統合幕僚監部について

統合幕僚監部創設10周年記念式典における統幕長式辞

                

河野統合幕僚長

 本日、統合幕僚監部の創設10周年を迎えるにあたり、一言ご挨拶申し上げます。

 思い起こせば、平成18年3月27日、統合幕僚監部が創設され、自衛隊が名実ともに新たな統合運用体制に向けての第一歩を踏み出して以来、今日までの10年間、国内外の数々の任務を統合運用体制の下で遂行してきました。

 また、昨年は日米新ガイドラインの策定、平和安全法制の成立とともに、10月1日に防衛省の組織が改編され、統合幕僚監部に実際の部隊運用に関する業務が一元化される、まさに変革の年でありました。

 このような大きな歴史的転換期に創設10周年を迎えることができますのも、これまでの諸先輩方のご尽力のお蔭と感謝申し上げる次第であります。

 さて、わが国を取り巻く安全保障環境は、様々な課題や不安定要因がより顕在化・先鋭化してきており、一層厳しさを増しております。

 わが国周辺では、冷戦後に欧州地域でみられたような安全保障環境の大きな変化はみられず、依然として領土問題や統一問題をはじめとする不透明・不確実な要素が残された状況であります。

 また、領土や主権、経済権益などをめぐる、純然たる平時でも有事でもない、いわゆるグレーゾーンの事態が増加・長期化する傾向にあり、さらに、周辺国による軍事力の近代化や軍事活動などの活発化の傾向がより顕著にみられるなど、わが国周辺を含むアジア太平洋地域における安全保障上の諸課題や不安定要因は、より深刻化しているのが現状であります。

 最近では北朝鮮が、本年1月6日の核実験に続き、今月7日の「人工衛星」と称する弾道ミサイルの発射を強行しました。北朝鮮のこのような軍事的な活動は、わが国はもとより地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為です。

 我々は準備を万全に整え、極めて迅速、正確に対応し、国民の生命・財産を守るべく全力を尽くしました。

 更に、国内においては、来月発災後5年となる東日本大震災はもとより、昨年発生した、関東・東北豪雨や一昨年に発生した御嶽山の噴火などにより、多くの尊い命が失われるなど、大規模災害が継続的に発生しています。

 このように、わが国を取り巻く安全保障環境の変化に、主体的かつ迅速に対応して行く必要性が、今まで以上に高まってきていることから、政府としては、一昨年1月、国家安全保障会議を恒常的にサポートする組織として国家安全保障局を設立したほか、昨年には、先に触れたとおり、グローバルな安全保障環境の改善に寄与し、且つ、各種事態にシームレスに対応するため、日米ガイドラインの見直しを行うとともに、平和安全法制の整備が図られたところであります。

 このような情勢の下、いかなる事態においてもわが国の領土、領海、領空を守り抜く最後の砦である防衛省・自衛隊においては、今後一層、国家・国民の安全・安心をより確かなものとすべく、不断の努力と着実な対処能力を備えてまいります。そのような観点から今後の決意として3点述べます。

 1点目は、防衛省改革を踏まえた統合運用機能の一層の強化であります。昨年10月の改編により、防衛大臣が、部隊運用に関する意思決定を迅速かつ的確に下せるよう、実際の部隊運用に関して一元的に統合幕僚監部が大臣を補佐する組織になりました。引き続き、中谷大臣の指揮のもと、統合幕僚監部と内部部局及び陸海空幕僚監部、主要部隊、関係機関等がこれまで以上に緊密に連携し、統合運用機能の一層の強化に努めていかなければなりません。

 2点目は、日米防衛協力の実効性向上及び平和安全法制の施行に向けての着実な準備であります。新日米ガイドラインについては、平時から緊急事態までのいかなる状況においても「切れ目のない」形で日米防衛協力の実効性をより一層高めるため、特に、先般設置された同盟調整メカニズムの実効性向上と共同作戦計画の策定に全力を尽くす決意であります。

 また、平和安全法制につきましては、施行に向け、大臣ご指示のもと、各種準備・検討を慎重にも慎重を期して十分に積み重ねているところでありますが、施行後は各種任務を完遂し得る態勢の整備に万全を期していきます。

 3点目は、安全保障協力の積極的な推進であります。今日の国際社会においては、一国のみでは対応することが極めて困難な課題が増加しており、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、各国等との防衛協力・交流及び国際平和協力活動への取組みなどの国際社会の課題への取組に積極的に寄与していくことが必要であります。同盟国である米国との関係を重視しつつ、日米韓、日米豪、日米印をはじめとした多国間、そして関係国との二国間における共同訓練や防衛協力・交流を通じ、自衛隊と関係国軍との関係強化をさらに進めてまいります。

 これらにより昨年12月、第49回自衛隊高級幹部会同において総理が訓示されたような、「戦略的な国際防衛協力」を推進し、わが国の戦略的な外交・安全保障政策の一翼を担っていく所存です。

 以上、縷々述べましたが、統合幕僚監部の10年間の歴史には、統合幕僚会議発足以来、諸先輩方が積み上げてきた歴史と、培ってきた良き伝統が根付いています。これらをしっかりと受け継ぎつつ、更なる10年、20年後の将来を見据え、我々が真に戦える自衛隊であり続けるため、既成概念にとらわれることなく常に変革に取り組み、陸海空3自衛隊の運用の最適化に努めてまいります。

 本日は喜ばしい、統合幕僚監部創設10周年を記念する日であります。今後も、安全・確実に任務を遂行し、また、統合運用態勢を更に強化すべく、この日の喜びを忘れること無く、本職自ら先頭に立ち、職責を全うする所存であります。

 最後になりますが、関係各位の皆様の益々の御健勝と御発展を祈り、日頃の御厚情に対し、感謝と御礼を申し上げ、式辞といたします。

  • 平成28年2月17日
  • 統合幕僚長 海将 河野 克俊

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