テロ対策特措法に基づく協力支援活動としての艦船用燃料の給油活動に関する確認作業について

平成19年11月6日

1 背景

 テロ対策特措法に基づき諸外国の軍隊等の艦船に対して行う艦船用燃料、艦艇搭載ヘリコプター用燃料及び真水の補給については、同法に基づくものであることを当該補給の対象国との間の交換公文に明記するとともに、交換公文の締結やその後の調整に当たっての当該対象国との協議の場(例えば日米間では、局長級の協議を実施した。)において、同法の趣旨について説明した上で、当該対象国の艦船への補給の都度、当該艦船がテロ対策特措法に規定する諸外国の軍隊等の活動に従事していることを確認した後に行ってきた。
かかる枠組みの下で補給活動が実施されていることから、我が国が補給した燃料について、防衛省としては、テロ対策特措法の趣旨に沿って適切に使用されているものと認識しているが、この点について国会審議をはじめとした様々な場において指摘が行われたことから、今般、改めて、確認のための作業を実施した。
なお、艦艇搭載ヘリコプター用燃料及び真水の補給については、艦船用燃料の補給に伴って実施されていることから、今回の確認作業は、艦船用燃料の補給について実施した。

2 自衛隊による艦船用燃料の給油活動の実施状況

 今般の確認作業を行う前提として、テロ対策特措法に基づく自衛隊による協力支援活動のうちインド洋における艦船用燃料の給油活動の実施状況を整理すれは次の通りである。

(1)海上自衛隊の補給艦及び護衛艦の派遣状況

 インド洋における補給活動は、平成13年11月20日から平成19年11月1日まで実施されたが、その間、協力支援活動としての補給活動に参加した艦艇は延べ56隻となっており(この他、「しもきた」及び「いかづち」がタイ王国の建設用重機等の輸送を実施し、「うらが」が被災民救援活動として毛布、テント等の輸送を実施しており、これらを合わせれば延べ59隻。)、補給艦については、我が国が現在保有している「はまな」、「とわだ」、「ときわ」、「ましゅう」、「おうみ」の全5隻が補給活動に従事した。
派遣規模は当初5隻(補給艦2隻、護衛艦3隻)であったが、平成14年11月以降は3隻(補給艦1隻、護衛艦2隻)、平成17年7月以降は2隻(補給艦1隻、護衛艦1隻)体制となっている。なお、派遣規模の推移及び参加艦艇は、別紙1(資料編p1)の通りである。 。

(2)補給活動の実施要領

 洋上における燃料の補給活動の実施要領については、補給艦と給油を受ける艦船が給油用のホースを繋いだまま、40~50メートルの間隔を保ちながら、速力12ノット(時速約20km)程度の速度を維持しながら併走し、給油量に応じて1艦当たり1時間程度から、場合によっては5~6時間以上にわたり継続する活動である。この間、乗組員は不測の事態に備えて総員で対応し、護衛艦及び艦載ヘリは、脆弱な状態にある補給艦を護衛するため、当該海域を警戒するための活動に従事する。
なお、個別の給油量や給油スケジュールは、我が方と相手方の運用計画を踏まえて決定される(注)。
海上自衛隊は、このような洋上における補給活動を長期間、安定的に実施することが出来る高い技術と能力をもって、テロ対策特措法に基づくインド洋における補給活動を実施してきた。

(注)ただし、結果として、実際の給油量が比較的少量となっている例もあるが、これは、例えば、補給時に相手方が実施する燃料のサンプリング調査で不合格となり、補給を実施しなかった場合や、水を補給する際に併せて給油を実施したため、比較的少量の燃料しか補給していない場合である。

(3)補給実績

 海上自衛隊の補給艦は、平成13年12月2日から本年10月29日までの間に総計794回の補給を実施し、その艦船用燃料の総補給量は約49万キロリットルとなっている。活動開始当初の平成13年度は、そのほとんどが米国向けであったが(補給量及び補給回数の98%が米国向け)、その後、徐々に米国以外の国に対する比率が増加し、平成19年度の米国以外の国に対する補給量の比率は67%(補給回数の比率は85%)となっている。国別、年度別の補給回数及び補給量は別紙2(資料編p2)の通りである(さらに詳細な月別のデータは別紙3(資料編p4)の通り)。

(4)補給実施海域

 海上自衛隊の補給艦が補給を実施する海域は、テロの脅威を除去するために行われている諸外国の軍隊等の活動内容に応じて決定され、オマーン湾と北アラビア海が中心となっている。海域毎の補給回数は、オマーン湾 625回、北アラビア海 134回、アデン湾 28回、ペルシャ湾 2回、その他 5回となっている(別紙4(資料編p5))。

(5)対象艦船

 海上自衛隊の補給艦が補給活動を実施した対象艦船の種類は、巡洋艦、駆逐艦、フリゲート艦、揚陸艦、補給艦等であり、艦種毎の一覧は別紙5(資料編p6)の通りである。なお、空母に対する補給は実施していない。

(注)相手国が公開情報として取扱っているケース
海上自衛隊の補給艦による補給活動に関し、個別具体的な日時、補給対象艦船名、当該艦船の所属国、補給ポイントを明らかにすることは、関係する部隊の安全や円滑な活動の確保に支障をきたす可能性などに鑑み公開を差し控えてきている。
しかしながら、相手国の関連する公式ホームページにおける、海上自衛隊の補給艦による補給活動に関する言及を確認したところ、これまでに公に指摘されてきたケースを含めて、現時点において、別紙6(資料編p16)で示したものについては、公開情報となっている。

3 確認作業の基本的な考え方及び実施方法

(1)今回の確認作業については、海上自衛隊の補給艦が実施した補給活動のうち艦船用燃料の補給活動794回(平成13年11月20日~本年11月1日までの間に実施された艦船用燃料の補給活動)を対象として実施した。

(2)海上自衛隊の補給艦が補給した燃料について、テロ対策特措法の趣旨に沿って適切に使用されているか判断するに当たっては、

  1. ① 補給を受けた各国海軍の艦船が、実態として、テロの脅威の除去に努める諸外国の軍隊等の活動である不朽の自由作戦(OEF:Operation Enduring Freedom、注1)や海上阻止活動(OEF-MIO:Maritime Interdiction Operations、注2)に係る任務に従事しており、テロ対策特措法の趣旨に沿って燃料が使用されたか、
  2. ② 我が国が補給する燃料が、補給実施後は、対象艦船に搭載されている燃料と一体不可分となる性質のものであることに鑑み、我が国が補給した燃料と同量以上の燃料が、補給実施後において、OEFやOEF-MIOに係る任務を実際に遂行する艦船によって、当該任務を実施している間に消費されたか、 との観点を中心に確認作業を行った。

(注1)不朽の自由作戦(OEF:Operation Enduring Freedom)とは、平成13年9月11日の米国同時多発テロに対応して、同年10月7日(米国時間)に開始された、アフガニスタンにおけるタリバーンの軍事訓練施設等に対する米英等の武力行使について用いられる呼称であり、同日、ブッシュ大統領が演説において「本日の軍事作戦の名前は「不朽の自由」である」旨言及している。
現在も米国等はアフガニスタンにおいて、OEFとしてテロ掃討作戦を継続中である。

(注2)海上阻止活動(OEF-MIO:Maritime Interdiction Operations)とは、OEFの海上作戦であり、インド洋等におけるテロリスト及びその関連物資の海上移動の阻止・抑止のための作戦である。平成13年10月7日(米国時間)に開始されている。

(3)今回の確認作業においては、海上自衛隊の補給艦からの補給先について、補給を受けた燃料を自ら使用する戦闘艦(別紙5の一覧表のうち、補給艦及び補給能力を有する艦艇(以下補給艦という。)(注)を除いた艦船)に係るケース(647件)と、補給を受けた燃料について、他の艦船に対する再補給を行う補給艦に係るケース(147件)に分けて細部の確認作業を実施した。
このうち、前者については、当該戦闘艦自身の任務、消費燃料、活動海域などについて確認を行った。後者については、当該他国の補給艦から複数の艦船が再補給を受けることとなるが、少なくとも海上自衛隊の補給艦からの補給相当分の燃料の再補給を受けた艦船について前者の場合と同様の確認を行った。

(注)補給能力を有する艦艇とは、艦船の種別で補給艦、給油艦と呼ばれているもの以外の給弾艦、戦闘給糧艦を指す。

(4)確認作業に当たっては、防衛省として既に保有している個別の補給の調整に係る資料の他、各国から各種の資料(航海日誌を含む)、データの提供を受けて、詳細な細部確認作業を行ったが、航海日誌では不十分なところも多く、公開資料のみならず秘密の取扱いがされている資料も含めて活用し確認を実施した(別紙7(資料編p17))。

4 確認作業の結果

 以上のような作業を行った結果、海上自衛隊の補給艦による艦船用燃料の補給活動計794回については、現在までのとりまとめ作業の結果として、以下の通り整理することが出来るものと考えられる(総括表は別紙8(資料編p18)のとおり)。

(1)戦闘艦にかかるケース(647件)

  1. ① 当該艦船の所属国からみてOEFやOEF-MIOに係る活動に従事していたことが明白なケース(348件)

    (ア)当該艦船の所属国からみてOEFやOEF-MIOに参加していることが明らかであって、例えば艦船をイラク戦争に派遣しておらず、同法の趣旨に沿った燃料の使用が行われたと判断される。

    (イ)このケースには、フランス、ドイツ、カナダ、ニュージーランド、オランダ、ギリシャ及びパキスタンという7カ国の艦船が該当する。
  1. ②  配属先部隊からみてOEF-MIOに係る活動に従事していたと判断できるケース(139件)
    上記以外の国に所属する艦船であっても、CTF-150(別紙9(資料編p19)参照)に配属されたものについては、ペルシャ湾の外においてOEF-MIOに係る任務に従事していたと判断される。
  1. ③ 実態としてOEFやOEF-MIOに従事していたと判断されるケース(160件)

    (ア)海上自衛隊の補給艦から補給を受けた艦船のうち上記①及び②以外のものについて、実態としてOEFやOEF-MIOに係る任務に従事していたと言えるか否かを判断した。
    我が国が補給する燃料が、補給実施後は、対象艦艇に搭載される燃料と一体不可分となる性質のものであることから、我が国が補給した燃料と同量以上の燃料が、補給実施後において、OEFやOEF-MIOに係る任務を実施している間に消費された場合には、テロ対策特措法の趣旨に沿った燃料の使用が行われたものと考えられる。

    (イ)かかる判断を行うための確認作業については、補給を受けた艦船の活動海域、補給量と艦種毎の燃費について搭載エンジンの型等から推測して得られる航続距離などから、当時の当該艦船の活動状況につき、厳格に推定した。

    (ウ)このような確認作業を行った結果、このカテゴリーに該当するものはすべて、テロ対策特措法の趣旨に沿った燃料の使用が行われたものと判断される。

(2)他国の補給艦に対する補給が行われたケース(147件)

(ア)他国の補給艦に対する補給が行われたケースについては、以下のような観点から確認作業を行った。

(イ)海上自衛隊の補給艦から他国の補給艦に対する補給が実施された場合においては、その後、当該補給艦が元々保有していた燃料と合わせて複数の艦艇に対する再補給が行われることになるが、再補給先の艦艇について、(1)②及び③に準じた燃料の使用がなされているか否か確認を実施した。

(ウ)このようなケースについては、他国の補給艦から行われた再補給の実績について、関連する情報を当該国から入手しつつ、再補給先艦艇及び再補給量の確認を実施した。ただし、一部、艦艇の除籍や再補給に関するデータが入手できないものがあったため、これらについては、各国の艦艇に対する艦種毎の補給実績を踏まえて一定の推定を行いながら、確認作業を実施した。

(エ)このような確認作業により、他国の補給艦に対する補給が行われたケースについて、再補給を受けた艦船の活動状況について確認を行い、いずれも、実態としてOEFやOEF-MIOに係る任務に従事していたと判断されることから、テロ対策特措法の趣旨に沿った燃料の使用が行われたものと判断される。

(注)上記(1)~(2)において、個別に国会等で議論されたものについては、別紙10(資料編p20)のとおり。

5 今後の対応

(1) 現在までの確認作業の結果については、以上の通りであり、いずれについても、海上自衛隊から補給された艦船用燃料がテロ対策特措法の趣旨に沿って使用されたと判断している。

(2) なお、海上自衛隊の補給艦による補給活動について、具体的な日時、補給対象艦船名、当該艦船の所属国、補給ポイントを明らかにすることは、関係する部隊の安全や円滑な活動の確保に支障をきたす可能性などに鑑み公開を差し控えてきたが、以上のような確認作業との関係でこれまでに海上自衛隊の補給艦による補給活動の対象となった各国別の艦船名については、別紙5(資料編p6)の通りである。

(3) 今般、これまでに行われた海上自衛隊の補給艦による補給活動について、以上のような確認作業を行ったが、今後、補給支援活動特措法案の成立によって補給活動が継続される場合には、我が国が補給した燃料が同法の趣旨に沿って適切に使用されるよう、新たな交換公文の締結や、現場における確認のあり方について検討し、燃料の適切な使用を確認するための措置をとるなど、透明性の一層の向上に努めていきたいと考えている。

 

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