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<解説>ロシアの核戦力の近代化

ロシア連邦軍事ドクトリン(14(平成26)年12月発表)においては、核兵器その他の大量破壊兵器が使用された場合のみならず、通常兵器による侵略が行われ、国家存続の脅威にさらされた場合、核兵器による反撃を行う権利を留保するとしています。このように、ロシアは、米国との核戦力の均衡に加え、通常戦力の劣勢を補うという観点から、核戦力の近代化を優先的に進めています。

戦略核戦力については、新型の移動式・サイロ式兼用のICBM(大陸間弾道ミサイル)「ヤルス」や、新型のSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)「ブラヴァ」を搭載した新型のボレイ級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦の配備によって、核戦力の多弾頭化や核出力の強化などを図っています。また、非戦略核(戦術核)についても、通常弾頭及び核弾頭のいずれも搭載可能であると指摘される新型の短距離弾道(地対地)ミサイル「イスカンデル」や巡航(艦対地)ミサイル「カリブル」の配備が進められています。

このほか、ロシアは、米国内外におけるミサイル防衛システム配備が米国との核戦力の均衡を崩すとの認識の下、同システムを突破できる核戦力を追求している旨を表明しており、18(平成30)年3月のプーチン大統領による年次教書演説では、大型のサイロ式ICBM「サルマト」、原子力巡航ミサイル、原子力無人潜水兵器、戦闘機搭載型の極超音速ミサイル「キンジャル」、弾頭部に有翼飛翔体を搭載した戦略ミサイル「アヴァンガルド」などの新型兵器が紹介されました。

極東地域においても、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦や戦略爆撃機が配備されていることも踏まえ、その核戦力の近代化や開発状況を含むロシア軍の動向について今後も注視していく必要があります。