防衛大臣記者会見

日時
令和5年12月19日(火)10:56~11:10
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 日米韓の防衛相共同プレス声明についてですが、本日、12月19日でございますが、米国のオースティン長官と韓国のシン長官と共に、日米韓防衛相共同プレス声明を発出いたしました。この声明において、北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有メカニズムの運用を開始したこと、また、複数年にわたる3か国の訓練計画を共同で策定したことを、併せてこれを発出いたしました。リアルタイム共有メカニズムの運用開始により、日米韓3か国の間で常時継続的にミサイル警戒データを共有することが可能となります。これは、3か国の防衛協力において、新たな1ページを刻むものであります。また、複数年にわたる3か国の訓練計画は、今後、3か国の訓練を定例化し、より体系的かつ効率的に3か国の訓練を実施することを可能とするものであります。北朝鮮情勢をはじめ、安全保障環境が大変厳しい中において、日米韓3か国の連携は地域の平和と安定にとって不可欠であり、引き続き、3か国の協力を強化してまいります。詳細については、また後ほど事務方より説明をさせますので、そこでお尋ねいただけたらと思います。

 

2 質疑応答

Q:17日、18日に北朝鮮から弾道ミサイルが発射されました。特に、18日のミサイルについては、韓国は固体燃料型のICBMで、火星18の可能性を指摘していますが、防衛省としての最新の分析状況をお聞かせください。また、日米韓による北朝鮮ミサイル警戒データのリアルタイム共有の運用開始が発表されましたが、大臣の受け止めとですね、リアルタイム共有によってこれまでとの違いなど具体的に日本のミサイル防衛のどういった部分が向上するのか教えてください。

A:18日の発射についての分析を進めた結果、発射された弾道ミサイルの種類については、本年の4月の13日及び7月の12日に発射された、新型の3段式・固体燃料推進方式のICBM級弾道ミサイルと同型のものと推定しております。一般に、今回発射されたような、固体燃料推進方式のミサイルは、液体燃料推進方式のものに比べるとですね、その保管や取扱いというものが容易でありまして、即時の発射などの観点で優位にあるというふうにされていると承知しております。北朝鮮はICBM級弾道ミサイルの発射を繰り返し強行し、兵器としてのICBMの実現を追求しているとみられ、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすこうした行動は、断じて容認ができません。北朝鮮は今後も、各種ミサイル発射や衛星打ち上げ、核実験などの更なる挑発行為に出る可能性があるというふうに考えておりまして、防衛省としては、引き続き情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げてまいります。あと2番目の問いは、リアルタイム共有についての、運用開始に関してですけれども、北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有というものは、調整の最終段階を迎えた先月ですね、本年11月の日米韓の防衛大臣会談以降、3か国の検証と調整を加速させてきたところでありまして、今般、その調整が完了いたしました。故に本日12月19日からリアルタイム共有のメカニズムの運用を開始したということになります。このメカニズムによって、日米韓3か国のそれぞれのアセットが把握した、北朝鮮により発射されたミサイル情報をリアルタイムで常時継続的に共有することが可能となります。これによって、異なる位置から多様なアセットがミサイルを探知、そして追尾することにより、北朝鮮により発射されたミサイル情報のより精緻な把握というものが可能となります。例えば、韓国と日本を比較した場合には、地理的な位置関係が違いますので、一般的には、韓国はミサイル発射直後の探知とかの追尾に有利である一方で、日本は日本上空を越えるような弾道ミサイルの探知・追尾に有利であるということから、地理的な関係からもそういうことが言えることになります。それぞれの情報をそれぞれの国が共有することが、ある意味、相互補完的関係ということになって、それぞれのメリットにあるというふうに考えております。日米韓3か国の連携は地域の平和と安定にとって不可欠であり、今回のリアルタイム共有の運用開始というものは、3か国の防衛協力において、新たな1ページを刻むものとなります。今回のメカニズムの運用を含めて、引き続き3か国の協力を強化してまいります。

Q:米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関連して、米軍が1966年にまとめていた資料、マスタープランの大浦湾周辺の地盤が軟弱である事実が示されていたことが分かりました。防衛省として、このことを把握した上で、現在の代替施設建設事業を計画したのか教えてください。

A:まず、その今お尋ねの報告書については、防衛省としては承知しておりませんで、コメントすることは差し控えないといけないということになります。普天間飛行場については、平成8年の4月に当時の橋本龍太郎内閣総理大臣とモンデール駐日の米大使との間で、沖縄県内に代替施設を建設することを前提に、全面返還することに合意し、その後、平成11年12月、辺野古への移設を閣議決定したものであります。その上で、普天間飛行場代替施設に係る現行の計画というものは、米側とも十分に協議を行った上で、日米両政府間で合意をされて、現在も実現に向けて緊密に協力をしているものであります。防衛省としては、引き続き、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、そして、基地負担の軽減を図るため、全力で取り組んでいく考えであります。

Q:こういった60年代の米側の公文書を確認すれば、軟弱地盤の存在を把握できる機会はかなり前からあったと思いますし、その後90年代に日本政府自身が実施した大浦湾の調査でも軟弱地盤の存在を示唆するような結果が出ていたと思いますが、この詳しい調査というのは、あえて後回しにしたのか、それともいろいろ忙しくて気付くことができなかったのか、大臣の思うところがありましたら教えていただけますでしょうか。

A:平成8年に初めて、時の橋本総理とモンデール大使と合意をして、そして11年に閣議決定したということでもあります。そして、大浦湾の話もありましたけれども、こちらは平成26年、2014年から平成30年、2018年に実施した、施工段階における追加のボーリング調査等を踏まえた検討の結果、地盤改良工事が必要であるということが判明をしたということになりますので、最新の技術、当時と現在というのは、当然、そういった技術も異なりますし、地盤が柔らかいからといって、それを必ずしも地盤改良工事をしなければいけないというわけでもありませんので、その都度、現在の技術に応じて、必要なことを適正にやっていくということになろうかと思います。

Q:自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、東京地検特捜部が本日、清和政策研究会、志帥会の2派閥の事務所に強制捜査に入りました。いずれもパーティー券収入のノルマ超過分を議員側にキックバックする運用が行われ、中にはそのことが収支報告書に記載されず裏金化していたケースもあるということです。派閥は違いますが、自民党に所属されている大臣のお受け止めをお願いいたします。

A:正に今おっしゃったようにですね、捜査がもう入っておりまして、捜査機関の活動内容にも関わるという事柄に関しては、今、防衛大臣としてコメントする立場にはありませんが、今、非常に世間に関心が高いこともあってですね、一議員の、自民党所属の議員としての立場であえて申し上げるとすれば、現在この時点でもですね、国民の皆様から疑念を持たれているということ、そして、政治に対する信頼を損ねかねないという事態になっているということ、このことに関しては、党所属の議員としては、深くお詫びを申し上げたいなというふうに思います。

Q:米軍オスプレイの墜落事故の関係で一件教えてください。大臣、これまでの会見の中で、米側から情報を受け、飛行の安全対策について確認作業を行っている最中だというふうに何度も説明していただいているんですが、その確認作業というのは今、どのような段階なのでしょうか、教えて下さい。

A:米軍には、飛行の安全が確認されてから、そういった意味で運用を開始、運用停止状態から、またそれを解除というようなことを申し上げているところであり、様々なレベルで今、情報提供などを求めているところであります。飛行安全の確認のための必要な情報というのは、これは米側から我々は情報提供を受ける必要がございますので、また、陸上自衛隊の私どものオスプレイもございます。そういった意味で同種の機体を運用する防衛省としましても、現在米軍が行っているということ、あるいは、これから行おうとしていることを主体的にですね、判断するに至る、それがある意味適切にですね米軍の判断というのが、これが適切であるというふうに、私どもが主体的に判断するに至ることが必要だというふうに考えておりますので、そのための情報提供を今常に求めていると、そういう状況であります。

Q:そうしますと、何度も御説明の中に出てきております確認作業というのは、米側からの情報提供を、十分な情報提供を今、収集されている、提供を求めて、提供を要請している段階だと思ったらいいんでしょうか。

A:随時、最新の情報を更新するような形でいただいているということになりますが、これまでに得た米側からの情報についてはですね、私ども装備部門を含む防衛省内の部局、横断的にですね、確認作業を行っていると、そういうことになります。

Q:念のためお尋ねしますが、その確認作業の結果というのは当然公表していただけると思っていいんでしょうか。

A:装備品の運用に関わることというのは、なかなか申し上げにくいところになりますので、常識の範囲でといいますか、適切に公表すべきことは公表すべきというふうに思っております。

以上