米軍再編シンポジウムにおける長官挨拶(要約)

平成18年 5月20日

 そもそもは、一昨年の5月、超党派で安全保障議員団がワシントンに行きまして、様々な意見交換した際、民主党も公明党も自民党も含めて、SACO合意に伴う普天間飛行場の移転の問題について、平成8年からスタートして、8年も経つのに全然進展していないと、このままで行くと本当にSACO合意は実現できるのかというようなことが我々政治家の間でいろいろと話題になりつつありました。その際、ラムズフェルド長官及びローレス副次官と会う時に、SACOの普天間飛行場の移転の問題について、方向転換させようじゃないかという話をしました。つまり、SACO合意で辺野古沖合2キロメートルのところに軍民共用下で飛行場を作るという考え方について、ちょっと再検討したらどうだろうかと。一つは、普天間の機能を分散して、そしてヘリポートを沖縄に作り、あとの2つの機能は本土に持っていくというような考え方を示しながら、ラムズフェルド長官と話をしたのでありますが、これが米側でも理解できるということで、普天間飛行場の移転の転換が図られようとしたのです。その同じ年の8月に、実際に普天間でヘリが墜落しました。ラムズフェルド長官も現場を見ていて、「こんなところで訓練をしていたのか」ということで、従来の普天間飛行場移転の構想が、方向転換が確実になってきたのでございます。
いろいろな議論を積み重ねながら、昨年秋の「2+2」において、従来のSACOで示された案に代わるものが出てきた訳でございます。つまり、キャンプ・シュワブの陸上と、辺野古岬、大浦湾を使った現在の最終合意になった案が形成されていく訳でございます。
要するに、我々は普天間の危険をどうやって解消していくか、それから米軍再編に伴う動きをどう活用していくかという視点から新たな提案をし、それが、方向転換がなされた原因であるということを、これは政治主導で行われたということをまずご承知置きいただきたいと思う訳でございます。
その上で、昨年の秋以降、中間報告が出されて、一定の方向付けがなされたのであります。従来と違うのは、米軍再編に伴う日本の安全保障、防衛の考え方、あるいは同盟がどういうふうに進むのかということについて、戦略目標というものが形成されて、単なる基地の再編、縮小ではない。きちんとした目標、目的が作られている。その中で米軍再編が行われている。そして、米軍も再編するけれども、我々自衛隊も変革していく。それは、従来型の国家と国家の戦争だけではない、テロに対する対応をどうするのか。あるいは、ミサイル防衛をどういうふうにしていくのか。あるいは、国際平和協力活動で、日米同盟でどういう協力ができるのか。そういったことが戦略目標の背景としてありました。日本の防衛だけでなく、地域の安定、テロ対策、油の安定的供給やシーレーンの確保など、そういう目標を掲げて、その中で日米同盟はどういう役割を果たせるのかということがありました。そういう理念の布石があって、我々も米軍の再編を好機と捉えて、自らの国家戦略、あるいは防衛戦略、安全保障戦略を考え、我々は主体的、積極的な姿勢でこの問題に取り組んできたという思いが致します。
そして、この最終報告に向けて加速できましたことは、普天間基地の移転について、その移転先の地域でそれぞれ理解を得ることができたということだと思います。普天間の基地は3つの機能があります。1つは有事の時に普天間の滑走路を利用できる機能がありますが、その機能をどこで果たすのかについて、九州の築城、そして新田原飛行場等々を利用できる。もう一つは、ヘリの機能を効率的に、持続的に活用できるように給油機能があります。それをどこで訓練したりするのかについて、当初は鹿屋基地でお願いしようかとしていましたが、最終的には岩国に拠点を置いて、鹿屋やグアムで訓練はすることになり、一定のメドがついた。
さらに、移転されるヘリポートをどこに作るかということですが、中間報告ではキャンプ・シュワブの米軍基地の陸上部分と海上部分を利用した形で作ろうということが提言されたのでありますが、沖縄県も名護市も反対でございました。従って、これをどういうふうにすれば賛同を得るようにできるかということが最大のポイントでありました。私は知事さんや市長さん、名護市の、あるいは辺野古地区の区長さんとか、様々な人に膝を付き合わせて、何回も何回も話をしました。その結果、最終的に皆に納得してもらったのは、最も危険な、言ってみれば危険性のある普天間基地を移転して、普天間基地の全面返還を図るということは沖縄県民の要望であり、それは、日本国民にとっても要望であります。これはどなたも反対しない。そして中間報告では、キャンプ・シュワブにヘリ機能だけを移転しようということでありますから、辺野古の皆様方に理解していただければ、全てが上手く進捗していくことになる。辺野古の皆様方には若干負担を増加させることになるけれども、我々も万難を排して皆様方の意見に耳を傾け、できるだけその負担の最小限化を図る努力をするから、ご理解をいただけないかということを積み上げたのであります。最終的には、地元の方々はヘリが住居の上空を飛ばないようにしてくれということが1つ、もう1つは辺野古岬には藻場とか自然環境があるのですが、その環境をできるだけ潰さないでくれということでございました。我々はよくよく考えた結果、では滑走路2本作って上空を飛ばないようにしようじゃないかと。そして、10年経っても環境調査もできないということでしたから、今度は、必ず実現しなければならない。実効性が伴わなければならない。海の上ではなかなか反対陣営に邪魔をされて、うまく仕事が進まないということを実体験的に我々は経験しております。
以上のように、辺野古の地元の皆様方の上空を飛ばないこと、藻場等に対し最小限の形で作ってくれということ、そして我々も実効性が叶うということを条件としました。そこで我々が二本の滑走路を作ることによって上空を飛ばないという条件を出して、地元の了解を得ることができたのです。これによって、普天間飛行場の全面返還が可能であるということが共通の思いになりまして、米国側も実行に移すことができるのではないかという期待感を示すことになったと思っております。その上に立ち、米海兵隊のグアム移転とか、様々な具体的な話が進捗していったものと思っております。普天間飛行場の移転先が一番大変なことでございました。
その次は、海兵隊8千人をグアムに移転させる時の経費をどう負担するのかということでございます。小泉総理と私はよく話をしまして、これは沖縄県の負担を軽減していく上で、応分の負担をしていくことは国民の理解を得られるのではないかと。それは皆様もご承知のとおり、米軍基地の75パーセントは沖縄に集中している、第2次世界大戦の唯一の戦場であったということ、沖縄県民の負担の軽減のためには、我々はできる限りのことをしてあげる必要があるということ、それは日本全体の負担で行うことを国民の皆様方も理解してくれるのではないかということで、私どもは、これは何とか実現しようではないかということで話をしました。外務大臣、官房長官、財務大臣、沖縄担当大臣、私の5閣僚の関係大臣で、よく相談をしました。あるいは場合によっては、外務大臣、官房長官、私の3人でいろいろと意見の調整を行いました。何と言っても、この財源の問題について、アメリカは当初、全体の経費の75パーセントは日本で持てと、アメリカは25パーセントを持つということでございましたが、75パーセントも日本が持つということは、国民を説得することができないと、これは何とかしなければならないということで、相当やりあったのでございます。結果的に、私は実質的な負担については、日本の直接的な、いわゆる真水財政支出はアメリカよりは少ないし、あとは出資・融資で補って応分の負担をしていく訳ですが、出資・融資は返ってくることになりますから、実質的な負担は半分以下になっていきます。
沖縄の負担が軽減され、しかも日米同盟関係の信頼関係が構築され、さらに日米の基地の共同使用とか運用面とか情報の共有とか、様々な分野でお互いに防衛能力、抑止力を高めていくことができるということは、日本にとって極めてプラスであると考えたのであります。しかもなおかつ、グアム移転もこれから少なくとも最高8年くらいはかかる。あるいは普天間の基地をキャンプ・シュワブに移転する事業とか、様々な米軍基地の国内における移転や新しい施設を作るとか、整理縮小など、これも10年前後はかかるということになります。少なくとも向こう10年、20年の日米同盟関係の信頼関係というものがきちんと約束されたものであるということは、我々、世界の中で日米同盟がどういう役割を果たしていくかということに思いをいたしながら、こういう基盤作りができたということは、私は大いなるプラスではないかと思っております。
これが一般的な流れでありますが、在日米大使館のシーファー大使は、ブッシュ大統領とは非常に親密な間柄であり、ワシントンに行けば、すぐ一緒に食事をする仲間であると言われております。シーファー大使が日米同盟関係の将来のこと、あるいはこの米軍再編の問題を解決しなければならないという使命感に燃えて、非常に汗をかいていただきました。私は今度の米軍再編に伴う最終合意の背景には、そのようないろいろな人の力が作用して、今日を迎えることができたと思っております。「2+2」が5月1日にワシントンで開かれたのでありますが、後にシーファー大使から聞きましたが、「2+2」の前に、ブッシュ大統領とこれまでの経緯についてよく話をしたと。ブッシュ大統領は、非常に日米同盟関係がスムーズに展開することができたことを喜んでおり、今後も日米同盟関係が新たな絆を結んでいくことが、この地域だけではなく、大いなる意義を持つものであると話をしていたということを聞かされました。
SACOの普天間の当初の移転計画についての閣議決定がまだ存続しております。近いうちに、新しい閣議決定、最終合意に基づいた閣議決定を行いまして、事実上、今度の最終合意を実現させていくための環境作りをしていきたいと思っております。沖縄一つとっただけでも、8千人の海兵隊、そして家族の皆様方がグアム移転すれば、雇用の問題だとか地域経済に与える影響は大きいものがあります。あるいはスムーズに行けば、嘉手納以南の1,500ヘクタールの土地が返還されることになりますが、こういう土地の跡地利用をどうするのかとか様々な問題について、沖縄県だけでなく、我々政府が全体として責任を持って、地域の皆様方とよく協議をしながら展開していく必要があると思っているところでございます。
小泉総理も私どもに度量をもって任せてくれて、日米同盟関係の将来についてしっかりとやるようにと言ってくれた、そういう連携プレーも大きかったものと思っております。

米軍再編シンポジウム(PDF:343KB)

関係地方公共団体一覧(PDF:552KB)

在日米軍の兵力態勢の再編<1/2>(PDF:598KB)

在日米軍の兵力態勢の再編<2/2>(PDF:617KB)


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