防衛大臣記者会見

日時
令和5年9月15日(金)15:11~15:34
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
木原防衛大臣閣議後会見
動画版①
動画版②

1 発表事項

 なし。

 

2 質疑応答

Q:初閣議で岸田総理大臣は日米同盟を基軸としつつ、防衛力を抜本的に強化するとの談話を出しております。これに関連して唯一の同盟国であるアメリカとの連携の在り方について、大臣御自身はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。また、早期に訪米する御予定などはありますでしょうか。よろしくお願いいたします。

A:国家安全保障戦略等の3文書にも記載しておりますけども、日米同盟というのは、我が国の安全保障政策の基軸であり、日米同盟の抑止力・対処力、これを一層強化していくことが重要であるというふうに私も考えております。今後とも、我が国の防衛力の抜本的強化をしっかり進めつつ、宇宙・サイバーを含む領域横断作戦や反撃能力、そういったものをはじめとする様々な分野において協力を進めるとともに、拡大抑止の強化に向けた議論も進めていきたいというふうに考えています。また、訪米についてはですね、後段ですけども、現時点では具体的に決まっているものはまだございませんが、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、そういったことを鑑みればですね、私とカウンターパートのオースティン国防長官が直接会談する、対面で話をする機会を持つということは、これは日米同盟を一層強化していく上で極めて重要であるというふうに考えております。

Q:週明けの19日ですが、平和安全法制の成立から8年を迎えますが、改めて同法、平和安全法制の意義や成果などについて大臣の所見を伺います。あと、円滑化協定の締結や武器等防護の適用検討など、イギリスとオーストラリアと安全保障分野における結び付きを強めていますが、その狙いについて教えてください。

A:まず、いかなる事態においても国民の命や平和な暮らしを守り抜くこと、これは、これは政府の最も重い責任であります。2015年に成立した平和安全法制により、日米同盟はかつてないほど強固なものとなり、抑止力・対処力が向上し、地域の平和と安定にも寄与するとともに、国際社会の平和と安定により積極的に貢献できるようになりました。法律の施行後、平和安全法制に基づく任務の実績はその後一つ一つ、これは実績が積み重なっておりまして、具体的には、米軍等の武器等防護は、昨年、米軍に対して27件の警護を実施したほか、これはオーストラリア軍に対しては、4件の警護を実施しました。また、本年5月に発出した日英広島アコードでは、自衛隊による武器等防護の適用の可能性を視野に、日英間の活動をより高いレベルに引き上げることを、これを確認しました。あとそうですね、後段の部分ですけれども、我が国の安全保障を確保するためにはですね、日米同盟を基軸と、これは不変ですけれども、同盟国のみならず、一か国でも多くの国々と連携を強化することが極めて重要だというふうに思っております。RAA等の制度的枠組みの整備を含めて、多角的そして多層的な防衛協力・交流を積極的に推進することは、これはFOIPですね、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に資するものと考えます。政府としては、引き続きまして平和安全法制を効果的に運用して、いかなる事態にもこの国民の命と平和な暮らしを守るべく万全を期してまいります。

Q:もう一点なんですけれども、話題変わるんですけれども、来年度末に創設をする常設の統合司令部について伺います。その目的として、アメリカとの作戦面の連携強化がうたわれていますが、一方で、日米の一体化が進むことによって、有事の際に自衛隊の主体性がなくなって事実上の米軍の指揮統制下に入ってしまうのではないかという懸念の声もありますが、大臣の考えをお願いします。

A:先ほど申し上げたように、日米同盟が基軸であると、多角的・多層的ということで一か国でも多くのですね、そういった国々と連携をとっていくということが非常に大事だということを踏まえた上で、自衛隊及び米軍というのは、各々独立した指揮系統に従って行動し、かつ自衛隊は憲法、そして国際法、国内法に従って行動することから、指揮系統も含めて日米が一体となって活動するという、そういったですね、極端な指摘というのは当たらないというふうに考えております。

Q: 10月の陸自と海兵隊との実動訓練レゾリュート・ドラゴンで陸自のオスプレイが沖縄県の新石垣空港を利用する計画がありますが、県は自粛を要請しています。昨日も海兵隊のオスプレイが相次いで石垣空港と奄美空港に緊急着陸しましたが、10月の陸自オスプレイの訓練計画を見直す考えはありますでしょうか。

A: 10月に予定をされているのは、日米共同訓練ですね、レゾリュート・ドラゴンでございます。10月の14日から31日までの間に、北海道、九州及び沖縄において、米海兵隊と南西地域を担当する陸自西部方面隊等が、共同して作戦を実施する場合の連携要領というものを演練し、日米同盟の抑止力・対処力の強化を図る重要な訓練であると、そういう認識であります。現時点において、米側から本訓練へのオスプレイの参加を見直すということは聞いてはおらず、陸上自衛隊のV-22オスプレイの参加も含めて、本訓練の計画を変更するということは考えておりません。いずれにしても、訓練の実施に当たっては、安全の確保というのがこれは大前提でありますので、引き続き米側と緊密に連携してまいります。

Q: 2点お願いします。1点目冒頭の質問への回答で、拡大抑止の強化に向けた議論を進めたいと、アメリカ側とですね、お答えされていましたけれども、拡大抑止の強化というのは具体的にどういうことを念頭に置いておっしゃったのか、もう少し具体的に教えていただければと思います。例えば、4月に米韓がワシントン宣言で合意しましたけれども、例えばああいう原潜を日本に送るとか、そういうことを念頭に置いているのか、具体的に教えていただければと思います。2点目は、今日、米軍が横田基地に宇宙軍を創設するという報道が一部出ていましたけれども、これの事実確認を教えてください。

A:拡大抑止の強化、具体的にということですけれども、これは正にまずはその日米の間でですね、しっかりとこれから議論をしていくことが大事だというふうに考えています。何かしら具体的なことというのはまだ現時点では申し上げるということはできないということであります。報道でですね、在日米の宇宙軍を創設するということが報道されておりましたけども、その報道は私も承知をしてますが、現時点で具体的に決まっているものはありません。いずれにせよ、国家安全保障戦略にも記載しましたけども、日米共同による宇宙・サイバー・電磁波、そういったものを含む領域横断作戦、これを円滑に実施するための協力を一層強化させること、これ自体は非常に重要ですから、米側と議論を引き続き行っていきます。

Q:昨日から、今度は陸自と米軍のオリエント・シールド23訓練が北海道と沖縄、鹿児島で始まりましたが、国内で有事が想定されるような地域での共同訓練を実施していく意義について教えてください。

A:昨日から、9月14日から、陸上自衛隊は、米本国から参加する米陸軍とともに、御承知のとおり北海道等でですね、島嶼防衛にかかる実動訓練を実施し、戦術・技量の向上及び共同対処能力の向上を図っております。今年のオリエント・シールドであります。このように日米共同訓練を我が国において実施し、そしてインド太平洋地域における日米の協力を深化させることは、米国のですね、本地域へのコミットメントを維持・強化する上でも非常に重要だというふうに考えています。また、度々ですけども、国家安全保障戦略にもですね、書いておりますけども、「より高度かつ実践的な演習・訓練を通じて同盟の即応性や相互運用性を始めとする対処力の向上を図っていく」こととされているということと共にですね、「日米一体となった抑止力・対処力の強化の一環として、」「訓練等を通じた日米の部隊の双方の施設等への展開等を進める」ということを国家安全保障戦略等で明記しておりますので、それを具現化しているということであります。今後とも、国内で実施するものも含めまして、日米共同訓練を通じて、インド太平洋地域における日米同盟全体の抑止力・対処力を一層強化していきたいと思っております。

Q:日イギリスの円滑化協定に関してお伺いします。本日の閣議でですね、日英のRAAの締結が決定されたと思うんですけれども、締結の意義ですとか、期待していることについて御所見をお願いします。

A:先ほど、今日、閣議においてですね、日英の円滑化協定の締結及び公布のための閣議決定が行われました。本協定の発効予定日はですね、10月の15日になっております。日英RAAは、日英それぞれの部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続、または法的地位、それを定めるものであり、これによって日英間で共同訓練や災害救助等をこれまで以上に円滑に実施することが可能になります。日英両国は、アジア及び欧州における相互の最も緊密な安全保障上のパートナーであります。防衛省・自衛隊としましては、本協定を早期にしっかりと活用する予定でありまして、その上で、自衛隊と英国軍間の相互運用性を向上させて、日英防衛協力を深化させていく、そういった考えでございます。

Q:今日決まった副大臣と政務官の人事についてお伺いします。政府は女性活躍を掲げてですね、閣僚には5人の女性入閣しましたけども、副大臣と政務官は全員、全ての省庁で男性ということでした。大臣は政府の一員としてですね、これについてどのようにお感じになるのでしょうか。

A:そうですね。閣僚は5人いますんで、今日も閣議がありましたけども、5人の女性閣僚ということで、女性が増えたなというような、閣議ではそういう私の印象を持っている。また、政務官、副大臣の名簿、こう見たら、おっしゃるように男性ばかりというのが、これ事実だろうと思いますが、防衛省でも、この間まで、直前は小野田政務官がいらっしゃったり、女性の政務官というのも実際に防衛省でも誕生しているということでありまして、閣僚並びに副大臣、政務官、政務というのは適材適所が基本だと思いますから、結果として、そういう状況になっているということであり、現実としては5名閣僚にいるということは、非常にこれは大きなですね、今回の閣僚人事においては、顕著な人事であったのだとというふうに私自身はそういう感想を持っております。

Q:公共インフラの整備に関連してお伺いします。総合的な防衛体制強化に向けてですね、沖縄など全国各地の空港、港湾の整備に向けてですね、防衛省、国交省、省庁横断して取り組んでいく方針だと思いますけれども、関係自治体に対してですね、9月の下旬以降、防衛省、国交省、内閣府等々関係省庁がですね、調整に入るというふうに伺っておりますけれども、具体的にいつ頃から調整に入る御予定かというところとですね、改めてその公共インフラの整備の必要性について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

A:戦後最も厳しく複雑な安全保障環境というのは申し上げているところであります。そういったことを踏まえて、防衛省としては、我が国防衛上、多様な空港そして港湾を平素から円滑に利用できることが重要と考えております。例えば、その輸送手段が船舶や航空機に限られる南西諸島には、部隊運用上の運用性が高い空港、港湾もあるため、これらを整備し、自衛隊が利用できるようにすることは、このことは必要であるというふうに考えております。また、こうした取組を進めていくためには、関係する自治体に対して、丁寧に説明していくことが必要と考えておりますが、調整状況の逐一については、先方との関係もあるということから、時期も含めてですね、そこはお答えすることが困難であるということで是非御理解いただきたいと存じます。

Q:台湾問題について伺います。日華議員懇談会の「華」というのは、中華民国を指すという理解でよろしいでしょうか。

A:日華議員懇談会、今年で創立50周年ということであります。

Q:聞いているのは、日華議員懇談会、「華」という字は、日華の「華」というのは、中華民国ということを指しているという理解でよろしいでしょうか。

A:その質問に今、お答えをしているところであります。日華議員懇談会、創立は50周年ということをもって、その創設当時のことは私は存じ上げておりませんけれども、どうしてそういう名前にしたかというのは詳しくは存じ上げておりません。

Q:中華民国を指すというふうに一般的には理解できると思うんですが、大臣はこれまで中華民国という言葉を使われてきたか、あるいは今後、中華民国という言葉を使われるかどうか教えてください。

A:中華民国という言葉を使ったか使わないかというと、はっきりと記憶はありませんが、その台湾自身がそういう言葉を使っていたり、あるいはそういう表記がですね、実際に出ておりますので、それを例えば読んだりですね、固有名詞として話したことはあるかと思います。これからも積極的に使うということは恐らくないと思いますし、場合に応じては、そいうこと固有名詞として、括弧のですね中華民国として話すことはあるかもしれません。それは、その時になってみないと分からないということです。

Q:一般的には、日華の「華」は中華民国を指すというふうに理解されると思うんですが、その場合、議員懇談会の事務局長をされている大臣はですね、日中国交正常化以降の一つの中国政策、日本政府が掲げている一つの中国政策との関連について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

A:今、日華議員懇談会の事務局長をされている大臣とおっしゃいましたが、もう実は、大臣を拝命したこともありですね、今後、防衛大臣という職務に専念することからですね、古屋圭司衆議院議員がこの日華議員懇談会の会長でありますけれども、私は、日華議員懇談会事務局長の役職については、大臣に就任前にですね、もうこれは辞任をしておりますんで、その立場にございませんから、そういった意味でいうと、今お答えする立場にないということでございます。

Q:私が聞きたいのは、かつてされていた事務局長のお立場で中華民国という言葉とですね、日中国交正常化以降の日本政府が掲げている一つの中国政策との間の関係をどのように考えていらっしゃるか教えてください。

A:これは恐らく政府にそういうことを問われた時にはいつもこういう答弁になるかと思うんですが、日本政府の台湾に対する基本的立場というのは、これまでも、これからも変わらずですね、1972年の日中共同声明を踏まえて、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくということで一貫しているところでありまして、防衛省としましても、台湾との関係については、こうした政府の立場に基づいて対応していく所存でございます。

Q:これまで政治家、議員としてですね日華議員懇談会の事務局長をされてきたと、そういった政治家としてのお立場を踏まえて、一つの中国という政策との関係について教えて下さい。

A:現在も日華議員懇談会の事務局長の役職は辞任しましたので、今、防衛大臣である間は、防衛大臣としての立場で発言をしたいと思います、この場では。

Q:政治家としては、断裂してないと思うんですけれども、いくら事務局長を辞めたとしても政治家としては連続した存在であると思うんですが、そのお立場から教えてください。

A:この記者会見の場ではですね、防衛大臣としてのお答えとして私は発言をするのみに限定させていただきたいと思っております。

Q:過去の政治家としての経歴は一切なかったことにしてくれということでしょうか。

A:一言もそういうことは言っておりません。

Q:今の日華議員懇談会の関係で1点確認なんですけれども、事務局長をお辞めになられたのはいつになるのかというのとですね、改めて理由をお願いいたします。

A:防衛大臣を拝命するというんですか、まだ、防衛大臣のある意味内定の段階とですね、そして実際に天皇陛下から官記を賜って、そして総理から辞令をもらう、これで着任だと思うんですよね。昨日が防衛省で着任式というのがありましたけれども、これをもっていわゆる着任だと思うんですが、その間ということであります。そして、なぜそれを辞任したかというと、先ほど申し上げましたように防衛大臣という政府の閣僚としての職務に専念していくという、そういう観点から日華議員懇談会の事務局長の役職については辞任をしたということでございます。

下線部:大臣発言中、国家安全保障戦略(誤)を国家防衛戦略(正)に修正

以上