防衛大臣記者会見

日時
令和6年1月16日(火)13:52~14:12
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 私から令和6年能登半島地震に係る災害派遣について申し上げます。本日も自衛隊は、被災地のために様々な活動を実施しているところです。現在、自衛隊は、二次避難者の輸送等に全力を挙げているところ、この任務における自衛隊の所要が大幅に増加したことから、自衛隊が実施してきた物資輸送を滞りなく継続するため、在日米軍に対し支援を要請しました。これを受けて、在日米軍は、1月17日水曜日以降、明日以降、航空自衛隊小松基地を拠点とし、被災者支援物資を回転翼機、UH-60と聞いておりますが、により能登空港まで輸送する予定です。本日も引き続き、珠洲市、輪島市、穴水町、七尾市、志賀町及び能登町において、需要の高い入浴支援や温かい食事の提供や、孤立地域における巡回診療も継続して実施いたします。また、一昨日、14日ですが、国道249号の緊急復旧を加速させるために、国土交通省と連携をいたしまして、道路啓開に使用する油圧ショベル等の機材を海上自衛隊のエアクッション艇LCACにより深見海岸へ輸送しました。さらに同日以降、14日以降ですが、防衛省がPFI形式で契約しております民間船舶の「はくおう」及び「ナッチャンworld」を両隻とも七尾港に派遣し、被災された方々等や地方自治体からの派遣職員等の休養施設として開設しているところです。なお、13日ですが、広島県の江田島市及び和歌山県のすさみ町で発生した山林火災については、大型ヘリコプター4機など、これはそれぞれの知事の災害派遣の要請に基づきまして、必要な部隊を投入し、消火活動を実施しております。防衛省・自衛隊としては、引き続き、被災者に寄り添った様々な活動を継続するとともに、北朝鮮のミサイル対応や全国各地で発生する災害も含め、複合的に発生する各種事態に対して、全力で対応してまいります。なお、明日ですが、現地に災害派遣されています自衛隊部隊の激励のため、輪島分屯基地等に私自身が出張するということを考えております。

 

2 質疑応答

Q:北朝鮮のミサイルに関連して伺います。14日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射しました。北朝鮮側は、固体燃料型の中距離ミサイルの発射に成功したとして、それから極超音速型の弾頭を搭載したというふうにしておりますが、防衛省の最新の分析状況をお願いします。また、日米韓でのミサイル警戒データのリアルタイム共有の運用が始まっていますけども、今回の分析に及ぼした効果と、特にミサイルの飛距離について、韓国側と発表の差異が生じた理由を教えてください。

A:では、今3つの御質問をいただきました。1つ目は分析状況、最新のものということですが、これまで政府から発表しているとおり、北朝鮮は14日、北朝鮮内陸部から1発の弾道ミサイルを、北東方向に向けて発射をいたしました。発射された弾道ミサイルは、少なくとも約500km程度飛翔した後、日本海の我が国の排他的経済水域外に落下したと推定されます。これまでに得られた情報を総合的に勘案すると、14日に発射された弾道ミサイルの種類については、中距離弾道ミサイル、IRBM級の弾道ミサイルであったと推定しています。また、北朝鮮の発表内容については承知をしておりますけども、その発表の一つ一つにコメントすることはいたしません。いずれにしましても、発射されたミサイルが固体燃料推進方式であったかや、あるいは、極超音速兵器であったか、そういったことも含めて、これ以上の詳細については現在分析中であります。それから2番目の問は、リアルタイム共有の効果ということでありましたが、日米韓の3か国は、北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有のメカニズムが始動して以降、北朝鮮によるミサイル発射の情報について、今回の対応も含めまして、常時継続的にリアルタイム共有を行っているところであります。このリアルタイム共有のメカニズムにより、異なる位置から多様なアセットがミサイルを探知・追尾することで、北朝鮮により発射されたミサイルの情報をより精緻な把握が可能となりました。3か国間におけるリアルタイム情報共有の具体的な状況や効果につきましては、事柄の性質上、お答えというのはできませんけども、リアルタイム共有によって、我が国が北朝鮮のミサイルの脅威を探知し評価する能力、これは確実に向上しております。防衛省としては、引き続き、米国・韓国等と緊密に連携しながら必要な情報の収集・分析に努めてまいります。それから、ミサイルの飛翔距離が韓国の発表と異なるその理由ということでありましたが、韓国軍の発表内容についてはもちろん承知をしておりますが、発射事案についてのですね、公表の内容あるいは、公表を行うタイミングについては、日本及び韓国、それぞれの総合的な判断においてなされるものというふうにこれはお互いに考えているところです。防衛省としても、それまでに自衛隊が独自で得た情報や、同盟国等から得た情報を慎重に精査しつつ、発射が我が国の安全保障に及ぼす影響などを総合的に勘案した上で公表してきているところであります。したがって、日本及び韓国の公表内容というのは、必ずしも同一のものになるわけではないというふうに認識をしております。その上で、今回の発射についての評価を行うに際しましては、防衛省が具体的にどのような情報に基づいて、どのように分析を行ったかについては、これは正に我が国の手の内に当たることでありますから、お答えがなかなか困難であるということを御理解いただきたいと思いますが、防衛省としては、必要な情報を慎重に分析・評価し、また、我が国の安全保障に及ぼす影響などを総合的に勘案した上で、今回、公表となったものであります。これ以上の詳細についてはまたこの後、事務方からお答えさせていただきたいと思ってます。

Q:震災対応の話に戻りますが、能登半島地震発生から昨日で2週間が経過しました。現在、自衛隊1万人規模で対応に当たっているというふうに、即応態勢という意味ではですね、1万人規模で対応に当たっているというふうに承知しておりますけれども、おっしゃるように二次避難など被災者のニーズがどんどん多様化する中でですね、今後の自衛隊の態勢どのようにすべきだというふうにお考えでしょうか。

A:自衛隊は、能登半島地震への対応について、発災当初、即座に陸海空各自衛隊による統合任務部隊JTFを編成をいたしまして、約1万人態勢を確立いたしました。道路網が寸断された半島部という陸上からのアクセスが非常に困難な被災地の状況の下で、この態勢の中で、まずは緊急性の高い捜索救助のためにヘリや艦艇等により即応部隊を派遣し、続いて食糧等の救援物資の輸送、そして、避難所や孤立集落を一つ一つ回って被災者のニーズを把握、救援物資の提供、そして食事の提供や入浴支援、また、衛生支援の実施等、被災者の多岐にわたるニーズに合わせて、適切に現地の部隊を連続増強して対応しているところであります。特に、被災者の人命に直結し、一刻の時間的猶予もない捜索救助においては、発災直後から、昼夜を分かたず、また、厳しい気象あるいは海象条件の下で、自衛隊の部隊だけでなく、被災中心部への進出に影響が出ていた警察や消防、このレスキュー要員等も自衛隊の艦船や航空機で被災地まで輸送し、関係機関と連携して迅速な対応を行ってまいりました。発災から2週間が経ちまして、自衛隊等による応急復旧により道路アクセスが確保されつつあり、さらに、陸上における活動可能地域は拡大しております。徐々にではありますけども、少しずつ広がっているところであり、また、二次避難の支援といった、過去の災害派遣では実施していない新たな任務を担うなど、自衛隊の活動の幅も拡大をしております。これらの対応は、現地派遣隊員だけでなくて、司令部や後方支援も含む統合任務部隊全体が一体となって行っておりまして、被害状況の全容が明らかになり、災害派遣活動が長期化することも見据え、現在、自衛隊は約1万4,000人態勢をもって全力で震災対応に当たっております。なお、現地においては、部隊交代をしながら、本日も、人員約6,800名、航空機約50機、艦艇10隻で活動を実施しているところであり、引き続き、被災地のニーズを踏まえつつ、持てる力を最大限発揮して対応してまいりたいというふうに考えております。

Q:沖縄県うるま市のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を新設する計画があると思いますけども、この計画を巡って、跡地が所在する地元の旭区自治会が14日にですね、計画に反対する決議を全会一致で採択しています。国側からの事前の計画についての説明がないということで、批判の声が地元からかなり上がっているようですけども、大臣の受け止めと、今後の防衛省の対応について伺います。それから、計画を見直す考えがあるかどうかという点についてもですね、併せてお聞かせください。

A:沖縄県うるま市に所在するゴルフ場跡地における訓練場の整備に関してでございますが、御指摘のとおり、地元の旭区自治会が反対する決議をされたことは、報道によって承知をしております。当該訓練場の整備は、第15旅団の師団への改編に伴い、人員が増加をし、訓練所要が増えるために必要となるものであり、用地の取得を計画している旨を、昨年12月末に地元のうるま市に御説明をしたところです。所要の検討の結果として地元への御説明がこの時点となったことについては、御理解をいただければというふうに感じております。防衛省としては、南西地域の防衛体制の強化の観点からも、部隊練度の維持向上に必要な訓練基盤の整備・充実を着実に進めて行くことが重要だというふうに考えておりまして、当該訓練場の整備を見直す考えはございませんけども、その点、うるま市をはじめ地元の皆様に対して、丁寧な説明や適切な情報提供などを行い、当該用地の取得に向けて、引き続きしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

Q:住民を対象にした説明会等とですね、丁寧な説明に向けた具体的な対応というのは、現時点では特に決まっていないということなんでしょうか。

A:現時点において、いわゆる住民説明会を開催する具体的な予定はありませんが、地元に対する丁寧な説明や適切な情報提供を行うことは大変重要だというふうに考えており、防衛省として適切に対応して行く所存です。

Q:普天間飛行場の名護市辺野古移設で、大浦湾側の工事が始まったことについて伺います。普天間飛行場を抱える宜野湾市長は、以前から、返還期日の明示を求めてきましたが、現時点で返還期日を示すことは可能でしょうか。可能なのであればいつなのか、困難なのであればその理由も教えてください。

A:普天間飛行場代替施設建設事業の工期につきましては、変更後の計画に基づく工事に着手した本年1月10日が起点となりますので、その1月10日から工事完了までに9年3か月、提供手続の完了までに12年を要する旨御説明をしてきております。その上で、普天間飛行場の具体的な返還時期については、完成後における部隊の移転などのプロセスを考慮する必要があり、現段階で具体的にお示しすることは困難でありますけども、いずれにしましても、提供手続完了後、こちら早期に普天間飛行場の全面返還が実現できるように、引き続き、こちら米国と緊密に連携していかなきゃいけないと、そして実際に連携していくということを考えているところです。返還時期を明らかにしてほしいと、宜野湾市長の御意見については、私としてもですね、それは認識をしておりますので、防衛省として、また、真摯に受け止めているところであります。将来の可能性について、現段階において確定的にお答えするというのは困難な状況でありますから、具体的な道筋というものをしっかりと描いていくことも大変重要と考えており、米国と緊密に連携しながら、沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画に基づいて、普天間飛行場の全面返還に向けて全力で取り組んでいくということを、そういったことも含めて、お話をさせていただきたいなと思っております。

Q:震災対応の方に戻ります。大臣の方から冒頭、米軍からの支援について言及ありましたけれども、米軍からの支援を受ける意義ですとか、具体的に今後どんなことを期待するか、もう少し具体的に大臣のお考えをお願いします。

A:そうですね、発災直後から米軍だけではなくて、各国から支援の要請が申出という形であったということに大変感謝をしているところであります。これまで我が国は、政府を挙げてですね、人命救助、生活支援に全力で取り組んできているところであり、そういった各国、あるいは地域からの支援の申し出については、その受け入れ態勢の構築のために要する作業であったり、態勢であったり、あるいは現地の状況等、これまでの震災とは異なる特異な状況などがございましたから、そういったあらゆる状況に鑑み、人的・物的な支援については一律に受け入れておらず、被害の状況や現地のニーズを踏まえつつ検討してきたところであります。今回、支援を要請した、在日米軍でありますけれども、回転翼機等の輸送手段を既に日本国内に保有しているということ、そして、自己完結可能な輸送力を被災者支援のために迅速に提供可能であること、加えて、平素より自衛隊と密接に連携しており、現地での受け入れ態勢構築にかかるこの調整に大きな負担がかからないというようなこと、こういったことを考慮し、在日米軍の支援につきましては、例外的に輸送に係る支援を要請をしてきたところであります。

Q:今の質問の関連でお伺いするんですけども、具体的な支援に入る在日米軍の部隊であったりとか、どこの基地からというふうな決まった情報、お答えできる情報ってありますでしょうか。

A:その点の詳細につきましては、今、私が申し上げた回転翼機等を用いるとか、明日からであるとか、そういったこと以外については、事務方から後ほどレクで詳しいところはお伝え、自衛隊のことではないので、米軍のことですから、お願いいたします。

以上