防衛大臣臨時記者会見

日時
令和5年10月5日(木)03:50~04:07
場所
米国ワシントンD.C.ウィラード・インターコンチネンタル地下1階
備考
日米防衛相会談後の木原防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 〇 二点申し上げます、大きく二点。一点目は日米防衛相会談についてです。先程ですね、13時10分から14時05分までの55分間になりますが、オースティン国防長官と日米防衛相会談を実施しました。非常に率直な意見交換ができたというふうに、私なりに手ごたえを感じているところです。会談では、まず、ロシアによるウクライナ侵略、中国による軍事活動の活発化、北朝鮮による核・弾道ミサイル開発等の日米同盟を取り巻く安全保障環境について議論した上で、日米間の連携をこれまで以上に強く強化していくことを確認しました。更に、ミサイル警戒情報のリアルタイムでの共有を含む日米韓防衛協力や、共同訓練を含む様々な分野で日米豪防衛協力を更に深化させていくことを確認いたしました。それから次に、日米防衛協力に関する議論を行いまして、日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けた具体的取組を着実に進めていくことを確認しました。まず、同盟の役割・任務・能力については、日米協力の下での反撃能力の効果的な運用を含め、議論を加速していくことで一致したほか、常設の統合司令部の設置を見据えて、日米間の連携要領の在り方について議論していくことを確認したところです。それから拡大抑止についてですが、オースティン長官の方から、核を含めた日本に対する拡大抑止のコミットメントは揺るぎないものである旨の発言があり、拡大抑止に関する実質的な議論を今後も継続的に実施していくことで一致いたしました。また、南西地域における日米の共同プレゼンスの拡大の重要性について一致するとともに、共同ISR活動について、鹿屋航空基地に一時展開している米軍の無人機MQ-9及び日米共同情報分析組織の重要性を改めて確認をいたしました。さらに、同盟の技術的優位性を確保するため、無人機関連の協力の拡大やGPIですね、Glide Phase Intercepterの共同開発に向けた協力を進めていくことを確認いたしました。その上で、このような協力を進めるにあたっては、情報保全・サイバーセキュリティの抜本的強化が必須であり、私からは、米側と緊密に連携してサイバー防衛能力の抜本的強化に取り組んでいく強い決意を述べたところです。一点目の最後に、米軍再編等については、今後の着実な進展のために引き続き緊密に連携していくことを確認しつつ、沖縄をはじめとする地元負担軽減について取り組んでいくことを確認しました。本日の国防省訪問を通じて、オースティン長官の誠実な人柄に触れながら率直な議論を行うことで、信頼関係を築くことができたというふうに感じています。本会談の成果も踏まえまして、オースティン長官とともに、日米同盟の更なる強化に取り組んでまいる所存です。

 〇 それから二点目です。二点目、これはトマホークに係るですね、スタンド・オフ・ミサイルの早期整備についてであります。スタンド・オフ防衛能力については、より厳しい安全保障環境を踏まえて、早期の能力構築に向けて更なる前倒しを行うように、私が防衛大臣に着任してからですね、事務方に指示をしたところです。これを踏まえまして、まずはですね、国産のスタンド・オフ・ミサイルについて、より早期の取得に向けて今、事務方が検討を始めたところです。また、トマホークは、国産のスタンド・オフ・ミサイルの補完になるわけですけれども、その補完であるトマホークについても、米側と取得時期を早めるべく交渉をしておりまして、先ほどのこの日米防衛相会談においてもこの点議論をしました。その結果、2026年度及び2027年度にブロックⅤを取得しつつ、これは従来の計画ですね。そのブロックⅤの一部をブロックⅣに変更し、1年早い2025年度からトマホークを取得することとしました。今後、米国政府において、これは議会承認の手続きがとられることになりますけれども、これは我が国の防衛力の抜本的強化を早期に進めるということに資するものと考えております。

 

2 質疑応答

Q:防衛相会談中心に冒頭発言いただきましたが、これまでの訪米の期間、これを踏まえて、現状の成果、手ごたえなど、御所感ありましたら併せてお願いします。

A:オースティン長官は、防衛大臣となって初めて対話をする機会をいただいたところであり、先週、電話会談をしましたが、その結果も踏まえながら、安全保障情勢や日米同盟の強化に係るさらに幅広い事柄について、具体的かつ率直な議論ができたこと、これ大変意義深く感じております。会談においてですね、長官からは、我が国の防衛力の抜本的強化に向けた取組に対する強い支持が示されたほか、改めて、この米国の拡大抑止のコミットメントが揺るぎない旨の発言があったこと、これについては非常に心強く感じているところです。トマホークの調達についてですが、会談において私が申し上げたことによって、早期取得に向けた手続きが進むことになります。先週の電話会談に加えて、今日、対面での会談を行えたことで長官との信頼関係を深められたと感じておりまして、また、今日午前中にサリバン補佐官ともお話をしましたけれども、そういった米側の様々な安保関係者と幅広く意見交換ができた訪米だったというふうに思っております。こうしたさまざまな成果を踏まえまして、引き続きオースティン長官とは緊密に連携しつつ、日米双方の新たな戦略の実現と日米同盟の抑止力・対処力の向上に向けて、努力してまいりたいと思います。

Q:今、大臣、トマホークを1年早めるというふうに御発言いただきましたが、就任直後から早く取得すべきだと指示をされてたということですが、1年前倒しする意義については、どのようなところをお考えでしょうか。

A:防衛省としてはですね、可能な限り早くスタンド・オフ防衛能力を整備するべきだということでありまして、国産のスタンド・オフ・ミサイルについては、2026年度から配備開始を予定しており、それをあくまでも補うものとして、トマホークについても、同じ年2026年、そして27年度に最大400発の早期取得を行うことというふうにしております。これまではそういうふうに答弁をしてきたところであります。私以前の防衛大臣であり、あるいは総理もそう。私としましてはですね、就任してから様々な業務説明を受けている中でですね、より厳しい安全保障環境というものを踏まえて、スタンド・オフ防衛能力の構築に向けた取組について、更に前倒して実施する必要があるというふうに私が判断をしまして、その旨事務方に指示をし、そして、まずはですね、一義的には国産のスタンド・オフ・ミサイルについて、より早期の取得開始に向けて検討をですね、進めているというところです。加えてその補完であるトマホークについても、米側と取得時期を早めるべく交渉をですね、進めておりまして、私とオースティン国防長官との今日の会談においても議論をしました。その結果、先ほど申し上げたようにですね、2026年度及び2027年度にブロックⅤを取得する一方で、ブロックⅤの一部をブロックⅣに変更し、当初予定よりも1年早く2025年度から取得することといたしました。これは今後ですね、米国政府において議会承認の手続きが得られることとなるということも先ほども申し上げましたけれども、これはですね、繰り返しになりますけれども、安全保障環境が厳しい中で、一刻も早く我が国としてスタンド・オフ防衛能力を構築する観点から検討をずっとしてきたものであり、その整備を前倒しすることでですね、早期の防衛力の抜本的強化に資するものというふうに考えています。

Q:トマホークの関連なんですが、1年前倒す一方で、これまで全てブロックⅤというものだったのを一部をブロックⅣにするという、この辺に関して安全保障上の懸念等がもしかしたら出てくることもあるかもしれませんが、その辺について大臣の御所感をお願いいたします。

A:ブロックⅣとブロックⅤがどう違うかというところなんだと思いますけれども、これも私もいろいろ諸元などを調べまして、そして、いわゆる性能といいますかね、誘導方式、あるいは射程などは、同等の機能を有しているということでですね、ブロックⅣとブロックⅤともにですね、これはスタンド・オフ防衛能力としては、我が国を防衛するために十分な機能を有しているというふうに判断をしたところでありまして、また、発射システムについても、両方のブロックⅣ・Ⅴに対応しているということも分かりましたし、ブロックⅣとブロックⅤの混合でもですね、我が国が整備を進めているスタンド・オフ防衛能力の構築について問題があるとは思いませんでしたので、そういう結論に至ったところです。因みにですね、この米軍においても、ブロックⅣはブロックⅤと今後長期にわたって運用を継続するということもですね、お聞きしました、ということです。

Q:普天間飛行場の辺野古移設を巡る訴訟についてお伺いします。玉城知事がですね、国が承認するよう指示した期限の4日までには承認せず、判断を保留する考えを示しました。この受け止めとですね、今後、代執行訴訟も想定されますが、今後の方針について、今の考えをお願いします。

A:そうですね、玉城知事は、4日の期限までに承認、不承認の判断をすることは、困難というふうに発表したというふうに承知しておりますが、本件は、あくまでも公有水面埋立法を所管する国土交通大臣の所掌に関する事項でありまして、一義的にはお答えすべき立場にはないということで御理解をいただきたいと思います。いずれにしてもですね、埋立変更承認については、先般、司法による最終判断が示されたところでありまして、沖縄県において判決に沿った対応が速やかになされるものというふうに考えております。防衛省としては、引き続き、地元の皆様方に丁寧に説明を行いながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するために、大浦湾側の工事に向けた準備を進めてまいりたいと思っております。

Q:先ほど、日米の協力について、連携要領、常設統合司令部について言及ありましたけれど、指揮統制の関係でその日米の今の枠組み、今後どういうふうにアップデートしていくかみたいな点については、どういった話し合いがあったのでしょうか。

A:常設の統合司令部を作るということについて、そしてこれからですね、いわゆる役割・任務について、どういう分担にしていくかということを議論を進めるということで一致したということであり、日本側の考え方、あるいは、米側の考え方というのをこれから話し合っていくということになります。

Q:トマホークの前倒しに関して、米側オースティン長官側は歓迎の意なり、どのような反応だったか、可能な範囲で。

A:オースティン側と今日は、直接話をしましたけれども、理解をしていただいたということであります。ですから、まだ議会承認があることなので、その点はあるもののですね、概ね私の考えは理解をしてもらったというふうに思っています。

Q:米議会の混乱についてお伺いしたいんですけれども、今、議長が昨日ですね、議会の議長が解任されまして、まだ後任が決まっていない状況です。混乱はしばらく続くと思われるんですけれども、こうしたアメリカ議会のですね、混乱がトマホークの調達も含めて日本の安全保障なり、アメリカの外交安全保障政策なりに与える影響についての懸念について、大臣どうお考えでしょうか、また、今日はオースティン長官ともそういったやりとりはあったんでしょうか。

A:その点、解任の議会の話というのは、今日は話の中にはありませんでしたが、先ほど議会承認が伴うことというのはありますから、話はなかったもののですね、私としては、議会承認に向けてですね、進めていただきたいなということでありまして、防衛省としてはそこはコメントするところではないかなと思っております。

以上