MAMOR (広報誌)2017年10月号

日本の防衛のこと、もっと知りたい!

MAMOR(マモル)は、防衛省が編集協力をしている唯一の広報誌です。
防衛省の政策や自衛隊の活動を分かりやすく紹介し、国民とともに防衛を考える広報誌を目指しています。

2017年10月号(8月21日発売) FEATURE

2017年10月号表紙

特集

勝つために闘う戦技系競技をキュレーション
自衛隊
スポーツ・ノート


Military Report

1年1168回スクランブル
日常の上空の非常事態に新航空団投入!
航空自衛隊 第9航空団

編集後記

編集長 高久 裕

 「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれる近代五種。フェンシング・水泳・馬術・レーザラン(射撃・ランニング)をこなし、その順位を争うスポーツだ。その起源は、「19世紀のフランスで、騎兵将校が伝令使として、馬で敵陣に乗り込み、銃と剣で敵を倒し、川を泳いで渡り、走り抜けてその任を果たした」という故事を元に、近代オリンピックの基礎を築いた創立者ピエール・ド・クーベルタンが提案したもの。文部科学省が2017年3月に告示した学習指導要領で、20年より中学校の選択可能な武道の1つに選ばれた「銃剣道」は幕末に盛んに行われていた槍術の技法を取り入れて研究されたもので、1894年に日本式銃剣術として正式化されたのが始まり。このように、元来、軍人としての戦闘能力であった技や力を競うスポーツがある。今月のマモルでは、自衛隊でも盛んに行われている、戦技系スポーツを中心に紹介する。スポーツの秋に、自衛隊スポーツをお楽しみあれ!

特集 取材後記

勝つために闘う戦技系競技をキュレーション
自衛隊 スポーツ・ノート

ライター 富田 純子

 「自衛隊スポーツって?」と思いながら取材を開始。銃剣道、近代五種、バイアスロンや過酷な富士登山駅伝、近年注目を浴びる7人制女子ラグビーなど、全て強靭な肉体と精神力を持ち得る自衛隊員だからこそ強くなれるのだということを再発見。監督や選手の皆さん、貴重な練習時間を割いていただき、ありがとうございました。
 また、防衛大学校の、一般大学では見られない伝統のスポーツ活動(棒倒し、パラシュート部、儀じょう隊、短艇委員会)にも着目。知識の乏しい取材者の質問に、真っすぐな目を向け、真摯な態度で答えてくれた学生の皆さんに感謝です。「この若者たちが将来、陸・海・空各自衛隊のリーダーになっていくのだなあ。日本の未来は明るい!」と感じ入りました。
 ほかにも自衛隊ならではのスポーツ情報が満載です。取材後は新聞やネットニュースで、とにかくスポーツの話題に敏感になり、自衛隊所属の選手名をとりあえず探してしまうという癖が……。
 体を動かしたくなる! スポーツ観戦がしたくなる! 楽しい特集です。どうぞご一読ください。

フォトグラファー 江西伸之

 アスリートから「心・技・体」という言葉を聞くことがあるかと思います。今回の現場では、アスリートとしてだけでなく、自衛官としてのプライドをかけた「心・技・体」を追求する姿を見ることができました。
 富士登山駅伝は、3258mの標高差を誇ることからも最も過酷な駅伝と称されています。そんな過酷なレースで圧倒的な強さを誇るのが自衛隊です。自衛官としての訓練や業務と掛け持ちで挑む練習は、日本一過酷な練習かもしれません。練習風景を撮影させていただいた最多優勝の記録をもつ滝ヶ原自衛隊チームの皆さんからは「自衛官としてのプライド」が粘りにつながると伺いました。
 女子ラグビー、近代五種の皆さんからは、「体育学校の名を背負うからには結果を出さなくてはいけない」という強い決意が聞こえてきました。
 アスリートである前に自衛官である、という誇りと責任感が強さの秘訣なのかもしれません。





Military Report 取材後記

1年1168回スクランブル
日常の上空の非常事態に新航空団投入!
航空自衛隊 第9航空団

ライター 野岸 泰之

 今回お邪魔した第9航空団ほど、「国防の最前線」という言葉の意味を実感できる部隊はほかにないかもしれません。ここは今日本で一番ホットなエリアと言っても過言ではない、日本の南西域を飛行する国籍不明機に対する緊急発進を行っている戦闘機部隊だからです。昨年度過去最高を記録したスクランブル回数、そのうちの約7割をここが占めると聞けば、その忙しさと緊張感は誰もが想像できます。しかし任務の大変さは、忙しさだけではありませんでした。
 取材時、容赦なく照りつける南国の日差しで駐機場はまさに熱したフライパンのような暑さ。格納庫内はそれに蓋をしたような酷暑でした。それに加えて潮風が容赦なく襲いかかる機体に厳しい環境。すべてにおいて過酷で厳しい状況の中、「この地域の平和と安定を守るのは我々の他にありません」と、淡々と任務をこなす隊員たち。その姿には、本当に頭の下がる思いでした。旅行で沖縄を訪れた際、あるいはスクランブルのニュースを聞いた際に「こんな人たちが頑張ってるんだ」と少しでも思い至っていただければ本望です。取材に協力していただいたすべての方に感謝申し上げます。

フォトグラファー 近藤 誠司

 関東は梅雨真っ只中。集合した早朝の羽田空港で取材班のみんなで雨の心配をしていた2時間後、那覇空港で聞かされたのは「沖縄梅雨明け」。沖縄上空で飛行機が降下し始めた頃から薄々感じていたので、空港を出た時にはほとんど確信していました。その言葉を聞く前に。
 真夏に入った沖縄、しかもどこにも日陰の無い滑走路はまさにフライパンの上に居る様なものでした。そんな灼熱のなか離陸と着陸を繰り返す戦闘機と、その度に無駄な動きひとつ無くそれぞれの仕事をこなす整備員や補給員。"洗練"とは鍛錬を重ね、必要の無いものを削ぎ落とした先にある"美"ですが正にその言葉が当てはまる光景でした。彼らの日常はスクランブルとそれに備える訓練です。ミスの許されない緊張感のなか1秒を削る努力を積み重ねた結果、行き着いた動きはとても洗練されていました。
 取材の中で、あるパイロットの方のラストフライトに立ち会うことができ、とても感動しました。彼が操縦するF-15を隊員みんなが見上げ、着陸を見届けます。肩の荷が下りた安堵と同時にF-15に別れを告げる寂しさが入り交じった表情をしていたのもつかの間、仲間達から水掛けの洗礼を受けるとその表情はすっきりと前向きな笑顔に変わっていました。






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