大臣会見概要

平成20年11月4日
(11時01分〜11時23分)

1 発表事項

 本日は閣議がございまして、当省案件2件ご報告させて頂きます。本日、「「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」第2条に基づく施設及び区域の一部返還、追加提供及び新規提供について」と「参議院水戸将史君提出厚木基地周辺の住宅防音工事に関する質問に対する答弁書」について閣議決定がなされました。そして、閣議の前に航空幕僚長の案件に関して麻生総理大臣に対してご説明させて頂きまして、麻生総理大臣から、再発防止の為の措置を徹底すること、そしてまた監督責任を明確にすること及び国会・国民にきちんと説明することとの指示を受けました。私としては、総理の指示も踏まえて再発防止や監督責任の点について、速やかに適切な対応を実施するとともに、国会・国民の皆様に丁寧に説明して参りたいと考えているところであります。


2 質疑応答

Q:田母神前空幕長の論文についてですけれども、昨日付で急遽退職という異例の形になりましたが、この時期にこの形をとった理由を改めてご説明頂けますでしょうか。

A:田母神前航空幕僚長が応募した懸賞論文は、先の大戦を巡る認識について、平成7年8月15日のいわゆる村山談話などに示されている政府見解と明らかに異なる認識が示されるとともに、憲法との関係でも不適切な部分があったと承知しております。私としては航空幕僚長という立場にある者が、このような政府見解と明らかに異なる意見を公にすることは航空幕僚長として相応しくない不適切なものでありまして、引き続き航空幕僚長の要職に留まることは望ましくないと考えたことから、10月31日付で田母神航空幕僚長の任を解き、航空幕僚監部付とする人事措置を行ったところであります。田母神空将の航空幕僚監部付となった以降の対応を見ますと、自ら辞職する意志もなく、また処分手続きに協力する見込みもないことから、同空将にこのまま自衛官の身分を保有させておくことは好ましくないとの判断をし、11月3日付で同空将を退職させる措置を講じたところであります。航空幕僚長の要職にあるものがこのような事案を起こしたことは誠に遺憾であり、防衛省としてかかる事案が二度と起こることのないよう誠心誠意努めていかねばならないと考えているところでございます。また事実関係の細部については、必要があれば後程事務方から説明させたいと思います。

Q:昨日田母神さんが記者会見されまして、改めて「日本は侵略国家ではない」「反論もできないようでは北朝鮮と同じであって、政府見解は検証されるべきだ」との持論を述べられたわけですけれども、大臣としてこれに対する受け止めをお願いします。

A:確かに航空幕僚長がそういった記者会見を行ったとは認識をしておりますけれども、私人としての立場の発言でありますから、私の方からコメントすることは差し控えたいと思います。

Q:同じ会見で田母神さんが「国会で参考人招致されれば積極的に応じる」とおっしゃっていましたけれども、防衛省としての今後の対応や国会審議に与える影響等についてどうお考えでしょうか。

A:参考人招致については国会での話ですので、私の方からコメントをすることではないと思っていますし、その対応と言われても、我々とすれば今、補給支援特措法というものがあるので、それに対してしっかりとまたご説明をしていくということだと思いますので、今のところ敢えて国会対応ということは私どもの念頭にはございません。ただ真摯に説明をしていくということだけしかないと思います。

Q:田母神空将の対応についてですが、辞職する意志がなかったので退職の措置をとったということなのですが、防衛省側の聴取に応じなかったということなのでしょうか。辞職する意志がないということは具体的にはどういうことを指すのでしょうか。

A:ご自分でお辞めになるという意志がないということです。私のところに、例えば辞表を持ってこられるとか、そういうこともないし、ではこの後の協力、色々な辞職に当たっての手続きにも応じていただけないということでありますので、そういったところを我々としては勘案して今回の手続きをとったということであります。

Q:「監督責任を明確にする」という総理からの指示なのですけれども、その監督責任というのは事前に把握をしていなかったという意味での監督責任なのか、それとも空幕長を任命したという任命責任そのものを含むものなのでしょうか。

A:あくまでも「監督」ということになるので、事前に我々の方に提出がなかったと、報告がなかったということ、そしてまた、それを事前に把握できなかったということだと思いますので、そこの「監督」という意味だと思います。

Q:事前把握を巡っては、田母神氏が事前に官房長に口頭で報告したという報道もありますけれども、その辺りの事実関係をお願いします。

A:そもそも報告といってもそれは報告とは言えないので、正式な手続きということになれば、やはりきちっとした形で報告が上がってきてないということなので、「口頭で」とかそういう問題ではないと思いますので、私どもとすれば「手続きを行っていなかった」ということを申し上げているところであります。

Q:「責任をとって」ということなのですが、今回定年退職ですけれども退職金というのは通常どおりに支払われるのでしょうか。

A:制度上定年の退職でありますので、退職金については支払われるということになると思います。

Q:責任を明確にするならば何らかの処分等が加味されてもよいと思うのですが、制度上やはりそれは難しいということでしょうか。

A:制度上ではなくて、例えば懲戒免職ということになれば当然審査手続きというものがあるわけでありますので、そうしますと審査手続きの場合には時間がかなりかかりますので、定年退職の時期が今年の誕生日ということになれば、田母神さんの誕生日は7月ですので、そうするとそれから6ヶ月の勤務延長とするとその期間内に審査手続きを行わなければなりません。勤務延長が1月で終わるので、その手続きが終わらないうちに定年が来てしまうので、そうすると手続きが済まないうちに定年が来てお辞めになるということになってしまうので、その時点で退職金が出てしまうわけです。そうすると、これから数ヶ月間、また給料を払い続けなければならないということもありますので、そういった意味では本人が辞職の場合も、また審査の手続きを、自分で受けるということになっても、同じ結果になってしまいますので、我々とすればそこは判断として、昨日の時点で退職という結論を出したということであります。

Q:先程の監督責任のところなのですけれども、これは関係者の処分も含むというお考えなのでしょうか。

A:それも検討の中に入っていると思います。我々は厳正にということを言われておりますので、今後対応していきたいと思っています。

Q:「再発防止策」とおっしゃいましたけれども、具体的には大臣がイメージされているような対策というのは、どういったものがあるのでしょうか。

A:具体的に言えば高級幹部としての職責を各々が十二分に自覚することが必要でありますので、かかる自覚の涵養を徹底していきたいと思っています。また、隊員の教育に関しましては、自衛隊員が偏向した歴史認識を有することなく、事実を客観的に理解して、強い使命感を保持することは、自衛隊は国民の期待と信頼に応え、適切に任務を遂行していくために必要不可欠であると思っております。防衛省においては、これまでも幹部自衛官に対して精神教育の一環として、歴史やシビリアン・コントロールについて所要の教育を行ってきておりますが、今後とも「村山談話」をはじめとする政府の歴史認識を踏まえた適切な幹部教育を進めていくということだと思います。そしてまた、隊員の部外への意見発表に際しては、所要の手続きを定めておりますけれども、今回の事案に際してはこれが適切に機能しなかった可能性もあるわけでありますので、今後表現の自由など、基本的人権に抵触しない範囲でどのような改善が可能か検討していきたいと考えているところであります。

Q:処分に至らなかった理由として、「手続き上難しい」というご説明がありましたけれども、田母神氏の今回の発言、またその無断で論文を発表していたことが、やはり例えば懲戒などの処分に値するというふうに大臣はお考えなのでしょうか。

A:懲戒に値する、値しないというのは、この案件が発言の内容については問題があるのは事実なのですが、しかしながら我々も懲戒処分の中に当てはまるものというものが無い部分もある、要するに思想的な部分がかなり強いものですから、明確に「これを違反した」とかいうのは、報告をしなかったというのが一番大きいと思っています。また、空幕長の地位にありながら政府見解と違った不適切な発言をしたというのとは、またちょっと質が違うわけですから、我々とするとそういう発言をすることは、空幕長の立場においてそれを発言すること自体問題であるということで、我々とすれば空幕長の任を解いたわけですから、その後のことに関しては、そういった発言の重さ、そしてまた上司に対する報告というものを勘案すると、懲戒免職ですぐというわけにも参らずというところもあったわけですので、その点を考えて、今回の定年というものを使わせていただいたということだと思います。

Q:今、思想的なことがあるとおっしゃいましたけれども、そういう人物が空幕のトップにこれまで就いてきたことについて政府としての責任はどうお感じになりますか。

A:これは、任命したときの時点では問題はなかった。しかしながら今回のこのようなことで、そういう発言をされたということなので、我々とするとその点については任命責任というよりも、その時点と今回の時点とではまた違ったことがあると思いますので、その点については、今回こういったことで発覚したということでありますので、その時点で適切に対処したということだと私は思っております。

Q:過去に同じようなことを書いたり、発言ということはあったのですか。

A:その点に関しては、口頭で言っていたことはたしかにあったかもしれませんが、多分おっしゃっているのは「そんなの関係ねえ」とか、そういったことをおっしゃったというのはあるのですが、その点については、その後のご自分の記者会見で陳謝をしているというところもありますので、そういったことも考えれば、なかなかその時点で判断するのは難しかったのかもしれません。

Q:論文を出すことについて、事前に把握できていなかったことなどの責任の明確化というお話がありましたが、シビリアンコントロールのトップに居るのは大臣なわけですけれども、大臣ご自身は責任はお感じになっているのですか。

A:それは当然のごとく適切に手続きをしなかったということを言っていながら、これに関連した幹部の面々が把握しきれなかったというのは、当然これは我々としても責任を感じております。ですから今後そういったことがないように、事前の策を考えていかなければいけないと思っております。

Q:官房長にも責任があるということでしょうか。

A:当然、我々幹部というものは責任を明確化していくことが重要だと思っております。

Q:今回田母神氏は、「大臣から「辞めなさい」と言われた政治の決定に従っているので、文民統制で問題は無いのだ」と、「文民統制は非常に効いている国なのだ」と昨日も発言していましたけれども、こういった発言をした人物が、航空自衛隊のトップにいたこと自体が文民統制、先の大戦の反省からいっても、文民統制に問題があるというような指摘があるのですが、そういった観点からは大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

A:そこは、今回の決定に従ってお辞めになった、これは当然私に人事権があるわけですから、それをしっかりと判断して辞めていただいた、その面では私の判断でやらせていただいているわけであります。ただ、今回の論文の発表というものは、そのことだけで「果たしてシビリアンコントロールは大丈夫なのか」と言われても、私はそうではないと思っています。当然多くの自衛官は、しっかりと自分の任務と立場をわきまえて自分の活動をしているわけですから、そのこと自体で全てを判断することは無理なのかなと思っています。ですから、今回の案件も大変残念なことでありますけれども、我々とすれば新たな反省材料というものを得たと言うことです。ですからこれをしっかりと今後やっていきたいと思っているところであります。

Q:大分多くの自衛官が応募しているというふうな話もあるみたいなのですが、現段階で内規に基づいて届けている数というのは把握していますか。

A:今確認をしております。ちょうど休みの中に入ってしまいましたし、どのくらいの人数なのかというのを含めて正確な数字を言わないといけないと思うので、各関係に調査をかけているところであります。要するに「上司に報告する」ということになっておりますから、どのくらいあるのか時間がかかっておりますので、分かり次第またご報告するようにいたします。

Q:先程「大臣の責任がどうか」とお聞きしたのですが、再発防止策を講ずることが責任を果たすことだと、そういう主旨でおっしゃったと・・・。

A:厳正な処分ということを総理からも言われましたので、そういったところも含めてまた検討したい、ただ単にそれだけではないということであります。

Q:田母神さんが会見で、「同じような歴史認識を持っていらっしゃる方が、多いか少ないかはとにかくとして自衛隊内にいるのではないか」というご発言をなさったのですが、それについて大臣はどんなふうにお考えですか。

A:調べようがないところもあるのですけれども、やはり色々な考えは皆さん持っていると思います。それを全部調べきるというのは、なかなか難しいことだと思いますが、しかし一番重要なのは「自分たちが与えられた任務がいったい何なのか」ということです。今、我々防衛省・自衛隊は色々なことがあるのだけれども、我々の究極の目標というのは「如何に日本の安全を守るか」ということでありますので、本来であれば我々はそれを一番に考えて、その中でしっかりと自分たちの仕事をしていくことが重要であって、それ以上でもそれ以下でもないということを今後徹底していかなければいけないのかなと思っています。我々防衛省・自衛隊のあるべき姿というものをもう一度明確にしないと分かりづらいのかなという気がしますので、そこはしっかりと考えていきたいと思っているところであります。

Q:連休中、田母神さんからはご連絡はありましたか。

A:ありません。

Q:大臣サイドの方から連絡を取ったことはございますか。

A:31日にしました。辞めるときにです。あの問題が起きた時、人事の決定をするときにはご連絡しましたけれども、連休中はございません。

Q:それ以降、連絡はとれなかったのでしょうか。

A:その時点で、31日の時点で連絡があったきりなので、こちらからも色々な形でお話は行っていると思うのですけれども、その間連絡はございませんでしたので、記者会見の話も他から話を聞いたので、そういう意味では田母神さんの方から、私と話す必要性があるかないか私が判断することではなくて田母神さんの方が判断することなので、私にはありませんでした。

Q:そのことについては、どのように思われますか。

A:ご本人の意志だと思いますので、それは私の方からどうこう言うことはないと思います。

Q:防衛省改革に与える影響ですが、防衛省改革では背広組と制服組の関係の在り方を見直していますよね。今回の事案が与える影響はございますでしょうか。

A:これは当然、この部分というのはどのようにするかも含めて、考えなければならないと思いますので、できるだけ早く防衛省改革の案も出そうとは思っておりましたが、この部分に関してはもう少し時間をかけたいと私は思っています。

Q:さっきの電話のやり取りの件なのですが、大臣から田母神さんに今回の論文の内容が不適切なものなのだということは、しっかりおっしゃったのでしょうか。

A:それは言いますよね。

Q:どのような言い方をされましたか。

A:私は立場として、やはりこの内容というのは問題なのではないかということは言わせていただきました。


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