防衛大臣記者会見

日時
令和6年1月30日(火)10:24~10:50
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版①
動画版②

1 発表事項

能登半島地震に係る災害派遣について申し上げます。防衛省・自衛隊は、本日も、自治体からのニーズも踏まえながら、生活支援活動を実施しております。一昨日は、新たに能登町において給食支援を開始しており、また、被災地において給水支援、給食支援、入浴支援、物資輸送、そういった生活支援を実施しておりますが、引き続き、被災地のニーズを踏まえながら、組織的かつきめ細やかな対応を実施してまいります。なお、自衛隊がこれまで実施していた生活支援の一部については、民間の事業者やボランティアが実施できるようになってきておりますが、被災地においては、水の供給にも道路の移動にもいまだ困難な状況というのが見られており、引き続き、自治体と連携しながら、しっかりと対応してまいります。防衛省・自衛隊としては、災害派遣に従事する隊員の健康管理やメンタルヘルス、そういったことにも留意しつつ、引き続き、被災者に寄り添った様々な活動を全力で実施していく所存です。

2 質疑応答

Q:昨年4月に沖縄県宮古島沖で起きた陸上自衛隊ヘリの墜落事故について伺います。事故を巡って一部報道で、防衛省がフライトデータレコーダーを調査した結果、2基のエンジンのうち1基にトラブルが生じていたこと、また、正常な方のエンジンを切ったデータが残っていたことが報じられております。この事実関係を教えてください。併せて調査結果報告書の公開時期のめどもお願いいたします。

A:昨年4月に発生しました陸上自衛隊のUH―60JAの事故に関しましては、これまで機体・構成品の破損状況の調査、フライトデータレコーダーの解析、そして関係者からの聞き取り、操縦士等の教育訓練実施状況に係る確認などを実施し、様々な面から事故原因を現在も探求しているところであります。加えて、より幅広い観点から更に検討を深めるため、昨年10月以降、事故調査委員会に専門的知見を有する部外有識者に参加をいただいて、専門的な知見をいただきながら、現在も客観的かつ詳細な調査を行っているところであり、事故の発生原因については、相当程度の絞り込みはできているものの、現在も調査中であることから、原因等について、現在、この場でお答えできる段階にはないというところであります。その上で、御指摘の今般の一部報道でありますけども、その内容に不正確な部分があり、また、現時点で、あたかも事故原因が判明したかのような報道がなされることは、国民の皆様に対して誤解を与えるものと考えています。加えて、殉職された自衛隊員及びその御遺族に対する配慮という観点からも大変遺憾だというふうに感じます。調査結果は、確かな分析の下でまとめられたものをお示しすることで、初めて事故の再発防止や、国民の皆様の安心にもつながります。事故調査がまとまる時期については、確たることは申し上げられませんが、こうした考えの下で、引き続き徹底的な調査を迅速に進めてまいります。

Q:米軍那覇港湾施設、那覇軍港の返還合意から50年が経過しました。まだ返還されていないことに対しての大臣の受け止めを教えてください。また、2022年に沖縄県、浦添、那覇の両市が形状と配置について合意し、日米でも合意するなど、浦添市への移設を少しずつ進め始めていますが、浦添市への移設というのは、機能強化にならないのかということ、あくまでも現有機能の維持だというふうに説明されていますが、その根拠も併せて教えてください。

A:まず、那覇港湾施設についての受け止めという前段の御質問でありますけども、1974年に移設条件付きでの全部返還が日米政府間で了承されて、そして、本年1月をもって、それから50年が経過するものと承知しております。これまでの間、代替施設に対しては様々な御意見があったところであり、地元浦添市が代替施設を受け入れていただくまでにも様々な経緯があったと承知をしております。こうした中で、2022年10月に、浦添市や沖縄県を含む関係機関との間で代替施設の整備を進めていくことを確認した上で、昨年4月には、代替施設の位置及び形状のほか、代替施設内の施設配置計画を定めたマスタープランについて日米間で合意するに至り、代替施設の建設に向けて着手できる状況が整ったところであります。那覇港湾施設の返還は、跡地利用に大きな期待があり、地元の皆様から熱望されているものと承知しております。沖縄の基地負担軽減の観点からも、早期返還を実現できるよう、防衛省として一層努めていかなければならないというふうに思っております。後段の御質問は、それが機能強化、あるいは現有機能の維持なのかという、そういう御質問だったと思いますが、代替施設の整備は、現有の那覇港湾施設の機能維持を目的とするものであります。移設に伴って整備される建物・工作物等は、マスタープランに記載しているとおり、事務所棟、倉庫、食堂、消防署などであり、代替施設においても現有の那覇港湾施設の機能を維持するために必要なものであることを、こちらも日米両政府の間で確認をしております。防衛省としては、引き続き環境影響評価手続と並行して、調査・設計等を始めとする必要なプロセスを着実に進めて、那覇港湾施設の返還を早期に実現できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

Q:話題変わりまして、大臣の政治姿勢について伺うんですけれども、大臣が所属している平成研究会では、自民党の政治改革大綱に基づいてですね、在任中は党の幹部や閣僚の間は派閥を離脱するという動きが出ていますが、この点について大臣の見解や御対応を教えてください。

A:私の防衛大臣というよりも政治家個人の考え方というので、あまりこの場では申し上げるのは相応しくないかもしれませんが、非常に世間的に関心の高いことですので、申し上げるならば、今回、政治刷新本部で議論されて、その議論には参加することはできませんでしたが、中間取りまとめが、これができて、そしてその内容について合意されたということであります。その内容は私も確認をしております。その中間取りまとめの内容に基づいて、中間取りまとめの範囲内で現行の様々な、いわゆる派閥といわれている現在の政策グループのですね、今後の対応というものが迫られるものというふうに思っております。その中では、派閥は解消するということが書かれております。では派閥は何かというと、いわゆる派閥の役割といった、そういう負の部分で言うと、そういった政治資金パーティー、それが発端となって、今回の不正なそういう帳簿の操作などが行われていたこと、そしてそれから、人事に過度な介入をしていたということ、この2点だろうと思いますので、今回、そういういわゆる派閥の解消というのが、中間取りまとめに書かれておりますが、そこは、いわゆる従来のその負の部分ですね、政治資金パーティーに端を発するということであれば、その元を断つと言いますか、派閥で政治資金パーティーを行わないということ、それから、人事介入ができないような仕組みを作るということ、この点は、中間取りまとめでまとめられたことであるので、これには恐らく全ての派閥が現在の派閥が従うものと思っております。それ以上のこと、例えば、登録している政治団体についてですね、そこの部分を解散するかどうかというのは、この部分は、具体的には中間取りまとめには書かれていないわけでありまして、その部分、政治団体を解散することが果たしてそれが今の問題の解決になるのかどうかということですね、そういったことを今日、私のグループでいうとですね、今日の夕方だったと思いますが、集まって話をするということでありますから、私も今この時点では、何が結論かというのは、はっきりとまだ自分の中でですね、落としどころは見つけていないんですけれども、最低限その中間取りまとめの範囲内ではしっかりとそれを守っていくという、そういう前提で今日の夕方に仲間の同僚のですね、意見なども聞きながらですね、そして最終的には、一つの方向にまとまっていければなというふうに思います。新たな政策集団として、新たに脱皮をするという、そういった幹部の御意見などもあろうかと思いますけれど、そういったことを直接、そういった夕方の会合の場でですね、お聞きしながら、今後のことは決めていかなければいけないというふうに思っております。

Q:陸幕の靖国神社参拝について、何点かお伺いします。まず、今回の調査結果について、受け止めを教えてください。

A:今回の参拝の事案でありますけども、当然のこととして、自衛隊員は、憲法20条第1項により信教の自由というのが保障されていまして、隊員個々の自由意思に基づき、参拝が私人として行われるものであるということは差し支えないものであるということであります。そして、それは前回も申し上げたとおりであります。陸幕副長以下の今回の参拝につきましては、調査の結果は人事教育局長から先週金曜日に報告を差し上げたと思いますが、参加者全員が各々の自由意思に基づく私的参拝と認識した上で休暇を取得し、玉串料を私費で支払った私的参拝であるということ、そして参拝実施計画は、参拝の案内を目的とする私的文書として作成をされて、そして事後危機管理のために所在場所等を陸幕内で共有されたというものであり、部隊参拝を計画したものではないということ、そういったことが調査の結果、判明をしました。したがって、部隊参拝すること及び隊員の参加を強制することを厳に慎むべきという現行の事務次官通達に違反するものではなかったというふうに報告を受けておりまして、私もその内容には理解をしたところであります。

Q:関連しまして、参拝に係る防衛省の今回の調査はどなたがいつ指示をし、大臣はなぜ調査が必要と判断をされたのか教えてください。

A:憲法20条1項により信教の自由が保障されているというふうに申し上げました。一方で、その20条の3項には、国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならないという旨が20条3項には書かれておりまして、そういったことをですね、踏まえて、今回の参拝について調査をしたところであります。作成された実施計画に基づいて、一部の参加者が公用車を使用していたということが確認をされました。宗教的活動に関する事務次官通達の規律に違反する疑いがですね、当初報道等あった時にはその疑いがございましたので、私から、1月11日に人事教育局長に対して、事実関係を調査するように私が指示をしたところであります。

Q:続きまして、今回の参拝については、憲法が保障する信教の自由や政教分離に係る機微な事柄の性質上、なぜ外部の第三者に調査をさせなかったのか、階級社会である以上、内部調査では参拝の強制の有無に関して、本音を聴取するのが難しいとの指摘もありますが、大臣の見解を教えてください。

A:参拝については、部隊参拝すること及び隊員の参拝を強制することは慎むべきというそういった事務次官通達に違反する疑いが当初はあったことから、当該その内規、事務次官通達ですから、内規を所管するのは人事教育局になります。ですから、人事教育局において、関係者からの聞き取りに加えて、関連文書の確認などにより事実関係の調査を実施をいたしました。今般の参拝については、事実関係を調査するに当たってはですね、参拝の有無、そして態様や参拝行為に関する隊員の認識等について調査を行う必要がありますが、憲法第20条第1項によって個々の隊員に保障されている信教の自由に配慮して慎重に調査を進めることというのが求めれていたわけであります。また、参拝当日における陸幕等の勤務状況に係る事実関係を確認し、そして評価する必要というのもあります。実はこれは、陸幕という中ですので、自衛隊の運用態勢に関わるという、そういう情報も含まれております。そういったことから、しっかりと保全を確保して調査を行わなければならないという、そういう事情もございました。更に言うと、調査の対象に陸上自衛隊の高位者が含まれることから、陸幕に調査を行わせるものではなく、つまり自衛官ではなくて事務官に、つまり内部部局に調査を行わせることが適切と、そういう面もございました。以上のことから、私が人事教育局に指示をして、慎重かつ公正に調査を行うようにというふうにしたものであります。

Q:もう1点教えてください。靖国神社は、宗教法人です。今回のように特定の宗教法人の参拝を防衛省内で呼びかけて、最終的にその行動予定を組織のトップである陸幕長に伝えるという一連の行為は、陸自が特定の宗教法人を特別視し、隊員個々の信教の自由を侵害する懸念もありますが、大臣はどのようにお考えか教えてください。

A:重ねて自衛隊員であれ、憲法第20条第1項によって信教の自由が保障されております。各々の自由意思に基づき私人として行われる限り、隊員がいかなる宗教を信仰し、そして宗教上の施設を参拝するとしてもそれは隊員個人の自由であります。今回の参拝については、私人としての行動である旨を明示して、そして航空安全の祈願のため、参拝の案内を行っており、参加者全員が各々の自由意思に基づく私的参拝と認識した上で参加をしております。また、実施計画は、危機管理のために参拝参加者の所在場所等を共有する目的で陸幕長まで報告されたものであり、特定の宗教法人を特別視したものではございません。休みをとっておりますが、休みの時とは言えですね、休みの期間中どこにいるかというのはですね、報告をすることになっています。私も休みの時は、今どこにいるかというのは必ず秘書官なり大臣室には共有しているということになります。更に、参拝の案内を受けたのは41名だったわけですが、そのうち19名は参加していなかったということを踏まえれば、正にその数が示しているとおり、隊員個人に保障されている信教の自由というのは侵害していないというふうに判断をしております。なおですね、もう一つ付言をすれば、今回調査を行いましたけども、今回の参拝に関して事務次官通達の違反はなかったということを踏まえて、現時点では同通達の改正というのは行っておりませんけども、同通達は昭和49年に発簡をされた非常に古いものであります。50年前のものでありますから、それ以降、信教の自由や政教分離原則に関する最高裁の判例なんかもですね、いくつか出ております。そういった積み重ねもあることから、同通達については、その内容というのは不断に検討し、必要に応じて改正を行うべきものというふうに私は考えているところであります。

Q:靖国参拝の関連でお尋ねします。実施計画ですけれども、大臣も御覧になられたんでしょうか。

A:見ました。

Q:第1項目的のところには、令和6年の年頭にあたり、陸上自衛隊航空事故調査委員会として、陸上自衛隊の航空安全を祈願し、航空事故、不安全事項等の絶無に向けた意識を向上させるとあります。これ普通に読めば、航空事故調査委員会として、これは企画されたものだと考えられるんですけれども、いかがでしょうか。

A:今、手元にそれが、第1項の内容というのが、今、そこまで覚えておりませんので、あれですけれども、今回は、参拝の実施計画ですけども、私的文書として作成をされているという、公用のパソコンではありますけども、行政文書ではなく、当初はですね、私的文書として作成されている中で、そして、事後、危機管理のために所在場所等を陸幕内で共有されたという、その以前の私的文書の段階の、その文書の話ですよね、今おっしゃっているのは。

Q:私的文書が行政文書になっておりまして、同じものではないでしょうか。

A:当初は、その計画などは、その自らの公用のPCですけども、私的文書として作成されて、そして、決裁を取る段階で行政文書になるという、そういう認識でおりますので、私的文書の中で、そういった文言があったということでありますけども、しかしながら、今回は、先ほど申し上げたように、41名の方に御案内をしてですね、そして、19名の方は実際参加しなかった、22名が参加をしたということになりますので、この件については、私どもとしては、部隊参拝ではないという、そういう位置付けをしております。

Q:毎日新聞が、当日靖国神社で確認したところ、この参加されている陸上自衛隊の幹部の方々を道案内されたり、誘導したりする自衛隊員の方々も多数、境内にいらっしゃいました。本来私的参拝と言うのであれば、こういった道案内をしたりですとか、誘導したりですとかというような隊員というのは必要ないかと思うんですけれども、大臣どのようにお考えですか。

A:22名の、要は自ら参拝をするというそういう隊員の中で、役割分担をしたと、そういう理解であります。

以上