅威として国際的な協力が重要だと防衛白書に掲げられているような事態ででもですね、「新法の協力支援の対象にならない」と非軍事の部分だけを強調されましたけれども、これイスラム国に対する多国籍軍への協力支援・後方支援というのは、やはり、軍事的な後方支援として将来的に視野に入らないということでよろしいのでしょうか。

A:基本的には法律に明記をされた様々な要素等を総合的に判断をするということでございまして、それぞれいろいろな事態が発生するわけでございますが、ISILの活動を見るにつけ、国会でも御説明をしておりますけれども、現時点においてわが国政府と致しましては、人道支援等、非軍事の分野の支援をしていくということは、既に方針として決めていることでございまして、今後、この方針は継続されていくということでございます。

Q:法律が出来れば何をやるのかというところをみんな国民は知りたいところだと思うのですけれども、その1つの事例として、ISILの作戦は含まれないということでしょうか。

A:総理も明快に、「人道支援等の非軍事分野において、わが国は支援をしていく」と政府の方針を示されております。法律が成立した後も、この方針は変わらないということでございます。


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