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統幕長講話

令和5年7月26日(水)、第34期統合高級課程学生(自衛官46名、留学生:インド1名)に対し、統合幕僚長(吉田圭秀陸将)が講話されました。

吉田統幕長は、現職就任後、緊迫した事態が同時並行的に生起する複合事態を経験し、我が国を取り巻く戦略環境が高速かつ複雑に変化していることを実感したことで、この経験をつぶさに解説して学生を動機付けし、この危機感の中で防衛省・自衛隊の中核として勤務する高級幹部に求められる資質(特に「戦略眼」、「リーダシップ」の観点)について、自らの考えを論理的かつ丁寧に話されました。

「戦略眼」については、まず、@安全保障論の観点から現在の我が国を分析し、混迷した時代におけるグランドストラテジー(大戦略)の必要性について、A冷戦期から現代に至るまでの戦略環境の変遷を確認し、世界が複雑化・多極化している現状認識について、Bウクライナで戦争が勃発した原因と今後の終結の形態を予測し、抑止戦略を再考察することの重要性について、C我が国の安全保障環境を構築する国家が自国の国益を追求する為にウクライナで得たであろう戦略的教訓について、といった様々な観点から丁寧に教示されました。そして、防衛省・自衛隊の現行の活動と防衛戦略上の主要な視点(拡大抑止、地域関与、地政学、イノベーションなど)とを照合・確認することで、学生の思考を明快かつ論理的に整理されました。学生は、知的好奇心や思考を強く刺激されるとともに、実効性のある防衛戦略を立案・実行するには、健全な「戦略眼」が必要であることを強く認識していました。

「リーダーシップ」については、有事又は平時で指揮官に求められる性質の違いと、高級幹部に求められる資質(現状を打開する突破力的なものなど)について説明がありました。また、そういった人材を育成するには人事施策が重要であることについても論じられました。そして、統合運用態勢の抜本的強化を考える上で必要な視点「3つの融合」、すなわち、@戦略レベルと作戦レベル、A防衛力整備と防衛力運用、B日米共同/多国間連携、省庁間協力などを明示され、今後「真に戦える自衛隊」実現のために邁進することとなる学生達に戦略的リーダーシップを補完するためのビジョンを与えつつ、今後の活躍を祈念し激励されました。

統合幕僚長 陸将 吉田圭秀 統合幕僚長講話の全景

統合幕僚長 陸将 吉田圭秀

統合幕僚長講話の全景

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