防衛大臣記者会見

日時
令和5年9月19日(火)10:57~11:10
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 なし。

 

2 質疑応答

Q:熊本選出の大臣でございますが、現在の安全保障環境から見て、九州・沖縄のおかれている現状、状況をどう評価されますでしょうか。また、防衛力整備計画などございますが、今、南西防衛強化の観点で、九州・沖縄に必要だと考える部隊やアセットの展開配備に関して、お考えがあればお聞かせください。

A:地元、九州出身の防衛大臣ということでの御質問かと思いますが、我が国周辺においては、中国は近年、軍事力の質・量共に広範かつさらに急速にですね、強化をしているということであり、9月の15日にも、中国海軍の測量艦が鹿児島県のですね、口之島北東の我が国領海に入域するなど、東シナ海、そしていわゆる第一列島線を越えてですね、第二列島線に及ぶ我が国周辺全体での活動を活発化していると、そういう評価をしております。このような戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえればですね、南西地域の防衛体制の強化は、我が国の防衛にとって喫緊の課題であると、そういう認識でございます。このために、防衛省としましては、これまでの南西地域の陸自部隊の空白を埋めるべく、これまで与那国島、そして奄美、宮古、そして石垣への部隊配備を行ってきたほか、令和5年度には沖縄本島の勝連分屯地に、そして令和6年度には大分県の湯布院の駐屯地に、それぞれ地対艦誘導弾部隊を配備する予定であります。また、佐賀駐屯地、まだこれは仮称ということでありますけれども、佐賀駐屯地を開設してV-22オスプレイ等を配備するための必要となる取組も進めるとともに、昨年策定しました防衛力整備計画に基づいて、沖縄県の第15旅団、現在旅団ですけれども、それの師団化ということへの改編を今、計画しているところです。現在の1個普通科連隊を2個普通科連隊にしようということによってですね、これを増強することを検討しております。 さらに、この施設の強靭化にも取り組んでいるところでありまして、例えば、福岡県の築城基地、あるいは宮崎県の新田原基地における司令部の地下化などの抗たん性の向上などについてもこれから進めていきます。このような部隊配備等は、今、九州の一例を申し上げましたけども、力による一方的な現状変更、その試みを決して許容しないとの我が国の強い意思を示すとともに、我が国の抑止力、そして対処力を高めることで、我が国への武力攻撃そのものの可能性を低下させるものでありまして、我が国国民の安全につながるものというふうに考えております。防衛省としましては、引き続き、地元の自治体にしっかりと説明しつつ、防衛力の抜本的強化の実現に向けて全力で取り組んでいく所存です。

Q:高機動車についてお尋ねします。陸上自衛隊が鉄屑にする前提で売り払った高機動車が海外に流出して、さらに日本に逆輸入されていた問題を弊紙が報じました。防衛省としてこの問題の受け止めと、今後どのような対応を取られる方針か、お考えをお聞かせください。

A:報道については承知しているところです。受け止めということですが、自衛隊が用途廃止した車両の売払いにつきましては、契約業者に解体・破砕を義務付けておりまして、解体・破砕がされないということは、これは重大な契約違反ですね、まず契約違反であるということ。そして防衛省・自衛隊としては、今回の報道を受けて、事実関係を把握するとともに、不正な行為を確認した場合には、契約及び関係法令に基づき厳正に対処してまいります。また、令和4年の7月から、契約業者に解体・破砕の工程の画像を添付した解体・破砕証明書の提出をすでに義務付けてはおりますが、解体・破砕の状況を、より確実に確認するため、例えば業者の解体・破砕作業の現場に防衛省の関係者が立ち会うとか、そういった新たな解体・破砕要領というのを速やかに策定してまいります。さらに、本年4月から、過去に売り払った高機動車がその後どのように処分されたか、調査をこれも行ってまいりましたけども、この調査に加えて、東南アジアにおける転売の事実や転売ルートを把握するため、令和6年度の概算要求に調査のための経費を、これも概算要求として計上しているところです。報道を踏まえまして、転売したと回答した旨の業者に対する立入調査、東南アジアにおける調査の前倒し等、必要な調査を早急に進めて、用途廃止した車両が適切に処分されるよう、速やかに対応を進めてまいります。防衛大臣としてこの件は、大変重く受け止めているところです。

Q:今、調査に関して発言がありましたけれども、4月から防衛装備庁が高機動車の落札業者など約40社の調査を進めておられると思うんですが、調査の進捗状況、もしくは、この調査結果・対策など今後公表する考えはありますでしょうか。

A:まず進捗状況ということですが、売り払われた高機動車の調査については、御指摘のとおり本年4月から、過去5年間に売り払った車両を対象にですね、全国の52カ所の部隊で契約した案件について、下請企業も含めれば、約40社の業者をですね、対象に、書類の確認や聞き取り調査を実施しており、現在も細部の確認を行うために引き続き調査を今行っているところであります。また、今般報道がなされたことから、報道内容に関する追加の調査、先程申し上げました、追加の調査も検討しておりまして、調査の終了時期というのは、いつまでというのは明確にお答えすることは今の時点では困難ですが、できるだけ速やかに取りまとめるとともに、調査の結果等を踏まえて新たな転売防止強化策を策定し、併せて公表するかということでしたけども、公表をする予定であります。

Q:先ほど、解体調査の概算要求に関する発言がありました。東南アジアを念頭に考えてらっしゃるということをお聞きしているんですけども、対象を東南アジアとした理由を教えてください。また、具体的な調査方法に関して、お考えがあれば教えてください。

A:先程申し上げたとおりですね、本年の4月から、過去に売り払った高機動車がその後どのように処分されたか、調査を行ってまいりました。それに加えてですね、東南アジアにおける転売の事実や転売ルートを把握するために、概算要求3億円を計上しております。この調査につきましては、これまで、東南アジアで自衛隊の車両に類似した車両があるとの情報があったことから、東南アジアにおける調査を検討しております。なお、具体的な調査方法につきましては、現段階で検討を行っているところでありまして、調査の細部を明らかにした場合、逆に、事前にこういう調査しますと言うと、手の内を明かすことになりますから、調査方法についてはお答えは困難であるということをですね、御理解いただきたいと思います。

Q:普天間飛行場所属のオスプレイが、16日、大分空港に緊急着陸しました。普天間飛行場所属のオスプレイが各地で緊急着陸を繰り返していることについて、大臣の受け止めと御対応を教えてください。

A:大分空港のオスプレイの御質問でございますが、16日に米海兵隊普天間基地所属のMV-22オスプレイ1機が、飛行中に計器表示があったために、大分空港に予防着陸したということを承知しております。防衛省としましては、14日から予防着陸が続いているということを踏まえて、米側に対して、事案の原因に関する情報提供を求めるとともに、改めて安全管理を徹底するようにも申し入れをしております。米軍機の運用に際しては、安全の確保が大前提と考えておりまして、引き続き米側に対しては、安全管理に万全を期すように求めてまいる所存です。

Q:沖縄県の玉城デニー知事が国連人権理事会で演説し、県民投票で反対の意思が示されたにもかかわらず、政府が辺野古移設を強行しているということを訴えたのですが、その演説に関する受け止めをお願いします。

A:玉城知事の発言については承知をしております。沖縄県においては、現在でも、多くの米軍施設・区域が集中し、沖縄の皆様方には、大きな基地負担を担っていただいていることを、政府としては重く受け止めているところです。沖縄の基地負担軽減は、政府の最重要課題の一つとして今後とも取り組んでいく所存です。特に、普天間飛行場を巡る問題の原点というのは、繰り返しになりますが、市街地に位置し、住宅や学校で囲まれ、そして世界で最も危険と言われる普天間飛行場の危険性を一日も早く除去することであります。この普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければいけません。これは、政府と地元の皆様との共通認識であると思います。政府としては、この辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づいて、着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものというふうに考えております。引き続いて、玉城知事をはじめ、地元の皆様方に丁寧な説明を行いながら、辺野古への移設工事を着実に進めて、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現してまいります。

Q:米軍基地が集中している現状を重く受け止めているということなんですけれども、沖縄県の立場としては、辺野古移設ではそれが解消できないんではないかという疑問だと思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。

A:様々な御意見があることは承知してますが、政府としては、辺野古移設が唯一の解決策であるという、その辺りは政府の認識としてそういった方針に基づき、これからも着実に工事を進めていきたいと思っております。

以上