防衛施設庁解体後の新たな防衛組織の骨格及びその論点について

平成18年 4月27日

 「防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策に関する検討会」においてとりまとめた「基本的方向(3月24日公表)」も踏まえ、4月7日、額賀防衛庁長官を委員長とする「防衛施設庁解体後の新たな防衛組織を検討する委員会」が設置された。
 本委員会では、監査・監察、施設庁業務、地方調達、地方組織、内局の5つの切り口から検討を行ってきたが、新たな防衛組織の「骨格」及びそれに係る「論点」について、これまでの検討の成果は以下のようなものである。
 今後、平成19年度概算要求に向けて、防衛庁の新たな姿を具体的に構築すべく、さらに検討作業を進める。

1 全庁的な立場から監査・監察を行う組織・部局の新設

(1)骨格

① 新設する監査・監察を行う組織・部局は、防衛庁長官に直属し、内部部局や各幕僚監部などの既存の各組織から切り離された、独立した位置付けとする。
 また、当該組織・部局が独立した立場から厳格にチェックを行っていくため、その長は事務次官に準じた高位の職とする。さらに、当該組織・部局には、陸海空の自衛官も配置するとともに、部外の人材も登用する。

② 具体的な業務は、予算の適正かつ効率的な執行を確保するための会計監査業務や、法令遵守に関する監察業務を全庁的な視点から行うことを軸とする。

③ 新設する監査・監察を行う組織・部局が機動的かつ実効的に業務を行えるよう、必要なスタッフ体制を構築する。また、当該組織・部局が業務を行うに際し、必要に応じて自衛隊の部隊などを活用できるような仕組みを構築する。

④ 「意見提案窓口」を設置するなど、予算執行上の問題点や職員の非違行為などの監査・監察対象に係る意見を広く職員から受け付け、また、公益通報者保護制度にも対応する体制を構築する。

(2)論点

① 新設する組織・部局はどのような組織形態とすべきか。

② 新設する組織・部局の具体的な所掌事務はどのような内容とするか。この際、防衛庁内の既存の監査・監察組織との関係や、監査・監察に係る防衛庁内の事務分担の在り方も整理する。

③ 予算の適正かつ効率的な執行を確保するための会計監査業務や、法令遵守に関する監察業務などを具体的にどのような形態で行い、どの程度の規模のスタッフ体制とするか。

④ 新設する組織・部局は、警務隊や情報保全隊などに業務を行わせることの是非を含め、どのような場合に、どのような仕組みで自衛隊の部隊などを活用するか。また、効率的に監査・監察業務を遂行するとの観点から、自衛隊の部隊の組織の在り方に工夫の余地はないのか。

2 防衛施設庁の業務の精査・見直し

(1)骨格

① 防衛施設庁を単純に「施設本部」などの新たな組織には移行しない。

② 防衛施設庁の業務について精査・見直した上で、その性質に応じて分類すると、大きくは以下のように整理される。

ⅰ)組織管理業務

(例) 総務、人事、会計

ⅱ)地方自治体や国民との関係に焦点を当てた業務

(例) 基地周辺対策、防音対策、駐留軍による事件・事故の補償、自衛隊及び駐留軍の行為に起因する損失の補償、自衛隊及び駐留軍施設の返還

ⅲ)施設の取得を中心とする調達に係る業務

(例) 建設工事、土地の購入・借上、駐留軍のための物品・役務の提供

③ 上述の分類ⅰの組織管理業務については、内部部局に移管する。

④ 上述の分類ⅱの地方自治体や国民との関係に焦点を当てた業務のうち、企画立案に係る部分については内部部局に移管する。

⑤ 上述の分類ⅲの調達に係る業務のうち、企画立案に係る部分以外の部分については内部部局ではなく、透明性の高い実施部門で処理する。

⑥ 現在、各自衛隊の現場からのニーズは、まず各幕僚監部が取りまとめ、その上で防衛庁長官の承認を得て、防衛施設庁において建設工事、用地の取得などを実施しているが、こうした業務の流れは基本的に維持する。

(2)論点

① 安全保障を担う組織に相応しい、防衛政策と施設行政が密接に連携し、かつ、ユーザーサイドのニーズを的確に反映できる体制とはどのようなものか。

② 上述の骨格⑥の業務の流れを、より効果的かつ効率的にするためには、いかなる組織とすることが適切か。

③ 上述の分類ⅲの調達に係る業務のうち、建設工事に係る工事計画、設計、積算、施工監理といった業務を処理する部門については、独立行政法人化することが適切か。

3 地方において部隊等が直接行っている調達業務の見直し

(1)骨格

 装備品等の調達業務は、現在、地方の部隊等においても直接行っているが、こうした業務についても、今回の事案を契機として精査を行い、部隊運用上の要求への即応性及び柔軟性の確保、透明性の一層の向上、調達業務の効率化、統合運用を踏まえた調達体制の整備等の観点に留意しつつ、必要な範囲内において新たな業務実施体制を構築して処理する。
 その際、新設する監査・監察を行う組織・部局などを通じて、適切に業務をチェックできる体制を構築する。

(2)論点

① これまでどおり地方の部隊等が自ら行うべき調達業務と、新たな実施体制を構築して処理すべき調達業務とを具体的に区分する基準はどのようなものか。

② 部隊運用上の要求への即応性及び柔軟性の確保と調達業務の透明性などとの調和を図るため、どのような体制とするか。

4 地域と防衛行政との接点を担う地方組織への再編

(1)骨格

① 防衛施設局を、施設行政を含めた防衛行政と地域との接点を担う新たな地方支分部局に再編する。

② 新設する地方支分部局では、現在の防衛施設局が行っている業務に加え、広報・渉外、防衛政策に係る地方との調整といった業務を行うこととし、そのために必要な体制を構築する。

③ 自衛隊地方協力本部の事務のうち、広報・渉外に係る事務については、新設する地方支分部局が当該事務に対して関与することができる枠組を構築する。

④ これまで防衛施設局の建設部が行ってきた建設工事の発注業務について、相互牽制機能を強化するため、「積算」部門と「契約」部門を分離する。

(2)論点

① 新設する地方支分部局と装備本部の地方支部とを、どのような関係とするか。

② 現在の防衛施設局は、防衛施設の所在に応じて全国に8局が配置されているが、新設する地方支分部局では防衛行政と地域との接点を担う組織となること等を踏まえて、局の数はどの程度必要か、また、担任区域をどのように設定するか。

③ 新設する地方支分部局に、各自衛隊などのユーザーサイドのニーズを的確に反映する仕組みをどのように構築するか。

5 内部部局の再編

(1)骨格

① 地方自治体や国民との関係に焦点を当てた新たな部門を内部部局に設ける。
 この部門では、防衛政策と施設行政が密接に連携した体制を確保するため、防衛施設庁がこれまで行ってきた地方自治体や国民との関係に焦点を当てた業務に加え、現在内部部局が所掌している、防衛庁の政策や施策を地方自治体などに周知するといったような業務を一元的に取り扱う。

② 真に防衛を担う組織として、国民の負託に応えるべく、日米関係、国際関係、長期戦略などといった分野で、政策立案機能を強化する。

(2)論点

① 地方自治体や国民との関係に焦点を当てた部門の具体的業務や、関係部局との事務分担の在り方は、どのようなものとするか。

② 人事や組織など、同種の業務でも自衛官に関するものと事務官等に関するものとで所掌する部署が異なる業務(例えば人事は、自衛官では人事教育局が、事務官等では長官官房が所掌)や、予算関連業務などについては、効率的な業務の遂行といった観点から一元化すべきか否か。

6 その他

(1)新設する監査・監察を行う組織・部局を真に実効あるものとするためには、組織の面のみならず、人材面や運用面についても、以下のような点をはじめとして検討する必要がある。

① 新設する監査・監察を行う組織・部局に登用・配置される者として相応しいのはどのような人材か。また、当該組織・部局の長も含めてどのような人材が登用・配置されるべきか。

② 新設する監査・監察を行う組織・部局に登用・配置される者の意識、能力を維持向上させる上で必要な研修制度や人事管理は、どのようなものか。

(2)また、「背広」と「制服」の間にある垣根をできるだけ低くするため、内部部局における自衛官の勤務の在り方はどのようにするか、同じく、各幕僚監部などにおける事務官等の勤務の在り方はどのようにするかについても、検討する必要がある。

(3)本検討においては、これまで防衛施設庁が培ってきた地元との関係を維持・発展するとともに、職員が経験を活かし、誇りを持って業務に従事できるような組織となるよう留意する。

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