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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

3 対外関係

オーストラリアは、国防白書2016において、自国の安全と繁栄は、近隣地域、インド太平洋地域及びグローバルな戦略環境の発展に直結しているとの認識を示した上で、国防戦略上の目標を達成するため、安全保障分野における対外関係を構築・維持していくとしている。特に、米国との同盟関係を引き続き最重要視しつつ、インドネシア、日本、韓国、ニュージーランド、インド、中国などのインド太平洋地域のパートナーとの実用的な関係の成熟・深化を目指していくとしている。17(平成29)年11月に14年ぶりに発表された外交白書2017もこうした方針を踏襲している11

参照III部2章1節4項1(日豪防衛協力・交流)

1 米国との関係

オーストラリアは、国防白書2016において、ANZUS(Security Treaty between Australia, New Zealand and the United States of America)条約12に基づく米国との同盟関係について、共通の価値観に基づいており、オーストラリアの国防政策の中心であり続けるとしている。そして、今後20年間にわたり卓越したグローバルな軍事大国であり続ける米国は、最も重要な戦略的パートナーであり、米国による積極的なプレゼンスが地域の安定を支え続けるとしている。そのため、オーストラリアは、インド太平洋地域の安定確保において米国が担う重要な役割を歓迎・支持するとしている。

両国は、1985(昭和60)年以降、外務・防衛閣僚協議(AUSMIN:Australia United States Ministerial Consultations)を定期的に開催し、主要な外交・安保問題について協議している。運用面では、「タリスマン・セーバー」13をはじめとする共同訓練を通じて相互運用性の向上を図っているほか、12(平成24)年4月以降、米海兵隊のオーストラリア北部へのローテーション展開を実施している14。装備面においては、13(平成25)年5月に発効した米豪防衛貿易協力条約に基づき装備品取引にかかる輸出手続の簡素化を行っているほか、F-35統合攻撃戦闘機(JSF)の共同開発やミサイル防衛協力に関する検討15も実施している。このほか、情報・監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance, Reconnaissance)、宇宙16、サイバー17などの分野における協力も推進している。14(平成26)年8月には米海兵隊によるローテーション展開の法的枠組みとなる「戦力態勢協定」に署名したほか、同年10月からは米国が主導する対ISIL作戦の戦闘任務に豪軍を参加させている。また、15(平成27)年7月には米本土から飛来した米軍のB-52戦略爆撃機がオーストラリア内の射爆場に爆弾を投下し帰還する訓練を実施した。ターンブル政権下では、同年10月の第30回米豪外務・防衛閣僚協議(AUSMIN)で、将来の防衛協力の指針となる「防衛協力に関する共同声明」18に署名するなど、強固な二国間協力を再確認した。16(平成28)年10月には、米海兵隊の駐留コストに係る経費負担に関する交渉も原則的に妥結している。

17(平成29)年6月、米豪外務・防衛閣僚協議(AUSMIN)が開催され、防衛及び安全保障協力をさらに強化していくことが決定されており、今後の具体的進展が注目される。

2 中国との関係

オーストラリアは、国防白書2016において、中国との関係について、米国とは異なる意味で重要であるとして、中国経済の継続的成長とそれが自国とインド太平洋地域の国々にもたらす機会を歓迎するとしている。そして、中国との国防分野における関係を引き続き発展させ、相互理解の深化、透明性の促進、信頼の構築に向けて努力するとしている。

このような方針のもと、中国とは国防当局間の対話を継続的に実施しているほか19、共同演習や艦艇の相互訪問など、両国軍の協力関係を発展させるための交流も行っている20

16(平成28)年4月に行われた豪中首脳会談の際には、中国による「一帯一路」構想とオーストラリアの北部インフラの開発を結びつけることが発表されており、17(平成29)年2月の豪中外交戦略対話においても同様の協力が明らかにされている。

一方で、ターンブル政権は、アボット前政権に続き、中国に対する自国の立場を明確に発信する姿勢を見せるなど、対中警戒心を顕在化させている。15(平成27)年10月の米豪外務・防衛閣僚協議(AUSMIN)の共同コミュニケにおいて、中国を名指しした上で、南シナ海における最近の埋立及び建設活動に対し強い懸念を表明し、全ての領有権主張国に対して軍事化などの停止を要求した。また、同月に米国が南シナ海において「航行の自由作戦」を実施した際には、ペイン豪国防大臣が声明を通じ、航行及び飛行の自由に関する国際法に基づく権利を強く支持する旨表明した。16(平成28)年7月には、ビショップ豪外務大臣が、比中仲裁判断に対し、オーストラリアは国連海洋法条約を含む国際法に従い、平和的に紛争を解決する全ての国家の権利を支持し、国際法に基づく権利である航行の自由及び上空飛行の自由に係る権利を行使し続ける旨表明している21。国防白書2016においても、中国は国防政策の透明性を高めることにより、近隣諸国に安心感を与えることが地域の安定にとって重要になると主張したほか、特に南シナ海における中国による埋立活動の前例なきペースと規模に対して懸念を表明している。さらに17(平成29)年11月に発表した外交白書では、オーストラリアが最重要と位置付けるインド太平洋地域において中国が米国の地位に挑戦している旨が明記された。

他方、15(平成27)年10月、豪・北部準州政府が、豪軍艦艇や米軍艦艇も利用してきたダーウィン港の商業埠頭の運営権を中国企業にリースし、豪連邦政府が安全保障上の懸念はないとして異議を唱えなかったとことが明らかとなり、こうした点については、国内外から懸念の声も上がった22。その後も中国資本による豪州施設の買収を図る案件が続き23、豪連邦政府は17(平成29)年1月、特定の港湾など安全保障上の重要インフラが外国資本に買収されることを防ぐため、監視が必要な施設を洗い出し、売却リスクを精査して関係機関に助言する専門の組織を司法省に設置したと発表した24

中国による豪州への影響力の行使とみられる活動が活発になる中25、ターンブル首相は同年12月、外国からの内政干渉などを阻止するための法案を議会に提出し、18(平成30)年6月、同法案は可決された26

3 インドとの関係

オーストラリアは、国防白書2016において、インドがインド太平洋地域において積極的役割を拡大することを歓迎するとともに、インドを主要な安全保障上のパートナーとみなしている。そして、共通の戦略的利益に資するため、インドとのさらなる国防関係の成熟を目指すとしている。

両国の関係は09(平成21)年11月に戦略的パートナーシップに引き上げられ、各種戦略対話、軍高官の相互訪問、各軍種間の交流及び軍教育機関への学生の相互派遣などを定期的に実施してきた。最近では、14(平成26)年11月に、インドのモディ首相が、同国の首相としては28年ぶりにオーストラリアを訪問し、研究、開発及び産業分野への防衛協力の拡大、国防大臣間の会談及び海上演習の定期的開催、両国の各軍種間における協議の開催などについて合意した。これを受け、15(平成27)年6月にインド海軍艦艇2隻がオーストラリアを親善訪問したほか、同年9月にはインド東方海域において、初の二国間の合同海軍演習となる「AUSINDEX 15」を実施した27。また、17(平成29)年6月には西オーストラリア州海域において「AUSINDEX 17」を実施するなど、両国の相互交流は着実に進んでいる。

参照2章7節1項2(インド軍事)

4 東南アジア及び南太平洋諸国との関係

オーストラリアは、国防白書2016において、東南アジア及び南太平洋の海域を含む近隣地域の安全を自国の戦略的利益とみなしている。特に、東南アジアにおける不安定や紛争は、自国の安全保障上及び各国との経済関係への脅威となり得るとしている。さらに、オーストラリアは東南アジア各国との海上貿易及び東南アジアを通過する海上貿易に依存しており、これらのシーレーンの安全は、航行の自由とともに保障されなければならないとしている。こうした認識のもと、オーストラリアは、東南アジアの海洋安全保障と南太平洋諸国などの政府による安全の確立・強化に資する軍事的貢献を行うとしている。

インドネシアとは、06(平成18)年11月のロンボク協定署名、10(平成22)年3月の戦略的パートナーシップへの引き上げ及び12(平成24)年9月の防衛協力協定締結などを経て、安全保障・国防分野の関係を強化してきた28。しかし、インドネシアからの密航者をめぐる両国の対応の違いや豪情報機関によるインドネシア大統領らに対する盗聴問題、インドネシアにおけるオーストラリア人処刑問題29などが表面化し、両国間の安全保障・国防分野の協力関係は断続的に停滞した。その後、15(平成27)年後半に入り、ターンブル首相のインドネシア訪問を含む閣僚以上の往来が再開されたほか、16(平成28)年11月に外務・防衛閣僚協議(2+2)が開催されるなど、両国関係は改善している。

シンガポール及びマレーシアとは、「五か国防衛取極(FPDA:Five Power Defence Arrangements)」30の枠組みで、南シナ海などにおいて定期的に共同統合演習を行っている31。シンガポールについては、オーストラリアの最も進んだ国防パートナーであり、安全な海上貿易環境に対する利益を共有するとしている。16(平成28)年10月には、包括的戦略パートナーシップのもと、オーストラリアにおける軍事訓練及び訓練区域の開発に関する了解覚書に署名するなど、防衛協力も進んでいる。マレーシアに対しては、同国のバターワース空軍基地に豪軍を常駐させるとともに、南シナ海やインド洋北部の哨戒活動を通じて、同地域の安全と安定の維持に貢献している32

パプアニューギニア、東ティモール及び南太平洋諸国に対しては、治安維持、自然災害対処及び海上警備などの分野における支援を主導的に行っている33。特に、海上警備分野においては、現在も定期的に豪軍アセットを南太平洋に派遣して警備活動を支援しているほか、14(平成26)年6月に過去これらの国に提供してきた22隻の警備艇を更新する計画を発表した。18(平成30)年5月には、13億豪ドルという過去最高となる太平洋島嶼国に対する支援額を発表し、関係の強化を図っている。

ニュージーランドとは、ANZUS条約に基づく同盟関係にあり、両国の首脳や国防大臣による定期的会合に加え、共同訓練や地域における共同活動などを通じて安全保障・国防分野における緊密な協力関係を維持している。

参照2章6節(東南アジア)

5 海外における活動

オーストラリアは、国防白書2016において、国防戦略上の目標として、ルールに基づく国際秩序における国益に資する共同オペレーションへの軍事的貢献を挙げており、こうした目標に沿って、18(平成30)年6月末現在、約5万7,800人の現有兵力34のうち、2,404人を海外に派遣し、活動させている。

イラクでは、米軍がイラク北部でISILに対して実施している空爆を支援するため、14(平成26)年8月以降、人道支援物資の投下を開始したほか、同年10月からは空爆などの戦闘任務にも参加するとともに、15(平成27)年5月以降イラク治安部隊への軍事面の助言及び支援活動、能力構築支援を行っている。14(平成26)年8月以降、兵士約780人(約400人はアラブ首長国連邦にて支援に従事)に加え、F/A-18戦闘攻撃機6機、E-7A早期警戒管制機1機、KC-30A給油機1機などがイラクで活動を遂行していたが、17(平成29)年12月のイラク首相による対ISIL勝利宣言を受け、同月に空爆を停止する方針を発表した35

アフガニスタンでは、01(平成13)年10月以降、年平均約1,550人の豪軍が国際治安支援部隊(ISAF:International Security Assistance Force)のもとで復興支援活動やアフガニスタン治安部隊(ANSF:Afghan National Security Forces)の訓練などに従事してきた。14(平成26)年末をもってISAFの活動が終了したのに伴い、現在は約300人の豪軍がNATO主導によるアフガン軍の訓練、助言及び支援任務に当たっている。16(平成28)年7月には、アフガニスタンにおけるこれまでの進展を揺るぎないものとするため、同地での支援を20(平成32)年まで延長すると発表している。

11 外交白書2017は中国が国益のために影響力を高めていると認識し、インド太平洋地域の一部では、中国の影響力が米国以上の場合もあると分析している。その上で、豪州は米豪同盟の深化を確保しながら、戦略的な関係を地域の「同じ志を持つ」民主主義国家に広げると指摘し、アジアからアフリカに至る安定と成長を目指す日米豪印の4か国の枠組みなどを念頭に、関係を強化すると強調している。

12 1952(昭和27)年に発効したオーストラリア・ニュージーランド・米国間の三国安全保障条約。ただし、ニュージーランドが非核政策をとっていることから、1986(昭和61)年以降、米国は対ニュージーランド防衛義務を停止しており、オーストラリアと米国の間及びオーストラリアとニュージーランドの間でのみ有効

13 「タリスマン・セーバー」は05(平成17)年以降、2年に1度行われている米豪共同演習であり、戦闘即応性及び相互運用性の向上を目的としている。17(平成29)年6月から7月に行われた同演習には、米豪から約3万3,000人が参加した。

14 米豪は11(平成23)年11月の「戦力態勢イニシアティブ」を通じ、米海兵隊によるダーウィン及びオーストラリア北部への約6か月毎のローテーション展開を発表した。これに基づき、12(平成24)年及び13(平成25)年は約200名、14(平成26)年及び15(平成27)年は1,150名、16(平成28)年及び17(平成29)年は約1,250名、18(平成30)年は約1600名の米海兵隊員が展開している。国防白書2016では、20(平成32)年までに、約2,500名の規模に拡大するとしている。また、同イニシアティブにおいては、オーストラリア北部における豪州軍の施設・区域への米空軍機のアクセスを拡大し、共同演習・訓練の機会を拡大するとされた。これにより、17(平成29)年2月には米空軍のF-22戦闘機12機がオーストラリアに展開した。

15 オーストラリアは、大陸間弾道ミサイル(ICBM:Intercontinental Ballistic Missile)による自国への攻撃の脅威は低いとする一方、長射程及び潜水艦発射型の弾道ミサイルや巡航ミサイルによる自国領域に対する脅威の可能性に加え、短距離弾道ミサイル及び巡航ミサイルによる展開中の豪軍への脅威の可能性を認識している。こうした脅威に対抗するため、米国との間でワーキング・グループを立ち上げ、地域におけるミサイル防衛に貢献可能なオプションを調査する作業を進めている。

16 米豪は10(平成22)年11月に宇宙の状況監視に関するパートナーシップに署名して以降、米国の地上配備型Cバンド・レーダーシステム及び宇宙監視望遠鏡のオーストラリアへの移設などの宇宙協力を進めている。

17 両国は、11(平成23)年9月に開催されたAUSMINにおいて、サイバー空間における協力に関する共同声明に署名し、両国の長年の防衛関係及びANZUS条約を踏まえ、領土保全、政治的自立あるいは両国の安全保障を脅かすような態様のサイバー攻撃が発生した場合に、協議のうえ、脅威に対処するための適切な選択肢を決定することを確認した。

18 同声明では、資源をめぐる競争及び領土紛争の激化が、アジア太平洋及びインド洋地域における誤算及び紛争の可能性を増大させるなどと展望したうえで、これに対処するため、米豪の防衛面での関係をさらに深めていく方針を示している。具体的には、相互運用性の強化、政策・情報面での協力強化、科学技術・能力開発・防衛産業分野での協力強化、多国間協力などについて明記している。

19 14(平成26)年7月には、范長龍(はん・ちょうりゅう)・党中央軍事委員会副主席が訪豪し、アボット首相(当時)及びジョンストン国防大臣(当時)らと会談し、米中豪3か国による合同訓練の実施などに合意した。また、豪中間では、1997(平成9)年以降、国防戦略対話が定期的に開催されており、17(平成29)年8月の第20回対話に際しては、グリッグス豪国防軍副司令官及びスキナー副次官(戦略政策・情報)が、オーストラリアを訪問した邵元明(しょう・げんめい)・中国人民解放軍統合参謀本部副参謀長と会談した。

20 16(平成28)年1月には、中国海軍艦艇3隻がオーストラリア・ブリスベンを訪問するとともに、豪軍艦艇と航行訓練を実施した。17(平成29)年8月には、前年に続き4回目となる米中豪3か国の生存訓練「コワリ 2017」がオーストラリア北部で実施され、米中豪からそれぞれ兵士10名が参加した。同年9月には豪中両軍のチームワーク、親善、信頼を構築することを目的とする演習「パンダルー」がオーストラリア南東部で実施され、豪中からそれぞれ兵士10名が参加した。

21 13(平成25)年11月の中国による「東シナ海防空識別区」の発表に対しては、ビショップ外務大臣が、東シナ海の現状を変更するいかなる力による又は一方的な行動に反対する立場を明確にするとの声明を発表している。

22 このほか、当該中国企業が中国共産党や人民解放軍と関係が深いとみられる点、ダーウィン港を利用している米軍と事前に協議しなかった点などについて、野党やシンクタンクなどからは懸念の声が上がったほか、報道によると、オバマ米大統領(当時)もターンブル首相に対し、事前に通知が欲しい旨伝えたとされる。また、当該中国企業は現在、新型潜水艦の建造が予定されているアデレード周辺の港湾に対して関心を示しているとされ、動向が注目される。

23 豪政府は、中国企業による豪州大陸の約1%に当たる土地を所有する同国の牧場経営会社S.キッドマン社の買収及びオーストラリアの大手電力会社オースグリッドの買収を安全保障上の理由から拒否している。

24 新設された「クリティカル・インフラストラクチャー・センター」は、個別案件の審査と政府への提言を担う既存の外国投資審査委員会(FIRB)を支援する組織とみられる。

25 豪州メディアの調査で、少なくとも5人の中国系人物が政界への巨額な政治献金と賄賂を通じて、内政に干渉してきたことが明らかになっている。

26 同法案は外国政府及び外国政府系企業の代理人として議会でロビー活動する際の登録を義務付け、登録せずに働きかけを行った場合や政策プロセスに影響を与えた場合に懲役刑を科すとしている。

27 オーストラリアからは、潜水艦を含む海軍艦艇3隻及び哨戒機1機が、インドからは海軍艦艇3隻及び哨戒機1機が参加した。

28 ロンボク協定は、幅広い防衛分野における協力をうたった安全保障協力の枠組みであり、08(平成20)年2月に発効した。また、防衛協力協定には、テロ対策や海上安全保障での協力強化などが盛り込まれている。

29 13(平成25)年11月には、豪情報機関がインドネシアのユドヨノ前大統領、同夫人、閣僚などの電話を盗聴していたことが報じられた。インドネシア政府は駐豪大使の召喚や豪政府への謝罪要求などを通じて強く抗議するとともに、オーストラリアとの軍事交流や情報協力の停止を発表した。15(平成27)年4月には、インドネシアにおいて、オーストラリア人2人が麻薬の密輸に加担したとして処刑され、豪政府は強く反発した。

30 2章6節脚注5参照

31 16(平成28)年4月に行われた「ベルサマ・シールド」には、豪軍から200人以上の要員、潜水艦を含む艦艇及び哨戒機などが参加した。同年10月には、マレーシア、シンガポール、南シナ海で「ベルサマ・リマ」が行われ、豪軍からは約400人の要員、艦艇及び哨戒機などが参加した。

32 3章3節脚注17参照

33 オーストラリアは、東ティモールにおいて独立の機運が高まった1999(平成11)年以降、東ティモールの政治的、社会的安定のために積極的な支援を行ってきた。豪軍は、06(平成18)年以降、国際治安部隊(ISF:International Stabilization Force)を主導してきたが、東ティモールの治安情勢が安定したことから、13(平成25)年3月に撤収を完了した。豪軍は、ソロモン諸島においても03(平成15)年7月から同国に対する地域支援活動(RAMSI:Regional Assistance Mission to Solomon Islands)を通じて同国の安定化のための支援を行ってきたが、軍事部門の活動終了に伴い、13(平成25)年8月に撤収した。

34 「ミリタリー・バランス(2018)」による。軍種別の内訳は、陸軍:約2万9,000人、海軍:約1万4,400人、空軍:約1万4,400人

35 これに伴い、豪政府はF/A-18戦闘攻撃機6機を18(平成30)年1月に本国に撤収させたが、E-7A早期警戒管制機1機、KC-30A給油機1機は引き続き中東地域に配置している。