大臣会見概要

平成26年5月16日(10時12分〜10時32分)

1 発表事項

 本日午前1時頃、海上自衛隊が長崎県上対馬の北東約140kmの海域を南西方向に進むロシア海軍艦艇6隻を確認いたしました。その後、当該艦艇が対馬海峡を南下し、東シナ海に入ったことを確認いたしました。現時点では、わが国領海での航行は認められておりませんが、防衛省としてロシア海軍艦艇のわが国周辺海域における動向について引き続き注視するとともに、わが国周辺の警戒監視に万全を期してまいります。なお、ロシア海軍艦艇の活動目的については確たることを承知はしておりませんが、中国とロシアの防衛当局が今月20日から26日に、東シナ海北部海空域において、中露海軍合同軍事演習を実施すると発表したことは承知しております。今後とも重大な関心をもって注意をしてまいりたいと思っております。私の方からは以上です。

2 質疑応答

Q:昨日、政府の安保法制懇が集団的自衛権の行使容認を求めることを柱とした報告書を提出しました。防衛省・自衛隊を管轄する防衛大臣として、この報告書に対する受け止め、評価をお聞かせください。

A:報告書につきましては、将来見通し得る安全保障環境の変化にも留意して、具体的事例も踏まえながら、安全保障の法的基盤の在り方について提言をいただいたものと承知しております。政府としては、この安保法制懇の報告書を受けまして、総理が示した今後の検討のための基本的方向性に基づき、与党と十分協議をしていくとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての方針を進めていくことになります。防衛省としてもこの方針に従い、今後対応していきたいと思っております。現時点において、今後の検討スケジュール等について申し上げる段階にありませんが、防衛省としましても、厳しさを増す安全保障環境の中で、自衛隊に求められる任務・役割を果たし得るよう、しっかり検討していきたいと思っております。

Q:今、大臣のおっしゃった検討作業についてなのですけれども、今後どのような体制、段取りで進めて行くお考えでしょうか。

A:防衛省においては、政府全体の検討の中で、与党協議等の議論にもしっかり対応できるように、内部部局、各幕僚監部が一体となって、しっかりと検討していきたいと思っております。まだ与党協議が始まっておりませんので、現時点では、現在の体制で関係部署がしっかりと連携を取って検討を進めていくことになると思います。

Q:昨日の総理大臣の記者会見では、現行法制に不備がある事例として、邦人輸送中の米艦が攻撃を受けても自衛隊は防護出来ないケース、それから他国のPKO部隊から救援要請があっても自衛隊が「駆け付け警護」が出来ないケースを挙げていました。大臣はこの2つの事例の必要性、緊急性についてはどのようにお考えでしょうか。

A:総理がお示しした内容については、これは安保法制懇の中でも議論がなされ、そしてまた、実際にこのような事態が発生した場合には、十分な対応ができるかどうかということの議論が必要なケースだと私どもも承知をしております。

Q:邦人輸送中の米艦の攻撃に関連してなのですけれども、総理が示したのは「邦人が乗っている」ということだと思うのですけれども、具体的には邦人が乗っていない米艦船の防護というのも検討事例に加えるべきだと大臣はお考えでしょうか。

A:あくまでも総理が示されたのは、邦人を日本に輸送するという米国艦船に対して、日本がまだ攻撃される前に、その艦船が攻撃された場合というのを説明されたと思いますので、その事例に限った内容の例示をされたと思っています。

Q:与党の中には、年末までに予定されてます「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の見直しに反映させるようなスケジュールで、憲法解釈の見直しを閣議決定すべきだというような意見も出ていますけれども、大臣自身はそのガイドラインの見直しに今回の議論を反映させるべきだとお考えでしょうか。

A:防衛省・自衛隊としては、基本的に憲法そして現行法規の内容を遵守する、そういう役割を持っておりますので、基本的にはその中でのガイドラインの議論となります。今、政府としての基本的な方向が出たという状況にあります。今後とも与党協議あるいは内閣法制局の意見、そのような状況を踏まえながら、このガイドラインの中に反映させていきたいと思っています。

Q:そうしますと、年末までのスケジュールを考えますと、あまり時間がないというか、年内ぎりぎりまで議論をしているわけにはいかないと思うのですが、そのあたりのスケジュールに関してはどうお考えでしょうか。

A:まだ、現在5月の段階でありますし、「2+2」での合意は年内にということであります。まだ期間もありますので、この時点で確たることを今のところ論評をするような状況ではないと思います。

Q:今のガイドラインの時期なのですけれども、ある意味政府自民党では年末のガイドラインがあるから、その議論とか閣議決定とか急がないといけないという理由付けにしている部分があるのですけれども、大臣もおっしゃったように、まだ5月の段階ということで、実際今後の安全保障の方の政策の議論を、流れによっては米政府との話し合いで年末のスケジュールというのが、締切りが遅れるとかずれるということも多分にあるということですか。

A:現時点で「2+2」で合意しているのは、あくまでも年内ということだと思っています。他方、与党の協議の中でもおそらく様々なコメントが出ているかもしれませんが、私どもとしては、総理が何か一定の期間を限っているというふうにも承知をしておりません。いずれにしても、現在協議が始まる前の段階ですので、この時点で何かコメントできる内容ではないと思います。

Q:冒頭の方でもありました集団的自衛権の絡みなのですけれども、総理が昨日示された「邦人が乗っている米艦の護衛」、これは邦人が乗っているということを前提にされていると思うのですけれども、その場合、現在自衛隊は守るということができないのでしょうか。個別的自衛権でできるのではないかという見方もあるようですけれども、見解をお伺いします。

A:武力行使の要件の中で、当然わが国に対しての攻撃がなされていない段階で、他国の艦船に攻撃があったとしても、それを自衛隊が武力をもって防御をするということは、なかなか想定しにくい内容だと思っています。ただ、具体的な個別のケースによって内容がかなり違ってきますので、一般論というお話で今のコメントはさせていただきました。

Q:そうしますと、今大臣のお話をお聞きして、これは個別的自衛権で対応できる可能性があるとお考えか、それとも、例えば自衛隊法を改正して邦人輸送の項目を変えれば、十分集団的自衛権でなくても昨日総理が示されたその例は対応できるのではないかという意見もあると思うのですが、防衛大臣としてはどうなのでしょうか。

A:総理が例示をされている内容でありますので、私どもとしましては、あくまでもこれは集団的自衛権の議論をする一つの例示と承知をしております。

Q:関連ですけれども、現行法ではあれは対応できないという認識なのでしょうか。

A:一般的には、公海上の外国船舶に邦人が乗っている場合も含めて、在外邦人に対する攻撃が自衛権発動の三要件のうち、第一要件を満たすとは考えられておりません。したがって、個別的自衛権の行使による対処はできないというのが今までの政府の考え方です。

Q:昨日、総理が憲法解釈の変更によって集団的自衛権を認める検討を始めるとおっしゃいましたけれども、大臣として、憲法解釈の変更をすることで集団的自衛権を認めることについて、どのようにお考えでしょうか。

A:総理が冒頭お話されたように、わが国の国民の生命・身体・生活を守るという、その大きな役割を政府は担っていると。そのために何が必要か、どういう内容を検討することが必要かということを述べられております。私も同じ考えであります。

Q:時の政権によって憲法解釈がころころ変わるということは、立憲主義を否定することにもつながるという指摘もありますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:冒頭、総理が前提としてお話をされた、わが国国民の生命・身体・生活を守るということ、このことに直接向き合って政治家は議論をすべきだということ、このことに尽きるのだと思っております。ですから、何か政権の思惑とか意図で、例えば憲法解釈の議論がなされることではなくて、あくまでもこれは、どの政権であってもその役割というのは、日本国民の生命、身体、生活を守るということでありますので、その目的に従って当然必要な検討をされることなのだと思っています。

Q:集団的自衛権とは別で、グレーゾーンについての検討を進めるということですけれども、大臣は発令までの時間、治安出動とか、海上警備行動の命令の発令までの時間の隙間を埋めるということで、それ以外に権限での隙間というのはあるとお考えでしょうか。

A:ちょっと具体的な事例じゃないとなかなか説明しにくいのですが、今お話しされたように、従来からグレーゾーンの議論については、憲法解釈の議論の前に、議論というものではなく、むしろ現行法規の中で、例えば治安出動があったり、あるいは海上警備行動があったり、対領空侵犯措置があったりという、それぞれつぎはぎでの対応、あるいは具体的なシームレスな対応がなかなかできない、そういうような時にしっかりとした対応ができる、より実効的で切れ目のない対応を可能とするためということでの立法措置の検討ということが基本的な方針だと承知をしています。

Q:尖閣に、武装漁民が上陸して占拠したような事例というのが挙げられていますけれども、例えば治安出動には自衛隊法90条による武器使用の権限もあって、武器を所持しているとか所持が疑われるという相当の理由があれば危害許容要件なしに武器使用が出来るという規定もあります。それでもやはり権限はまだ埋めるべき部分があるとお考えでしょうか。

A:具体的な場所という想定での説明ではなかったと思います。例えば、わが国の島嶼部において偽装漁民でしょうか、そういう事例が引き合いによく出されると思いますが、そういう場合の対応については、治安出動や、あるいは海上警備行動、いろいろな対応があると思います。少なくともより実効的で切れ目のない対応を可能とするためには、一層の立法措置について検討する必要があると思っています。

Q:どのような立法措置が必要とお考えですか。今おっしゃったような治安出動でも海上警備行動でも、武器というのは警察での法則に則って相当な範囲で、若しくは警察が持つよりも強い形で、自衛隊は武器を使うことが出来ると書いてあるのであって、具体的に何が切れ目というか足りないというお考えですか。

A:与党の中でこの問題について協議をされるということでありますので、その議論の内容について私どもとしてしっかり踏まえて対応していきたいと思っております。

Q:何かしら足りないものがあると言うから議論が必要とされているわけですよね。ただその足りないものというのが、誰も明確に、いまいち説明しきれていないような感じもするのですが、そこはどうお考えですか。

A:与党協議が来週からなされるということでありますので、その中で与党としての考え方を示していただくことになるのだと思います。

Q:お伺いしますが、大臣の考えとしては、そこはどのようなものが足りないと。

A:まだ与党協議がなされる前であります。まずは与党の協議を待ちたいと思います。

Q:改めてなのですけれども、先程の集団的自衛権の行使を容認するにあたって、なぜ憲法改正という方法ではなく憲法解釈の変更という方法なのかということについて改めて。

A:私ではなく、むしろ総理に聞いていただければと思います。

Q:憲法解釈の変更によって行うことの是非について、どうお考えですか。

A:政府全体としての考え方ということになりますので、防衛大臣がお答えするのは適当ではないと思います。

Q:安保法制懇が出した報告書の方では、国連の安全保障は憲法上禁じられていないと解釈すべきだと主張して、多国籍軍にも日本は参加できるのですよというような解釈を示されました。それで総理は昨日の夜の会見で、「それは採用しません」ということを言っていたのですけれども、大臣はそれについてどうお考えでしょうか。また、グローバルスタンダードとして世界的には別に多国籍軍に参加するのは当たり前のことだと思うのですけれども、それについて日本はできないことについて、大臣の見解をお聞かせください。

A:総理のお考えのとおりであります。私も同じ考えです。また多国籍軍というお話がありました。それぞれの国がそれぞれの国の考え方で、今言った集団安全保障や多国籍軍に参加するという判断をされております。昨日総理がお話をされた集団安全保障ではないという、そういう考え方は私どもも同じになります。

Q:今、中国とフィリピンとかベトナムが争っていますけれども、そういった中国と紛争を抱えている国から日本に対して支援要請があった場合に、集団的自衛権の行使容認がされた場合には、日本というのはそういう国に対して、救助、支援に入るということができるようにすべきだとは考えていますでしょうか。

A:総理の発言にもありますように、集団的自衛権についての検討を行うという方向で、まだ始まったばかりの話ですので、何らかの仮定についてのお答えは差し控えさせていただきます。

Q:日露関係の件なのですが、最近はロシアに対するスクランブルも多くなってきましたし、今度のロシアと中国の共同演習もありますけれども、その中で日露関係はどのように行うのでしょうか。

A:最近、ロシアの爆撃機が日本を周遊する、冷戦期にも無かったような事案が発生しております。また今回の中露の演習というのは、東シナ海で行われるということでもあります。私どもとしては、このロシアの動きについても引き続き関心を持って注視をしていきたいと思っています。

Q:日本の目の前である東シナ海で中露が演習をするということ、多分東シナ海では初めてだと思うのですが、そのことについて日本の安保環境への影響についてはどうお考えでしょうか。

A:具体的に東シナ海の北部海空域という内容です。どの場所で具体的にどういう内容を行われるかというのは、20日以降、演習が始まってからということになると思います。ただ、初めて東シナ海という海域ですので、私どもとしては、重大な関心を持って注視していきたいと思っています。

以上


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