防衛大臣記者会見

日時
令和5年7月28日(金)10:55~11:11
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 本日の閣議におきまして、令和5年版防衛白書を説明の上、配布をいたしました。本年、防衛白書は、戦略三文書の策定後、初めて刊行される白書であり、三文書策定の経緯や概要を記述しております。また、我が国周辺国の軍事動向など、我が国を取り巻く安全保障環境や、防衛省・自衛隊の取組、米国を始めとする各国との協力などについて、まとめております。我が国の防衛に対する国民の皆さまの御理解の一助になればと考えておるところであります。今回の白書、このような形になっております。

 

2 質疑応答

Q:防衛白書について1問伺います。安保関連三文書の改定後、初の白書は巻頭で安保環境の厳しさに触れ、国民や国際社会に対する透明性が必要と指摘しました。特集では、過去10年の日本を取り巻く安保環境の変化をまとめ、国家防衛戦略について記載しました。こうした巻頭や特集の意義、白書を通じて国民に理解を促したい点はどこでしょうか。

A:冒頭に申し上げましたが、今回の白書は、戦略三文書の策定後、初めて刊行される白書であることから、三文書策定の経緯や概要をしっかり記述しております。また、我が国周辺国の軍事動向など、我が国を取り巻く安全保障環境や、防衛省・自衛隊の取組、米国を始めとする各国との協力などについてですね、まとめております。巻頭特集もまさに、戦略三文書策定の経緯を説明する一環として、より長期的な視点から解説するために、これまでの約10年間の変化に焦点を当て、戦略三文書の策定に至る背景や、今後の防衛力抜本的強化の方向性について解説しました。こうした巻頭特集をはじめとする内容を通じて、我が国を取り巻く安全保障環境や防衛省・自衛隊の取組について、国民の皆様に御理解をいただきたいと考えております。

Q:防衛装備移転について伺います。岸田総理が今月の25日に与党に対して、協議の再開を指示しましたけれども、これについての受け止めありましたらお願いします。

A:今週25日にですね、岸田総理と与党ワーキングチームのメンバーとの間で意見交換が行われたことは承知をしております。防衛装備移転は、国家安全保障戦略の記載のとおり、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段であります。その上で、論点整理を踏まえた今後の議論の進め方については、政府と与党の間で、緊密に連携して調整していきたいと考えております。

Q:海兵隊の2022年にカリフォルニア州で発生しました事故の報告書の件で伺います。この事故の原因について、クラッチの作動不良だというふうに海兵隊が明らかにしているんですけれども、部品交換などで現象を減らすことができるとしつつ、クラッチの不具合が起きる根本的な原因は解明されていないというふうにされています。これは、オスプレイの機体の欠陥に当たるのではないでしょうか。防衛省として、飛行中止やルートの制限など求めていく必要はないでしょうか。

A:御指摘の事故調査報告書によればですね、事故の原因は、プロペラとエンジンをつなぐ部品、クラッチの作動中に衝撃が発生するハード・クラッチ・エンゲージメントと呼ばれる現象によるものであったと承知をしております。米側からは、当該現象への対応として、一定の使用期間を経過した部品を交換する等の措置を実施してきており、オスプレイの飛行の安全を十分確保していることから、飛行停止の必要は無い旨の説明を受けております。防衛省としては、米側において、既に部品交換等の安全対策が実施されているものと承知しており、飛行停止等を求めることまでは考えておりませんが、米軍の運用に際しては、これまでに取られた措置の徹底など、安全面への最大限の配慮を求めてまいりたいと考えております。

Q:航空自衛隊が小松基地でイタリアやオーストラリア空軍と共同訓練を行うと発表しました。日本海側の小松基地を拠点として、この訓練を実施するその狙いをお聞かせください。また、小松基地のある小松空港は、石川県が国防の観点などから、第二滑走路の建設に向けた調査を国に求めています。先日大臣の方にも、知事の要望があったと思いますが、改めて大臣の第二滑走路建設の見解をお聞かせください。

A:まず、御指摘の訓練はですね、航空自衛隊の戦術技量の向上及びイタリア軍との相互理解の促進を図るとともに、「自由で開かれたインド太平洋の実現」のための防衛協力の更なる深化を図るものであります。6月20日に馳石川県知事から、小松空港の第二滑走路の必要性の調査に関する御要望をいただきました。小松基地は、戦闘機部隊が防空の任務等を担っておりますが、防衛省としては、現在の滑走路でも任務の遂行に支障はないと考えており、今後とも、必要な任務をしっかりと遂行してまいりたいと考えております。

Q:米軍の横田基地でのPFOS漏出問題についてお聞きします。先週21日の防衛省の会見で、2010年から12年に発生した3件の漏出について、防衛省が2019年1月に報告書を入手して把握していたことが分かりました。その後の取材で、省内の連携、引き継ぎミスで約4年間、米側とやり取りをしてなかったということが分かりました。公表までに約4年半かかったということです。この件について改めて、防衛省が把握してから公表が遅れた理由について大臣の御見解をお願いします。また、当初、大臣が米側との調整に支障を及ぼすおそれがあるということで、防衛省としての把握時期を明らかにされませんでしたけれども、一転、こう発表するに至ったのはどうしてでしょうか。もし、その点もあれば、コメントをお願いいたします。もう一点、改めて立入調査等、今後の予定について進捗等あれば教えてください。

A:横田飛行場の泡消火薬剤の漏出に関して、米軍との調整や防衛省内での十分な情報共有が行われていなかったこと等により、結果として、関係自治体へ情報提供するのに4年半かかったと報告を受けています。近年のPFOS等に対する関心の高さを踏まえれば、得られた情報を速やかに関係自治体に情報提供すべきだったと考えております。米側に対しては、基地内でのPFOS等を含む泡消火薬剤の漏出についての速やかな情報提供なども要請したと報告を受けており、今後、地元の皆様に速やかな情報提供をできるように努めてまいりたいと考えております。そしてまた、立入調査の件でありますけれども、米側に対しては、過去の基地内の漏出について、漏出量や漏出場所等の当時の状況や、泡消火薬剤が飛行場の外へ流出はしていないとの認識に至った理由について説明を受け、これらの確認結果について、地元自治体に説明したと報告を受けております。その上で、立入調査については、関係自治体と相談しながら対応してまいりたいと考えております。

Q:4年半かかった報告を受けたのは、いつ頃の話でしょうか。

A:詳細についてはですね、事務方の方にお尋ね頂きたいというふうに思います。

Q:防衛白書について、大臣にお伺いします。台湾海峡の情勢について、急速に懸念が高まっているという表現があります。その急速に懸念というその決め手は何でしょうか。理由は何でしょうか、教えて頂けますでしょうか。

A:今のお話についてはですね、いわゆるこの点に関して、我々の率直に感じていることというのは、いろいろな意味で台湾の周りでのいろいろな中国等との動きというものも、報道等もいろいろな推察される部分もありますので、我々の政府としての立場はですね、常に、対話により平和的に解決されるということが我々の立場であるわけであります。このことについて、今回の記述というのは、我々にとってはですね、中国による台湾周辺のですね、活動について、しっかりと記述したということであります。

Q:防衛白書についてお伺いします。冒頭、幹事社からもあったところでありますけれども、大臣、巻頭のお言葉の中で安全保障環境の厳しさと高い透明性の2つが強調されていたかなと感じております。今回、白書の中でそれぞれ安全保障環境の厳しさ、それから高い透明性、大臣の中で強調できた部分というのは、白書の中でどういった点があるか教えていただけますでしょうか。

A:我々とすればですね、この今回の白書においては、今の安全保障環境は誰が見てもロシアがウクライナに侵攻した点等々、そしてまた、各国のですね、いろいろな軍事状況というものを考えた時に、今、我々が周辺における安全保障環境というのに対する考え方を明快に書いたということだというふうに思っております。

Q:関連で、高い透明性という部分については、大臣、今回の白書、いかがお考えかなというところ教えていただきたいのと、あとですね、この関連して反撃能力についてだったんですけれど、国会の審議の中でもどういった時に行使されるのかであったり、あと憲法9条の下で保有できないとしてきた攻撃的兵器に当たるのではないかというような疑問もあったと思います。勿論、多少記述はあったとは思いますけれど、これで説明として十分なのか、少し疑問がある部分があると思います。大臣として高い透明性が、特に国際社会に対しても必要だというふうにおっしゃっている中で、この反撃能力の説明というのは十分なのか、お考えをお願いできますでしょうか。

A:反撃能力についてはですね、戦略三文書に関する説明の記述に加えて、反撃能力保有の背景や必要性についてですね、より分かりやすく理解できるよう、我が国周辺におけるミサイル脅威の高まりや反撃能力に関するコラムを設けて解説しており、必要な記載に努めたところであります。

Q:大臣その高い透明性として、今回白書の中で大臣としてはここがしっかり高い透明性を確保できたという部分があれば教えていただけますか。

A:どこが透明性が高いというよりも、全体にそういう意味では、我々として考える透明性が必要なところにはですね、全てここに網羅したというふうに思っております。

Q:防衛費に関して伺います。国家安保戦略に明記された2027年度においてGDP比2%に達するよう所要の措置を講じる防衛費やそれを補完する取組を併せた経費について、どの予算項目がそれに該当するのか、この経費の定義が政府方針として決まっているのであれば教えてください。また、22年度予算において防衛費とそれを補完する経費の取組を併せた経費のGDP比を教えてください。

A:お尋ねについてはですね、防衛力整備計画対象経費に加え、研究開発、公共インフラ等のですね、総合的な防衛体制の強化のための取組を、防衛力の抜本的強化を補完する取組の中核をなすものとして位置づけております。これらのですね、補完する取組の内訳の細部については、事務方にお尋ね願いたいと思います。2022度予算については、昨年末に策定された国家安全保障戦略等に基づき編成されたものではありません。その上で、2022年度補正後予算について、先ほど申し上げた考え方を同様に当てはめれば、対GDP比は約1.2%となります。

Q:関連なんですけれども、今回の防衛白書にこの海上保安能力やPKOに関する経費、これを補完する取組、そして紹介されてますが、海上保安庁の予算というのは、これらの経費に含まれるんでしょうか、含まれないんでしょうか。

A:その点については、できれば、事務方の方に聞いていただけますでしょうか。

以上