防衛施設庁施設部における「情報公開処理状況(施設部関係)」に関する調査結果

 

事実関係
(1) 「情報公開処理状況(施設部関係)」の作成経緯
 平成13年4月の情報公開法施行後間もない時期における行政文書開示請求事案について、防衛施設庁施設部の各課とも試行錯誤を繰り返していた状況にあった。このため、施設部各課の情報公開事務手続のとりまとめを担当している同部施設企画課のZ専門官は、同制度で定められた期限内に確実に開示等の決定がなされるよう、開示請求の処理状況の進行管理、担当課への処理状況の周知、担当者間での意見交換や相談が可能となることを目的として、「情報公開処理状況(施設部関係)」(以下「本件資料」という。)と題する資料を作成した。
 なお、総務課情報公開室において防衛施設庁内LANに掲載している個人情報を含んでいない情報公開進行管理表があるが、これは、本庁、局の総務課情報公開関係者のみが閲覧できるものであり、施設部等の現業課からは閲覧できない状況にあった。
(2) 「情報公開処理状況(施設部関係)」の内容
 本件資料の記載内容は、受理番号、開示請求日、開示請求者、開示請求文書の概要、主管課、開示決定期限、開示決定年月日、措置内容、担当係、担当者名、内線番号等である。その中で、開示請求者の個人情報に該当するのは、開示請求者本人により開示請求書に記入された氏名及び所属団体名等であった。
 Z専門官からの聞き取りによれば、本件資料の様式を決める際に、頭の整理として「いつ、誰が、どのようなものを必要としているのか」が最低限必要と考え、開示請求者の氏名を記載することにしたものであり、その際、開示請求書の氏名欄に団体名等も記入されていた場合には、一体のものとして転写していたとのことであった。
 また、防衛施設庁総務部総務課情報公開室作成の「情報公開事務処理の手引き」によれば、進行管理のための情報公開処理状況表に開示請求者名等を記載するようになっていたことも記憶にあったが、それが氏名を記載することにした主な理由ではなかった。
(3) 個人情報の入手方法
 本件資料に記載されていた個人情報は、施設部の業務に関連する67件(18名)であり、その全てが氏名、所属団体名等を含むものであったが、当該情報は全て開示請求者本人により記入された開示請求書から転写されたものであった。このことは、本件調査の際、Z専門官から提出を受けた本件資料と開示請求書とを照合して確認された。
(4) 「情報公開処理状況(施設部関係)」の配布状況
まる1  Z専門官は、施設部に係る開示請求事案の処理状況について、施設部職員に周知し、スケジュール管理に確実を期するため、平成13年11月から平成14年4月中旬までの間、平成13年4月から平成14年2月15日までの処理状況について防衛施設庁内LANの施設部掲示板に掲示した。
 本件資料の防衛施設庁内LANの施設部掲示板への掲示開始時期が、平成13年11月となったが、これは、Z専門官が案を何回も作り直したりしたことから遅くなったものである。しかし、制度発足後、開示決定に間に合わなくなりそうな事案が沢山あり、その様な状態がこの時点でもまだ続くものと考えていたことから、掲示板への掲載は意義があるものと思っていた。
まる2  また、Z専門官は、平成13年11月頃の施設部の補佐等会議において、同会議に出席した各課室の補佐等計19名に会議終了後破棄として他の業務資料とともに本件資料を配付した。配布された当該資料は、各課とも会議終了後速やかに廃棄、一部の課においては、課内職員に回覧した後廃棄していたことが確認された。
まる3  Z専門官からの聞き取りによれば、防衛施設庁内LANへの掲載は、施設部内の取りまとめ担当者として、各課の担当者に対し情報公開事務の処理状況について周知し、スケジュール管理に確実を期するという目的から実施したが、本件資料についての問合せ等がほとんどなかったことから、あまり活用されてないと思い、Z専門官自らの判断で掲載を取りやめたものであるとのことであった。
(5) 閲覧者側における本件資料の取り扱い
 Z専門官は、本件資料の防衛施設庁内LANへの掲載に当たっては、施設部内でしか閲覧できない施設部掲示板に掲示した。同掲示は、施設部の職員が閲覧可能であったが、施設部職員の一部(約30名)が閲覧していた。また、そのうち1名の職員が、開示請求があったときの業務の資とするため、1回だけプリントアウトし、ファイルに保管していたが、他への再配布は行われていなかった。なお、プリントアウトした当該資料は、今回の調査の時点で廃棄処理を確認した。
(6) 上司の対応
 本件資料は、Z専門官の判断で作成したものであり、作成に際し、上司たる施設部長、施設企画課長への報告はなされておらず、また、了承も受けていなかった。
(7) Z専門官への教育
 平成13年4月1日着任のZ専門官に対しては、同年2月及び3月に実施された情報公開に係る教育はなされていないが、日常の業務処理の過程において、Z専門官からの問い合わせに答える形での教育はなされていた。
 なお、開示請求者に係る個人情報の保護についての教育はなされていなかった。
 Z専門官は、情報公開の担当者として「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の概要は知っていたが、「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」については、承知していなかった。
情報公開処理状況(施設部関係)に関する評価
(1)  本件資料には、請求者氏名及び一部請求者 (18名中6名)については、職業をも含めた個人情報が記載されるとともに、併せて防衛施設庁内LANの施設部掲示板に掲示され、掲示期間中において施設部全職員が閲覧可能な状態に置かれていたが、この点について、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(昭和63年12月16日法律第95号)(以下「法」という。)との関係で、検討すると以下のとおりである。
 本件資料は、施設部における情報公開担当者が行う施設部関連の開示請求事案の受付や進行管理を目的とするものであり、その記載内容のうち、個人情報に該当するものは、開示請求者本人により開示請求書に記入された氏名及び所属団体等である。所属団体等については、開示請求者の氏名欄に団体名等を記入されていた場合に一体のものとして記載していたものであり、開示請求に係る業務を迅速かつ適切に実施する利用目的を達成するために必要な限度を超えているとは言えず、法第4条第2項との問題は生じない。
まる2  しかしながら、本件資料の保有目的は施設部における情報公開関係者間の情報の共有化等情報公開業務の円滑な処理にあるが、施設部内に限定されているとは言え、Z専門官が、当該資料を情報公開業務に直接関係しない職員が閲覧可能な防衛施設庁内LANの施設部掲示板に掲示したことについては、結果的に情報公開業務に直接関係のない職員に対し、当該資料処理情報の目的外の参考資料として掲示したこととなり、法第9条第1項に違反する。
(2)  個人情報の防衛施設庁内LANの施設部掲示板への掲示については、本年4月中旬の時点で既に掲示板から削除されたものではあるが、法に則って慎重に取扱うべき個人情報について、法の理解を欠くものとして問題があったところであり、防衛施設庁として反省すべきものであったと考えている。
再発防止策
 情報公開業務における今般の事案の根本に個人情報保護に対する認識の低さとチェックの甘さがあったことに鑑み、防衛庁本庁に準じて、以下の措置を講じ同種事案の再発防止に努めていくこととする。
まる1 全職員の意識改革
全職員への周知徹底
 情報公開業務の適切な遂行及び情報公開に係る個人情報の保護に関する職員の認識を高めるべく所要の措置を講ずる。
まる2 個人情報に関する教育研修
個人情報保護の全職員への周知徹底
 各種教育研修の機会を通じ、情報公開法の目的が、情報公開が国民に対する説明責任を全うし公正で民主的な行政の推進に資するものである点及び情報公開業務に際しての個人情報保護の必要性について、周知徹底する。
情報公開担当職員の教育研修の充実
 情報公開担当職員について、早急に個人情報保護等についての研修体制を確立する。
まる3 個人情報保護のチェック体制の充実
 情報公開業務における個人情報の取扱いが適切になされているかを定期的に検査するために、情報公開室から独立した部署が当該事務を行う体制を確立する。併せて、各防衛施設局及び各防衛施設支局にも同様の体制を確立する。
まる4 情報公開業務実施手続の改善
 情報公開業務における開示請求者の個人情報保護の観点から、個人情報を厳正に管理し、手続の実施等のために必要な場合を除き原則として伝達しないこととする等、防衛施設庁における情報公開実施手続を見直し、「情報公開事務処理の手引き」に反映させる。

 

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