防衛大臣臨時記者会見

日時
令和5年11月26日(日)13:35~13:43
場所
航空自衛隊府中基地
備考
府中基地視察後の木原防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 本日、航空自衛隊府中基地を視察いたしました。まず、航空支援集団を視察をしました。本年、自衛隊はスーダン、イスラエルの2度にわたって邦人等輸送を実施しており、その中心的な役割を担っているのが、航空支援集団の諸君であります。本日は、府中基地で勤務する隊員のみならず、ビデオ会議を通じて、現地で任務に当たっている隊員も激励することができました。次に、宇宙作戦群を視察しました。新たな3文書の下で、今後より一層、宇宙領域における能力を強化し、宇宙利用の優位性を確保し得る体制を整備していく必要がありますが、本日は、その先頭に立ち、緊張感をもって任務に当たる隊員の姿を直接確認することができ、大変有意義でありました。最後に、航空中央音楽隊を視察しました。音楽隊の素晴らしい演奏を聴く中で、隊員の士気を勇ましく鼓舞する、あるいは、慰問の現場において被災者の心を和ませる、そういった、自衛隊の音楽が持つ多様な役割を肌で感じて実感したところであります。今回の視察では、様々な分野において国を守るという共通の使命を果たすべく、懸命に任務に励んでいる隊員諸君と身近に接し、大変心強く思った次第であります。

 

2 質疑応答

Q:本日、府中基地の各部隊を視察された御所感をお聞かせ下さい。

A:訓示でも申し上げましたけれども、自衛隊は本年、スーダンとイスラエルのですね、2度にわたって邦人等輸送を実施したところでありますが、今回視察した航空支援集団がまさに中心的役割を担っている部隊であります。また、ビデオ会議を通じて、時差がありますけども、今この瞬間もですね、現地のヨルダンで活動している隊員から、現地の状況について直接報告を受けるとともに、私自身が彼らを直接激励をすることもできました。遠く離れた中東の地でですね、現地に派遣された隊員たちが、日本人の安全確保のために、士気高く、しっかりと任務に取り組んでいることが確認できました。テレビの画面ではありましたけれども、その隊員たちの元気な姿を目の当たりにして、私自身、非常に安心し、同時に大変頼もしく感じたところであります。また、宇宙作戦群ですけども、宇宙領域における能力を含めた防衛力の抜本的強化の必要性を改めて認識をいたしました。特に情報収集、通信、測位など各国が様々な形で宇宙利用を進めている中で、我が国の宇宙領域把握、SDA能力と言いますけども、そのSDA能力を強化することは極めて重要であります。ここ府中基地では、我が国のそのSDA能力を集約する拠点であり、米軍やJAXAとも情報共有を行っていますが、今後、宇宙領域における能力を強化していくためには、同盟国・同志国や関係機関との連携もますます重要となります。こうした連携も通じ、宇宙領域における能力を強化し、宇宙利用の優位性を確保し得る体制をしっかりと整備してまいります。

Q:視察の話題とは変わるんですけれども、21日に北朝鮮が発射した軍事偵察衛星についてお伺いします。先日の会見以降、新たに判明した事実があればお聞かせください。

A:最新の状況ということですが、今月21日の発射についてですが、現時点で新たにお知らせすべき事項というのはございませんが、北朝鮮が発射し、地球を周回している何らかの物体が、いかなる機能を果たしているかなど、詳細については引き続き分析中ということであります。北朝鮮は、今回の発射によって、ミサイル技術の更なる進展に加えて、衛星打ち上げについて、一定の技術的進展を得たものと考えられます。仮に偵察衛星を保有・運用するに至った場合ですね、北朝鮮の核・ミサイル運用能力は更に向上し、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を一層脅かす恐れがあります。防衛省としては、発射を含む北朝鮮の軍事動向について、引き続き、必要な情報の収集・分析に全力を挙げてまいります。

Q:今あった北朝鮮の軍事偵察衛星打ち上げに関しての質問なんですけれども、防衛省の発表はですね、韓国より遅れる形で地球周回軌道に乗ったという、発表が遅れたということなんですが、これについて、日本の能力に対する懸念の声というのもあるんですけれども、大臣の受け止めと、あとは今日その宇宙作戦群の視察もされたということですが、今後どのようにその能力向上に取り組んでいかれるかお聞かせください。

A:発表が遅れたというそういう御指摘でありますけども、いわゆる公表を行うタイミングですよね、タイミングについては、日本及び韓国、それぞれの総合的な判断においてなされるものというふうに考えておりまして、それは両国で必ずしもタイミングが一致するものではないというふうに認識しております。その上でですね、本件については防衛省自身でしっかりと情報を収集、そして分析することが重要との認識の下、それまでに、ここ宇宙作戦群も含めて自衛隊が得た情報や、また同盟国等から得た情報を慎重に精査し、発射が我が国に及ぼす影響などを総合的に勘案した結果、私どもは24日金曜日の会見において、北朝鮮が発射した何らかの物体が地球を周回していることを確認した旨、御説明をしたところであります。防衛省・自衛隊としては、国家防衛戦略等を踏まえて、宇宙関連予算を大幅に増額しつつ、本年3月から宇宙作戦群による宇宙状況把握、SSAシステムの運用を開始するなど、SDA能力の抜本的強化に向けた取組は、緒についたところであるというふうに認識をしております。宇宙領域において優位性を確保すべく、今後、SDA衛星やレーダーを始めとする各種アセットの整備や宇宙専門部隊の拡充等を強力に進めてまいる所存であります。

以上