MV-22オスプレイへの空中給油再開について

平成29年1月5日
防衛省

 昨年12月13日、沖縄県名護市東海岸沖合に不時着水した米海兵隊普天間基地所属のMV-22オスプレイ(以下、「オスプレイ」という。)については、在日米軍において、同月19日から空中給油以外の飛行を再開しています。
 防衛省としては、飛行再開後これまでの間、今般の事故の要因としてどのようなものがあり得るか、当該要因に対し米側が実施した対策が有効であるかについて米側との間で実務レベルにより継続的に協議を重ねてきました。その結果、今般、米側において安全に空中給油を実施する準備が整ったものであると考えられることから、以下のとおり、その内容をお知らせいたします。

1 事故の概要

  • ・ 2016年12月13日(火)21時30分頃、沖縄県名護市東海岸の沖合で、米海兵隊普天間基地所属のオスプレイ1機が不時着水した。
  • ・ 搭乗員5名は無事(うち2名は負傷したため入院したが、意識あり。1名は12月15日(木)に退院。1名は引き続き入院中(12月末時点))。

2 事故の状況及び原因(初期的な調査結果)

  • ・ 12月13日(火)夜、沿岸部から約40海里(約74km)離れた、沖縄北東の公海上の訓練空域内において、当該オスプレイは米空軍MC-130×1機とともに、夜間の空中給油訓練を実施していた。通常、空中給油訓練は、陸地から離れた海上で実施されている。当時の天候は、夜間の空中給油を行うために許容される条件の範囲内であった。
  • ・ 夜間の空中給油は複雑なオペレーションであって、搭乗員による高い技能、訓練及び資格が求められ、それらについて細部まで確認された上詳細な記録が行われる。オスプレイは、固定翼モードで空中給油を行えるよう設計されている。空中給油の際は、オスプレイの給油管(プローブ)が、空中給油機の給油ホースと接続する。給油が終われば、パイロットは給油ホースをプローブから外す。
  • ・ 今般の事故では、給油が終了し、オスプレイのプローブとMC-130の給油ホースを分離させた後、21時5分頃、給油ホースとオスプレイの右のプロペラが予期せぬ接触を起こしてしまい、ブレード(羽)が損傷した。オスプレイの空中給油に際して、このような接触が発生したのは、今回が初めてである。
  • ・ オスプレイのブレードの損傷は回転するうちに大きくなり、飛行が不安定な状態となったため、搭乗員は訓練地点から相対的に距離が近いキャンプ・シュワブを目指し飛行を続けた。パイロットは、搭乗員の安全確保と飛行を継続することを両立させながら、地元への影響を極小化するため海岸沿いを飛行していたが、途中、安全な飛行を続けることが困難であることを認識し、浅瀬に不時着水することとした。着水するまでブレード以外機体には損傷はなかったが、着水時にプロペラのブレードが水面と接触し機体が着水した時の衝撃によりかなりの損傷が生じた。
  • ・ 事故後、米側において、オスプレイ全ての機体に対し、飛行安全上の重要箇所について確認が行われたが、搭載システム、機械系統及び機体構造に問題は発見されなかった。したがって、本事故の原因は、オスプレイの搭載システム、機械系統及び機体構造ではなく、空中給油時に給油ホースとオスプレイのプロペラが物理的に接触したことにあると評価される。

3 接触を引き起こした要因及び米側がとった対策

(米側が分析した人的要因及び環境要因)

  • ・ 事故後、米側は、12月19日の飛行再開までの間、日本における全てのオスプレイの飛行を停止した。
  • ・ 当該飛行停止期間中、米側は、事故には、いかなる構造的または機械的な要因もなかったことを確認し、12月19日から、空中給油を除き全てのオスプレイの飛行を再開した。
  • ・ 米側においては、現在、最終的な事故調査を行っているところであり、空中給油時に給油ホースとオスプレイのプロペラが予期せず接触する原因となり得た、人的及び環境要因の可能性について精査が行われている。
  • ・ 人的要因としては、クルー・リソース・マネージメント(CRM)と呼ばれる搭乗員の資質管理上の問題とされる、搭乗員間の意思疎通、決断力、搭乗員の心身の健全性等が含まれるほか、オペレーショナル・リスク・マネージメント(ORM)と呼ばれる運用リスク管理上の問題である、状況分析や環境要因に対する考慮のほか、飛行速度・燃料・高度や経路等飛行に係るあらゆる要素の管理等が含まれるものと考えられる。
  • ・ 環境要因としては、風、乱気流、周辺環境が発する光、降雨等が考えられる。
  • ・ このような人的及び環境要因に、夜間の空中給油の複雑さが重なり、給油ホースとプロペラの接触を引き起こした可能性があるが、詳細な要因については、最終的な事故調査によって確認される。

(米側によってとられた対策)

  • ・ 事故調査は継続中ではあるが、米側においては、日本におけるオスプレイへの昼夜全ての空中給油を一時停止し、同様の事故の再発防止のため、これら可能性のある要因を網羅する包括的な対策を以下のとおり講じた。
    • (ア) 空中給油機及びオスプレイの搭乗員全員に対し、以下の教育・研修を徹底。
      • ① 天候や飛行条件を事故が発生した時と同じものに設定した上、同様の事故が生じないよう、空中給油についての手順を確認し、地上のシミュレーターを用いて空中給油のシミュレーション等を実施
      • ② 搭乗員全てが空中給油に必要な教育・訓練を通じ習熟したことを確認した上で飛行日程を組むこととする
      • ③ オスプレイを運用する海兵隊とMC-130を運用する空軍が共に今般の事故を検証し合い、相互に連携して安全に活動できるよう、飛行中の連携要領を再確認する
      • ④ 空中給油時に発生する緊急事態における、経験等を踏まえた最適な手順を強固にするため、パイロットやその他搭乗員等の経験談及び教訓を共有する
      • ⑤ クルー・リソース・マネージメント及びオペレーショナル・リスク・マネージメントの基本理念や重要性を再確認し、状況分析、意思決定、そして、平時及び緊急時において搭乗員の安全と効率性を最大化することを確認する
    • (イ) また、空中給油の専門家により、風及び乱気流の影響、安全に給油を行うための飛行速度、空中給油を受けて帰投するのに最適な燃料の量、給油ホースに接触した同様の事例からの教訓について詳細な教育が行われた。
    • (ウ) さらに、海兵隊における空中給油の教官により、最小限の燃料、片方のエンジンだけでの飛行、通信途絶といった緊急時を含め、空中給油活動を安全かつ効率的に遂行する場合における様々な技術と搭乗員の責任について詳細なブリーフィングが行われた。
    • (エ) あわせて、 海兵隊の他の空中給油の専門家は、飛行活動全般に影響する主要な要因を再確認すべく、空中給油に直接関係する範囲ではない事項も網羅して教育を行った。具体的には、あらゆる光度条件の下での活動(とりわけ、暗視ゴーグルを装着しての空中給油等の飛行活動)、低高度での飛行、空母等への着陸、狭小な区域への着陸、飛行中の緊急事態への対応等について確認を行った。また、同専門家は、飛行速度・燃料・高度や経路等飛行に係るあらゆる要素の管理、通信、任務の計画とブリーフィング、及び運用上安全でない条件を回避するための搭乗員の役割と責任について詳細な説明を行った。
    • (オ) さらに、同様の緊急事態が生じる場合の着水手順が確認されるとともに、整備部隊は、技術マニュアルと品質保証方法の確認を行った。

4 防衛省としての評価

  • ・ 防衛省においても、これまで米側に確認した情報に基づき、防衛省・自衛隊の専門的知見及び経験に照らしながら、給油ホースとオスプレイのプロペラが接触したことに係る詳細な要因を分析した。
  • ・ そのなかでは、人的及び環境要因に加え、夜間の空中給油の複雑さにより、例えば、航空機同士が十分な距離を保てず給油ホースが当たってしまったのではないか、といった議論も行われた。
  • ・ このような物理的な接触を引き起こした具体的な要因は、今後の最終的な事故調査のなかで確認されることになるが、防衛省における分析においては、以下のような可能性について考察を行い、その上で、米側によってとられた対策が有効であるかについて評価を行った。
    • (1) 訓練の十分な習熟がなされないままに飛行するなど、フライトスケジュール(飛行日程)が適切に組まれなかったことにより、搭乗員の練度が十分でなかった可能性については、米側がとった対策3.(ア)②のなかで、適切な飛行日程が組まれることとなった。
    • (2) 航空機の搭乗員同士または海兵隊と空軍同士の連携が十分ではなかった可能性については、米側がとった対策3.(ア)③及び⑤のなかで、搭乗員同士及び航空機同士の連携を向上させた。
    • (3) 緊急事態に対する搭乗員の経験や知識が十分ではなかった可能性については、米側がとった対策3.(ア)④及び(イ)のなかで、緊急事態における経験等を踏まえた最適な手順が共有されるとともに、適切な人材及びリスク管理による緊急事態への対応を改善した。
    • (4) 天候の変化を機敏に認識できなかった可能性については、米側がとった対策3.(ア)⑤のなかで、天候を含む周囲の状況分析と適切な対応について搭乗員の理解を確認した。
    • (5) 風や乱気流等に対する対応が十分ではなかった可能性については、米側がとった対策3.(イ)のなかで、風や乱気流等が空中給油に与える影響と適切な対応について搭乗員の理解を確認した。
    • (6) 給油を行う際の飛行速度が適切ではなかった可能性については、米側がとった対策3.(イ)のなかで、安全に給油を行うための飛行速度について搭乗員の理解を確認した。
    • (7) 複雑な夜間の空中給油への対応が十分ではなかった可能性については、米側がとった対策3.(エ)のなかで、暗視ゴーグルを装着しながら夜間の空中給油を適切に実施する方法について搭乗員の理解を確認した。
    • (8) 給油ホースまたはオスプレイのプローブが正常に作動しなかった可能性については、米側がとった対策3.(オ)のなかで、給油器具が適切に作動するための整備方法等を確認した。
  • ・ このように、米側は、接触を引き起こした可能性があるとして指摘された要因に対し有効であると思われる対策を幅広くとっているものと考えられる。
  • ・ また、3.(ア)①のなかで、天候や飛行条件を事故が発生した時と同じものに設定した上、空中給油についての手順を確認し、地上のシミュレーターを用いて空中給油のシミュレーション等を実施したことは、同様の事故の再発防止に有効であったと考えられる。

5 空中給油の再開

  • ・ 上述のとおり、米側においては、接触を引き起こした可能性のある各種要因に有効であると思われる対策を幅広くとっており、昼夜ともに、空中給油の再開に当たっては、慎重かつ段階的なアプローチがとられ、搭乗員だけでなく整備員に対しても幅広い教育を行った上、シミュレーターによる空中給油訓練をしっかりと行ったことから、安全に空中給油を再開する準備は整ったものと考えられる。
  • ・ その上で、米側からは、空中給油は、日本の防衛とアジア・太平洋地域の平和と安定にとって欠くことのできない活動であり、搭乗員は、空中給油の実施により、その技能と練度を維持する必要があるとの説明を受けており、防衛省としては、飛行の安全が確保されることが大前提ではあるが、空中給油の重要性を理解する。
  • ・ これらのことを総合的に勘案すれば、米側において、明日(1月6日)以降、空中給油が再開されることは理解できるものである。

以上

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