防衛大臣記者会見

日時
令和5年12月26日(火)10:57~11:25
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版①
動画版②

1 発表事項

 〇 冒頭2点ありまして、今年の漢字をと言われたので「転」という字にしました。ちょうど去年のこの時期の浜田大臣がですね、こういう形で、おととしは岸大臣が、いずれも写真見ましたけど、マスクをされてたんですけど、正にコロナ禍がここ近年続いていたということだろうと思います。正にコロナ禍という災いの中でですね、今年の5月に新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられまして、今年はそういった意味で災い転じて福となすという、そういう年を目指してですね、今年1年間、様々な業界で取組を行ってきた、実際に人が動き出して、あるいは、物も動き出してですね、日常生活を我々も取り戻したということになろうと思います。また、外国人、インバウンドなどもですね、増えてきたというのは、生活をしていて分かることでありますが、しかし、一遍にそういった需要が増えてきたことによってですね、需要と供給、供給が追いつかない結果、あるいは、世界情勢ですね、ウクライナ戦争の長期化などによる様々な要因があり、物価の上昇であるとか、材料高、原油高、それから供給難の一つの要因が人材、人手不足という、そういう側面あろうかと思いますが、そういったことに政府全体として熱心に取り組むことによってですね、ようやくこの動き始めたこの経済をですね、さらに安定的なものにしていかなければいけないと、災いが転じてようやく日常に戻るというような年だというその意味、もう一つはですね、私は年間を通じて携わってきた前半、閣僚になる前のですね、いわゆる防衛装備移転三原則運用指針の見直しのためのワーキングチームをずっとやってきた、閣僚になってその議論が進みですね、先般12月22日ですね、一定の見直し、第一弾ということですが、見直しが閣議決定をされたということで、年間を通じてこの分野では私の党内のあるいは閣内のですね、そこに携わるポジションにいたという意味で装備移転の「転」というのも、この文字には含まれているのかなというふうに思っております。

 〇 2点目はですね、令和5年度の防衛省職員ハラスメント防止月間についてであります。ハラスメントを一切許容しない環境は、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤強化のために、必ず構築しなければならないものであります。ハラスメントを一切許容しない環境の構築のために、私から、指揮官・管理職の隊員及び一般隊員のそれぞれに向けてハラスメント防止に係るメッセージを発出をし、省一丸となってハラスメント対策を講じているところです。その一環として、ハラスメント防止対策の効果を組織全体まで行き届かせるために、年が明けてですね、令和6年の1月を「防衛省職員ハラスメント防止月間」として全隊員に周知し、ハラスメント防止教育等を集中的に行うことといたしました。今回初めてとなる防止月間ですが、「指揮官、管理職から始めるハラスメント防止対策」というキャッチフレーズの下で、各級指揮官等のトップメッセージ、監督者等に対するハラスメント防止及び心理的安全性の講演会、部隊等におけるハラスメント対策会議、管理職向けハラスメントテスト、また、全隊員に対するハラスメントアンケート等を行う予定としております。また、今回の防止月間に合わせて、御覧のようなですね、パワハラ・セクハラ防止のポスターを作成をいたしました。全国の部隊等で勤務する自衛隊員一人一人にハラスメントを自分の問題として改めて真剣に考えてもらうよう、陸海空とですね、それぞれ各自衛隊別にパターンを変えて作成するとともに、幕僚長のメッセージということでですね、各幕僚長からのメッセージが掲載されるという、そういう立て付けになっています。先月、航空観閲式も行われて、岸田総理からもですね、「ハラスメントを一切許容しない組織環境を作り上げ、ハラスメントを根絶して、仲間同士助け合い、励ましあって任務に臨むことを忘れないでいただきたい。」との訓示をいただきました。私どもとしても、この訓示をしっかりと受け止めて、「防衛省職員ハラスメント防止月間」における各種取組を通じて、ハラスメントを一切許容しない環境の構築に向けて、引き続き全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

 

2 質疑応答

Q:防衛装備移転三原則の運用指針改定に伴うアメリカへのパトリオットミサイルの輸出について伺います。自衛隊が保有するミサイルを提供することで、自衛隊の保有数が減ることになろうかと思います。自衛隊も弾薬不足が課題となっていますが、アメリカへの輸出によって防衛力整備計画を含め、日本の防空体制に影響はないのでしょうか、大臣の見解をお聞かせください。

A:今回の移転ですが、我が国として同盟国である米国からの要請に応えて、米軍の態勢を支えるべく実施するものでありまして、米国との安全保障・防衛協力の強化に資するものであるとともに、我が国の安全保障及びインド太平洋地域の平和と安定に寄与するものであるというふうに考えております。移転するペトリオット・ミサイルの数量でありますけども、これは我が国の防衛に穴を開けることがないように、今後、米国の所要というものを踏まえながらも、我が国として、防衛力整備計画における整備目標としている数量の下で、目下のあるべき数量を慎重に見極めた上で、決定していくこととし、さらに、必要に応じて様々な工夫も併用していくことによって捻出してまいる所存であります。いずれにしても、今回の移転というものは、力による一方的な現状変更を起こさせないとの日米同盟の意思と能力を示して、我が国の平和と安全を確保するためのものであることから、大きな意義を有するものであると考えております。

Q:今の関連なんですけれども、昨年10月防衛省は、迎撃ミサイルが必要量の6割しか確保できていないと説明がありましたが、今、大臣がおっしゃったのと関連するんですが、今回、米国へ移転するPAC-3、PAC-2は、昨年10月のシミュレーションにおける迎撃ミサイルの保有量の6割、ここに該当する数字になるということか、PAC-2、PAC-3を米国に移転すれば、この保有量の6割が減るということになるという認識で誤りがないのか確認させてください。

A:今般移転する誘導弾の数量については、これは始まったばかりの議論でありまして、現在検討中であります。その決定に当たっては、先ほども申し上げましたけども、我が国の防衛に穴を開けることがないようにしなければいけません、それが第一です。そしてその上で、米国の所要というのを踏まえながらもですね、そのミサイルといのは耐用命数といった様々な理由によって、各年度において誘導弾が減勢していくペース、減勢とは減っていく耐用命数がありますので、保証期間が切れるということでございます。そういったことを踏まえなければいけませんし、また、一方で企業の受注対応能力等、つまり製造能力ですね、それを考慮して各年度において取得していくペースというのも踏まえ、我が国として、防衛力整備計画において整備目標としている数量の下、目下のあるべき数量を慎重に見極めて決定していくこととしております。さらに、必要に応じて様々な工夫も併用していくことで、捻出していく考えであります。また、移転する具体的な誘導弾の種類としてですが、航空機や巡航ミサイル等への対処が可能なPAC-2GEMを、これを主として、弾道ミサイル等への対処が可能なPAC-3も含めて検討しているところであり、それぞれの数量について慎重に見極めて決定していくこととしていることから、現時点においてはですね、いわゆる足りているか足りていないかというような一概にお答えすることはなかなか難しいというところであります。

Q:確認なんですが、工夫はされるということですが、保有量のその6割が減るけども、減るのは確実だけど減る量を工夫して減らす、なるべく少なくするんだという意味なのか、ここの6割が減らないんだ、アメリカにあげても減らないんだということの今の説明だったんでしょうか。

A:先ほど言った、もともと耐用命数等によってこれは自然に減勢していく、減っていくというそういうペースもあれば、一方で企業に受注して増えるという、減る弾もあれば増える弾もあるという、そういうことなので、そういうところで様々な工夫ができると、あとはPAC-2GEMとPAC-3とそれぞれの数量について慎重に見極めながらやっていくと、そういうことになります。

Q:今の関連で、防衛力の43兆円との絡みについて伺いたいんですけれども、輸出で有償でということなんですが、その分、国庫に入るやに聞いております。43兆円決めた時に今回の話はなかったと思うんですけれども、今、いろいろ出ていた質問で、追加のミサイルを購入等する場合は、その43兆円の枠の外なのか、それとも枠内なのか、枠の外であれば追加の費用が発生するという形になりますし、枠の中であれば、他の装備品への影響も出るかとは思いますが、その枠内、枠外も含めて、43兆円との関係についてお伺いします。

A:防衛力整備計画というのは、昨年の12月、ちょうど1年前にこれは決定されたものであって、今回の移転の件というのは、移転に係る経費が生じる場合というのは、経費においてはですね、防衛力整備計画において見込んだものではないということは、これはそういうことになります。その上で、今般移転する誘導弾の数量について、これから検討しながらやっていくことでありますけれども、その決定に当たっては、我が国の防衛に穴が開くことがないようにしなければいけないということ、その上で、米国の所要というものを踏まえていかなければいけません。耐用命数、先ほど申し上げましたけれども、様々な理由によって、各年度において誘導弾が減勢していくという減っていく、そして企業、製造する企業の受注対応能力、こういったものもですね、考慮して取得していくペースというのも変わってくるということもあるかもしれません。そういう様々な工夫をしながら、これはあくまでも防衛力整備計画において整備目標としている数量というのは、これは踏まえながら、目下あるべき数量を慎重に見極めて決定していくことといたします。おっしゃったのは、売ったものは防衛省に入るのではなくて、国庫にということでありますが、一方で、持っていたものをですね、持っていたままだと、ひょっとするとそれを耐用命数を延長するための保証など追加負担があったかもしれませんし、しかし、その分は移転してしまえば、その分はなくなるということもあり得ますよね。ですから、そういうことをトータルで考えていかなければならないと思います。

Q:重ねて、43兆円の今後発生する今回の費用について43兆円の枠内なのかそれとも、新たに枠外なのか、そこは何か今決まっているものはありますでしょうか。

A:あくまでも43兆円というのは、これは閣議で決定されているものですので、この時点で、私は43兆円、閣議決定の範囲内でしっかり防衛力は抜本的強化に努めていかなければいけないというふうに考えております。

Q:大臣、必要に応じて様々な工夫を講じていくとおっしゃいました。様々な工夫というのは、例えば別の同じようなミサイルで対応するのか、具体的にはどういうことが考えられるんでしょうか。

A:先ほど申し上げた様々な工夫以外というのは、なかなか事柄の性質上ですね、詳細を申し上げることは差し控えたいと思いますが、今般移転するペトリオット・ミサイルというのは、航空機や巡航ミサイル等への対処が可能なPAC-2GEM、これが主であります。そして弾道ミサイル等への対処が可能なPAC-3も含めて検討しているというところで、慎重に見極めて数量を決定した上で、もう少し踏み込んで申し上げると、陸海空の自衛隊全体の対空ミサイルの運用上の工夫を行うことができると思うのですね。対空ミサイルもいろいろありますので、ペトリオットだけではありませんから、そういった工夫を行うことによって、我が国の防衛に穴をあけることがないよう取り組まなければいけないと、そういうことであります。

Q:普天間飛行場の名護市辺野古移設に関して伺います。代執行訴訟で福岡高裁那覇支部が命じた防衛省の設計変更の承認について、沖縄県は25日承認は困難という知事のコメントを発表し、承認しない方針を示しました。これを受けてですね、つい先ほどなんですけども、国土交通大臣の会見でもこの話題が出て、28日に代執行するというように発表されました。実行されれば初めての代執行となるわけなんですけれども、大臣の受け止め、今後の防衛省の方針を伺います。

A:国土交通大臣の会見、私ですね、すいません、見てなかったんですが、昨日までの報道等については承知をしております。本件は、公有水面埋立法を所管する国土交通大臣の判断に係る事柄ということでありますから、防衛省としてはですね、現時点では直接的にお答えすべき立場ではないということを御理解いただきたいと思います。28日という日付が示されたということでありますが、その日付まではまだ控えないといけないというふうに思っております。地元の皆様方に丁寧に説明を行いながらですね、防衛省としては普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するために、大浦湾側の工事に向けた準備を進めていかなければいけないというふうに思っております。

Q:来年度予算案にですね、沖縄県うるま市に陸上自衛隊の訓練場を新たに造るための予算が含まれていると思うんですけども、これに関してですね、ゴルフ場の跡地を取得して20ヘクタールぐらいの訓練場を造るということですが、その意義や必要性について、大臣の御見解を伺いたいと思います。その跡地の周辺にはですね、結構住宅地も多くて、自衛隊ヘリの離着陸訓練なども想定しているとのことですが、住民の懸念等々もあると思います。今後、訓練場新設に向けて防衛省としてどのように対応されていくかお考えをお伺いします。

A:沖縄県うるま市のゴルフ場跡地の件でありますが、防衛省は、令和6年度予算案の中で、新たな訓練場を整備するため、沖縄県うるま市に所在するゴルフ場跡地の用地取得に係る経費を計上しているところです。これは、防衛力整備計画に基づいて、南西地域の防衛体制を強化するため、陸上自衛隊第15旅団を師団に改編することとしておりまして、その一環として那覇駐屯地に2個目の普通科連隊を新編するという計画に伴い、人員が増加し、訓練所要が増えるためのものであります。新たな訓練場では、自衛隊のおっしゃるように回転翼機を使用した訓練の実施も想定しているところですが、実施に当たっては、周辺地域への影響を最小限にとどめるよう努めることが必要であると考えておりまして、今後、そのための措置をまたしっかりと検討していきたいというふうに考えています。いずれにしましても、南西地域の防衛体制の強化という観点からもですね、部隊練度の維持向上に必要な訓練基盤の整備・充実を着実に進めていくことが重要でありまして、防衛省としては、地元の自治体と緊密に連携しつつ、当該用地の取得に向けて取り組んでいく考えであります。

Q:先ほどのペトリオットに戻るんですが、説明を聞いててもよく分からないのが、PAC-2が主とはいえ、PAC-3もアメリカに一定の数量を移転すると思うんですが、そうした時に昨年、防衛力強化計画を決定した時に、弾道ミサイルが足りないと言って国民に理解を得て防衛力強化の43兆円決まったのに、それなのにアメリカに、今自衛隊が保有しているPAC-3を提供するというのは、いわゆる政策の一貫性を欠いているんじゃないかと思うんですが、大臣の見解をお願いします。

A:米国への移転ですから、私どもは日米同盟という、いわゆる防衛の基軸の日米同盟という中で、米国に対しての移転ということであります。今般移転する誘導弾の数量というのは、先ほど申し上げましたように、現在検討中でありまして、これはあくまでも、我が国の防衛に穴が開けることがないようにしなければいけない、これは前提です。その上で米国の所要というのを踏まえていくということでありまして、防衛力整備計画において整備目標としている数量の下、これはちゃんと踏まえながらですね、目下のあるべき数量を慎重に見極めながら決定していくこと、その上で必要に応じて様々な工夫はしなくてはいけないということになります。先ほども申し上げましたけれども、航空機や巡航ミサイル等への対処が可能なPAC-2GEM、これが主であります。また、弾道ミサイル等への対処可能なPAC-3、これも含めてということになりますが、PAC-2GEMが主であるということ、それぞれの数量、あるいは様々な工夫の過程においてですね、慎重に見極めて決定していくということになります。

Q:迎撃ミサイルがないと言っていたのに、それを一定数アメリカにあげるということは、政策の一貫性が欠くという指摘は大臣は当たらないと考えますか、当たると考えますか、どうですか。

A:当たるか当たらないか、政策というのは、私は一貫していると思っております。防衛力整備計画それに基づいて粛々と防衛力の抜本的強化に努めていくということ、そして日米同盟が基軸となって、この安全保障の体制というのを構築していくということですね、そういうことについては、一貫性のあるものだと思っています。

Q:今の大臣の説明聞いてても、詭弁としか思えないんですが、6割しか迎撃弾がないと言ってるのに、なぜPAC-3をアメリカに持っていくんでしょうか。

A:大局的に申し上げるとですね、今般の移転というものは、力による一方的な現状の変更を起こさせないという日米同盟、日本とアメリカの基軸である日米同盟の意思と能力を示し、そして我が国の平和と安定を確保するためのものであるということから、これは大局的に申し上げて、大きな意義を有するものであるというふうに考えております。

Q:日米同盟が基軸であるという説明であるなら、PAC-3は全部アメリカ、在日米軍が持っていればいいわけで、自衛隊が保有している必要はないんじゃないでしょうか。

A:日米同盟が基軸ですから、日本も米国、各軍種もそれぞれの装備を持ちながら、お互いに共同訓練、演習などもしつつですね、最適な態勢をとっていくということになるんだろうと思います。

Q:6割しかない迎撃弾のPAC-3をアメリカに持っていく理由として、日米同盟を基軸という説明をされましたけども、それでしたら、アメリカに全部、迎撃は任せればいいということになるんじゃないでしょうか。

A:これは3文書にも書いていることなんですけど、まずは我が国の防衛力を抜本的に強化すると、その上で日米同盟が基軸でありますから、同盟国との連携を強化すると、そして更に同盟国に加えて、同志国との強化を進めていくということになるというふうに考えております。

Q:我が国の防衛がまず一番大事であるんだったら、足りないPAC-3をアメリカに持っていく理由にはならないと思うんですが、どうでしょうか。

A:最適解を求めていくということになると思います。その上で、これから数量等については検討していかないといけませんし、弾種もですね、これもそれぞれ検討していかなければいけない。また、様々な工夫も、先ほど申し上げたような工夫も行いながら、最も効率的な態勢というのをとっていかなければいけないものだというふうに考えます。

Q:今の説明聞いても、まったく詭弁としか聞こえないんですど、もうちょっと説得力のある説明をしていただけないでしょうか。

A:正に、これは決まったばかりのことでありますので、これから検討を重ねながらですね、我が国の防衛に決して穴の開くことのないようにしないといけませんし、その上で、米国の所要というのを踏まえて、我が国として主導的に決定をしていくことでもあります。

以上