平成14年6月11日
防衛庁

調査報告

全般
本報告は、
まる1 「海幕三等海佐開示請求者リスト事案」
まる2 「内局、陸幕及び空幕リスト事案」
まる3 「防衛施設庁の情報公開処理状況(施設部関係)事案」
とこれら事案への内局、各幕、防衛施設庁等の対応等についての調査結果をまとめたもの。
調査体制
5月28日、まる1に関する報道に対し、防衛庁長官より徹底調査の指示を受け、副長官の下、調査開始。
さらに、個人情報に関する開示請求者関連資料が庁内LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)に掲載されていたことが判明したことを受け、6月3日、新たな調査体制を構築し、引き続き調査を継続。
海幕三等海佐開示請求者リスト事案について
(事案の概要)
A三等海佐は、海幕情報公開室勤務当時、個人の発意により、情報公開請求者について、氏名、住所、連絡先、請求する文書の名称等の他に、情報公開業務に必要な範囲を超えた個人情報(「受験者の母」、「反戦自衛官」等)を付加した開示請求者リストを作成。
A三佐は、これら個人情報を開示請求書のほか、インターネット、内局及び各幕の情報公開担当者とのやりとり、雑誌等から入手。
A三佐は、平成13年4月から平成14年3月までの間、自己の作成した開示請求者リストを、日頃業務上関係のあった内局各幕の情報公開室の担当者や以前からの顔見知りであった海幕調査課担当者等の計9名へフロッピーディスク等で配布。
調査の結果、最終的に14名が同リストの受領、閲覧又は保管に関与。
A三佐の上司である海幕情報公開室長は、A三佐に対し、リスト作成の中止や配布資料の回収について特段指示せず、事後的に黙認し、A三佐の異動に際し当該リストの引き継ぎを受けたもの。
(評価)
A三佐が作成した開示請求者リストは、請求者の行政機関電算処理個人情報保護法(「個人情報保護法」)上の個人情報を含みかつフロッピーディスク等の媒体で記録されたもので、同法上の「個人情報ファイル」に該当。
当該リストにある「受験者の母」や「反戦自衛官」といった記載内容は、情報公開業務遂行には必要のない個人に関わる情報であることから、当該リストの作成は、個人情報ファイルに記録される情報は当該ファイル保有目的の達成に必要な限度を超えてはならない旨を定めた個人情報保護法第4条第2項に違反。
A三佐が当該リストを情報公開室以外に配布した行為は、個人情報をみだりに他人に知らせてはならない旨を定めた同法第12条に違反。
A三佐の上司については、個人情報保護法に抵触するものではないが、A三佐のリスト作成等を黙認し、また、自ら引き継ぎを受けるなど、対応としては極めて不適切。
また、A三佐からリストを受領した者については、個人情報保護法に抵触するものではないが、個人情報の取り扱いについての認識が不足しており、対応としては不適切。
内局、陸幕及び空幕リスト事案について
(事案の概要)
内局、陸幕及び空幕のLAN上のホームページに、
まる1 内局については、個人名は記載されていないが「請求件名」中に請求者のイニシャルや団体を示す略語が記載されているリスト
まる2 陸幕については、個人名は記載されていないが「摘要欄」中に、開示請求者の職業、会社名等が記載(「オンブズマン」、「市民団体」、「○○新聞」等)されているリスト
まる3 空幕については、個人名は記載されていないが「請求者区分」欄中に、開示請求者の職業等が記載(「ラジオ・テレビ」、「オンブズマン」等)されているリスト
が掲載されていることが判明。
これを受け、内局、陸幕及び空幕の情報公開室において、ホームページへの掲載の中断及び該当部分の削除等の措置を実施。なお、これらの措置については、大臣まで適時の報告はなされず。
以上について、6月3日に大臣から指示を受け、事実関係及び関係法令の解釈について、さらなる徹底した調査を開始。
調査の結果、上記リストには、開示請求者の氏名は記載されていないこと、及び開示請求者を特定できるような情報は記載されていないことを確認。
また、個人情報保護法を所管する総務省に法律の解釈を照会し、認定した事実に基づけば、これらの開示請求に関するリストについて違法性はない旨の最終的結論を得たところ。
新たに、空幕情報公開室員が、東京地方調査隊隊員に「請求内容に興味がある」旨伝えられ、請求内容に氏名等を加え、文書で同隊員に配布していたことが判明。
(評価)
防衛庁における本事案の事実関係を確定するための調査及び個人情報保護法等の法的評価の検討が迅速かつ的確に行われなかったため、
まる1 大臣等への報告が遅れたこと、
まる2 報告内容に正確さを欠いていたこと、
まる3 報道機関等への対応においても明確な事実関係の提示ができなかったこと、
といった事象が発生。
このため、事案の概要に掲げたような事実関係にもかかわらず、内局、陸幕及び空幕LAN上に違法な個人情報リストが掲示されているとの印象を国民に与えてしまったことは不適切。
さらに、個人に関する情報の取扱いについては慎重であるべきところ、その点において配慮に欠けたことは不適切。
 
いわゆるLAN上における個人情報の削除問題については、イニシャル等だけの記載であっても違法となるかも知れないとの考えの下、一時的・応急的な措置として、情報公開業務に直接必要のない箇所を削除したもの。
内局、陸幕及び空幕のいずれの場合も、削除前のデータが保存されていることから証拠隠しの意図はなし。
しかしながら、内局、陸幕及び空幕の担当者がLAN上に掲載された資料から情報公開業務に直接必要のないイニシャル等を削除した行為は、それ自体は妥当であるが、かかる時期に、担当者だけの判断で行ったことは不適切。
 
空幕情報公開室員が、開示請求書に記入された請求内容に氏名等を加えて、文書で東京地方調査隊隊員に配布したことは、個人情報をみだりに他人に知らせてはならない旨を定めた個人情報保護法第12条に違反。
防衛施設庁の情報公開処理状況(施設部関係)事案について
(事案の概要)
施設部施設企画課所属の情報公開担当の専門官は、同部の開示請求処理状況の進行管理等を目的としたリストを作成。その中には開示請求書に記入された個人情報に該当する氏名及び所属団体名等を転記。
同専門官は、平成13年11月から平成14年4月中旬まで、施設部の全職員が閲覧可能な施設庁内LANの施設部掲示板に当該リストを掲示。また、平成13年11月頃の施設部の補佐等会議において、出席者19名に配付したが、会議終了後速やかに廃棄。
当該リストは、同専門官の判断で作成され、作成・掲示に際し、上司たる施設部長、施設企画課長への報告・了承はなし。
(評価)
開示請求書に記入された氏名等の個人情報は、開示請求に係る業務を迅速かつ適切に実施するためのものであり、当該リストの保有の目的の達成に必要な限度を超えているとは言えず、個人情報保護法第4条第2項の問題は生じず。
情報公開業務に直接関係しない職員が閲覧可能な施設庁内LANの施設部掲示板(施設部内限定)への当該リストの掲示は、目的外の利用につながり、同法第9条第1項に違反(なお、当該リストは、平成14年4月中旬に既に削除されているところ。)。
再発防止等
今般の調査の過程で、防衛庁内の情報公開業務において、全般的に個人情報保護に対する認識が十分ではなかったことが明らかとなり、国民に不安と疑念を与えたことは遺憾。
この反省に立って、かかる事案の再発防止のため、まる1全職員の意識改革、まる2個人情報に関する教育研修として、個人情報保護の全職員への周知徹底及び情報公開担当職員に対する教育研修の充実、まる3個人情報保護のチェック体制の充実及びまる4情報公開業務実施手続の改善が必要。また、個人に関する情報の取扱いに際し、個人情報保護法の趣旨を踏まえ適正に管理する必要。
今回の事案によって、国民の防衛庁に対する信頼を損ない、個人情報保護行政に多大な影響を与えた責任を痛感。

 

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