防衛大臣記者会見

日時
令和5年12月22日(金)11:26~11:47
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版①
動画版②

1 発表事項

 〇 冒頭私から2点申し上げます。まず1点目は、中東・アフリカ地域における在外邦人等の安全確保等に関する政府の取組についてであります。本日、国家安全保障会議及び閣議において、中東・アフリカ地域における在外邦人等の安全確保等に関する政府の取組について決定されました。これによって、在外邦人等の安全確保等に関する取組として、海賊対処部隊を活用し、ジブチ拠点において必要な装備品等の集積・管理、防衛協力・交流の強化及び情報収集・分析の強化等を実施することになります。防衛省・自衛隊は、引き続き在外邦人等の安全確保等に万全を期して参ります。

 〇 次に、2点目でありますが、人事であります。防衛大臣政策参与の任命についてであります。本日、12月22日ですが、元航空自衛隊補給本部長の尾上定正氏、元陸上自衛隊西部方面総監の番匠幸一郎氏及び元海上自衛隊佐世保地方総監の吉田正紀氏の3氏を防衛大臣政策参与に任命いたしました。これら3名の方々は、現役時代の豊富な現場経験に加えて、退官後においても、大学やシンクタンク等において、我が国の防衛政策の研究や、また、米国をはじめとする諸外国の国防戦略の分析などに精力的に取り組まれており、いずれも、安全保障戦略・防衛政策についての幅広い知見をお持ちの方々であります。防衛3文書に基づく幅広い政策を強力かつ迅速に進めていくためには、防衛大臣の補佐体制を一層強化することが必要不可欠と私が考えたところでありまして、この度任命した3名の方々には、これまでの様々な職務で培った知見や経験を存分に活かしながら、防衛力の抜本的強化や、また将来の自衛隊の在り方などについて、私に対して忌憚のない助言をしていただきたいというふうに考えております。

 

2 質疑応答

Q:米軍普天間飛行場の辺野古移設事業に関してですが、20日の高裁判決で国側勝訴の判決が示されました。大臣の受け止めと、工事着手時期など今後の予定について教えてください。

A:今般の代執行訴訟につきましては、12月20日、福岡高裁の那覇支部において判決が言い渡されたと承知していますが、御承知のことと思いますが、現時点で防衛省としてお答えすべき立場ではないということを御理解願います。その上でありますけれども、大浦湾側の工事については、変更承認後に着手することとなりますが、その具体的な時期については、工事の準備状況や気象・海象状況等を踏まえる必要があることから、現時点では決まっておりません。いずれにしましても、防衛省としましては、今後とも、地元の皆様への丁寧な説明を行いながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、大浦湾側の工事に向けた準備を進めてまいる所存です。

Q:紅海の問題なんですが、紅海におけるホーシー派の行動を非難する共同声明が先日ありまして、日本政府も参加しましたが、航行の自由やシーレーンの安全の確保という観点も含めてですが、防衛省・自衛隊の取組と受け止めについて、お伺いできればと思います。

A:日本時間で言うと、12月20日ですが、日本も参加する形で、ホーシー派の行動を非難する米国主導による共同声明が発出されたところであります。声明にもありますとおり、ホーシー派の行動というものは、航行の権利と自由、さらには、海洋安全保障や、また国際的な物流を脅かすものと考えており、防衛省としても、船舶の自由かつ安全な航行を阻害するいかなる行為も許容できず、断固非難するものであります。その上で、防衛省・自衛隊としても、部隊の安全に万全を期しつつ、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動等を適切に実施することを通じて、中東地域のシーレーンの安定的な利用を確保し、国際社会の平和と安定のために、関係国と引き続き緊密に協力してまいりたいと、そのように考えております。

Q:辺野古移設に関する代執行訴訟の判決に関連して伺います。判決では、付言という形で、県民の心情に寄り添った政策実現が求められていると、国に対する要求も盛り込まれましたが、今後、県と対話の場を設ける考えはありますでしょうか。予定があれば、お聞かせください。

A:先ほど申し上げましたが、代執行訴訟については、防衛省としてこの時点で、まだお答えすべき立場にないということは御理解いただいていると思います。その上で、普天間飛行場の代替施設については、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき、着実に工事を進めていくことが普天間飛行場の一日も早い全面返還というものを実現して、その危険性を除去することにつながるものと考えております。こうした政府の考え方については、これまでも様々な機会を通じ、地元への丁寧な説明は行ってきたところであります。政府と地元との間においては、普天間飛行場負担軽減推進会議がございまして、本年2月にも沖縄県及び宜野湾市の参加を得て、作業部会を開催いたしました。この作業部会においては、普天間飛行場の一日も早い全面返還と、返還までの負担軽減のための具体的方策についての意見交換を行ったところであります。また、防衛省においては、沖縄県に対して、埋立工事の合理性や環境への影響の評価等について、部外の専門家による検討の内容も含めて、その都度適切に説明するなど、これまでも様々なやり取りを行ってきております。今後とも、様々な機会を通じて、地元の皆様への丁寧な説明を行いながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、そして、基地負担の軽減を図るため、全力で取り組んでいく考えであります。

Q:関連してなんですけども、地元の理解得られずに、代執行訴訟を起こしてまで続けなければならない公共事業というのは、もはや不適切ではないでしょうか。設計変更に関する国の勝訴とは別に、防衛省として事業を見直す考えはないか教えてください。

A:世界で最も危険と言われている普天間飛行場のその危険性が固定化されて、危険なまま置き去りにされるということは絶対に避けなければならないと考えておりますし、この点については、政府と地元の皆様との共通認識であるというふうに思います。政府としては、 辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものと考えておりまして、引き続き、丁寧に説明を行いながら、辺野古への移設工事を着実に進めて、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現したいと考えております。

Q:地元の民意を押し切ってでも、事業を裁判で適法だということを得て進めるっていうのは、民主主義として適切なのかどうか、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

A:判決の内容にかかわらずというような御意見だと思いますけども、正にこの普天間飛行場が固定化されることであるとか、あるいは危険のまま置き去りにされるっていうこと、こういうことは避けなければいけないという、これもまた政府と地元との皆様方との間では、判決にかかわらず共通認識であろうというふうに考えておりますので、もう繰り返しは避けますが、防衛省といたしましては、あるいは、政府といたしましても、先ほど申し上げたような普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現して、危険性を除去するということにつながるためのあらゆる措置を講じていかなければいけないというふうに考えているところです。

Q:陸上自衛隊輸送機のオスプレイ配備計画に関する佐賀空港移設地への駐屯地建設を巡って、計画に反対する住民が12月20日に、国を相手取って駐屯地の工事差し止めを求める訴えを起こしました。屋久島での米軍機の事故で機体への安全性への懸念が高まる中での動きかと思いますが、大臣の受け止めと今後の佐賀への配備計画への影響をどうお考えかお聞かせください。

A:報道については私も拝見させていただきましたが、この時点において、まだ訴状は届いておりませんでした。先程も確認しましたけれども、そういった意味で訴状は私はまだ拝見できてないという状況ですので、訴状が届いた時点で内容について関係機関とは検討の上で、適切に対応してまいりたいと思います。その上で申し上げるならばですね、防衛省としては、喫緊の課題である島嶼防衛能力の構築のために、早期に佐賀駐屯地、まだ仮称でありますけども、その佐賀駐屯地を開設して、近傍に所在する水陸機動団と一体的に運用ができるように、関連の施設整備を進めているところであります。今回の事故を受けた御地元の御懸念、そういった声にも真摯に受け止めながらですね、また、その払拭に努めていきながら、引き続き、計画通りに整備できるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

Q:防衛装備移転について伺います。政府は近く、ライセンス生産品をライセンスバックできるようにするなどの、防衛装備の三原則と運用指針を改定すると、近く予定ですけれども、それについて大臣の受け止めと改めて防衛装備の海外移転の意義について伺えればと思います。

A:与党ワーキングチームは、本年4月から計23回の精力的な議論を経て、政府への提言が取りまとめられたというふうに承知しております。与党ワーキングチームのメンバーをはじめとする関係者の御尽力にはですね、感謝をいたします。政府としては、その提言に示された内容を踏まえて、第一弾として、防衛装備移転三原則及び運用指針を年内に改正することとしております。その上でですけども、NHKさんも今、近々というふうにおっしゃいましたけども、現時点ではまだ政府としては、正式に決定していないということでありまして、これは閣議決定しなければいけませんので、現時点では、その内容等についてはコメントを差し控えなければいけませんが、いずれにしても、防衛省としては、防衛装備移転三原則及び運用指針の下で、官民一体となって防衛装備移転を一層推進していく考えであります。その意義ということでありましたけれども、この点については、国家安全保障戦略にも記載しているとおりでありまして、防衛装備移転は、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段となるわけであります。そういったことから、防衛装備移転を円滑に進めるための各種支援を行うと、その手段として官民一体となって防衛装備移転を進めるということとしているわけであります。

Q:近く決定される見通しの来年度予算案についてお伺いします。防衛省として来年度の予算編成で特に重視した点と、物価高や為替の影響を受ける中で、5年間で43兆という枠内に収めるためにどのような工夫をされたかお伺いします。

A:令和6年度予算案については、現時点では、政府部内で最終調整の段階であるということを御承知だと思います。そのために内容については、お答えすることは、まだ適切でないわけでありますが、いずれにしても、防衛費につきましては、防衛力整備期間内の防衛力抜本的強化実現に向けて、令和6年度に必要かつ十分な予算を確保する考えであります。また、御指摘もあったような、昨年来ですね、円安を伴う為替レートの変動であるとか、国内外の全般的な物価上昇が継続しているところ、令和6年度においても、防衛力整備の一層の効率化・合理化を徹底するとともに、経費の精査や、まとめ買い、長期契約でのスケールメリットを生かした価格低減策等の取組を行い、閣議決定されたこの防衛力整備計画等に基づいて、防衛力の抜本的強化を達成すべく、これは全力で努めていく考えであります。

Q:先ほどの辺野古移設の質問に関連してお伺いしたいんですけども、防衛省としてですね地元に対して様々な説明というのはこれまでも行ってきているかもしれないんですけれども、一方で反対意見が根強いという中で、政治家同士でですね、お話するというのは非常に大事なことではないかと思います。そういう意味で大臣、御就任されてから3か月程経ったと思いますけれども、一度も沖縄県知事とは御面会なされていないと思いますけども、今後、お会いになっていろいろお話する機会というのは、大臣として設けるお考えはあるのかどうかという点を最後にお聞かせください。

A:沖縄県には、多くの米軍施設もありますし、自衛隊の施設もありますし、そういった区域も集中しております。とりわけ米軍施設につきましては、基地負担の軽減に取り組んでいくということは、今の政権のですね、最重要課題の1つでもあります。そのために、沖縄本島を訪問して、県知事を含む地元の皆様と意見交換する機会を持つことは、私は大変重要であるというふうに考えています。一方で現時点においては、何ら決まったものというのはありませんけども、自らの目で現場を確認できる貴重な機会になることから、今後、諸々の日程も踏まえながら、私の一存というよりも相手先様の御都合もあるでしょうから、そういった日程を踏まえながら調整をしていきたいと思っております。なお、沖縄県の自治体の首長さん、あるいは、議会の方々の皆様方が要請活動でですね、防衛省、市ヶ谷に足をお運びいただくための上京というのはそれぞれもう既に結構ございまして、この年末までにですね、その際には、できる限りでありますけれども、政務三役の中でも私が直接対応させていただいておりまして、地元の声を直接聞く機会を積極的に私も設けるようにしているところでもあります。また、着任してすぐには、宮古島、石垣島にもですね、訪問しているところでありまして、こういう努力はこれからも続けていきたいというふうに思っております。

Q:先ほど出ました装備移転の関係でお伺いしたいんですけれども、ライセンスバック等でその完成品輸出を認めれば大きな政策の転換となるかと思うんですが、先ほど大臣は与党ワーキングチームでの議論には触れられましたけれども、この間、国会審議等を経ないままで国民的な議論ですとか理解が現時点で深まっていないのではないかという指摘もあります。この点について大臣のお考えを聞かせていただけますか。

A:装備移転三原則並びに運用指針の見直しというのは、まだこれからですね、この現時点では政府として正式に決定してないということから、この内容については、この時点で、私この場でコメントは差し控えざるを得ないということでありますが、与党ワーキングチーム、私も今年の前半までは、参加をさせていただいたところであり、様々なその中の論点においてですね、議論を重ねてきたわけであります。4月から数えると計23回の精力的な議論を経て、それぞれ、ある意味政治家がですね、選挙で選ばれた政治家が与党ワーキングチームというメンバーではありますが、その中で重ねてきた議論ということになるんだろうと思いますので、政府としては、今回の提言に示された内容を踏まえてですね、防衛装備移転三原則、運用指針というものを改正するための準備に入りたいというふうに思っております。

以上