海上自衛隊補給艦「とわだ」の航泊日誌誤破棄事案について(中間報告)

平成19年10月29日

1 事案発覚の経緯

 平成19年8月22日付け行政文書開示請求(平成13年11月から平成19年4月までの間のうち、インド洋派遣期間中における海上自衛隊補給艦「とわだ」(以下「補給艦「とわだ」」という。)の航泊日誌)を受け、当該行政文書を特定したところ、保存すべき航泊日誌の一部(平成15年7月から同年12月分まで)が誤って細断機で細断され、処分されていたことが、平成19年10月4日までに確認された。

2 事案の概要

 現在までに把握した事実関係は概ね次のとおりである。

(1)航泊日誌の保存期間の誤認について

ア 平成19年7月23日、補給艦「とわだ」は、艦船に対して毎年実施される検査(年次検査)を受けるため、ユニバ-サル造船株式会社因島事業所に回航された。

イ 平成19年7月25日、A3等海曹は、艦内倉庫の資料整理を行い、艦内倉庫に平成10年1月から平成17年12月までの航泊日誌が保存されていることを確認した。
海上自衛隊の艦船は、航泊日誌を船内に備えなければならないこと[資料1]とされており、航泊日誌の作成責任者は当直士官[資料2]であり、文書管理者は艦長[資料3]である。航泊日誌は、最後の記 載をした日から1年間、艦船内に備え置き、その後3年間、当該艦船の在籍する地方総監部に保存するものとされているところ[資料4]、A3等海曹は、「航泊日誌の保存期間は2年」と誤認していたため、上司であるB2等海曹と破棄の作業日時について打ち合わせをし、翌26日に、保存期間が過ぎた航泊日誌を選別し破棄することとした。

ウ 平成19年7月26日午前8時頃、A3等海曹及びB2等海曹は、破棄すべき航泊日誌を選別した。その際、A3等海曹は、B2等海曹に「保存期間は2年ですか。」と確認したところ、B2等海曹は、「2年ではなく3年である。」と答えた。そして、A3等海曹は、「では、平成16年分まで残せばよいですね。」 と述べたの対し、B2等海曹は、「今は平成19年だよな。」と答えた。
(A3等海曹及びB2等海曹は、規則を確認せず、航泊日誌の保存期間を誤認したままであった。)

(2)航泊日誌の破棄について

ア 平成19年7月26日、上述のように、航泊日誌の保存期間を誤って認識した後、A3等海曹及びB2等海曹は、平成10年1月から平成15年12月までの航泊日誌を、艦内運用科事務室の細断機で細断した。その後、細断されたものは、ユニバ-サル造船株式会社因島事業所の可燃廃棄物置き場に集積され、当該事業所において処分された。

イ その際、A3等海曹及びB2等海曹は、航泊日誌の文書管理者である艦長C2等海佐に許可を求めなかった。

ウ 平成15年7月から同年12月までの航泊日誌については、その時点で保存期間内であり、本来破棄してはならないものであった。

エ 平成19年8月22日、航泊日誌の保管責任者である航海長D1等海尉[資料5]は、横須賀で行われた定例会議において、海上幕僚監部の担当者から、「後日、インド洋派遣期間中の航泊日誌の写しを海上幕僚監部へ提出するよう求められる。」と聞いたので、実質上、航泊日誌の事務担当者である通信士E3等海尉に、航泊日誌の写しを提出できるよう準備を指示するとともに、同日午後6時頃、艦長C2等海佐に、航泊日誌の写しの提出について報告した。

オ 航海長D1等海尉の指示を受けて、通信士E3等海尉は、A3等海曹に当該航泊日誌の保管状況を確認したところ、「平成15年12月以前の航泊日誌は破棄した。」との報告を受けたので、平成19年8月22日午後7時頃、航海長D1等海尉に、航泊日誌が誤って破棄されたことを報告した。

 カ 平成19年8月23日午前7時頃、航海長D1等海尉は、艦長C2等海佐に、航泊日誌の誤破棄の事実を報告した。

キ 平成19年9月5日、艦長C2等海佐は、海上幕僚監部防衛部運用 支援課長から行政文書特定依頼書を受領し、翌6日に、海上幕僚監部防衛部運用支援課長宛の行政文書不存在通知書を提出した。

(3)航泊日誌の保存について

ア 艦船の航泊日誌は、最後の記載をした日から1年間艦船内に備え置き、その後は当該艦船の在籍する地方総監部に3年間保存することとなっているが、補給艦「とわだ」においては、1年を経過したものも艦船内の倉庫に保存されたままであった。

イ 他方、同艦の在籍する呉地方総監部の防衛部第1幕僚室(航泊日誌の保管を担当)の担当者らは、航泊日誌の保存期間については正しく認識していたが、同艦に対して航泊日誌の保存に係る調整を行っていなかった。

(4)航泊日誌の取扱いに関する監督、指導について

ア 艦長C2等海佐は、航泊日誌の文書管理者として、補給艦「とわだ」着任以来、部下に、航泊日誌は船舶に備える重要な書類であり、その記載に当たっては適正に行うよう指導していたが、航泊日誌の保存状況の確認、航泊日誌を適切に管理するための指導を怠っていた。

イ 航海長D1等海尉は、航泊日誌の保管責任者として、常日頃から、部下を監督、指導すべき立場であるにもかかわらず、航泊日誌の保存に関する指示及び教育等を怠っていた。

3 事務処理における問題点

 本事案は、補給艦「とわだ」における航泊日誌の不適切な管理により、本来は保存すべき航泊日誌を誤って破棄するに至ったものであるが、この間の事務処理には次のような重大な問題点がある。

(1)A3等海曹及びB2等海曹は、航泊日誌の保存期間を正しく認識していなかったが、これは艦長C2等海佐及び航海長D1等海尉の文書管理に関する日頃の監督、指導が不十分であったことに起因する。

(2)A3等海曹及びB2等海曹は、文書管理者である艦長C2等海佐や保管責任者である航海長D1等海尉の許可を得ることなく航泊日誌を破棄しており、文書管理について適正な手続がなされていなかった。 

(3)航泊日誌の保存(艦船内に1年間、当該艦船の在籍する地方総監部に3年間、それぞれ保存)が、規則(「航泊日誌に関する達」)どおり適正に実施されていなかった。

4 再発防止策

 このような問題点を踏まえ、今後、かかる誤りを二度と繰り返すことがないように、防衛省における文書管理が関係規則類に従い適切に実施されているかを確認するため、平成19年10月10日付けで、防衛省・自衛隊の全組織を対象に、行政文書(行政文書ファイルとして約220万件)の管理状況の調査を実施しているところ[資料6]であり、この調査結果を踏まえ、チェック体制の強化、文書管理に関する教育の徹底、規則類の見直し等の改善措置を今年度末を目途に講じる。

5 今後の予定

 今後も、引き続き必要な調査を行うとともに、早急に厳正な処分を行い、公表する。

 

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