防衛大臣記者会見

日時
令和6年1月26日(金)10:17~10:38
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版①
動画版②

1 発表事項

令和6年能登半島地震復旧に係る一般会計予備費使用及び災害派遣活動状況について、発言申し上げます。能登半島地震について、自衛隊は現在、1万4,000人態勢で、自治体からのニーズも踏まえながら生活支援活動等を実施しておりますが、本日の閣議において、能登半島地震復旧のため、予備費の使用決定が行われました。防衛省として、このうち39億円を使用することとしております。その内訳ですが、各種手当や輸送費など、自衛隊の部隊が実施する災害派遣活動等に必要な経費9億円、航空自衛隊輪島分屯基地の施設の応急復旧といった、自衛隊施設災害復旧に必要な経費30億円となっています。また、災害派遣時の食糧に係る費用、燃料の取得、民間船舶の運営費等については、令和5年度予算を活用して対応しております。なお、このほかに、被災状況確認中の自衛隊施設等もあり、今後必要に応じて適切に対応してまいります。また、能登半島地震における災害派遣活動に全力で対応する傍ら、24日にはですね、大雪の影響による名神高速道路上の渋滞を解消するため、車両の周りの除雪活動を実施したほか、昨日25日には、富山湾沖に座礁していた外国船籍の貨物船内の浸水により船内に取り残された13名の乗組員全員を、ヘリで無事に救助しております。この2つの災害派遣を同時に行ったという報告であります。防衛省・自衛隊としては、引き続き、災害派遣に従事する隊員の健康管理と部隊の安全管理の徹底に留意し、能登地震への対応に全力を挙げつつも、全国で複合的に発生する各種事態に対しても、全力で対応していく考えであります。

2 質疑応答

Q:沖縄県普天間飛行場の辺野古移設に関連して伺います。大臣は24日に玉城デニー知事と面談し、沖縄本島を訪れる際に改めて対話の機会を設けることを確認されました。いつ以降であれば訪問できそうかなど、時期のめどと、大臣として知事との対話の機会をどのような場にしたいか、考えをお聞かせください。

A:御指摘のとおり24日の水曜日に、大臣就任後、玉城沖縄県知事と初めて面会をいたしました。私としましては、こうした機会を通じて、意思疎通を図ることは重要であるということは改めて感じたところです。沖縄には多くの米軍施設・区域が集中をしており、基地負担の軽減は、政権の最重要課題の一つであります。そのため、沖縄本島を訪問し、玉城知事を始め地元の皆様と意見交換する機会を持つことは大変重要であります。現時点で具体的に決まったものはありませんが、防衛省としても能登半島での震災対応に現在全力を挙げている中で、今後、諸々の日程を踏まえながら調整した上で、沖縄本島を訪問し、現場を確認し、皆様の声を直接伺う機会を必ず作りたいと考えています。そして、沖縄での玉城知事との面会が実現した際には、政府として引き続き沖縄の基地負担軽減に全力で取り組んでいくこと、中でも、普天間飛行場返還までの負担軽減策や、辺野古移設に関する考え方をしっかりと御説明し、意見交換を行いたいと考えています。

Q:沖縄県内での米軍のパラシュート訓練に関してお伺いさせていただきます。昨日午後2時頃にですね、米軍伊江島飛行場でパラシュート降下訓練を実施していた米軍兵がですね、施設外の民間地に降下しています。この事案に関して、防衛省が把握している詳細な事実関係を教えていただけますでしょうか。それと併せてですね、今回のパラシュート訓練なんですけども、大臣、先週の会見で、今、例外的に嘉手納基地を米空軍が訓練で使用しているというところの理由というかですね、米側からの説明と防衛省からの現地確認の結果を踏まえて、滑走路面の修復作業を行わない限り、大型輸送機の安全な離着陸が困難であるというふうに御説明されていたかと思うのですけれども、それを踏まえると、昨日、伊江島で降下訓練をしているということ自体が、今、例外的に嘉手納で訓練をしているということの説明と矛盾すると思うんですけども、その辺りの御見解をお伺いします。

A:まず、我々が確認している事実関係で言うと、昨日25日14時頃、伊江島補助飛行場でのパラシュート降下訓練中に、米兵3名が提供施設外の民有地等に誤降下、誤って降下したと承知しています。これを受けて、防衛省としては速やかに関係自治体に情報提供を行い、沖縄防衛局の職員を現地に派遣するとともに、米側に対しまして、原因究明と再発防止について申し入れを既に行ったところであります。米軍の運用に際しては、安全確保が大前提であり、引き続き、米側に対し安全管理に万全を期すよう求めてまいります。その上でですね、先程の嘉手納でのその訓練理由との関係になるわけですが、今回の訓練については、その際の使用機種、固定翼なのか回転翼なのかとかですね、あるいはその大きさ、伊江島補助飛行場の滑走路で離着陸したか否かも含めて、現在、米側に対して事実関係を確認しているところであります。昨年12月と本年1月に嘉手納飛行場で行われたパラシュート降下訓練については、米側からは、伊江島補助飛行場の滑走路は使用できない状況が継続していること等をもって、例外的に嘉手納飛行場において訓練を行うとの説明を受けていました。防衛省としては、昨年末に行った現地確認を通じて、確かに伊江島補助飛行場の滑走路は、大型輸送機の安全な離着陸が困難な状況であるということは認識をしておりまして、先ほど申し上げた米側の説明と併せて、先般の嘉手納での訓練については、SACOの最終報告や、これまでの日米間の共通認識としての例外的な場合に当たると、そのように判断をしていたわけであります。今回の伊江島での訓練に係る事実関係について、米側に対する確認を進めるとともに、伊江島補助飛行場の滑走路が早期に使用再開されるよう、引き続き米側に対して強く働きかけて、防衛省としても可能な限りの支援や協力をするなど、しっかりと取り組んでいかなければいけないと思っております。

Q:今の質問に関連して伺いたいんですけれども、滑走路を使わなければ、今回使わなかったかどうか確認中だとは思うんですけれども、手法を変えることによって伊江島で可能なのであれば、嘉手納で実施する必要がなくなるんじゃないかなと思うんですけど、その点については、今後米側に確認して、例外的にもそういった必要はないんじゃないかということも事実関係を詰めていけば、大臣としては、求めていくと考えてよろしいでしょうか。

A:降下訓練というのは、固定翼を使って降りる訓練もあればですね、回転翼を使って降りる訓練もあろうかと思います。伊江島の補助飛行場は、防衛省の職員が目視で確認したところ、これは滑走路としては使えないということでありましたが、機種によって、ひょっとすると回転翼等であれば、使用可能なのかどうかとかですね、そういうことも含めて確認をしなきゃいけない事柄だろうと思います。滑走路の使用有無も含めて米側に今、確認を行っているところです。伊江島の滑走路が使用できない状況の中で、パラシュート降下を行う隊員の搭載であったりですね、あるいは米軍のMC-130の離陸、降下の実施、あるいはMC-130の着陸といった捜索・救助に係る、これもまた一連の活動を演練するために、嘉手納飛行場というのが使用されたというふうに考えておりますので、今回の伊江島補助飛行場の滑走路というのは、現地確認の結果を踏まえれば、引き続き、大型輸送機の安全な離着陸が困難な状況にあるということは言えると思いますから、いずれにしましても、伊江島補助飛行場の滑走路が早期に使用再開できればですね、これが良いわけでありますので、引き続き、ここは米側に対し連携を取りながら取り組んでいくべき課題だというふうに思っております。

Q:話題変わって恐縮なんですけども、辺野古移設の話題に戻って、沖縄県は23日に、沖縄防衛局が進めている海上ヤードの建設工事が、環境保全面対策での事前協議の対象に当たると沖縄防衛局の方に通知し、工事中止を求めましたが、どのように対応していくお考えかお聞かせください。また、防衛省として協議対象でないと考えているならば、その根拠を教えてください。

A:御指摘のその文書につきましては承知をしておりまして、今後、沖縄防衛局において、適切に対応していくとの報告を受けております。その上ででございますが、現在、沖縄防衛局が行っている実施設計協議及び環境保全対策等協議につきましては、平成25年の埋立承認に付された留意事項に基づき、昨年9月から沖縄県との間で協議が行われております。このうち、2番目の環境保全対策等協議については、留意事項の記載を踏まえれば、実施設計協議の対象である工事の実施設計に基づき、環境保全対策等について詳細検討し協議を行うものであると、そのように認識をしております。海上ヤードについては、実施設計協議の対象外であることから、この点は、沖縄県も御理解いただいていると思いますが、同様にですね、環境保全対策等協議の対象の外であるというふうに、私どもは認識しているところであります。いずれにせよ、海上ヤード工事に係る環境保全対策等については、環境保全図書に基づき、部外の専門家からなる環境監視等委員会の指導・助言を踏まえつつ、適切に実施されておりまして、引き続き、適切に対応してまいります。

Q:県が工事中止を求めていることに関しては、一旦止めて、この協議の対象であるかどうかについての認識を擦り合わせるとか、そういったお考えありますでしょうか。

A:私もこの平成25年の埋め立て承認のときに付された留意事項、この点もよくよくまた見直してみたところですが、それを踏まえるとですね、実施設計協議の対象である工事の実施設計に基づき、環境保全対策等について詳細検討し協議を行うものであると、そういうふうに、これを読むとですね、認識ができるわけであります。したがって海上ヤードについては、実施設計協議の対象外であることから、同様に、環境保全対策等協議の対象の外にあると、そのような認識であるわけであります。

Q:つまり、中止するかどうか、そのまま協議の外なので工事を継続するというお考えなのかというのをお聞きしたいのですが。

A:引き続き工事は進めていくわけですが、その際でありますが、工事の施工中に、例えば工事に伴う水の濁りの発生を低減させるためには、その海中に投入する石材は採石場で洗浄したものを使用するであるとか、あるいは、工事箇所周囲においては、休工日を除く毎日、水の濁りの監視調査というものを行っておりまして、この調査結果についても環境監視等委員会に報告することとなっておりまして、環境保全対策については、私どもとしてはしっかりと行っているという前提の下で、工事を進めさせていただきたいなと思っております。

Q:屋久島沖の米軍オスプレイ事故に関連してお伺いいたします。前回の会見で米軍のオスプレイの再開については、日本政府と事前に調整をした上で再開するという指示が出されているということでした。陸上自衛隊のオスプレイについて、方針等ございましたらよろしくお願いします。

A:陸上自衛隊のオスプレイの再開についてという御質問でございますが、御指摘のように、昨年11月の米軍オスプレイの事故を受けて、その関係については、前回の記者会見で報告をしたとおりであります。陸上自衛隊のオスプレイにつきましては、事故の状況が明らかとなるまでの当面の間は、その飛行を見合わせております。陸自オスプレイの今後の措置については、オスプレイの飛行の安全確保等に関する米側の情報も踏まえ、適切に判断してまいりますので、現時点において、飛行再開の具体的な時期を含め、御質問について予断をもってお答えすることは困難であります。米軍は、前回御報告したとおり、フライトデータレコーダーとか、その機体の大部分を今回収して、調査を行っているということでございますので、現時点については、なかなか予断をもってお答えをできないということであります。その上で申し上げれば、飛行の安全確保は、日米共通の最優先事項でありまして、日米で緊密に連携して対応していくことを確認しています。このため、米軍オスプレイの飛行安全の確認のために必要な情報については、しっかりと情報提供を受けて、同種の機体を運用する防衛省・自衛隊としても、米軍の対応は適切であると、私どもが主体的に判断するに至ることが必要だというふうに考えていまして、引き続き、米側と緊密に連携して確認作業を実施して、適切に対応していく所存であります。

Q:冒頭の予備費の関係でお尋ねします。輪島分屯基地の応急復旧費30億円と非常に大きなお金がついているんですけれども、これはレーダー設備の改修費も入っているんでしょうか。

A:応急的な、今回、復旧のための措置ということでありますので、輪島のレーダーサイトの部分はまだ入っておりません。調査がまだ至っていないので、輪島分屯基地にもいろいろな施設、レーダーサイト以外にもいろんな施設があって、目に見えるようなですね、ものであれば応急処置、入れることができますが、なかなかレーダーサイトそのものというのは、非常に調査にも時間が掛かりますし、輪島自体まだ、基地の隊員はですね、現在まだ災害派遣をしている状況でもありますので、あるいはそれ以外にもですね、自衛隊施設は他にもございますから、そういうとこも含めて、当面の調査を行って、自衛隊施設災害復旧に必要な経費、見積もりができたものが30億円ということになります。

Q:このレーダーサイトとしての機能は果たされているんでしょうか。

A:航空自衛隊輪島分屯基地は、今回の令和6年能登半島地震による大きな被災をいたしました。現在までに分屯基地内の道路の沈下等の被害を確認しているところでして、同分屯基地の隊員は、発災当日より災害派遣に、現在も本日も従事しているということであります。基地に配備されている固定式警戒管制レーダーにつきましては、その運用に影響が出ないように、今、補完措置をですね、採っているところでありますが、この点の詳細につきましては、部隊運用の詳細に関わる内容のためですね、あるいは、私どもの安全保障上の関係もございまして、お答を差し控えたいというふうに思います。いずれにしましても、防衛省・自衛隊というのは、全国にそういった固定式の警戒管制レーダーを28か所持っております。日本海側にもですね、まだ輪島以外にもございます。そういった様々な手段を活用しながらですね、我が国周辺空域の警戒監視に隙間というものが生じないように万全を期してまいる所存であります。

Q:つまり、全体で補い合っているというニュアンスでおっしゃっているんでしょうか。

A:今回災害派遣中にもですね、北朝鮮のミサイル発射事案がございました。そういったときにも運用に影響が出ないように、補完措置を採っているということであります。その内容については、申し訳ございません。

下線部:大臣発言中、レーダーサイト(誤)をレーダー設備(正)に修正

以上