防衛大臣記者会見

日時
令和5年6月9日(金)09:08~09:23
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
浜田防衛大臣閣議後会見
動画版

1 発表事項

 なし。

2 質疑応答

Q:中露両国の爆撃機がですね、6日と7日に2日連続で日本周辺での共同航行を行ったほか、7日には両国のものと推定される多数の戦闘機が日本周辺で確認されました。防衛省として、中露が日本周辺で共同活動を活発化させていることへの評価と、今後の対応について教えてください。

A:6月6日及び7日、中国とロシアの爆撃機が、日本海、東シナ海及び太平洋において長期にわたる共同飛行を行い、当該飛行には、両国のものと推定される戦闘機延べ約20機が合流したことを確認しました。中露両国による爆撃機の共同飛行は、6日、7日の2日間の飛行を1回とすれば、今回で6回目でありますが、2日間にわたって実施されたことや、延べ約20機に上る戦闘機が合流したことを確認し、公表したのは、今回が初めてであります。今般の飛行を含め、我が国周辺での中露両国による度重なる共同飛行は、我が国周辺における活動の拡大・活発化を意味するとともに、我が国に対する示威行動を明確に意図したものであり、我が国の安全保障上、重大な懸念と考えています。また、中露両国が近年、今回確認されたような爆撃機の共同飛行のほかにも、艦艇の共同航行や各種訓練を実施するなど、軍事面での連携を強化しています。こうした点を踏まえ、防衛省・自衛隊としては、我が国の領土・領海・領空を断固として守るため、引き続き警戒監視に万全を期していく考えであります。

Q:北朝鮮の衛星発射について改めて伺います。現在の破壊措置命令は、別命がない限りは、6月11日をもって終結とされていますけれども、11日以降の対応について、大臣のお考えをお聞かせください。

A:北朝鮮による予告期間はですね、11日の0時までであり、まだ終了しておりません。また、現在の破壊措置命令は、公表しているとおり、別命がない限り、6月の11日をもって終結することとしており、11日中は有効であります。したがって、引き続き、まずは11日まで、現在の破壊措置命令の下で、情報収集・警戒監視に全力を挙げるという考えに変わりはありません。現時点で、その後の態勢についてお答えできる段階にはありませんが、引き続き、各種情報を収集し、その分析・評価を行う中で、適切に判断してまいりたいと考えております。

Q:確認なんですけれども、基本的には破壊措置命令が終結した時点で、沖縄県先島諸島にですね、一時配備、PAC-3されてますけども、そういったものも終結した段階ですぐ撤収するという理解でよろしかったでしょうか。

A:今、この段階でそれはですね、11日までは時間がありますので、それまでの間に、我々とすれば、また判断をすることにしておりますので、今ここでその内容についてお答えすることは控えさせていただきたいと思います。

Q:装備移転について伺います。昨年の3月8日、当時の岸防衛大臣がウクライナへの装備品の提供を決めた後の会見で、装備移転三原則に基づいた殺傷能力のある武器の提供は基本的にダメだと答弁しています。浜田大臣は、岸前大臣と認識と同じか、違うのか、違うのであれば理由を教えてください。

A:ウクライナへの装備品等の提供はですね、自衛隊法第116条の3に基づいて行ってきたところ、昨年3月4日の記者会見における、御指摘の岸大臣の発言は、条文上、同条の対象からは武器、すなわち直接人を殺傷し、武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする装備品は除かれているという事実を述べたものと考えており、この事実について、私も同じ認識です。

Q:関連で、自衛隊法の116条の3では、譲渡可能な装備品、武器を除くと明記されていますが、国家安保戦略で装備移転の見直し方針を受けて、今後、116条の3の見直しが必要と考えるのか、また、移転三原則に記載されている平和国家としての歩みであったり、海外移転に係るこれまでの政府方針が果たしてきた役割を十分に配意した上におけるこれまでの政府方針とはそれぞれどのような意味なのか、またこの政府方針や平和国家としての歩みは殺傷能力のある装備品の移転を否定していると考えられないか、大臣の考えをお願いします。

A:自衛隊法第116条の3の見直しについてですが、まず防衛装備移転三原則や運用方針 を始めとする、制度の見直しに係る具体的な内容は決まっておらず、内容に関わる質問にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。次に、防衛装備移転三原則における平和国家としての歩みとは、我が国が専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本原則を堅持してきたといった事実を述べたものと考えております。また、これまでの政府方針とは、武器輸出三原則等を意味しています。この点、防衛装備移転三原則は、平和国家としての基本理念を堅持しつつ、新たな安全保障環境に適合するよう、武器輸出三原則等における対外化 の経緯を踏まえて包括的に整理したものです。その上で、防衛装備移転三原則等においては、御指摘の箇所を含めて殺傷能力のある兵器の移転が可能か否かについては言及されておりません。

Q:関連なんですけれども、そもそも、この平成29年に自衛隊法が改正されて追加された116条の3で、譲渡可能な装備品から武器が除かれているのは、どういう趣旨だと考えておられますか。また、武器を除いたのは、国際紛争の事象を防ぐ平和主義の精神を反映したものではないのでしょうか。教えて下さい。

A:無償譲渡等の対象とする装備品等については、諸外国からのニーズや開発途上地域に対する能力構築支援事業の実績を踏まえて規定したものであり、憲法上の要請から特に武器及び弾薬を除外したわけではありません。

Q:ウクライナの負傷兵が、昨日、自衛隊病院に入りました。改めて、ウクライナの負傷兵受入れについて、現在の状況について教えてください。

A:ウクライナ負傷兵についてはですね、6月8日木曜日に自衛隊中央病院に、下腿切断、膝から下の足が切断された状態のウクライナ負傷兵2名を受け入れました。今後、リハビリ治療を実施し、彼らが1日も早く帰国できるよう、治療に当たりたいと考えております。

Q:8日にフィナンシャルタイムズ紙が、米軍と台湾軍、自衛隊が、無人偵察機で収集した情報を、リアルタイムで共有する計画を検討していると報じております。自衛隊と台湾軍には直接的な情報の連携の枠組みは無いかと思うのですが、現状の検討状況や事実関係について教えてください。

A:御指摘の計画をですね、検討している事実はありません。その上で、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安全にとっても重要であります。台湾をめぐる問題が、対話により平和的に解決することを期待するというのが、我が国の従来から一貫した立場であります。また、政府としては、台湾との関係は、1972年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持していくとの立場であり、台湾との関係については、こうした立場に基づき適切に対処していく考えであります。いずれにせよ、防衛省・自衛隊としては、台湾情勢をめぐる各種動向について、引き続き、強い関心をもって、情報収集・分析を行ってまいりたいと考えております。

Q:先ほどのウクライナの負傷兵の受け入れに関して、戻ってしまうんですが、今回ウクライナへの新たな支援策として、この負傷兵の受け入れを打ち出されたと思いますが、今後、防衛省として他の国から同じような要請があった場合、負傷兵を自衛隊病院などに受け入れるというようなお考えはありますでしょうか。また、仮の話ですが、また他国から受け入れる場合、その国というのは、何か一定の基準はあるというふうにお考えでしょうか。

A:ウクライナ人も含め外国人の負傷兵の治療を受けるのは、防衛省・自衛隊において初めての試みとなります。このため、まずは、2名の負傷兵を受け入れ、課題等の整理の上、今後の方針を定めたいと考えております。

Q:防衛産業の基盤強化法案に関してお伺いします。7日に防衛産業の基盤強化法案が成立しましたが、一部からはですね支援メニューが多すぎるということや、対象企業の選定基準が曖昧だというような指摘があり、不透明なまま国民の負担が増えるのではないかという懸念があります。事業を実施する上でですね、どのように透明性を確保していくかということの所見をお願いします。

A:今般成立した防衛生産基盤強化法においてはですね、対象企業の選定やその計画の認定は、装備品等の安定的な製造等の確保に必要な場合に限って行うものであります。したがってですね、他の契約と同様、会計法令等にしたがって不正が発生しないよう、適切に措置してまいります。また、その実施に当たっては、自衛隊の能力に関する弱点を推認させるおそれがない範囲で、相手方や金額などに関わる情報を原則公表し、透明性を確保していきたいと考えております。

Q:昨日、現役の航空自衛官の方が、セクハラ被害を訴える裁判があり、御自身の思いを切々と述べられました。その中で、周りの人は誰も自分に対するセクハラ発言を止めてくれないといったお話を強調されておられました。先だってですね、元陸上自衛官の方が被害を訴えられた時も、同じように周囲から止めてもらえなかったというお話もあったと思います。なぜ、こんな見て見ぬふりというか、風潮が生まれてしまうのか、その辺り大臣どのようなお考えでしょうか。教えてください。直接裁判について尋ねているわけではございません。

A:係争中の裁判中のことについてはですね、私からはお答えできないことを御理解いただきたいと思います。いずれにしても、ハラスメントという行為はですね、隊員相互の信頼関係を失墜させて、組織の根幹を揺るがす決してあってはならないものであるとの認識の下に、我々もハラスメントの防止対策の有識者会議における検討結果を踏まえてですね、抜本的な対策を確立し、ハラスメントを一切許容しない組織環境を構築するよう努めてまいりたいと考えているところであります。

以上

下線部:大臣発言中、長期(誤)を長距離(正)に、運用方針(誤)を運用指針(正)に、対外化(誤)を例外化(正)に修正