日露外務・防衛相共同記者会見

平成25年11月2日(11時23分〜12時23分)

※ラヴロフ外相及びショイグ国防大臣の発言及びロシア語の質問については、通訳者の発言を記載しています。

1 発表事項

(岸田外務大臣)
それでは私から発言をさせていただきます。4月に安倍総理とプーチン大統領との間で合意した「2+2」をラヴロフ外相そしてショイグ防衛相を東京にお迎えして本日開催できましたことを大変喜ばしく思っております。「2+2」には次の2つの意義があると考えています。一つは経済、人的交流分野等で日露関係が大きく進展している中、安全保障分野でも協力を進めることは日露関係全体のレベルを高める上で不可欠だと考えます。第二に、東アジアの主要プレイヤーである両国がこの分野で協力することは、地域の平和と安定に資するものであると考えます。会合では、両国の安全保障、防衛政策やアジア太平洋地域の多国間の枠組みにおける協力等につき率直に意見交換を行いました。また、昨晩の外相、防衛それぞれの大臣同士の議論も踏まえ、今後の両国の安全保障協力について新たな方途について一致を致しました。成果として3点申し上げます。第一に、海洋国家である日本にとって海上安全保障は極めて重要です。今回新たにテロ、海賊対処共同訓練の実施につき一致できたことは誠に重要かつ時宜を得たものです。またサイバー安全保障協議の立ち上げ等についても一致をいたしました。第二に、安全保障・防衛分野での意思疎通の強化を通じた信頼醸成の観点から有益な意見交換ができました。私からは日本が地域・国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していくとの「積極的平和主義」につき丁寧に説明をさせていただきました。ロシア側から謝意が表明され、理解をいただきました。第三にARF、EAS、ADMMプラスといった日露が共にメンバーであるアジア太平洋地域のマルチの枠組みにおいても連携を一層緊密にしていくことを確認いたしました。また、シリア問題に関するジュネーブ2会合に我が国が参加することについてロシアの支持をいただいたことに感謝を申し上げます。日露関係に新たなページを開く「2+2」の良いスタートが切れたと考えます。ラヴロフ、ショイグ両大臣の協力に感謝を申し上げます。この後、昼食会の場で引き続き東アジア、中東等の国際安全保障情勢について率直な意見交換を行いたいと考えています。

(ラヴロフ外相)
ありがとうございます。ご来場の皆さん、プーチン大統領と安倍総理大臣が4月に安倍総理大臣のロシア訪問の際に首脳会談で合意されましたように、本日、外務、防衛両大臣の「2+2」での形での初会合が日本で行われました。このことは両国が今後国際舞台で協力を強化して、両国の国益を念頭にした安全保障に関するアプローチを作成することを目指す意向があるということを示していると考えております。この「2+2」の会合の場が先ほどご案内のあった方向へ進むために良い場となっていると確認を取りまして、このような協議を定期的に行うということにも一致をしまして、来年モスクワに日本側の皆さんを協議を行うために招待しました。本日の会合の一番主なテーマがアジア太平洋地域における情勢でした。このような地域が経済的にも政治的にも重要性を増しています。この地域においては紛争が発生しやすいという状況が残っているにもかかわらず、全体としては情勢が安定化しています。具体的に脅威を申し上げますと、朝鮮半島の情勢、それから領土紛争、更に国際テロ、麻薬取引、国境を越えた犯罪、サイバー犯罪、海賊、緊急自助があります。このような問題を解決するためにより緊密に協力するということが両国の国益に合致するというように確認を取りました。また、この地域で既に構成されている多国間の枠組み、具体的に申し上げますと、APEC、ARF、EASなどの多面的な枠組みでの協力のあり方に関して、今後とも協力するということで一致しました。また、この地域において非ブロックのアプローチに基づいて安全保障の不可分性、全ての国の安全保障における国益を念頭に置いた形での新しい安全保障のアーキテクチャーの構築に関する対話を進めなければならないということに関してもお話しました。このようなことに関して、EASで、全員賛成で議論を進めなければならないという合意に達成しまして、まずエキスパートレベルからスタートして、今月にブルネイの方でこのような会合を行う予定でございまして、日本側の関係者も積極的に参加していただくと期待しております。日本がこのような地域において、かなり平等な安全保障の構築に関する日本側の参加は、先ほど岸田外務大臣の方からご案内がありました「積極的平和主義」と同時に進むと期待しています。また、日本が今後とも世界の問題に関してより積極的な役割を果たし、PKOの活動に参加し、それから紛争を防止する、また防災の関連で積極的に参加する用意があるということを確認しました。また「積極的平和主義」という政策が日本の憲法で平和主義に基づいて今後とも進めるというご説明をいただきました。それは全ての問題を今後とも、あくまでも平和的手段、話し合いにより解決するということを意味していると考えております。また、これからサイバー安全保障に関する協議をエキスパートレベルで定期的に行うということに一致しました。国際情報安全保障に関する政府専門家グループでロシアと日本が積極的に協力しています。それは国連の場で行われている議論でございます。このような議論を含めて多面的な枠組みの中で今後とも協力するためにも先ほど二国間のレベルで立ち上げられたサイバーの問題に関する協議も貢献すると期待したいと思います。国連の枠組みでの活動の目的は、現実性を増しているサイバーの分野での共通のルール作りのことでございます。更にミサイル防衛の分野に関して有意義な意見交換ができました。より詳細なコメントがロシア国防大臣と日本の防衛大臣の方から出ると期待したいと思います。また今後とも北東アジア、中東、それからアフガニスタン、イラン、またもちろんシリアなどの地域的な問題に関して継続的に協議を行うということも一致しました。シリアのことに関して申し上げますと、全世界の最も重要な課題というのはジュネーブ2会合の主催です。このようなイニシアティブがロシアと米国が共同で提案しましたが、これに関して今、様々ないわゆるゲームが行われていると思います。中にはこのようなイニシアティブが実現できないという試みも見られておりますし、その実現ができていても議論が行き詰まり終わってしまうという試みが見られています。このような背景におきましては、モスクワとワシントンのイニシアティブで一貫として前提の条件なしで支持していただいている諸国の努力を特に評価しています。日本はそのような国の一つでございまして、ジュネーブ2会合に参加していただくことに関心を持っているということを本日確認しました。最後になりますけれども、日本側のホストの皆さんにいつもの手厚いおもてなしに関して深くお礼を申し上げたいと考えております。

(小野寺防衛大臣)
本日、日露「2+2」が初めて開催され、安全保障、防衛分野での協力強化の重要性について4大臣がその認識を一致いたしました。会談におきまして私から、一層厳しさを増す我が国周辺の安全保障環境について説明をし、ミサイル防衛を始めとした我が国の防衛力整備についても言及をいたしました。そして、防衛大綱の見直しについて説明を行いました。日本の平和国家としての立場は一切変わらないという点で両大臣からご了解、ご理解をいただいたと思っております。ADMMプラスにおけるHA/DRにおいて我が国の取組を説明し、防衛医学における両国の協力を確認しました。この他、テロ、海賊対処共同訓練の実施を始め、大臣の相互訪問の定期的な実施、演習オブザーバーの相互派遣そしてその定例化などについて、私とショイグ国防大臣の間で合意をした事項について確認をさせていただきました。今回の会談は日本周辺だけではなくヨーロッパを含めた全体としての安全保障環境について率直な意見交換ができたと思っております。防衛省としては今回合意しました協力、交流案件について今後とも着実にしていき両国の相互理解を更に深め、信頼を一層強めていきたいと思っております。ありがとうございました。

(ショイグ国防大臣)
ありがとうございました。先ほどラヴロフ外務大臣から案内しました初めての露日「2+2」会議の肯定的な評価につきまして私は同感いたします。昨日、私たちは小野寺防衛大臣との間で個別会談を行いました。その会談で両国の防衛相が管轄している多くの幅広い問題について意見交換を行いました。日本側のパートナーからご案内いたしました新しい安全保障、そして安定、防衛分野における政策に関するご説明はより開放的な、より透明的な安全保障のアーキテクチャーの構築に関する大きな貢献であると考えています。我が国の報告としてはロシア軍における改革についてご説明をして、ロシア軍で行われている訓練、演習についてご案内をしました。このような情報交換の慣行をこれからも継続することで一致しました。日本側の皆さんのテロ対策、そして海賊対策に関する協力の強化の必要性に関するご意見を私たちは分かち合います。アフリカの角の周辺における両国の艦艇の軍務につきましては、両国の間の艦艇の協力をより一層強化する必要があると考えております。両国の艦艇の乗組員がその地域において情報交換、お互いに援助をするというテーマで共同軍事演習を行うことが可能だと思います。日本側がご案内いたしました国連の枠組みでのPKO活動における、より積極的な参加、より拡大した参加に関するご意見を大変注意深く伺いました。ロシアの参謀本部と日本の統合幕僚長との間の協力の活発化に関しても合意いたしました。そして今後はロシアの軍、ロシアの海軍とロシアの空軍と日本側の自衛隊の海上自衛隊と航空自衛隊との間の指揮官の間の協力の活発化につきまして検討したいと思います。また、ミサイル防衛計画についてのテーマに大きな注意を払いました。私たちが、日本のミサイル防衛システムも統合されている米国のグローバル的なミサイル防衛システムの参加につきましては、私たちが懸念を持っていることを隠さずに申し上げました。我々の意見というものがアジア太平洋地域の戦略的なバランスを壊すようなことであるということを踏まえて述べさせていただきました。日本側のパートナーの皆さんに対して、ミサイル防衛システムの展開に関する追加的な協議の開催を提案いたしました。その協議の中で、我々がお互いの情報、そして評価について意見交換をすることができると思います。お互いに訪問、特に防衛大臣の交互的な訪問につきましては一致いたしました。全体として、今現在行われた協議の結果に私は満足しております。これからのワーキング・ランチの場において、最も喫緊な地域的な問題につきまして積極的な意見交換を継続することを期待しております。ありがとうございます。

2 質疑応答

Q:ラヴロフ、岸田両外務大臣にうかがいます。平和条約を締結しない両国が歴史的な「2+2」というものに踏み出す意義というものをまとめて伺いたいのが一つ。海洋の安全保障という話が先程ありましたけれども、特に中国は最近オホーツク海や北極海などへの海洋進出の動きを強めています。「2+2」という枠組みがこうした問題に対してどのように作用しうるのか、その考えを伺いたいと思います。また今回「2+2」というのが北方領土の問題の解決に向けて前進するような信頼関係を作り得たのかどうかご感想をお聞かせいただきたいというのがあります。特に岸田大臣に伺いたいのですけれども、日本というのは日米同盟を基軸としておりますけれども、その中で、今回ロシアとの一歩踏み込んだ安全保障の協力を強化する、この意味というのは何かお聞かせいただきたいと思います。

A(岸田外務大臣):それでは私の方から先にお答えさせていただきます。安全保障分野における日露の協力の意義ですが、まず、第一にはこの両国の信頼関係の増進、そして日露関係全体の底上げを図ることだと考えています。経済、人的交流とあわせてこの安全保障の分野においても協力を進めていくということ。これは日露関係全体のレベルを高めることになると考えていますし、そのことによって平和条約締結交渉にも良い影響を与えるものだと考えています。第二の意義ですが、今おっしゃったように日本が日米同盟を安全保障政策の基軸にしていること。このことについて変わりはありませんが、東アジア地域の主要プレイヤーである日本とロシア両国が安全保障分野において協力を深めていくということは、地域における平和と安定に資することになると考えます。今回具体的にも新たにテロ・海賊対処共同訓練の実施など様々な点において一致をすることができました。こうした協力を進めることは東アジアの海上安全保障の改善にも寄与すると考えています。そしてARF、EAS、あるいはADMMプラス、こうした日露双方がメンバーとなっているアジア太平洋地域の安全保障を協議する多国間フォーラムにおいて両国が連携を一層緊密にしていくことを確認しましたが、これは地域の安全保障に関する議論の深化に資するものだと考えています。いずれにしましても、日露の安全保障協力は特定国を念頭に置いたものではないということを申し上げさせていただきたいと存じます。

A(ラヴロフ外相):「2+2」の会合の意義に関して、4人の大臣の冒頭発言の時に詳細な説明がありまして、先ほど質問の中に出た諸問題が日程には入っていなかったということを指摘したいと思います。平和条約の作業に関しては、昨日外務大臣会合の結果に関して報告した際に述べました。その際に、両国首脳が合意したことがどれだけ実現しているかということについても説明しました。また北極圏での協力に関しては、それぞれの国の当局の枠組みの中で議論が進められていて、またロシアの支持を得て日本がオブザーバー資格を得た北極協議会の場でも協力をしております。「2+2」という会合のフォーマットが日本とアメリカとの関係に何かの問題を作るフォーマットではなくて、それと同時に日本とアメリカとの関係が、ロシアとの協力に何の問題も作らないということを希望しております。原則として、ある国への反対のために誰かと友好関係になるということはしません。我々の外務政策の優先の一つでございますが、アジア太平洋地域を含めて、安全保障に関してリスクや不快を一つの国も感じないという目的でございます。そのためにも、アジア太平洋地域において非ブロックのことをベースにして、ある国の安全保障を犠牲にして自分の安全を保障するというアプローチには反対し、安全保障の不可分性というアプローチに基づいて、新しい安全保障のアーキテクチャー構築のアイデアを提案しております。現在、現状を見れば、安全の不可分性という原則が実際に実現されていない。ひとつの例として、アメリカのグローバル規模のミサイル防衛システムの構築だと考えております。またそれに関わる懸念に関してショイグ国防大臣の方から詳細な指摘があったと思います。ですから、「2+2」のフォーマットの意義を考えるときには、アジア太平洋地域における安全保障に関する相互理解、また相互信頼を進めること、特に実務の関係における相互信頼を進めることが重要であると考えております。

Q:ショイグ大臣に聞きたいのですけれども、先程ロシア軍のいろいろな演習に関して日本側に説明したというお話がありまして、おそらく中にはロシアの東部でも行われている演習・訓練に関しても詳細な説明があったのではないかと思いますが、日本の自衛隊が、例えばアメリカと共同で訓練を行うときには、同じようにロシア側に詳細に報告するという約束があるのかどうか、またそういうことが信頼を強化するのかどうかということに関してご意見を聞きたいと思います。

A(ショイグ国防大臣):昨日行われた会談のときに、私たちが現在ロシア軍において行われている改革、そして訓練等の準備作業につきまして詳細にご説明をしました。そして、特に今年行われている軍事訓練、抜き打ちチェックについてお話しました。この抜き打ち点検というものの規模が、計画されている訓練より規模が大きいということが現実でありまして、私たちが最も重要な課題として考えているのが、武力によって威嚇するのではなくて、現在のロシア軍の防御力のチェックであるという課題を我々の前に掲げております。ですから、抜き打ちチェックを含めて、全ての訓練の後にマスコミの関係者を呼んで、ロシアに駐在している武官の方々を、特にマスコミの記者会見に行く希望がある駐在武官を招待して、詳細に行われたチェックあるいは訓練についてご説明をしています。計画されている訓練について申し上げますと、なるべく開放的で透明的な、そして信頼醸成の向上を目的とするものを念頭に行われているものでありまして、その訓練にロシアに駐在している諸国の武官の方々をお呼びしております。特に2013年の共同軍事演習には、80カ国からの駐在武官を招待して行いました。我々と我々の日本の同僚の皆さんでこの慣行をこれからも継続することについて合意いたしました。そして日本側のご提案もありましたロシアの軍において行われている訓練に、自衛隊のオブザーバーを招待するという日本側の提案も検討したいと思います。そして私にとって新しい協力分野であるアデン湾における海賊対策に関する訓練につきましての日本側の提案も、私たちが満足をもってこの提案に賛同いたしました。このことが両国の間の信頼関係の向上、そして両国の軍の間の信頼関係の向上の重要な道具のひとつであると考えています。ありがとうございます。

以上


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