平成20年3月21日
(10時04分〜10時53分)
1 発表事項
今朝は、地方分権に関する会議の後、閣議がございまして、人事承認案件等々、あったところでございます。後ほど、ご質問があればお答え致します。それでは私の方から発言させていただきたいと存じます。本日の閣議におきまして、平成20年3月24日付け海上幕僚長以下、自衛官人事5件について内閣の承認がなされました。内容につきましては、既に配布してある通りでございます。
昨年来、海上自衛隊におきましては、イージスシステムに係る特別防衛秘密流出事案、護衛艦「しらね」の火災事案、そして今般の護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事案という一連の不祥事や事故が生起してまいりました。これらの事案につきましては、防衛省としても調査委員会を各々設置し、事実関係等の調査を進めてきたところですが、本日、それらの結果をそれぞれ公表致しますとともに、事案の関係者に対する処分を実施致します。具体的な内容につきましては、担当部署から既にご説明を申し上げ、あるいはこれから説明を致させますが、それぞれの内容について、概略、簡単に申し上げます。
まず、「イージスシステムに係る特別防衛秘密流出事案について」であります。
本事案は、イージスシステムに係る特別防衛秘密が多数の隊員へ流出したものであり、今回の報告書において、流出の経緯、隊員の保全意識の欠如や秘密保全態勢の不備等の問題点等、これまでに調査が終了致しました事項を明らかにしております。再発防止対策と致しましては、「情報流出対策会議」のもとで講じられた対策などを引き続き推進致しますとともに、官邸に設置されました「防衛省改革会議」のご議論を踏まえた対策も講じて参ることとしております。
次に「護衛艦「しらね」の火災事案について」であります。火災の原因につきましては、冷蔵庫の上に置かれていた冷温庫付近が最も早く燃え出したことが疑われるところでございますが、冷蔵庫又は冷温庫が出火原因であったかについて、断定するには至りませんでした。主な再発防止策等としては、一つ、艦内巡視の厳格な実施、二つ、戦闘区画へ家電製品を持ち込み、使用する手続きの厳格化、三つ、消火設備の改善の検討、四つ、部内外への迅速確実な報告・通報の徹底などであります。なお、護衛艦「しらね」につきましては、極力早期に復旧させる必要があるため、今後、修理を行うことと致しました。
次に「護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事案について」であります。
護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事案につきましては、防衛省・自衛隊としても原因を究明する必要があるとの観点から、3月6日以降、艦船事故調査委員会において調査を行ってまいりました。未だ当直員の一部につきましては、聴取できていない状況がありますが、本日の発表は、この艦船事故委員会が行ってまいりました聴取で確認された現時点における内容について、捜査に支障のない範囲で公表致すものであります。本件につきましては、この後、私から内容について詳細、ご説明申し上げます。
次に「懲戒処分等について」申し上げます。これらの調査委員会によります調査結果等を踏まえまして、防衛事務次官、統合幕僚長、海上幕僚長など、事案の関係者約90人に対して懲戒処分等を実施致します。なお、護衛艦「あたご」の乗組員等に対する処分は、調査等の結果を踏まえ、今後検討致します。また、私自身、給与月額と議員歳費月額の差額に相当する額の2ヶ月分を国庫に返納し、防衛副大臣及び防衛大臣政務官は、給与月額と議員歳費月額の差額に相当する額の1ヶ月分を国庫に返納することと致しました。私と致しましては、あってはならないこれらの不祥事や事故が発生したことを受け、防衛省・自衛隊をお預かりする者として、改めて国民の皆様方に深くお詫び申し上げますとともに、調査により明らかになりました具体的な問題点を踏まえ、真に実効的な再発防止策を速やかに、かつ着実に実施を致してまいります。なお、このような不祥事や事故の再発防止のためには、単なる対症療法的な対策にとどまることなく、この様な事案の背景に何があるのか、何が根本的な要因なのか、またそのような背景や要因を改善するためにはどうすればよいのかなどについて、虚心坦懐に考える必要があると考えております。また、「あたご」事案発生後の防衛省の対応に関しましては、メディアへの対応を中心と致しました、もちろん他にもございますが、対外的説明につきまして、厳しい指摘を承っているところでございます。当省と致しましては、これらのご指摘を重く受け止めなければならないと考えており、国民の皆様方に対します説明責任の在り方につきまして、根本から議論を致しますとともに、問題点を整理・検証・分析し、必要な改善策を検討する必要があると、考えておる次第でございます。
以上のような問題意識の下に抜本的な対策を検討するため、私を長とし、メディアの関係者の方々を含みます外部の有識者を交えた「事件・事故の再発防止及び発生後の対応についての抜本的対策検討会議」、仮称でございますが、これをできるだけ早急に設置したいと、この様に考えております。なお、この会議を設置致します際には、昨年、当省内に設置を致しました「文民統制の徹底を図るための抜本的検討会議」をこの会議に整理・吸収する方向で考えてまいりたいと、その様に思っているところでございます。
それでは、よろしいでしょうか。質問は後でまとめてお受けするということで、「あたご」につきましてでありますが、お手元に艦船事故調査委員会による調査についてという資料がございますので、それをご覧いただきたいと思います。正確を期しますため、読み上げの形を取らせていただきます。
艦船事故調査委員会による調査について、2月19日に発生した護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」との衝突事案については、3月6日以降、海上幕僚副長を長とする艦船事故調査委員会、以下「委員会」というが、衝突時及びその前の当直員を中心に「あたご」乗組員に対する聴取等の調査を進めてきたところである。
委員会の「あたご」乗組員に対する聴取は、3月6日の16時から開始し、7日から20日まで土日を含め毎日、おおよそ9時頃から17時頃まで平均して調査員約15名の体制で実施し、3月20日までに、約70名に対する聴取を行ったところである。また、委員会は、「あたご」の機材の記録についての確認作業も行った。一方、現在、当直員の一部について、海上保安庁との調整により、委員会による聴取が実施できていない状況にある。調査の対象となっている全ての乗組員に対する聴取が実施できていない状況のもと、状況を前提としてとなっておりますが、状況のもとという意味でご理解いただきたいと思います。現時点までに、委員会の調査により明らかになった事項は次のとおりである。
一、「あたご」の航行状況、「あたご」は、2月19日1時から2時までの間に約20分間程度、手動操舵で航行した後、ここは注がございます。下をご覧いただきたいのですが、自動操舵を使用する場合には、舵を作動させる油の油温上昇を抑えるために、必要に応じ手動操舵に切り替え、油を循環させる必要があるということで、手動操舵で航行した後、当直士官の命により自動操舵に切り替え航行していたとの供述が「あたご」乗組員から得られている。船体運動状態表示装置、SMACSと申しますが、この記録では、4時5分の時点で、針路327度、北北西の方角、速力10.4ノットとなっている。
二、「あたご」の当直体制、(1)全般、艦橋等、CIC及び機関操縦室の当直は、それぞれ11名、後部見張りを含む、7名及び6名の計24名を基準として構成されており、艦長の命令に基づき、当直士官が「あたご」の航行について責任を負っている。なお、衝突時の当直士官は水雷長であり、その前の当直士官は航海長であった。衝突時の前及び衝突時の当直員の構成は次の通り。ア、衝突時の前の当直、以下、「前直」と申します。計25名、艦橋等計12名、当直士官、航海長であります。艦橋の副直士官、信号員3名、見張り左右及び後部各1名、当直海曹、伝令、当番、操舵員であります。CICは、計7名、CIC当直長、レーダ員2名、コンソール員3名、海図員。機関操縦室計6名、機関操縦室の副直士官、運転員長、操縦員、電源監視盤操作員、応急監視盤操作員、保安当直員。イ、衝突時の当直、この後「現直」と申します。計24名、艦橋等計11名、当直士官である水雷長、艦橋の副直士官、信号員2名、見張り左右及び後部各1名、当直海曹、伝令、当番、操舵員であります。CICは、計7名、CIC当直長、レーダ員2名、コンソール員3名、海図員。機関操縦室計6名、機関操縦室の副直士官、運転員長、操縦員、電源監視盤操作員、応急監視盤操作員、保安当直員であります。(2)当直体制、ア、艦橋等及びCIC、「あたご」の通常航海、通常航海と申しますのは、自衛艦の態勢のうち、戦闘部署、緊急部署及び作業部署以外の、通常の態勢で航海することを通常航海と申しております。通常航海時における艦橋等及びCICの当直体制は、それぞれ艦長及び船務長の命令に基づき、5組の当直が2時間又は2時間半おきに交代する5直体制となっていた。これは注2をご参照下さい。そこに1日の当直の時間割を記してございます。イ、機関操縦室、「あたご」の通常航海時における機関操縦室の当直体制は、機関長の命令に基づき、4組の当直が3時間又は4時間おきに交代する4直体制となっていた。時間割は、注3に書かれている通りであります。(3)前直と現直の当直交代状況であります。艦橋では、現直の当直員が、3時50分頃以降、艦橋に集まり、3時55分に整列し、3時56分、前直の副直士官より注意事項等の示達を受け、その後、それぞれの配置において申し継ぎを実施している。なお、一部の当直員は、3時50分から3時59分の間に申し継ぎを実施している。CICでは、3時50分頃から3時58分頃までに申し継ぎを実施している。機関操縦室では、3時45分頃から3時50分頃までに申し継ぎを実施。(4)見張りの勤務位置、前直の当直時に、通り雨があり、見張員の配置を艦橋内にし、現直の見張りの配置も引き続き艦橋内としていた。(5)前直におけるCICの当直体制CICについては、通常であれば7名の当直員が勤務すべきところ、前直については、電測員長の判断により、前半の1時間、2時から2時55分までは3名、後半の1時間、2時55分から3時55分までは4名の当直員しか勤務しておらず、CICに設置されている2台のレーダ指示機、レーダの表示装置のことですが、このうち1台については、継続的に要員が配置されていなかった。
なお、現直におけるCICの当直については、通常通り7名が勤務しているということでございます。今、電測員によりと申し上げました。そこは注の所をご覧いただきたいのですが、電測員は、CICにおいて、主としてレーダ等の情報の収集、作図、整理及び配布等を行う者でございます。本来、CICの当直体制について判断するのは船務長の権限ですが、電測員長は、この様なCICの当直体制の実施について、船務長の許可を得ていないということでございました。
次に当直員による漁船の視認状況についてであります。前直の視認状況、3月6日以降行われている委員会の調査において、一部の当直員には聴取ができていないが、これまでに聴取を実施した前直の主要な当直員が供述している内容は、以下のとおり。当直員A、3時30分頃、右30度方向の水平線上に白灯を視認したので、電話を通じて当直士官に報告をした。さらに同じく、その白灯の左右15度に光芒を視認した。3時40分前後に、先程の光芒2つが白灯の実光に変わり、右30度を中心に白灯3個を視認、電話で報告した。これは当直士官に対する報告であります。当直員B、3時48分に昇橋をした。目視で右30度から50度には、紅灯を3から4個を視認した。目視観測の結果、方位が落ちていたため、方位が落ちるということは、どういうことかというのは、下に書いてございますが、方位が変化しているため衝突の危険がないと見込まれる状態、例えば右舷に見える目標の方位が右に変化している状態を示す場合に用いられる表現ということであります。方位が落ちていたため、漂泊又は低速の目標と判断した。距離は、5から6海里、約9,000から約11,000メートルと判断した。なお、この目標は目視ではっきり視認できたため、当直士官は当然了解しているものと考え、報告はしていないとの供述であります。これらの内容をまとめますと、3時30分頃以降、当直員が右30から50度の方向に、数個の灯火、白灯及び紅灯を視認している。その視認の際の状況は、さらに調査中である。なお、当該灯火と「清徳丸」との関係は、現在のところ不明であるということでございます。
次に、現直の視認状況についてであります。4時5分頃までの視認状況、3月6日以降行われている委員会の調査において、一部の当直員には聴取ができていないが、これまでに聴取を実施した現直の主要な当直員が供述している内容は、以下のとおり。当直員C、3時56分頃に昇橋した。前直から、右20度から50度に紅灯を数隻視認、方位が明確に落ちており、危険はない旨申し継ぎを受けた。これらの目標については、私、当直員Cですが、私の目視では、右の水上目標が5,000ヤード、約4,500メートルから6,000ヤード、約5,400メートルであったと記憶している。当直員D、3時58分、前直者からの申し継ぎは、右の白灯群であった。前直者が示す目標のうち、右30度・5,000メートル、右30度から40度・5,000メートル以遠及び右40度・5,000メートル、計3つの紅灯を視認した。また、右5度水平線に2つの白灯を視認し、右20から50度にかけて、水平線上に3つの光芒を肉眼で視認した。4時2分頃、「白灯2つ、右5度水平線、舷灯は視認できない。」と当直士官に報告し、当直士官は了解した。その後、右30度付近に左に動く白灯1つを視認した。その直後、4時4分から30秒頃、CICから「右5度、5,000ヤードに何か視認できないか。」と聞かれたため、右30度の左に動く目標から目を離し、その方位の目標を探した。右5度に目標を視認したので、4時5分頃、当直士官に「白灯1、右5度、30、これは約3,000メートルを意味するものであります、左へ進む。」と報告した。これらの内容をまとめると、4時5分頃までに、当直員が、右5度及び右20から50度の方向に、数個の灯火、白灯及び紅灯を視認している。その視認の状況や視認後の具体的な伝令の状況については、さらに調査中である。なお、これらの灯火と「清徳丸」との関係は、現在のところ不明である。4時6分頃以降の視認状況、3月6日以降といういのは、今まで申し上げたとおり、繰り返しません。当直員C、4時6分頃、当直士官に偏位量、偏位量というのは、予定航路からの左右のずれを示す値でございます。偏位量の報告をしようとしたが、当直士官と当直員Eが目標の動静等について話し合っていたため、報告を取り止め、当直士官用のジャイロレピーターの左舷に移動したところ、右艦首から右20度、距離約500メートル付近に左に進む目標2隻を視認した。同時に、当直士官の「この漁船近いなあ。」という発言と当直員Eが「近い、近い。」と言いながら、右舷ウィングに出て行こうとしているのを確認し、さらに窓に近づき、身を乗り出したところ、右70度100メートル付近に近接する紅灯を掲げた「清徳丸」と思われる目標を視認した。「清徳丸」が5インチ砲右舷側の死角に入る直前にわずかに増速、面舵を取ったように感じた。当直員D、4時6分、当直員Eが「漁船が近い。」と言いつつ、ウィングに出たので右を見たら、右70から80度付近、距離約100メートルから70メートルに初めて漁船を視認した。白灯と紅灯が点灯しており、本艦より優速、スピードが早い優速だった。当直員F、4時5分頃の約1分後、モニタ画面の右下から灯火が現れ艦首方向に移動した。モニタというのは、艦首付近の映像を映すモニタのことでございまして、機関操縦室に設置されているものでございます。約5秒後、灯火は艦首に遮られ、一瞬見えなくなったが、1から2秒後、艦首左舷に一瞬光が見えたと思った直後に両舷停止、プロペラの推進力を停止することですが、これが下令された。その後、後進一杯、両舷のプロペラを過負荷の回転数にして後進することでありますが、下令された。これらの内容をまとめると、4時6分頃以降、当直員が、「あたご」に接近中の「清徳丸」を視認し、「清徳丸」の白灯及び紅灯を認め、「両舷停止」と「後進一杯」が下令されたということになります。なお、防衛省としては、事故状況把握のため「あたご」からの報告を受け、2月19日午前3時55分頃、護衛艦「あたご」の見張員は、清徳丸の灯火を視認したと思われる。4時5分頃「あたご」の見張員が右方向に、緑色の灯火を視認したと2月19日及び20日に公表したところであるが、現時点において、委員会の調査において、これらに関する情報は得られていないということでございます。
次にレーダによる漁船の視認状況でありますが、「あたご」は、通常航海におきまして、レーダ指示機を3台使用しており、1台が艦橋に、2台がCICに設置をされている。レーダ指示機は、水上レーダ又は航海用レーダの画面を表示することが可能であり、またレーダ指示機のうち1台は表示内容を記録することが可能であるが、記録はとっていない。この記録はとっていないというのは、どういうことかと申しますと、注の2にございますが、通常、事後研究や検証等に用いるため、演習や訓練等の際に記録をするということになっておりますので、記録はとっていないというのは、そういう意味でございます。また、これまでの調査では、当直員が、レーダ指示機で「清徳丸」を認識していたとの情報は得られていない。
五、衝突回避の措置、3月6日以降というのは、繰り返しません。当直員C、当直士官が「両舷停止、自動操舵止め」を下令、さらに当直士官が「両舷後進一杯」を下令、当直士官が右ウィングに向かうのを見て、後を追って右ウィングに向かうところで、衝突音らしき音を聞いた。当直員G、「両舷停止」が下令されたので、「両舷停止」の措置をとり、その後、「両舷後進一杯」が下令されたので、「両舷後進一杯」の措置をとった。当直員F、「両舷停止」の指令を聞いた。テレグラフの点滅を確認したと記憶しているので、確かだと思う。その次に「後進一杯」の指令を聞いた。テレグラフの点滅を確認したと記憶しているので、確かだと思う。「両舷停止」から「後進一杯」までの間隔は5から10秒ほどだったと思うが、概ね確かだと思う。テレグラフというのは、そこの注3に書かれてある装置のことであります。艦橋が指示した速力区分とプロペラ回転数の増減を表示する機材であり、速力区分等が変更されるとランプが点滅するという装置であります。
艦長の行動についてであります。供述の内容は以下の通り。18日、衝突前日であります。18時頃に艦橋から降り、夕食後は艦長室において、入港のための通関準備等の諸作業を実施した。19日0時30分頃、艦長室内で仮眠をとることにした。2時半頃、これは全て19日です。2時半頃、目標を避航するため、右よりのコースで航行する旨、航海長から報告があった。衝突事故発生時、艦長室にいた。4時頃、目が覚めて、艦橋に上がろうかどうかと考えていた時、間もなく「漁船と衝突した。」の1MCが入った。これは艦内マイクによるものであります。艦橋には、事故発生後に昇橋した。
副長につきまして、入港後の報告準備等のため、0時過ぎに副長室で就寝し、その後4時頃に目覚めて、海難対処部署が発動され、漁船と衝突したことを知った。「あたご」全体の評価についてであります。艦橋で当直していた見張員の一部及びCICで当直していたレーダ見張員の供述に基づけば、衝突前の見張員の配置やCICにおける当直員の配置状況も含め、艦全体として周囲の状況等について見張りが適切に行われていなかった。また、委員会による現時点までの聴取結果によれば、「あたご」は、4時6分頃に「清徳丸」を右舷に見ていることからして、「清徳丸」が「あたご」の右側から近接した可能性が高く、そうであれば「あたご」に避航の義務があったが、「あたご」は適切な避航措置をとっていない。また、衝突直前に「あたご」がとった措置は、回避措置として十分なものでなかった可能性が高い。
海上保安庁への通報、4時23分に国際VHFによる通報を実施した乗組員Hの供述の内容であります。海難対処部署の発動で衝突を知り、就寝していた士官寝室より、艦橋に移動した。起床してから艦橋内に入るまで5分以内だったと思う。艦橋では、当直員から、衝突位置を記載したメモを受領した。さらに当直記録で時刻、船の位置、気象等を確認した上、海図上の船の位置、GPSによる船の位置を確認し、国際VHFで横浜保安部に通報した。事故の発生を早期に通報するとの観点からは、当直員が直ちに衝突の事実のみ速報していれば、通報までの時間を短縮できたものと考えられます。
捜索・救助の状況について、「あたご」においては、4時7分頃の衝突発生を受けて、4時8分に救助作業開始が命令されており、ウィングから探照灯で衝突海域を照らし、上甲板には、数メートル間隔で乗員を並べ、捜索を実施した。衝突発生から14分後の4時21分以降、内火艇2隻、後に1隻追加に、それぞれ7名程度の乗組員が乗り込んで発進しており、速やかに救助活動を実施できるよう、潜水員が乗艇した。内火艇を艦上から海面に下ろして、救助艇が発進するまでの標準については、開発指導隊群が定める緊急部署指導指針において、7分が標準時間とされているが、この標準時間は、昼間において、全ての準備を整えた上で対応する際の目標時間であること、「あたご」は、海面から上甲板の高さが通常の護衛艦の約1.5倍あること、「あたご」の内火艇が通常の護衛艦搭載のもの、7メートルですが、よりも大きい11メートルこと、夜間の場合、就寝中の乗員を呼集するのに、さらに数分かかること等を考慮すれば、救助開始命令後13分での内火艇発進は、遅い対応とは考えていない。なお、潜水員による潜水作業については、夜間の洋上での潜水作業は、特に高い練度を要求される危険な作業であり、内火艇に乗艇させた潜水員の練度が及ばないことから、これを実施しなかった。なお、5時40分には、海上保安庁の潜水員による捜索活動が開始された。「あたご」は、捜索・救助活動に可能な限り尽力したと考えられるものであるが、さらに改善すべき点がないか検証していく必要があると考えているものであります。本文、以上でございますが、別紙の方にSMACSの概要、船体運動状態表示装置を付けております。また、水上用・航海用レーダ、2つありますが、これにつきまして、その概要を表示を致しました。更にお手元に配布してあると思いますが、この中にウィングでありますとか、CIC、機関操縦室等々、色々な部署が出て参りますので、その位置関係を図示を致したものをお配りしております。私からは、以上であります。
2 質疑応答
Q: 処分についてですが、事務次官、統幕長、海幕長等の主要幹部に対する処分の内容と理由についてお願いします。
A: 防衛事務次官は護衛艦「あたご」の衝突事故に関して、減給2月1/10。統合幕僚長がイージスシステムに係る防衛秘密流出事案に関して、海上幕僚長在職当時の責任を問い、減給1月1/30。海上幕僚長が護衛艦「あたご」衝突事故、イージスシステムに係る特別防衛秘密流出事案及び、護衛艦「しらね」火災事案を併せて、減給3月1/10。運用企画局長が護衛艦「あたご」衝突事故に関して、訓戒となっております。先程、私から宣告をいたしたところでございます。理由につきましては、今申し上げたところでございますが、運用企画局長につきましては、「あたご」の衝突事故発生後における対応に関する担当局長であったところ、防衛省内部の情報共有や認識の統一といった連携の確保、対外説明などに関し不十分な点があったということに基づくものでございます。
Q: 衝突事故に関して、全ての乗組員の聴取ができていないこの時期に調査内容を公表した理由をお願いします。
A: それは全ての乗組員から聴取ができていないということは、先程申し上げたところでございますし、これは関係省庁との関係によるものでございます。それではどうなのだということでございますが、現時点におきまして判明したことが、今申し上げたとおりでございます。それでは、全てがわかってから公表するということも一つのやり方なのかもしれませんけれども、私といたしましては、3月6日以降調査が行われ、これまでに記録などにより裏付けが得られた客観的事実、関係者から聞き取った内容などを、捜査に支障のない範囲で国民各位に対して説明責任を果たすという観点から明らかにしたものでございます。
Q: 報告書の7ページによりますと、事故当時、防衛省が発表した「2分前」と「12分前」の情報提供の中身について、委員会のその後の調査では、そういった情報は得られていないということが書かれていますけれども、そうしますと今回の処分等に関して、事故直後に防衛省が行った広報内容、これは不正確であったのに出したというような部分の指摘があるということなのでしょうか。その点についての説明をお願いしたいと思います。
A: それは、防衛省として聞き取ったということはご指摘のとおり。そして、一部から聞き取りが行われていないということも申し上げたとおり。確認されたことについて公表しているということも申し上げたとおりでございます。つまり、今申し上げたことは6日から始まりました事故調査委員会が聞き取ったものにつきまして公表したものでございまして、ここにおいて、事故調査委員会が聞き取りができていない、確認ができていないということは、今まで事故調査委員会が聞き取った内容について、公表するということですので、そこにおいて間違いがあったとか、そういうことを申し上げているわけではありません。この後、本当に全ての人に聞けるということになりまして確認が行われるということになりますので、今まで申し上げてきたことが誤りであったということを申し上げているわけではありません。そして、そこのところに着目をして色々な処分が行われたということではございません。
Q: 二点お尋ねしたいのですが、一つは、4時6分に「清徳丸」が70度の方向で、100メートルのところに居るのが出てくるのですが、これはその前の4時5分までの話のところで、これほどの距離とこの角度のものがないということから考えると、「清徳丸」を衝突直前まで、見落としていたというふうに考えていいのでしょうか。
A: そこについては、正しくこれからの捜査によって、裏付けられることになるのだと思います。私どもとして今聞き取れていること、限定された状況の中で聞き取れていることを記述したものでございまして、今ご指摘の点というものを別に否定するものでも、排除するものでもございません。それは今後の捜査の過程において、明らかになるものだと私は考えます。
Q: もう一つは、全体の対応の評価のことなのですが、回避措置として十分でなかったということは、見張りが適切に行われていなかったという点は、その中身としては、CICに例えば3,4人というふうに分けていたことを指しているのか、あるいは雨が降っていたから、見張りが艦橋の中に居たということを指しているのか、それとも両方なのか、他にもあるのか。それはどうですか。
A: これは、何に照らしてということですが、これは海上衝突予防法の第5条に適切な見張りというところがある。適切な見張りという文言がございます。それは、目視であるとか、あるいはレーダであるとかそういうものを総合的にということなるわけで、これはCICとか、ブリッジとか、その一点に着目して申し上げたものではない。正しく今ご指摘のようにトータルとして、衝突予防法第5条のいうところの見張りに照らしてという判断でございます。
Q: 同じところで、「あたご」の時とはちょっと違う回避措置として十分なものではなかった可能性が高いという部分は、後進をかけながら、右舵をきるべきだったということですか。
A: 「きるべきであった。」ということかどうかでございますが、これはどこに対応するものかというと、先程のは第5条、今度の場合には、第38条ということになるのだと考えております。そこについては、実際にどうなのかということでございますが、回避措置につきましては、先程申し上げましたように第38条、つまり、何が書いてあるかというと切迫した危険のある特殊な状況下で、運行上の危険及び衝突の危険に対する注意義務としてとるべき措置ということを念頭において、記述をしたものでございます。他にどんなやり方があったのかということについては、今後更に色々な供述が得られ、具体的に「こうすべきであった。」ということが言えるのだと思います。ただ、実際問題として、衝突をしているという事実があるということでありますし、そしてまた、この回避措置について、十分でなかった可能性が高いと書きましたのは、「他にこういうふうにすれば良かった」というふうに断定できるような状況ではないということで、可能性が高いというような書き方をしたものでございます。このところは、それぞれの衝突予防法の条文に照らして、どうなのかということを記述をしたというのは、繰り返しになりますが、こうすれば良かったということについて断定できるだけのものがありません。従って可能性が高いという言い方にしたものでございます。
Q: 関連ですけれども、同じ場所で4時6分頃に「あたご」が適切な避航措置をとっていないという下りがありますが、この時点で適切な処置をとっていれば、衝突を回避できた可能性があるということを言っているのか、それともこの時点ではもう遅かったと言っているのか、その点についてはどういう事になりますか。
A: そこも断定は出来ない。ただ、適切な避航措置というものをとっていたとすれば、それは衝突を回避できた可能性が高い、それがまさしく適切ということだろうと思います。
Q: 衝突に関しては、「あたご」側に責任があったというお考えでしょうか。
A: ですから、それは評価として申し上げたところでございまして、当然、私どもの方として、このような見張りの体制、あるいは回避措置について適切ではなかった、そして十分なものではなかった可能性が高いという認識を私どもとしては持っているところでございます。だから、責任があるかないかという最終的な判断は、この海難審判や裁判等々において、責任がどっちということは、それはそのような権能を持った機関として、責任をもってなされるということであって、これは私どもが責任を回避するとかなんとかそういう意味ではなくて、私たちが責任がありましたということを断定するという立場にはございません。それは、責任回避とかそういうものでは全くありません。従いまして、先程来申し上げているような「あたご」全体の評価というものを申し上げたものでございます。
Q: 処分ですが、運用企画局長の処分の理由についてはご説明がありましたが、次官の減給処分についての理由は、どうなるのでしょうか。
A: これは、制服そして背広を含め事務方のトップとして、運用企画局長あるいはその他の者に対します理由を申し上げました。そういうことを全て含んだものということでご理解を頂いてよろしいのだと思っております。一連のその後の対応について、事務方のトップたる事務次官としての責任というものを問うたものというご理解でよろしいかと思います。
Q: 海上保安部の捜査との関係で、未だ事情聴取できていない乗組員の数は何人でしょうか。
A: 今何名ということを申し上げることは出来ません。
Q: これを見ますと、水雷長と航海長のその後は話が聞けていないということでしょうか。
A: 誰から聞けているか聞けていないかということについては、申し上げることは出来ません。従って一部から聞けていないということを申し上げました。その点は、特に付け加えることはございません。それは捜査との関係等々に基づくものです。
Q: 事後の対応の問題点については、報告書の中には書いてありませんけれども、一定のどういったところが悪かったという判断があるからこそ、次官や局長に責任を問うたということでしょうか。
A: これは事故調査委員会が聞きとったことの報告書でございますので、その報告書の性質からして、今おっしゃったようなことを書くのは適切ではないということでございます。これはご理解いただけると思います。それと、これに基づいて処分をしたというだけの話ではございませんので、そこはじ後の対応についてどうであったかという検証は、先程申し上げましたように、事件・事故の再発防止及び発生後の対応についての抜本的対策検討会議(仮称)等々において更に詰められるということになりますが、本日ただいまの時点におきまして、不適切な部分があったということでありますので、この報告書と直接全てオーバーラップしているものではございません。
Q: レーダによる漁船の認識状況ですが、「清徳丸」を認識していたとの情報は得られていないとあるのですが、他の漁船についても確認をしていないということなのか、「清徳丸」を認識できていないということなのかどちらですか。
A: ここの視点で書きましたのは、「清徳丸」について記述したものです。その他の漁船について、つまりその灯りがどのようなものであったかということについての認識について、記したものではございません。
Q: 横須賀のタクシーの運転士が殺害された事件ですが、クレジットカードがおいてあったという米軍関係者というのは、横須賀の第7艦隊に所属する人でよろしいのでしょうか。
A: このことについて私どもとして、第7艦隊所属という事を断定できるということは、お答えする立場にはございません。この事案について、現在神奈川県警が捜査中であるという事でありまして、当省としてお答えできる立場にはないというものでございます。ただ、実際に関与しているかどうか、そのことについてのインフォメーションでございますが、これは米側などから横須賀市でタクシー運転手を襲った強盗殺人事件が発生し、米兵が関与しているかもしれないという連絡は受けております。今ご指摘の第7艦隊というような詳細な事については私どもとして申し上げる立場にはございません。
Q: 鳩山大臣が閣議後の会見で石破大臣から閣議か閣議後か分かりませんが、そのような発言があったと会見でおっしゃられているようですが。
A: それは鳩山さんに聞いて下さい。私は、閣議においても閣僚懇においてもそのような発言は致しておりません。また、大臣同士のバイの話について、それは公の場でお話しすることだとは私は思いません。