大臣会見概要

平成20年11月28日
(10時36分〜10時53分)

1 発表事項

 本日、安全保障会議が開催されまして、政府はイラク特措法に基づいてイラク等において実施してまいりました航空自衛隊による輸送活動を年内に終了させることを決定しました。本件についての私のコメントは、お配りしている とおりですが、4年半以上にわたり、隊員諸君は本当にしっかりと頑張ってくれたと思っております。だからこそ、国際社会からも高い評価を得てきたものと考えております。今後、12月中旬を目途に輸送活動を終了させる予定ですが、最後まで安全な業務遂行に万全を期してまいる所存であります。また、今後イラクがイラクの人々自身の力によって力強く復興していくことを願うものであります。さらに、同会議においては、クラスター弾に関する条約に関連して、我が国の防衛に万全を期すため、クラスター弾の機能の補完措置を早急に講じていくことなどについて了承されました。


2 質疑応答

Q:イラクの航空自衛隊の活動の終了についてですけれども、この活動がここに至るまでの間、そもそものイラク戦争の大儀であるとか、あるいはこの4月には名古屋の高裁で違憲判決というものも出ました。そうしたいろんな議論があった中で、大臣ただいま意義を強調されていましたけれども、この活動の評価、あるいは意義について改めてお願いいたします。

A:イラク特措法に基づいた航空自衛隊の輸送活動につきましては、平成16年3月以降、これまで4年半にわたりましてイラクの復興を支援する目的で、実施回数で約810回、人員約45,800名、貨物で約671トンを空輸してまいりました。現在、イラクでは治安状況は改善の傾向でありまして、民主的な政府の下でイラク人自身の手による自立的な復興を進められるようになってきたところであります。こうした航空自衛隊による輸送活動や、陸上自衛隊がサマワで行った人道復興支援活動が国際社会による支援と相まって現在のイラクの状況に貢献できたものと考えております。また、陸上自衛隊の活動期間を含めて、これまで1名の犠牲者を出すこともなく無事に任務を遂行できたこと及び国際社会から高い評価を得ていることについては、この活動に携わった隊員一人一人の努力の成果であると考えております。私自身、大変その意味では今回の隊員の活動については大変誇りに思っているところでございます。

Q:もう一点、今日の安全保障会議でクラスター爆弾についての話が出たということですけれども、先程ありました今後の補完措置について、どのように取り組んでいこうとお考えなのでしょうか。

A:補完措置につきましては、当然我々とすれば、今までクラスターについては着上陸侵攻対処という観点からは大変大きな役割を持ってきたものと思っているわけでありますが、補完措置については、今後しっかりと対処していかなければなりませんので、今回平成21年度の概算要求において、クラスター弾の機能を補完する為の精密誘導型の装備の経費などを計上しておりまして、具体的に言えば戦闘機搭載のレーザーJDAM及び多連装ロケットシステムMLRS用のM31ロケット弾を整備する為の経費の他、クラスター弾の処分方法について調査費を含めて約75億円を計上しているところであります。他方、近年の戦闘様相の変化等々、進展の著しい軍事科学技術の動向等を踏まえて、中長期的観点からも必要な装備体系などについて検討が必要であると考えているところであります。

Q:昨日、増田次官の会見の中で、田母神前空幕長への退職金の支払手続きが開始されたという報告がございましたけれども、大臣自ら国会の場でも自主返納を呼びかけていらっしゃいましたけれども、ご本人は「自主返納する意思はない」と言ったことも明らかになりました。事ここに至った経過の中で、大臣どのような受けとめと、そして今後どのようにこれに関しては取り組んでいかれるのでしょうか。

A:この件に関しましては、あくまでもこれは個人の意思の問題でありますし、私としてコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ田母神前幕僚長が、幕僚長としての論文というはこれは大変問題であって極めて遺憾なことと考えております。これまでも退職手当の自主返納については「本人の判断を待ちたい」と申し上げてきたところであります。いずれにしても私の思いが伝わらなかったということだと思います。

Q:空自の活動終了ですが、中旬を目途ということですが、撤収作業を行う部隊の派遣や、具体的な撤収完了の目途というのはどのようにお考えですか。

A:今回の活動終了にあたって、撤収作業も含めてしなければなりませんので、防衛省として撤収部隊については年度内を目指して撤収を完了したいというふうに思っているところであります。いずれにしても撤収部隊というものは、当然派遣をしなければなりませんので、撤収業務隊を編成して、だいたい130名程で撤収作業にあたることになろうかと思っております。今回のこの部隊に関しては、新規に派遣される人数は約70名の要員を、現在現地において活動中の隊員も合わせて130名というような形でやっていきたいと思っているところであります。

Q:この新規派遣の時期というのはどのようになりますでしょうか。

A:近日中に編成を完了した後にということになろうかと思います。いずれにしても12月上旬ということでしょうね。

Q:全く別件ですが、今日、国交省の運輸安全委員会の方から、管制のミスで原因は隊員の疲労蓄積ではないかということで、大臣に勤務体制を見直すような提言があったかと思うのですけれども、それに対しての大臣のご所見をお願いします。

A:平成19年6月27日に新千歳空港で発生した民間航空機が離陸を中止した事案について、本日、国土交通省の運輸安全委員会が「航空重大インシデント調査報告書」を公表するとともに、当省に対して意見が送付されたところであります。この報告書においては、管制官の勤務体制及び並行滑走路における管制処理要領の見直し、並びに管制機器の改良について運輸安全委員会の意見が述べられております。防衛省としてはこのような事案が発生したことは大変遺憾であると考えておりまして、当該報告書を踏まえて、既に講じられている再発防止策の徹底を図るとともに引き続き適正な管制業務の実施に努めていきたいというふうに考えているところであります。

Q:クラスター弾の関係ですが、来年度は精密誘導弾ということですけれども、いわゆる禁止条約の例外になっている最新型のクラスター弾みたいなものを将来的に導入するような考えはあるのでしょうか。

A:あくまでもこれは条約に則って我々はやっていくことになると思いますので、「新型のものを」というような発想は今のところ持っておりません。これは、「クラスター」という名のものは使わないということだと思います。

Q:今の話は、最新型のクラスターは日本政府として今後、一生というか引き続き保有しないということでしょうか。

A:現在クラスターが注目を浴びている状況の中で、そういったものを敢えて保有するということが、今の段階でそういった発想もございませんし、これから「一生」と言われるとどうか分かりませんが、我々は条約に基づいて可能性があるものについては排除していくことになろうかと思います。

Q:イラクでの業務終了に関してですが、アメリカのオバマ次期大統領がイラクからアフガニスタンに、「テロとの闘い」という意味で主戦場がアフガンであるということをおっしゃって、今後の活動を強化していく方針だと思うのですけれども、そういった意味で日本としても今後、現在の給油活動以外に新たな貢献を求められたりする可能性とか、その辺を大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:新政権は、まだ準備委員会を立ち上げて考えておられることと思いますが、確かにオバマ新大統領はそうやっておっしゃってきているわけでございますけれども、アメリカはアメリカのそれなりの対応の仕方というのは当然考えていらっしゃると思いますが、我々とすれば今、この補給支援活動の法案がまだ参議院で止まっておりますので、まずそれを一義的にはやっていかなければいけないと思っておりまして、これが最大優先事項でございます。それから先の話は、まさに新政権誕生の後にどういったことになっていくのかというのはまだ想像の段階を超えておりませんので、色々なことがこれからあるかもしれませんが、今はとにかく補給支援活動の法案が通るのが我々が考えることの一番だと思っておりますので、まだそういった考えはございません。

Q:今、審議中の給油の延長法案もそうですが、イラクに自衛隊を派遣するときに国内世論、色々なご意見があったと思うのですけれども、毎回自衛隊派遣を特措法で対応されてきて、いわゆる一般法の必要性を指摘される向きが多いかと思うのですが、その点の見通しと、自衛隊派遣の今後の日本としての課題を大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:一般法の議論というのは、確かに今までも何度もそういったお話というのは出てまいったわけでありますが、現実から見ればこういう国会の状態の中で、これが果たして議論が進むかどうかというのは極めて微妙な話だと思います。ただ、いずれにしても、国際貢献というものを迅速に、そしてまたタイムリーに行うということであるならば、一般法というのは当然考えるべきものだと思っています。やはり、こういう大きな議論を安定的にしていくことが日本の安全保障、そしてまた国防を考える際には大変重要だと思っておりますけれども、これもあくまでも現実論、環境というか、国会の動静等も含めて判断していかなければならないのかなと思っているところであります。いずれにいたしましても私自身は一般法というのは極めて重要であり、長い時間をかけて自衛隊を出すというのはかなり時間的なロスにつながるし、また逆に言えば、もっとしっかりした国民の皆様方に理解していただけるような国会の関与の仕方も含めて検討していくべきだというふうに思っていますので、そこは少々議論としては落ち着いた環境の中でされるべきものと思っているところであります。

Q:イラクの派遣部隊に対する大臣からの撤収命令はもう出されたのでしょうか。

A:これからです。今日出させていただきます。

Q:今イラクの教訓的に法整備の話があったのですが、装備の拡充という意味ではイラクの活動を踏まえて、今後このような点の装備を強化・拡充していきたいというふうなお考えはございますか。

A:現在、あくまでもそういった経験則を積み上げているのは事実でありますが、それに伴ってすぐにそういった装備を拡充していくというような時点ではないと思います。これから当然のごとく色々な経験の積み重ねを検証していくことはあろうかと思いますが、現時点で私の方で装備の拡充というのを考えてはおりません。

Q:統幕学校の教育問題なのですが、先日大臣がある程度の見直しの必要性について言及されていましたが、例えば、今学校長が選定している講師を大臣がチェックするとか、文民統制の観点からどのような改善策を考えますでしょうか。

A:昨日の委員会でも色々なご指摘がございました。私とすれば目の届く範囲のことは私なりにも見させていただきたいと思いますし、そしてこれはあくまでも「バランスのとれた」ということが重要だと思っております。色々な意味で講師の皆様方、各分野において素晴らしいお考えをお持ちで、自分が「正しい」と思っている理論を披瀝していただいているわけでありますので、私どもでそれが「良い」、「悪い」というのではなくて、隊員にとって何がプラスで何がマイナスなのかというところを考えれば、当然そのバランスというのは極めて重要だと思いますので、その点を重視しながら今後の教育カリキュラムを含めて考えていきたいと思っております。


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