防衛大臣記者会見

日時
令和6年1月19日(金)11:53~12:14
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版①
動画版②

1 発表事項

 私からは令和6年能登半島地震に係る災害派遣について、まずは申し上げます。本日も自衛隊は、被災地において様々な活動を実施しているところです。孤立地域から被災者の航空輸送については、めどが立ちつつある中、被災者の二次避難に係る自衛隊航空機の集中運用による輸送に全力をあげております。また、17日水曜日には、私が現地を訪れました。被害状況及び自衛隊の活動状況を自ら把握するとともに、活動にあたる隊員達を激励したところであります。隊員達は、被災者に寄り添った、きめ細かい支援活動がこの災害派遣に基づいて実施できているということにやりがいを感じ、やる気に満ちていると、そのように私は感じました。加えて、防衛省・自衛隊の幹部に対しては、私から、活動期間が長期に渡る中において、その現場で作業に当たる隊員の健康管理や、あるいは部隊の安全管理の徹底、そして適切なタイミングでの部隊の交代等について指示をしております。在日米軍ですが、本日は天候も良くて、回転翼機UH-60による食料等の被災者支援物資の輸送を行っております。また、明日20日以降ですが、現地で自衛隊の音楽隊による慰問演奏を避難所等で行う予定でおります。防衛省・自衛隊としては、引き続き、被災者に寄り添った様々な活動を継続するとともに、全国各地で複合的に発生する各種事態に対しても、全力で対応していく所存であります。

 

2 質疑応答

Q:トマホークについて1問お伺いいたします。昨日、防衛省は米国政府との間で、FMSに基づいてトマホークや関連器材に関する契約を結びました。大臣の受け止めをお聞かせください。また、昨日の署名式ではですね、エマニュエル米国大使から、トマホークの人員トレーニングを3月にも始めるという旨の発言がございましたけれども、この点の事実関係も併せて教えてください。

A:まず、前段の受け止めという部分に関しましては、トマホーク・ミサイルの取得については、昨日、私とエマニュエル大使の立会いの下で、防衛省においてLOAの署名を実施いたしました。トマホークについては、昨年10月に私から発表したとおり、より厳しい安全保障環境を踏まえて、当初の計画より1年早い令和7年度、2025年度より取得することとし、米側とLOA締結に向けた調整を行い、今回の署名に至ったところであります。これにより、トマホークの取得に向けた事業が本格的に開始されることとなります。引き続き、この事業を進め、スタンド・オフ防衛能力を獲得することを通じて、防衛力の抜本的強化を着実に進めていきたいと考えております。それから後段の部分でありますが、海上自衛隊においてトマホークを運用することができるように、要員に対する器材操作の教育等の実施について、こちらも米側と調整を進めているところです。エマニュエル大使からは3月にも要員養成を開始していく旨の発言があったところですが、2025年度、令和7年度からのトマホークの取得に間に合うように、米側の協力を得つつ要員養成を進めてまいる所存であります。

Q:防衛装備移転の与党協議についてお伺いします。年末、結論が持ち越されたですね、国際共同開発品の第三国輸出の解禁を巡ってですね、総理が年明け早々にしっかり議論をしてほしいと与党の実務者に求めたものの、未だに協議は再開していません。大臣この現状をどう御覧になっていますでしょうか。また、今週に入りですね、公明党の山口代表が、殺傷能力を持つ兵器を輸出しないのが我が国の基本的な進め方だった、政府がなぜ変えるのか説明がほとんどないと、政府の姿勢に苦言を呈しました。この声にですね、政府としてどう応えていくか、どう理解を得ていくか、お考えをお聞かせください。

A:政府としては、国際共同開発・生産における我が国から第三国への完成品の直接移転の在り方について、政府・与党一体となって早期に議論を進めていきたいというふうに考えています。その上でですが、政党における発言の一つ一つについて、政府としてコメントすることは差し控えますけども、政府としては、完成品の直接移転の必要性等の説明について、与党への説明も含めて、引き続き調整を進めなければいけないというふうに考えております。

Q:米軍が本日、米軍嘉手納基地内でのパラシュート降下訓練を予定していることについて伺います。防衛省は、パラシュート降下訓練を伊江島で実施することにしているSACO最終報告の例外というふうに今回の訓練を位置付けていますが、昨年12月にも実施したばかりで約1か月後に再び実施するというのは、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練が常態化していると思われないでしょうか。また、日米で合意したSACO最終報告の実効性をどのように確保していくお考えか大臣の見解を伺えますか。

A:米側からは、本日おっしゃるように嘉手納飛行場でパラシュート降下訓練を実施する予定であるというふうに説明を受けております。防衛省としては、パラシュート降下訓練については、SACO最終報告やこれまでの日米間の共通認識から、基本的には、伊江島の補助飛行場を使用することとされておりまして、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限ってのみ使用されるものと、そういうふうに認識をしております。前回行われた昨年12月の訓練は、実は悪天候のために途中で中断をされてしまったところであります。その上で、今回行われる訓練については、伊江島補助飛行場の滑走路が使用できない状況が継続している中で、定期的に行われるというものではなくて、小規模で、在日米軍の即応性を維持向上させるための緊要なものであります。そのために、今回の訓練は、例外的な場合というのに該当するというふうに私どもは認識をしております。その上で、米国に対しては、今後ともパラシュート降下訓練は、伊江島補助飛行場での実施が基本であるということを申し入れるとともに、滑走路の整備状況を早期に改善をし、使用再開を強く働きかけているところであります。この点、米側からは、滑走路の改修工事を計画、既にしており、工法も含め今後必要となる措置内容や期間について検討していると、そういった説明を受けております。防衛省としては、伊江島補助飛行場の滑走路が早期に使用再開されるように、引き続き米側と緊密に連携し、防衛省として可能な限りの支援や協力をするなど、しっかりと取り組んでまいる所存です。

Q:伊江島での滑走路で不具合が続いていて使用できない状況ということなんですけども、これは米軍が補修を怠っていたというのが原因なんでしょうか。

A:その点ですが、伊江島補助飛行場の滑走路については、防衛省としても、沖縄防衛局の職員を派遣して、現地確認を行っているところです。細部は、米軍の運用に関することであるため申し上げることはできませんが、滑走路面の修復作業を行わない限りですね、やはりMC-130などの大型輸送機の安全な離着陸が困難な状態にあると、そういうふうに認識をいたしました。この滑走路は、未舗装であって、米軍によれば、令和2年、2020年にも滑走路の表面を修復し、安全性を高めるための補修工事を実施したというふうに承知をしており、航空機の安全運用の観点からは、定期的な整備が必要不可欠であるというふうに考えています。米軍においては、現在、滑走路の修復工事を計画しており、先ほど申し上げた通り、工法を含めて、今後必要となる措置内容や期間について検討していると説明を受けておりますので、引き続き、米側と緊密に連携しながら、滑走路の早期使用再開に向けて、防衛省として可能な限りの支援や協力をするなど、取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。

Q:装備移転の関係、先ほどの共同通信さんの質問のことなんですけれど、山口代表は、公明党に対してだけじゃなくて、国民に対しても、政府の説明がほぼないというふうに発言されていて、先ほどの質問の答えも、なぜ次期戦闘機の完成品の輸出を日本もしなければいけないのか、なぜ日本が殺傷兵器を輸出しないという基本的な進め方を変えないといけないのかについて、政府の説明がほぼないと言っているんですけども、大臣から、この記者会見の場なので、国民も多くが聞ける機会だと思うんですけども、防衛省として、なぜ必要なのかというのもちゃんと説明していただけませんか。

A:次期戦闘機については、これは日本、英国、イタリアの共同開発でありまして、優れた技術を結集するとともに、開発の経費や技術のリスク、そういったものを低減を図りつつ、将来に渡って、我が国の航空優勢を確保できる戦闘機を開発するために、3か国で共通の機体を開発することに合意したものであります。その上で、現在政府として、完成品の直接移転の必要性等の説明について調整をしているところであり、今、御指摘の点も含めまして、与党への説明、ひいては国民への説明、そういったことを今調整をしているところでありですね、具体的な内容については、今この場でその事柄についてお答えすることは差し控えますけども、与党も含めてですね、国民に対して引き続き、その調整を進めていきたいというふうに思っております。

Q:関連でなんですけども、公明党の北側代表が昨日の会見で、この関係の調整で、2月末に結論を出してほしいという政府に対して、時期ありきじゃないと考えを示されました。それに対する大臣の受け止めと、2月末までに結論を出さないと、GCAPの共同体制における3か国の議論にどのような影響が出ると考えるか教えてください。

A:それぞれの政党の、各党のですね、個別のそういったコメントに対して、私からお答えすることは差し控えますけども、与党の理解を得られるように調整を進めていきたいと考えておりますし、次期戦闘機の日英伊共同開発のプロセスを踏まえて、結論を得るべき時期として、2月末ということは、すでに与党に示したところでありまして、政府としては、この時期を念頭に、引き続き丁寧に調整を進めていきたいというふうに考えております。

Q:今の装備移転の関係なんですけども、山口代表の会見などを見ているとですね、共同開発を決定した時点では、第三国輸出が必要だと政府は認識していなかったというように、捉えてらっしゃるんですけども、それがいつの間に必要になって、今ここまでに決めないとだめだ、というような状況になっているわけですけども、この経緯全体がですね、やっぱり分かりにくいと思うんですよね、普通の人から見れば、その点についてどういうふうにお考えでしょうか。

A:それぞれ与党に対して、個別の説明の状況については、これはお答えするのは差し控えますけども、いずれにしましても、与党の理解を得られなければいけませんので、与党ワーキングチーム、あるいは今おっしゃられたような与党の幹部の皆様方に対しても理解を得られるように、調整は進めていかなきゃいけないというふうに考えております。

Q:今の関連なんですけども、山口代表の発言の中で、2年前の12月末だったと思うんですけど、GCAPの開発が正式に3か国で合意した時点で、日本として第三国への直接輸出の必要性、日本が直接輸出をしなきゃいけないということに対して、日本側としてはその時点では、第三国輸出をしなければいけないという考え方はなかったという認識でよろしいでしょうか。

A:若干繰り返しになりますけども、次期戦闘機は日英伊の共同開発であります。そして、この共同開発の利点というのは、それぞれの国が持っているそういった技術を結集するということ、そして、それぞれ別々にやっては重複するような開発経費などもですね、これも低減することができる、あるいは技術リスクも、これも低減することができるということ、そして、将来に渡って我が国の航空優勢を確保できる戦闘機というのが、その結果、開発できるということですね。戦闘機というのは、単体の装備品としては非常に予算は大きくなるものですから、その製造する機数が多ければ多いほどですね、1機あたりの単価というのは、当然下がってくるというスケールメリット、そういうことも、これも3か国の共同開発のメリットであろうとも思います。そういった様々な3か国での共通で機体を開発することのメリットなどというのは、これはもうある意味常識としてのそれぞれのグローバルのスタンダードではないかなというふうに思っております。そういう意味でですね、そういった内容も含めて、しっかりと与党に対して、そして国民に対しても説明ができるような、そういう調整を図らなければいけないなというふうに思っているところであります。

Q:自民党の派閥について伺います。昨日、岸田総理、自民党の総裁がですね、自身が会長を務めていた宏池会の解散を検討していると表明しました。大臣は平成研究会所属ですけれども、この岸田さんの判断をどう受け止めていますでしょうか。また、派閥はどうあるべきか、もし大臣お考えあればお聞かせください。

A:今、閣僚の立場でありますから、政策グループの在り方に直接コメントすることは控えますけども、現在、自民党では政治刷新本部において、今回の政治資金を巡る問題の原因を踏まえた再発防止を検討するとともに、政治資金の透明性の拡大や、政策集団の在り方に関するルールづくりなどについて議論が行われているものと承知しております。引き続き、国民の信頼回復に向けて、この方針に沿って議論が深められるものと考えております。その上で、昨日の岸田総理のああいった御発言もございましたけども、今回の件で、国民の政治不信が高まっているなというのは当然認識をしているところであり、考えるにその発端は一部の政策グループの政治資金パーティーの収支について不適切な会計処理が行われたことがその発端だと理解をしております。政策グループを解散するかどうかという、そういう議論も政治刷新本部ではあるようですが、私自身は刷新本部も出ることがかなわず、また、地元に帰れないので、中々地元の有権者の声も直接聞くことはできないんですけども、そういった意味で、それぞれ各社での世論調査などを見てみると、存続と改修が拮抗しているような印象を受けております。つまり、政策グループの存在自体に問題があるのか、それとも、政策グループの不適切な行為に問題があるのか、そういったところはまだ私自身は、この時点では、私の所属するグループがその対象ではないものですから、そういった意味でもちょっと私自身判断がつかない状況であります。いずれにしましても、政治資金の透明性を高めることは必要であろうというふうに思いますし、ある意味そういった不適切な行為に対しては厳格な責任体制を確立するということ、これも必要だろうというふうに感じております。そういった改革案を検討することは必須だと思います。そういったことを、今言った私の思いも含めて党の政治刷新本部の議論や提言をしたいなと思っています。私は青年局長をかつてしておりましたが、青年局長経験者やあるいは、地方議会の若手などが提言などもですね、考えているようですから、そういった声も聞いてみたいなというふうに思っております。

以上