防衛大臣記者会見

日時
令和3年8月10日(火)11:12~11:28
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まずコロナです。前回の定例会見以降、307名の隊員が新たに感染いたしました。このうちの2名については、オリパラの支援団の隊員になります。本日までの累計が2,639名ということでございます。東京オリンピックにおける自衛隊所属選手におけるメダル獲得についてですが、8月4日、ボクシング女子フライ級において、体育学校所属の並木月海3等陸曹が銅メダルを獲得いたしました。また、8月7日、レスリング男子フリー65kg級において、乙黒拓斗2等陸曹が金メダルを獲得しました。並木3等陸曹と乙黒2等陸曹の素晴らしい活躍に心からお祝いを申し上げたいと思います。今回のオリンピックにおいて、自衛隊所属選手が17名出場し、合計で金メダル3個、銀が1つ、銅が1つの合計5個のメダルを獲得するなど、輝かしい成績を上げました。私達に感動と勇気を届けてくれました。選手達をはじめ、今大会に係わった全ての隊員に心からの敬意を表したいと思います。この度、防衛省では、小学校高学年から中学生を主たる対象とした「はじめての防衛白書」を作成し、近日、防衛省のホームページ上で公開することとしております。「はじめての防衛白書」では、令和3年版の防衛白書の内容のうち、我が国周辺の安全保障環境や防衛省・自衛隊の取り組みなどについて、若年層向けにできる限り分かりやすくまとめたものとなっております。特に、以前作成しましたトピック別の「まんがで読む防衛白書」とは違い、ターゲットを絞ったわが国の防衛政策について幅広く学べるコンテンツを、初めての試みとして新たに作成をいたしました。国の防衛には、わが国の将来を担う若年層を含む国民の皆様の御理解と御支援が不可欠です。一人でも多くの皆様に御覧いただき、防衛省・自衛隊に対する御理解を深めていただければということを願っております。以上でございます。

2 質疑応答

Q:先週木曜日ですけども、F-15の能力向上事業に関連しまして、防衛省から自民党に対して、現在の検討状況の説明がありました。その中で、当初の見積もりから比べてだいぶ下がりはしましたが、依然として高い状況にありますとか、対艦ミサイルであるLRASMを外すこと等の説明がありましたけども、大臣として現在の受け止め等をお願いいたします。

A:F-15の能力向上事業につきましては、令和元年度から着手してきたところです。 これまで米国政府との調整や、日米間で具体的な改修計画の詳細に関する技術的な検討を進める中で、部品枯渇対策等が必要になることが判明し、これらにより、経費の増加や改修期間の延長が発生することが明らかになりました。こうした状況を踏まえて、昨年から米国政府や国内企業との交渉・調整を実施してきましたが、昨年末の時点から約1,540億円の経費の低減を実現するとともに、今中期防で予定している20機の改修について、スケジュールの遅延幅を一年遅れに抑制するなど、状況が一定程度改善したものと考えております。その上で、本事業の今後の方針について検討を行ったところ、中期防策定時より事業経費は上昇しているものの、実質的な当初比は123%に抑制できたこと。F-15の高いミサイル搭載能力を活かしたミサイル・キャリアーとしての役割は重要であるということ。他の戦闘機による代替オプションは白紙的にはあり得るものの、各種の留意事項があり、F-15能力向上事業の方が、経費面及び運用面で優位性があるということ。こうしたことを踏まえて、F-15の能力向上を継続すべきとの結論に至ったものであります。なお、LRASMについては、高額なインテグレーション経費が必要となるほかに、F-15能力向上事業全体のスケジュールをさらに遅延させるリスクがあることから、F-15への搭載を見送ることといたしました。他方、令和3年度から、艦艇や航空機といった様々なプラットフォームからの運用を前提とした12式地対艦誘導弾能力向上型の開発に着手しておりますが、これによってスタンド・オフ対艦攻撃能力を確保することとしています。防衛省としては、厳しい財政事情を踏まえ、経費の低減努力を継続するとともに、当該事業の必要性等について御理解いただけるよう説明に努めてまいりたいと思います。

Q:大臣、冒頭におっしゃった「はじめての防衛白書」なんですけれども、ちょっと教えてください。これ、今年初めて小中学生を対象とした取り組みをされるのかということと、あと、今年、防衛白書の表紙をかなりこだわったりとか、より一般的なといいますか、これまで防衛に興味がなかった人にも広げていこうという取り組みをされているかと思いますが、こうした一環として、今回、子供達に向けた白書も新しく作ったと、そういう趣旨なのかという点についてお聞かせいただければと思います。

A:「はじめての防衛白書」についてはですね、小学生の高学年から中学生を対象としているということです。これまで「まんがで読む防衛白書」とかは作ってまいりましたけれども、そういうこととはまた別にですね、やや分かりやすい、わが国の防衛政策、こうしたことに若年のうちから接していただいて理解を深めてもらう、そういう趣旨でもって「はじめての防衛白書」というものを作成いたしました。これはネット上でアップしております。プリントしたものではないということですけれども、そういう形で発信をさせていただきました。防衛白書もそうですけれども、防衛省として、しっかりした、わが国の安全保障政策について多くの方に御理解をいただきたい、そのために発信力を強めていこうという中で作られたものであります。

Q:今週日曜日に終戦の日を迎えますが、大臣の靖国参拝の御予定、その前後での参拝の御予定も併せてお聞かせください。

A:国の内外を問わず、国のために貴い命を犠牲にされた方に対して哀悼の誠を捧げるということは、尊崇の念を表すということは、これは当然のことだというふうに思っております。今後の参拝については、個人として適切に判断してまいりたいと考えています。

Q:話題変わりますが、米国との思いやり予算のHNSの交渉についての進捗状況と、今の現段階での状況も教えていただけますでしょうか。

A:日米両政府においては、本年2月の合意に基づいて、来年の4月1日以降の新たな特別協定の合意に向けて交渉を継続しているところであります。詳細については、米側との交渉中でもありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしても、交渉に当たっては、一層厳しさを増す地域の安全保障環境やわが国の厳しい財政状況等を踏まえて、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

Q:今日から米韓合同軍事演習が開始される予定ですが、例年、北朝鮮が反発することもありますが、この軍事演習開催について、大臣の受け止めをお願いいたします。

A:米韓の共同演習というのは、まず一般的に、朝鮮半島の平和と安定に資するためのものであるというふうに考えております。米国、韓国内でいろいろ調整が行われた上で実施されているものだというふうに考えております。

Q:2020年度の自衛官候補生の採用ですが、2013年度以来、久しぶりに採用計画の100%を超えました。コロナ禍での非常に厳しい採用状況だったと思うんですけれども、広報活動だったと思うんですけれども、この達成について大臣の受け止めをお願いします。

A:非常に、募集環境は厳しい状況にあると思いますけれども、その中で、担当者のセクションの皆様には募集に当たって、頑張っていただいたものと思います、その結果だというふうに考えております。引き続き、募集環境はわが国の少子化の問題もあって厳しいものが続くと思いますけれども、防衛省・自衛隊として必要な人員をしっかり確保できるように、今後も頑張ってまいりたいというふうに思います。

Q:ウェブを使った採用というのも非常に効果的だったという意見もございますが、その辺り、大臣いかがですか。

A:今年は特に、昨年からコロナ禍という状況の中で、直接お会いして募集するという活動が難しい状況だったと思います。その中では、オンラインを通して自衛隊の活動、魅力についてお伝えをし、そして相手の皆さんの気持ちというものをキャッチするというこういう面においては、ウェブ、オンラインというのは有効な手段だったのではないかなと思います。

Q:9日にアメリカ海軍が原子力空母をインド太平洋地域に配備すると、一部の海外メディアが報じました。軍消息筋の話として、イギリス空母打撃群との共同演習の可能性も伝えておりますが、今後、自衛隊との共同訓練等も行う予定というのはあるものなんでしょうか、お願いいたします。

A:8月3日、私から発表させていただきましたとおり、自衛隊は、8月2日から27日までの予定で、自衛隊の戦術技量の向上、米軍・英軍・豪州軍との連携の強化を目的として、「米国主催大規模広域訓練2021」、いわゆる「LSGE21」に参加をしています。このうち前段部分、8月2日から8月8日までについては、珊瑚海からフィリピン東方に至る海空域において行われ、自衛隊からは、海上自衛隊の護衛艦「まきなみ」、米軍からは、強襲揚陸艦「アメリカ」、ドック型輸送揚陸艦「ニューオーリンズ」、そして豪州からは強襲揚陸艦「キャンベラ」、フリゲート「バララット」、哨戒機P-8Aが、それぞれ参加をしたところであります。後段の部分については、英空母打撃群(CSG21)が参加すると承知しています。訓練の詳細につきましては、参加国との調整が整い次第、改めて発表させていだきますが、米軍の艦艇についても、詳細が分かり次第、また発表させていただきたいと思います。

Q:7日にイギリス空母打撃群を構成するフリゲートの「リッチモンド」が佐世保に寄港したようですけれども、空母打撃群で初めてだと思いますが、こちらの受け止めを最後お願いいたします。

A:空母打撃群、今後、日本の各地に入港してくるというふうに考えております。日英間の防衛協力が更なる段階に入っていくものと考えておりますけれども、こうした中で日英間の防衛協力・交流が進んでいくことを期待したいと思います。

以上