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令和5年9月8日 統合幕僚長講話

令和5年9月8日(金)、第38期特別課程学生(自衛官35名(将補3名、1佐32名))に対し、統合幕僚長(吉田圭秀陸将)が講話されました。

吉田統幕長は、現職就任後、緊迫した事態が同時並行的に生起する複合事態を経験し、我が国を取り巻く戦略環境が高速かつ複雑に変化していることを学生に伝えて動機付けし、この危機感の中で防衛省・自衛隊の中核として勤務する高級幹部に求められる資質(特に「戦略眼」、「リーダシップ」の観点)について、自らの考えを論理的かつ丁寧に話されました。

「戦略眼」については、まず、@安全保障論の観点から現在の我が国を分析し、混迷した時代におけるグランドストラテジー(大戦略)の必要性について、Aウクライナで戦争が勃発した原因と今後の終結の形態を予測し、抑止戦略を再構築することの重要性について、B我が国の安全保障環境を構築する国家が自国の国益を追求する為にウクライナで得たであろう戦略的教訓について、C安全保障上の脅威毎に、我が国、同盟国及び同志国で構築するテーラード抑止の考え方について、などといった十数個に及ぶ様々な観点から我が国を取巻く状況等を話されました。そして、防衛戦略上の主要な視点(拡大抑止、地域関与、地政学、イノベーションなど)と、防衛省・自衛隊が今後発展させていかなければならない分野等(反撃能力、情報作戦、領域横断作戦、同志国の能力構築支援など)を明快かつ論理的に示すことで、学生の知的好奇心を強く刺激されました。

「リーダーシップ」については、有事又は平時で指揮官に求められる性質の違いと、高級幹部に求められる資質(現状を打開する突破力的なものなど)について説明がありました。また、そういった人材を発掘し育成する努力や人事施策による管理が重要であると話されました。

そして、統合運用態勢の抜本的強化を考える上で必要な視点「3つの融合」、すなわち、@戦略レベルと作戦レベル、A防衛力整備と防衛力運用、B日米共同/多国間連携、省庁間協力などを明示して戦略的リーダーシップを補完するためのビジョンを与えつつ、2030〜40年代の我が国の安全保障構築の根幹を担う学生を激励されました。

講話終了後の質疑応答では、募集対象者減少に伴う人材獲得・育成のあり方、戦力又は政治的観点からの継戦能力、リーダーの在り方・育成要領、防衛戦略における経済安全保障の位置付け、統合作戦能力の強化に必要な施策、オペレーショナルアートを育成する統合教育のあり方、エンドステート(軍事的、政治的)の考え方などについて、熱意ある学生達が積極的に質問し、それぞれに対して統幕長が自己の考えを丁寧に話されました。

統合幕僚長 陸将 吉田圭秀 統合幕僚長講話の全景

統合幕僚長 陸将 吉田圭秀

統合幕僚長講話の全景

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