防衛大臣記者会見

日時
令和5年10月10日(火)11:00~11:28
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版①
動画版②

1 発表事項

 本日、先ほど閣議がございまして、衆議院議員のですね、和田義明さんを防衛大臣補佐官に任命するということが決定をされました。和田補佐官には、防衛生産・技術基盤の強化を担当してもらう予定となっております。国家安全保障戦略等にも規定されたとおり、防衛生産・技術基盤は、いわば防衛力そのものであり、その強化は我が国にとって喫緊の課題であります。本年10月1日には防衛生産基盤強化法が施行されたところ、今後、防衛大臣の補佐体制を更に強化したうえで、私の下で、同法に基づく施策を強力かつ迅速に進めていくことが必要と考えております。この点、和田さんはですね、これまでに内閣府の副大臣及び政務官を歴任されて、また、行政運営について精通していると承知しております。かつ、自民党の中でですね、国防部会の副部会長などのそういった要職も経験をされて、安全保障に関する高い識見をお持ちであります。加えてですね、彼は、民間企業においても海外駐在などを含む職務経験を有しており、いわゆる産業施策やグローバル・ビジネスに関する高い知見も有しているところです。こうした点を踏まえまして、和田さんを防衛生産・技術基盤の強化担当の防衛大臣補佐官に任命することといたしました。和田補佐官には、政府・党そして民間企業の各分野で培った知見・経験を存分に活かしていただき、私をしっかりとサポートしてもらいたいというふうに考えております。

 

2 質疑応答

Q:先日、九州防衛局が鹿屋、海上自衛隊の基地に配備した米軍のMQ-9部隊を嘉手納基地に移駐するというふうに公表しましたが、先日の日米防衛相会談でもMQ-9の意義について確認したところだと思いますが、今回、嘉手納に移駐する意義や目的について教えてください。加えて、騒音の増加などですね、沖縄の基地負担にもつながるかという懸念があると思うんですけども、それについての御見解と、鹿屋には1年間という期間を区切った配備でしたが、嘉手納について見通しを教えてください。

A:まず、いくつかMQ-9について御質問いただきましたが、まず、理由に関しましてはですね、周辺国の活動が活発化し、また、日本の南西地域周辺海空域等での情報収集のニーズが現在高まっている中で、米空軍MQ-9の嘉手納飛行場への展開によって、第一に、当該地域へのアクセスをより容易にし、ISR活動を実施する時間を増加させることができるということ、そして第二に、より近傍からですね、運用することにより特異な動向を見逃さない態勢を取るということなどによって、より効率的なISR活動を行うことが、これまで以上に可能となるというふうに考えております。また、当初ですね、海上自衛隊の鹿屋航空基地に一時展開する際には、米側の所要を踏まえまして、1年間のみの運用としていたところでありますけども、その後ですね、当該機の運用が、日米のISR活動において非常に有益であるということが確認をされたこと、そしてまた、周辺国の活動状況を踏まえると、南西地域でのISR活動の一層の充実を図る必要があることなどを踏まえまして、今般、嘉手納飛行場においては、期限を定めずにISR活動を実施する計画となっております。また、地元対応についても御質問がございましたけども、嘉手納飛行場への展開に当たっては、MQ-9の騒音等による影響が限定的であることなども踏まえて検討を行ったところでありまして、防衛省としては、米空軍MQ-9の展開による御地元への影響をできるだけ最小限にするため、引き続き取り組んでいく所存であります。

Q:大臣、9月22日の会見でですね、MQ-9に関して、鹿屋基地での1年間の展開が終わった後については、現時点では決まっていないということで、引き続き検討していくというふうに仰っていたと思うんですけども、それからその計画が10月の上旬に明らかになって、この間の間に嘉手納への移駐が決まったというふうな理解でいいんでしょうか。

A:繰り返しになりますが、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している中で、情報収集能力を含む日米同盟の抑止力・対処力を一層強化するために、防衛省においては、平素からですね、米側との間では様々な議論を行っているところです。そういった中でですね、日米間のやり取りの詳細については、米側との関係もありまして、お答えできないということは御理解願いたいと思います。

Q:関連してお伺いします。鹿屋航空基地への一時展開では、遅くとも約10か月前に地元へ打診し、住民説明会を開催した一方で、嘉手納基地への配備については、約1か月前に地元自治体に決定事項として伝えて、住民説明会の予定はないと伺っております。嘉手納基地での配備では、地元への伝達は直前となった理由や説明会を開催しない理由を教えてください。

A:安全保障環境が厳しさを増す中において、情報収集能力を含む日米同盟の抑止力・対処力を一層強化する、そのためには、防衛省においては、先ほども申し上げましたけれども、平素から米側との間で様々な議論は絶えず行っているところでありますが、米空軍のMQ-9の嘉手納飛行場への展開については、今般ですね、日米間で一定の方向性が確認でき、所要の準備が整ったことから地元自治体に対し御説明をさせて頂いたところであります。住民説明会については、現時点においては、行う予定はありませんけども、引き続き、その嘉手納飛行場の関係自治体、三連協ですね、三連協との間で緊密に連携しながら、丁寧な御説明や適切な情報提供をするなど、これから真摯に対応していきたいと考えております。なお、このMQ-9の海上自衛隊の鹿屋航空基地における一時展開の際にはですね、米軍が展開先として同基地への展開の可能性を視野に、検討に必要な現地調査などを含めて、事前に様々な準備・調整が必要であったということというふうに承知しております。

Q:現時点では、住民説明会について決まってないということですが、今後、地元から説明してほしいと求められれば説明会を開催するということでよろしいでしょうか。

A:現時点で住民説明会を行う予定はありませんが、いずれにしましても防衛省としては関係自治体に対し丁寧な説明と適切な情報提供を行っていくことが重要というふうに考えておりまして、いわゆる三連協ですね、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会と緊密に連携しながら真摯に対応していく所存であります。

Q:今月ですね、陸上自衛隊霧島演習場で日米共同訓練が行われます。その受け止めとですね、訓練に関してですね、地元のえびの市や鹿児島の市長、さらに、宮崎県の河野知事らがですね、事故や騒音防止などの徹底を求めている文書を渡してると思います。その大臣としての受け止めをお願いします。

A:御指摘の日米共同訓練レゾリュート・ドラゴンは、今月の14日から月末の31日までの間に北海道、九州及び沖縄において、米海兵隊等と南西地域を担当する陸上自衛隊の西部方面隊等が、共同して作戦を実施する場合の連携要領を演練をし、日米同盟の抑止力・対処力の強化を図る重要な訓練であると位置付けております。具体的に言うとですね、本共同訓練においては、霧島演習場でですね、対着上陸戦闘訓練、共同兵站・衛生訓練、そして日米オスプレイ及び陸自CH-47による空中機動訓練及び滑走路復旧訓練等を実施する予定になっております。訓練の実施に当たりましては、安全の確保がやはり大前提であり、また、騒音など演習場周辺の方々に出来る限り影響を及ぼさないようにすることが重要だというふうに考えておりまして、地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるよう努力をしてまいる所存です。

Q:先ほどのMQ-9に戻るんですけれども、鹿児島県の鹿屋基地から機体が沖縄に移動を始めるのはいつで、全ての機体の撤収が終わるのはいつなのか、展開終了は今期限とされている11月20日より早まるのか、それぞれお答えください。また、沖縄に移駐する理由についてですね、より情報収集活動の強化ができるといった点を地元にも説明されていると思うんですけれども、鹿屋の海自基地で1年間MQ-9を運用した意味について改めて御説明いただけますか。

A:米空軍は、嘉手納飛行場でのMQ-9の運用を開始するために、今月からですね順次、必要な資機材の搬出や、またMQ-9のそのものの移動であるとか、あるいは付属設備の撤去など、所要の準備を行うものというふうに承知をしておりますが、海自の鹿屋航空基地からの撤収日などを含め、詳細については、現時点でお答えできる段階にはないと、今、検討中だということで御理解をいただきたいと思います。また、MQ-9の鹿屋航空基地への一時展開についてですけれども、米軍と自衛隊との連携強化の重要性などを踏まえまして、様々な観点から検討した結果であると、この展開によって米空軍MQ-9の運用が日米のISR活動において、非常に有益だということが確認されたとともに、米軍無人機の運用を含めた情報収集活動における米軍と自衛隊の連携強化が図られたものというふうに理解をしているところです。

Q:国産のスタンド・オフ・ミサイルについてお伺いします。大臣、先日の日米防衛相会談で、国産のスタンド・オフ・ミサイルの取得の前倒しの検討を省内に指示したということですが、対象となるのは、国産長射程ミサイルの全ての弾種なのか、一部なのか、また前倒しは本当に実現可能なのか、実現させるための方策があるのかについて教えてください。あわせて、省内の検討体制や前倒しの可否の判断などに期限を設けているのかについても教えてください。

A:防衛省といたしましては、可能な限り早くスタンド・オフ防衛能力を整備するべく、国産スタンド・オフ・ミサイルについては、現状はですね、2026年度から配備を開始しつつ、必要かつ十分な数量を確保するために、早期に増産体制を確立していくこととしているところです。私としてはですね、防衛大臣に就任をいたしまして、より厳しい安全保障環境を踏まえて、スタンド・オフ防衛能力の構築に向けた取組については、前倒しして実施する必要があると判断をしました。そしてその旨指示を出したところです。現在、関係部署において、全ての国産の長射程誘導弾について検討を行っているところであり、前倒しの可否等についてそれぞれがどうだというふうな具体的にお答えできる段階にはないということであります。いずれにしましても、より早期にスタンド・オフ防衛能力の構築を図っていくためには、不断に検討を重ねて可能な限り早期に具体化していく必要があるというふうに考えております。

Q:そもそもなんですけれども、この国産スタンド・オフ・ミサイルとかトマホークの取得の前倒しについて、昨年末に安保3文書を策定した時点から中国などに対する情勢認識、脅威認識が変化したから前倒しを指示したのか、前倒しを指示した根拠・理由を教えてください。

A:今、中国という話ありましたけれども、今年に入ってからも、例えば中国は、空母の「山東」を始めとして、西太平洋にそれを派遣してくるなどですね、我が国周辺での軍事活動を活発化させているという、そういう状況があります。また、北朝鮮は、固体燃料推進方式の新型のICBM級弾道ミサイルの発射や、また偵察衛星の打ち上げをいわば強行している状況です。さらにロシアとの連携強化の動きも見せているということもあります。そのロシアは、ウクライナ侵略を行う中にあっても、我が国周辺において、中国と共に、艦艇の共同航行やまた爆撃機の共同飛行を実施するなど、活発な軍事活動は継続をしている状況でありますから、こういった、いわば戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、いついかなる形で力による一方的な現状変更が生起するかは予測が困難な状況です。ですので、私が就任したのは9月13日ですが、その後ですね、スタンド・オフ防衛能力の現状について様々、事務方から説明を受ける中でですね、こうした厳しい安全保障環境を踏まえまして、今後も国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くために、今回のトマホークの前倒しも含めまして、スタンド・オフ防衛能力の構築の前倒しを行うことが必要と判断しましたので、指示を出したところであります。

Q:今も少しお話出たんですけれども、トマホークの取得1年前倒しの関係だったんですが、今必要と判断されたということでしたが、現在反撃能力の保有ですとか運用というのは、必ずしも国内で一致した賛成が得られているとは言えない状況かと思います。先の国会でも情報公開の少なさなども指摘されてきたところですが、こうした中での1年の前倒しというのは、国民の理解が得られるというふうにお考えかどうか、お願いいたします。

A:まず、スタンド・オフ防衛能力については、国産スタンド・オフ・ミサイルは、2026年度からの配備開始を予定しておりまして、それを補うものとして、トマホークについても2026年度及び2027年度に最大400発の早期取得を行うことと、そういう計画をしておりました。トマホークについては、米側とですね、この取得時期を早めるべく私の指示の後ですね、交渉してまいりまして、先般、私とオースティン国防長官との会談においても議論をしました。その結果、2026年度及び2027年度にブロックⅤを取得する一方、そのブロックⅤの一部をブロックⅣに変更して、当初より1年早く2025年度から取得することといたしました。今後はですね、これは米国政府においては議会承認の手続きが取られることになります。これはですね、厳しい安全保障環境の中で一刻も早く、我が国としてスタンド・オフ防衛能力を構築する観点から検討したものであり、その整備を前倒し、早期の防衛力の抜本的強化に資するものというふうに考えています。国民の理解に関して申し上げますと、スタンド・オフ防衛能力を含む防衛力の抜本的強化というものは、これは、国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠なものであると、私はそういうふうに理解をしております。防衛省としては可能な限り国会等の場で、これまで説明をしてきたところですが、引き続き、様々な機会を捉えて、丁寧な説明に努めてまいる所存です。

Q:北朝鮮の衛星打ち上げの予告について伺います。北朝鮮では10日で朝鮮労働党の創立から78年となり、国内では祝賀行事が行われ、国威掲揚を図るものとみられます。一方、北朝鮮は2回連続で打ち上げ失敗した軍事偵察衛星の3回目の打ち上げを今月中に断行すると予告しています。改めまして、防衛省・自衛隊の警戒態勢について教えてください。

A:北朝鮮が、今月10月に衛星打ち上げを行う旨を表明していること、これは承知しております。政府としましては、米国及び韓国等と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対し、挑発行為の中止及び関連する国連安保理決議の遵守を求めるとともに、引き続き、情報収集・分析及び警戒・監視に全力をあげてまいります。また、万が一我が国の領域に落下する場合に備えて、引き続き、破壊措置命令を継続し、自衛隊のイージス艦や沖縄県のPAC-3部隊が、必要な態勢を構築しております。弾道ミサイルの破壊措置命令につきましてはですね、各種情報の分析・評価を続ける中で、適切に判断し、国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き万全を期してまいります。

Q:先ほどの鹿屋のMQ-9に立ち返って恐縮なんですけれども、先日地元に飛行再開を伝える際ですね、事故原因については特に説明が無く、米側の方の情報保全の関係から出せないというような趣旨だったかと思います。地元の市町からも原因はなぜかとか、なぜ安全と言えるのかという質問が出たと思いますが、大臣、こうした状況で地元の理解というのが果たして得られるとお考えでしょうか。並びに、こうした事態にあるのは、日米地位協定ですとか、運用に関する合意議事録があるからかなというふうに考えますけれども、その在り方について大臣の御見解をお知らせください。

A:米側からはですね、今回、鹿屋航空基地での滑走路逸脱後の飛行再開に当たっては、全ての機体、システム、操作手順等を対象に調査を行い、その結果、航空機自体の安全性に問題は無く、また飛行の安全に関わる構造上の欠陥はないということを確認し、想定され得る全ての原因をカバーする再発防止策を措置したと説明を受けております。これは、原因に関する詳細は、保全にかかわるものであって、米軍において非公表事項とされている一方で、特に基地周辺の皆さまの安心・安全のためには情報提供が重要との認識の下、米側からは可能な範囲で最大限の情報提供を私ども受けたところであります。防衛省としては、米軍機の運用に際しては、安全面の確保が大前提と考えておりまして、これまでも累次の機会をとらえて、米側に対し、地元への配慮と安全確保について申し入れを行っています。引き続き、防衛省として安全に最大限配慮するよう求めるとともに、地元に対しても、丁寧な説明に努めていきたいと考えています。

Q:地位協定ですとか、合意議事録に関しての在り方について、大臣の御見解をお聞かせください。

A:日米の地位協定については、現在、協定自体をですね、改定をするという考えはありませんけども、運用の改善についてはですね、これまでも累次取り組んでいるところでありですね、この点は引き続き取り組んでいきたいと思っております。

Q:MQ-9について追加で確認させていただければと思います。嘉手納基地への配備については、嘉手納でなくてもこのMQ-9、運用はできるけれどもより活動が強化できるので、嘉手納に配備すると考えていると理解してよろしいでしょうか。

A:先ほど説明をさせていただいたようにですね、まず、鹿屋から嘉手納に展開をすることによって、当該地域へのアクセスを容易にするということ、そしてISR活動を実施する時間を結果として増加させることになるということですね。より近いわけですから。そして、2番目に、より近いところから運用することによって、特異な動向を見逃さない態勢を取ることができると、そういった非常に効率的にISR活動を行うこと、それがこれまで以上に可能となると、そういう判断であります。

Q:これまでも出来てはいたということで、特に見逃していたということではないですね。これまでも出来ていたけれども、より強化していくということでよろしいですか。

A:これまでは特に、自衛隊との連携という観点で、そういうメリットはありましたけども、今回はより近傍にて活動を行うことで、更に、そういった意味で言うと、充実したISR活動ができるのではないかなというふうに考えております。

Q:有人機やそういったものに比べたら騒音が小さいということではあると思いますけども、嘉手納だけで見ると負担が増すことになるんですが、その分、今既に抱えているものについては、減らされる方法も考えないといけないと思いますが、具体的に大臣今、考えていることがありましたら教えていただけますか。

A:MQ-9の騒音による影響は、限定的であるというふうに、検討の結果、そういうふうに判断をしたところであり、とはいえですね、防衛省としては、このMQ-9の展開による、御地元への影響をできるだけ最小限にするために、引き続き取り組んでまいりたいと思っています。

Q:別のものを減らすですとか、騒音に関する規制を強化するですとか、そういったことはやらないといけないんではないかなと思いますが、そういうお考えはありますか。

A:現在、嘉手納の飛行場においてはですね、MQ-9の駐機場として、御地元の御懸念が強いパパループであるとか、あるいは旧海軍駐機場を使用するのではなく、近隣住宅地から相当離れた場所に計画をされるというふうに承知をしておりますので、そういった意味で、地元の御負担にならないように考えていきたいと思っております。

Q:最小限に抑えるというお考えはわかるんですけど、増えた分、何かを減らしたり、対策を強化したりというお考えはないんでしょうか。

A:今の時点では、私が申し上げたまででございます。

以上