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<解説>北朝鮮の核・ミサイルに対する認識

北朝鮮は、16(平成28)年以来、3回の核実験を強行し、40発もの弾道ミサイルの発射を繰り返しました。特に、17(平成29)年には、推定出力が広島型原爆の約10倍に及ぶ規模の核実験を強行するとともに、新型のICBM級弾道ミサイルを日本のEEZへ発射し、さらに、2回にわたってわが国を飛び越える弾道ミサイルの発射を繰り返しました。北朝鮮のこうした軍事的な動きは、わが国の安全に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものになっています。

金正恩国務委員長は、18(平成30)年1月1日の「新年の辞」において南北対話に積極的な姿勢を見せました。以後、同年4月には南北首脳会談が開催され、金正恩委員長は非核化への意思を示しました。また、同年6月に行われた米朝首脳会談では、北朝鮮が朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組むことにコミットすることなどを表明した上で、引き続き米朝間で交渉を行っていくことを確認しました。金正恩委員長が、朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を、改めて文書の形で、明確に約束した意義は大きいと考えています。

今後、北朝鮮が核・ミサイルの廃棄に向けて具体的にどのような行動をとるのかをしっかり見極めていく必要があります。

その上で、

○ 北朝鮮が、我が国のほぼ全域を射程に収めるノドン・ミサイルを数百発保有し、それらを実戦配備しているとみられること

○ これまでの累次の核実験及び弾道ミサイル発射を通じ、核・ミサイル開発を進展させ、運用能力を向上させていること

などを踏まえれば、米朝首脳会談後の現在においても、北朝鮮の核・ミサイルの脅威についての基本的な認識に変化はありません。

国民の命と平和な暮らしを守り抜くという重責をしっかりと全うしていくため、防衛省・自衛隊は引き続き、米国や韓国とも緊密に連携しつつ、いかなる事態にも対応できるよう、情報収集や警戒監視などに万全を期してまいります。