防衛大臣記者会見

日時
令和3年2月16日(火)09:35~09:49
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まずコロナです。前回の定例会見以降、6名の隊員が新たに感染していることが確認されました。これまでに、合計1,038名の隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されたということになります。地震の関連です。福島県沖を震源とする最大震度6強の地震によりまして福島県新地町において断水が発生し、また福島県天栄村において村内の上水道に濁りが発生したことから、一昨日、福島県知事から陸上自衛隊第44普通科連隊長(福島)に対して給水支援に係る災害派遣要請がありました。これを受けて、第44普通科連隊(福島)の約30名の隊員が新地町の4か所において、また東北方面特科連隊(郡山)の約20名の隊員が天栄村の9か所において、合計約9.4トンの給水支援を実施をいたしました。新地町における断水の解消、天栄村内の上水道の水質改善の見通しが立ったことから、昨日15日、福島県知事から災害派遣撤収の要請を受け活動を終了いたしました。3点目であります。日イラン防衛相テレビ会議について、2月15日月曜日、ハータミ・イラン国防軍需大臣との間でテレビ会談を実施をいたしました。冒頭、ハータミ大臣から私に対しまして、防衛大臣の就任に対し祝意が述べられ、私から謝意を申しました。私からは、昨年12月に中東地域における日本関係船舶の安全確保を目的とした自衛隊情報収集活動の期間を1年間延長したことを説明し、日本関係船舶の安全確保を含め、船舶の安全な航行確保のための協力を求めました。また、中東情勢に関する意見交換を行うとともに、防衛当局間の意思疎通を継続していくことで一致をしたところであります。以上です。

2 質疑応答

Q:新型コロナウイルスのワクチンに関してまして、医療関係者の先行接種が明日から始まる見通しです。大臣は以前、ワクチン接種で自衛隊の支援を検討するとおっしゃってましたけれども、接種段階に入って、あらためてどのような形で関与する可能性があるのでしょうか。輸送と接種の各段階での検討状況をお願いします。

A:現時点において、新型コロナウイルスワクチン接種への自衛隊の活用については、まだ何ら決まったものはございません。他方で、ワクチンはですね、医療従事者を始めとする多くの方々に対して円滑に接種していかなければならないことから、防衛省としても自衛隊の能力やこれまでの新型コロナウイルスに係る活動で得られた知見や経験などを活かして、どのような支援が可能か、引き続きしっかりと検討していかなければならないと、このように考えています。

Q:今の質問に関連しまして、医療従事者が接種の対象ということなんですけれども、自衛隊病院等々ですね、医官・看護官も日々対応されているかと思うのですが、自衛隊の、そのワクチン接種するというその規模とか、そういたところは何か今の段階で分かっていることはありますでしょうか。

A:自衛隊自身の。

Q:自身がですね。

A:その点はまだ決まっておりません。いずれにしましても、まずは医療従事者、それから高齢者での接種ということを先行するものと理解しています。

Q:少なくとも自衛隊病院の医官・看護官も接種するということなんですよね。

A:それは、医療関係者という意味においてそのとおりです。

Q:政府は南西諸島に配備した陸自部隊へ物資を運ぶ輸送艦3隻を2024年度に導入するという方針を固めたという報道がございますが、事実関係の方をお願いします。

A:島嶼防衛を万全に行うためには全国各地から島嶼部に陸自部隊や各自衛隊の装備品を継続的に輸送する必要がございます。航空機の輸送に適さない重装備や、一度に大量の物資等を輸送できる海上輸送能力の強化は重要であります。このため、現中期防において島嶼部への輸送機能を強化するため、本土と島嶼部への輸送を実施し得る大きさで、2,000トン程度の搭載能力を有する中型級船舶1隻と、喫水が浅い島嶼部の港湾にも輸送を実施し得る大きさで数百トン程度の搭載能力を有する小型級の船舶3隻を取得することとしています。これらの船舶については、陸自の隊員及び装備品のみならず、他の自衛隊の装備品等の輸送も想定されることから、共同の部隊として海上輸送部隊を新編し、これらの船舶を保有する計画であります。現在中期防で予定されている令和5年度末まで、すなわち2024年3月までに、部隊の新編を実現すべく、必要な取り組みを行っているというところでございます。

Q:部隊の新編についてなんですけれども、現在のところ、配備先とか決まっていることがあれば教えてください。

A:配備先等は現在は検討中であって、まだ決まっておりません。

Q:東北を中心とする大規模地震への対応について伺います。新地町への災害派遣は撤収したということですけれども、これ以外の災害派遣要請がないかということと、現状の対応ですね、連絡員を5県に派遣されていたと思いますが、これは継続してそのまま活動されているということでよろしでしょうか。

A:これまで行っていて、撤収した部隊以外の派遣要請はございません。連絡要員も全部撤収したということです。

Q:連絡員の撤収は何日付でしょうか。

A:昨日付です。

Q:潜水艦「そうりゅう」の事故から1週間ちょっとが経過しましたが、事故原因等、分かったことがありましたらお願いします。

A:まず「そうりゅう」ですけれども、2月13日に高知港を出港しまして、14日、神戸港の阪神基地隊に入港しました。本件の事故の原因に係る事実関係については、現在、海上保安庁が捜査中でありますのでお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、防衛省・自衛隊としては、海上保安庁の捜査に全面協力するとともに、引き続き、事故調査委員会において、捜査に支障のない範囲で事故の原因の究明や再発防止に取り組んでまいりたいと思います。

Q:先ほどの陸自の輸送艦の関係で確認させていただきたいんですけれども、船は陸自が保有するという理解でよろしいでしょうか。

A:保有先がどこになるかということについては、まだ決まっておりません。

Q:中国の海警法の関連で伺います。先だって大臣が、ヤング駐日アメリカ臨時大使と面会された際に、海警法に関連して、国際法との整合性との観点から非常に「疑念」を持っているというふうにお伝えになりました。これまでの「懸念」という表現から、「疑念」という表現に変わった意味合い、背景をお伺いできればと思います。

A:中国の海警法についてはですね、国際法との整合性の観点から問題がある点を含んでおりまして、断じて受け入れられません。同法によってわが国を含む関係国の正当な権益を損なうようなことがあってはならないと、このように考えております。「疑念」という指摘を含む私の発言は、こうした問題意識を強く申し上げたところであります。防衛省・自衛隊としては、国民の生命・財産、わが国の領土・領海・領空を断固として守るという方針の下で、冷静かつ毅然と対応してまいりたいと思います。

Q:今のお答えに関連してなのですが、そうしますと、今までの「海警法については、運用の仕方によって重大な懸念を生じる可能性がある」としていた政府の見解を、大臣の御判断で一歩踏み込んだ発言を今後も発信していくということでよろしいでしょうか。

A:今申しましたとおり、国際法との整合性の観点から問題があると。そして、我々として断じて受け入れられることができない。我々の考え方を強く相手にメッセージとして伝えたいと、このように考えているところであります。

Q:昨日、今日と尖閣諸島周辺に中国の公船がやってきて、漁船にも近づいている状況なのですが、今把握されている状況と、この状況について大臣の所感をお願いします。

A:中国の海警船舶が、特に日本の操業中の漁船を追う形で尖閣周辺のわが国の領域内に入ってきている状況であります。これに対しては、まずは海上保安庁が対応しているところでございますが、我々としてもしっかり警戒監視を強めてまいりたいと、こういうふうに思っております。

以上