防衛大臣臨時記者会見

日時
令和5年10月16日(月)15:02~15:14
場所
海上自衛隊佐世保地区倉島岸壁
備考
海上自衛隊部隊の視察後の木原防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 本日、陸上自衛隊の相浦駐屯地そして海上自衛隊の佐世保地方総監部及び護衛艦「みくま」を視察いたしました。まず、相浦駐屯地では、水陸機動団を視察しました。先日私は、南西防衛の最前線である宮古島駐屯地や石垣駐屯地を訪れましたが、この南西地域には離島が数多く存在しています。南西地域の防衛の鍵は島嶼防衛であり、水陸機動団はその中心的役割を担うものです。今回の視察を通じまして、水陸機動団の隊員諸君が、島嶼防衛のプロフェショナルとして立派にその任務を果たしてくれることを本日、確信いたしました。次に、海上自衛隊佐世保地方総監部を視察し、現状について報告を受けました。佐世保には、イージス艦を含む艦艇が数多く在籍し、ほかの基地の護衛艦も頻繁に出入りをしています。さらに、米軍の艦艇も所在するなど、我が国、そして地域の平和と安定に重要な役割を果たしています。その中で、佐世保地方隊は、1200㎞に及ぶ南西諸島や東シナ海を含む広大な警備区を担任し、補給、維持整備、領域警備、災害派遣、そして新隊員の教育などを通じ、中東や東シナ海などの前線で活動する部隊をしっかりと支えてくれています。こうした任務に日夜従事している隊員達に改めて、敬意を表したいと思います。最後に、本年3月に就役したばかりの護衛艦「みくま」を先ほど視察しました。「みくま」は、省人化しそして機雷処理など多様な任務への対応能力を向上させた艦艇であり、まさに新たな時代にふさわしい艦艇です。先日も日米共同訓練に参加するなど、早速任務に従事してくれていますが、長い歴史を持つこの佐世保の地を母港に、海上自衛隊の新たな歴史を切り拓いていくことを期待しています。本日の一連の視察では、南西諸島の防衛において重要な役割を担う現場を訪問し、ひとりひとりの隊員たちが緊張感をもってそれぞれの任務にあたっている状況を改めて確認することができました。私としても、このような隊員たちの姿を心から誇りに思うところです。

 

2 質疑応答

Q:視察を終えての所感はいかがでしょうか。

A:今申し上げたような所感にもなるんですけども、今回視察した陸上自衛隊の水陸機動団ですが、島嶼防衛のプロフェッショナルであり、厳しい訓練を積み重ねてきた精鋭を集めた唯一無二の存在であろうかと思います。
水陸両用作戦というものは、諸外国と国内外で訓練を積み重ねてきておりまして、その絆を強固なものとしてきたその様はですね、まさに同盟国・同志国との連携の象徴とも言えるのではないでしょうか。南西防衛での中心的役割を担う水陸機動団の隊員たちが、困難な任務に士気高く取り組んでいる姿を目の当たりにして、大変頼もしく感じました。また、海上自衛隊の佐世保地区の視察を通じまして、海上自衛隊の任務が質・量ともに増加していることを改めて認識したところです。そうした中で、先ほど視察したこの護衛艦「みくま」ですが、徹底した省人化を図っているほか、無人アセットの活用といった新しい戦い方が顕在化する中で、水上・水中無人機を運用することで、隊員の安全性の確保と、また効果的な任務遂行を両立させることができる新たな時代にふさわしい艦艇であります。そのような「みくま」の艦内を自分自身の目でじっくりと隅々まで視察できたことは、本日大変有意義でありました。

Q:水陸機動団を2連隊から3連隊にしたりですね、護衛艦増加して、水上艦艇部隊も編制されることになっているかと思います。こうした自衛隊の体制を強化する狙いについてお聞かせください。また改めて、九州を含む南西地域の防衛体制の在り方について、大臣のお考えと決意をお聞かせください。

A:狙いから申し上げますとですね、我が国周辺においては、例えば、中国でいうと近年、軍事力の質・量を広範かつ急速に強化しておりまして、東シナ海などで活動を活発化させているという状況があります。このような戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえて、防衛力の抜本的強化を着実に進めていく必要があります。特に南西地域の防衛体制強化は、我が国の防衛にとって喫緊の課題です。お尋ねの水機団ですが、島嶼防衛能力を一層向上させるために、竹松駐屯地に3個目の水陸機動団を今年度中に新編することとしています。また、海上自衛隊においては、新型護衛艦であるFFMのですね、建造を進めまして、効果的・効率的な部隊運用を図るとともに、警戒監視等増加する活動量に対応すべく現在、防衛力整備計画の期間中にですね、水上艦艇部隊を新編することとしています。南西地域については、これまで、防衛体制の強化のために、南西地域の陸上自衛隊の部隊の空白を埋めるべく島嶼部への部隊配備を行ってきました。今後も、今年度中に沖縄県の勝連分屯地に、令和6年度に大分県の湯布院の駐屯地にそれぞれ地対艦誘導弾部隊を配備するほか、沖縄県の15旅団の師団への改編を計画しているところです。また、佐賀駐屯地を開設してⅤ-22オスプレイを配備するための取組を進めるとともに、ここ長崎県においても、先ほど申し上げた3個目の水陸機動連隊の新編など、必要な部隊配備を行ってまいります。さらに施設の強靱化にも取り組んでおりまして、例えば、福岡県の築城基地や、宮崎県の新田原基地における司令部の地下化などのそういった抗たん性の向上などについてもこれから進めていきます。このような防衛体制の強化は、力による一方的な現状変更やその試みを決して許容しないという我が国の意思を示すとともに、我が国の抑止力・対処力を高めることで、我が国への武力攻撃そのものの可能性を低下させるものであり、我が国国民の安全にもつながるものと考えています。私は、その国民の安全・安心に責任を持つ防衛大臣として、本日の視察を踏まえ、必ず防衛力の抜本的強化を実現していく決意であります。

Q:政務のことで大変恐縮なんですけれども、昨日、衆院補選の自民党候補の集会で、大臣が演説された際にですね、「しっかり応援していただくことが自衛隊並びに家族の苦労に報いることになる」と大臣述べられました。政治的に中立な自衛隊に言及されて投票を呼びかけた形になりますが、この発言の真意を教えてください。また今回の発言内容の範囲であれば、問題はないとのお考えでしょうか。併せてお願いします。

A:私の政務についてお尋ねがありましたけども、昨日は完全に一日政務でありました。公務はしておりませんが、政務についてのことでありますので、一旦、そういう立場になり替わってお答えをします。御指摘の私の発言というものは、いわば自衛官とその家族への敬意と感謝というものを申し上げたなどということでありますが、様々な誤解を受けたとすれば遺憾に思います。必ずしもその真意が伝わらなかったとすれば、今後は気を付けたいというふうに思います。

Q:関連して、御発言は撤回等はされないということでよろしいでしょうか。

A:政務としての応援演説でありますので、私、原稿もなく喋っておりますので、おっしゃったような部分ですね、今、お伺いされたわけですが、自衛官と家族への敬意と感謝を申し上げたものでありまして、今後は気を付けたいなと思いますけども、私自身は、そういったまさに自衛隊という組織というのは中立なものであるというふうに思っておりますので、もしそういう誤解を受けたということであればですね、その部分に関しては、撤回したいと思います。

Q:先ほど、イスラエル・パレスチナ関連で、ジブチに自衛隊機1機が到着したという報告が入ったかと思われます。残りの2機もジブチに向かうのか、あるいはまた行き先が変更になったりするのか、先程ジブチに着いた1機含めて併せて3機の今後の運用はどのようになっていくんでしょうか、教えてください。

A:現下のイスラエル・パレスチナの情勢でありますが、先週の金曜日の13日に外務大臣から、現地に滞在する邦人等輸送に向けた準備開始の要請があったことから、私から、自衛隊輸送機をジブチまで移動させ、待機することを命じたところであります。その命令を受けまして、14日の土曜日に、航空自衛隊の小牧基地からKC-767空中給油・輸送機1機が、航空自衛隊美保基地から、また、C-2輸送機2機が、ジブチに向けて出発をしまして、このうち、C-2輸送機1機がジブチに到着したとの報告を受けています。当初のとおりであります。また、それ以外のことっていうことでありますが、その部分の詳細についてはですね、自衛隊の運用に関することでありますので、ここではお答えは差し控えたいと思います。

以上