石破防衛大臣の第7回アジア安全保障会議の出席について(概要)

平成20年6月4日

 5月31日、石破防衛大臣は標記会合に出席したところ概要以下のとおり。

1.スピーチ

「東アジアの安全保障の将来」と題し、同地域における重要な安全保障上の課題について、概要以下の内容のスピーチを実施。

 「多様性」が東アジアのキーワード。多くの民族、宗教等が紛争の要因となりうる。
 冷戦下では、「恐怖の均衡」により潜在化していた様々な紛争の要因が、冷戦終結後顕在化。9.11テロは、懲罰的抑止力が機能しないテロの問題を浮き彫りにした。
 東アジアの安定を考えるには、「バランス・オブ・パワー」が機能しているか不断の検証が必要。
 東アジアの安全保障の将来にとって中国の役割は重要。中国には、保有する軍事能力と意図について、更に透明性を高めることを強く望みたい。
 米国、そして意思と能力を高めた日本がともに地域の諸課題に取り組むことはアジア太平洋の平和と安定にプラスであり、地域の公共財として活用されるべき。
 現在政府として憲法を改正したり、解釈を変える予定はない。しかし、将来集団的自衛権の問題が国会で議論される場合、行使の条件、議会の関与等を厳格に定める必要がある。また、アジアの人々の信頼を得ることが大きな前提。
 日米同盟の信頼性強化とアジア外交の強化は二者択一ではなく、同時に達成可能。
 我が国の世界の平和と安定に対する責任を果たすとともに、国際社会の協力要請に主体的に応えるためのメニューを示す一般法を作るべき。
 現在日本政府内で防衛省改革に向けた取組が進行中。今後も早期実現に努力。
 ミサイル防衛や国民保護等の拒否的抑止の総合的能力を向上させる必要がある。これは一国だけではなく、地域全体で協力させて向上させていくべき。
 我々は「多様性」の中で歴史、伝統、文化、宗教を尊重する重要性を理解。こうしたアジアの知恵を世界全体の平和と安定に役立てるときが来たのではないか。

なお、スピーチ後の質疑応答において、将来自衛隊機による救援物資の空輸が可能となるには日中間でいかなる信頼醸成がなされることが必要となるのかという点及び軍事力の透明性に関する日中間の考え方の違いについて質問があり、石破大臣より、自衛隊に限らず日本が中国を支援するとき、中国の伝統、文化等を理解することが重要であること、中国は脅威ではないが、装備等の保有の意図の説明や軍事費に関する共通の物差しが必要である等応答。

2.各国国防相等との会談

 米、カナダ、韓国、フランス、シンガポール、イギリス、オーストラリアの国防大臣と個別に会談したほか、シンガポール首相を表敬。個別会談の概要は以下のとおり。

(1)日米防衛相会談(ゲイツ国防長官)

 ゲイツ長官から、日本がインド洋における補給支援活動を再開したことにつき、高い評価。国際社会の平和と安定のために、引き続き日米が緊密に協力していくことで一致。米軍再編については、ロードマップに従い着実に実施していくことが重要であることを確認。石破大臣から、米軍再編には抑止力の維持と接受国の負担軽減の2つの意義があること、また、今後事業を進めていく上で、両国が必要な情報を共有し、国民への説明責任をきちんと果たしていくことが必要である旨発言。

(2)シンガポール首相への表敬(リー・シェンロン首相)

 双方でシャングリラ会合の重要性について認識を共有。四川大地震について、当方より、自衛隊の物資提供を含む政府全体の中国への支援について説明。先方より、このような取組は、象徴的なものとして重要であり、中国の政府・世論に大きな影響を与える旨評価。また、先方より、経済、投資、貿易面に限らず、日本がこの地域のために積極的外交を展開することを期待する旨発言。

(3)日カナダ防衛相会談(マッケイ国防大臣)

 先方より、我が国による補給支援活動に謝意を表するとともに、最近発表された「カナダ第一国防戦略」について説明。先方より、日本は価値を共有する重要なパートナーであり、地域における協力関係をさらに強化したいとの発言があり、人道復興、災害救援、PKO等の共通の関心事項について協力の可能性を検討していくことで一致。また、防衛大臣の早期訪加の招請あり。

(4)日韓防衛相会談(李相憙(イ・サンヒ)国防部長官)

 当方より、防衛庁長官時代の訪韓、先方より、政策企画部長時代の訪日について言及しつつ、韓国合同参謀議長の訪日等最近の日韓防衛交流について意見交換。防衛当局間でも、過去を直視しつつ、未来志向の関係を築くべきこと、対話の質・量を強化しつつ、防衛大臣を含むさまざまなレベルで定期的かつ率直な対話を行うべきこと、地域のために両国間で協力を深めていくべきことで一致。

(5)日仏防衛相会談(モラン国防大臣)

 中国を含むアジア情勢について意見交換。当方より、日本は中国を脅威と見なしていないが、軍事力整備の意図に関する透明性の向上を期待している旨述べつつ、EUの対中国武器禁輸措置についてさらに議論したい旨伝達。また、両国の防衛当局間で引き続き意見交換を行うとともに、防衛大臣の訪仏を含む両国間の対話及び協力を継続・強化していくことで一致。

(6)日シンガポール防衛相会談(テオ・チーヒン国防大臣)

 先方より、インド洋における補給支援活動の再開を評価。また、当方より、シャングリラ会合に対するシンガポールの尽力を評価。中国を含むアジア情勢について意見交換し、当方より、最近の防衛交流の現状及び中国の軍事力整備に関する透明性向上の必要性等を説明。

(7)日英防衛相会談(ブラウン国防大臣)

 当方より、陸自のサマーワでの人道復興支援活動への英による支援に謝意を表明。先方より、日本のイラク復興支援及び補給支援活動やアフガニスタンでの資金貢献への謝意を表明。インド洋での補給支援活動の重要性で一致し、双方で、イラク、アフガニスタン情勢について意見交換。復興に当たって、法の支配等のガバナンス強化の重要性で一致。先方より、軍民による包括的支援、警察育成等の分野での能力構築のための地域のインフラ構築の重要性を説明。国際平和協力活動分野での協力の推進に一致。

(8)日豪防衛相会談(フィッツギブン国防大臣)

 近年の日豪防衛交流の進展を評価。「防衛交流の発展に関する覚書」の改訂作業の促進で一致。当方から、日豪間のロジスティックス協力に関する検討を加速するため、ワーキング・グループ設置を提案し、合意。先方より、イラクにおける両国の協力を評価。また、先方より、ラッド政権においても、日本及び日米との協力関係を重視し、前政権が開始した安全保障分野での協力を継続・発展していきたい旨発言。今後も両国及び日米豪の三ヶ国で地域の平和と安定のための協力について議論を継続することで一致。このほか、豪側から提案のあった第2回日豪防衛・外務閣僚協議(「2+2」)の本年の豪州での開催について、実現に努力することで一致。


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