防衛大臣記者会見

日時
令和2年9月29日(火)11:17~11:40
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 私から2件ございます。1つ目は、新型コロナウイルス関連についてです。前回の会見時、9月25日以降、4名の隊員が新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。これで、本日までに合計135名の自衛隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されております。今後も、防衛省・自衛隊は、医療機関や保健所等の関係機関と連携し、感染拡大の防止に向けた方策を適切に講じてまいります。もう一件、群馬県で発生しました、豚熱に係る災害派遣についてです。9月26日の土曜日に、群馬県高崎市の養豚場において、豚熱の発生が確認され、同日、群馬県知事から陸上自衛隊第12旅団長に対し、豚の殺処分等の支援に係る災害派遣要請がありました。現地では、陸上自衛隊第12後方支援隊を中心として、豚舎内における豚の追い込み作業や殺処分した豚の運搬支援を実施しているところであります。防衛省・自衛隊は、引き続き群馬県をはじめとする関係自治体や関係省庁と緊密に連絡・連携し、災害派遣活動を適切に実施してまいるところでございます。以上でございます。

2 質疑応答

Q:押印規制、はんこについて伺います。今月24日、河野行革大臣から全省庁に対して、押印廃止に関する要請がなされました。「どうしてもはんこを残さなければならないような手続きがあれば、9月中にお届をいただきたい。」と河野大臣は発言されていますが、防衛省として残さなければならない手続きがあるのか否か、現在の対応状況を教えてください。

A:防衛省としては、押印の見直しについては、本年の4月以降、真に必要な場合を除き押印を廃止するとの方針の下で、防衛省においても積極的に見直しの作業を進めているところでございます。具体的には、政府方針では、原則本年中に見直しを実施するとされているところ、防衛省主管の押印については、部内手続きは既に全て押印を廃止する方針で決めており、残りの部外手続きについても、本年秋に見直しの方針を決定する考え方であります。今般、河野行革担当大臣の発言を受けて、内閣府規制改革室より各省に対して対応依頼がありまして、まず9月中の対応として、部外との手続きで年間件数1万件以上の行政手続について、押印の見直し方針の回答が求められています。防衛省では、住宅の防音工事の助成に係る申請手続がこれに該当します。本件については、速やかに押印を廃止する方針であります。なお、他省庁主管の手続きについては、担当省庁と連携しながら、引き続き見直しの検討を進めてまいります。

Q:自衛隊のコロナ感染者数が以前と比較して減少傾向にありますが、通達に関して再度、改正する予定等はありますでしょうか。

A:これまで防衛省・自衛隊では、隊員の感染拡大を抑えるために累次の大臣通達を発出してまいりました。現在、防衛省・自衛隊内におけるこれまでの感染状況等や、政府の方針等を総合的に勘案し、通達の改正について検討しているところであります。

Q:尖閣諸島沖の領海内で、27日午後3時頃、海保の巡視船と台湾の漁船が衝突しました。怪我人はなかったということですけれども、海保としては漁船が故意に接触してきた可能性は低いと判断したとみられ、拿捕はしませんでした。この事案に関して、防衛大臣としての受け止めを伺えればと思います。

A:本件につきましては、基本的に海保の所管の案件でございますので、我々としてはコメントを差し控えたいと、こういうふうに思っているところです。

Q:10月1日で防衛装備庁発足から5年になります。これまでの成果と、今後の課題についてお伺いできますでしょうか。

A:防衛装備庁は平成27年の10月1日にこれまでの内部部局、各幕僚監部、技術研究本部、装備施設本部の装備関連部門を集束・統合して発足したものであります。これまでの5年間、防衛装備庁は、防衛大綱・中期防に記載されております技術基盤の強化、装備調達の最適化、産業基盤の強靭化、装備移転の推進といった様々な施策に取り組んできたところでございます。防衛装備庁においては、引き続き、これらの課題に懸命に取り組むとともに、昨年から経済界との意見交換も行っていると承知しておりますが、経済界との連携も深めながら、わが国の防衛装備行政を適切に行うことにより、わが国の防衛力の強化を図ることが必要であると考えております。

Q:関連しまして、装備品の移転については、ここ5年間でフィリピンへのレーダーの輸出が決まったというところに留まっているというところがあると思うのですけれども、装備品の移転についてですね、どのようにお考えでしょうか。

A:今、お話がありましたフィリピンへの国産レーダー、これが供給されることも決まりました。FMSの改善に向けた努力というのが今も続いているところでございます。様々な、今後の自衛隊に必要な技術の研究・開発にも着手できているようなプラス面があるのではないかと思いますので、引き続き、非常に限られたわが国の防衛予算の中で、今後、研究開発にどう優先順位をつけていくかということ、あるいは、開発や調達、正面装備だけではなくて、部品や弾薬といったものをどのように併せて調達してくのか、やらなければならないことはたくさんあると考えておりますが、今後、しっかり適切に判断をして、積極的にやってまいりたいと思います。

Q:大臣の在任中に、例えばこれがやりたいという改革案・改革があれば、3つほど教えていただきたいのですけれども。

A:まず、わが国の安全保障環境は非常に厳しさを増してきております。これは従来から言われておりますけれども、格段にスピードを増して厳しさが増しております。また、不確実性・不透明性というのも高まっているというふうに考えております。そうした観点から、一つは、わが国自身の防衛能力をしっかり向上させていくということ。また、周辺・近隣の地域の中でしっかり意思疎通を図っていくということ。そういうことをもって、わが国の安全、そして国民の平和な暮らしを守っていくということ。国際社会の連携、こうしたものを強めながら、しっかりわが国として貢献していくということ。こうした面を進めてまいりたいと思っています。

Q:横田空域についてどうお考えでしょうか。敗戦国の中でも、イタリアもドイツもこういったものはないのですが、いまだに占領軍が首都の空域を抑えているというのは、独立国としていかがなものかと思うのですが、大臣、この返還を求めていくというお考えはありますでしょうか。

A:今、お話が合ったような調整については、必要があれば事務方でまた答弁させていただきたいと思います。

Q:河野大臣の在任時に、河野大臣は組織的にも個人的にもツイッター等のSNSを活用して、防衛省の業務について情報発信を積極的に行っていました。岸大臣も、同様にSNSを活用して積極的に情報発信を行っていくお考えはありますでしょうか。

A:今、ありましたSNSですけれども、今や情報収集・発信の手段として、社会で幅広く利用されています。防衛省・自衛隊でも積極的に活用しているところでございまして、特にツイッターについては、内部部局・各幕僚監部のほか、全国の様々な部隊でもアカウントを立ち上げております。そこでは、活動の様子を写真や動画等を使用しながら、国民の皆さんに分かりやすく自衛隊の活動について示しているというような状況であると思います。私自身も、特にフェイスブック等については活用してきたところでございますけれども、そうしたものを、防衛省・自衛隊の活動を分かりやすくお伝えするようなツールとして、今後も活用していきたいというふうに思います。

Q:活用の時期というか、来月ぐらいにも始めたいとか、そういったお考えはあるのでしょうか。

A:今、ツイッターも個人的にも持っているものでございます。就任以来少しずつ、写真等を使いながら始めているところですので、来月からといわず、すぐにでも必要に応じてやっていきたいというふうに思っております。

Q:大臣の地元の話にもなるのですけれども、岩国基地での、F-35Bの追加配備計画について伺います。先週の25日に、岩国基地の福田市長が、追加配備を容認する姿勢を議会で表明しました。まずは、このことについて受止めを聞かせてください。

A:岩国飛行場における米海兵隊の戦闘機について、米側から、FA-18ホーネット2個部隊のうち、1個部隊がF-35Bに、今年10月以降、段階的に機種変更することの説明があったところであります。この機種更新については、前回の機種更新と同様に、最先端で高度な能力を有する機体をこの地域に配備するものでございます。米国のアジア太平洋地域重視政策の取り組みの一環であって、日米同盟の強化とか、わが国とこの地域の平和と安定に資する重要なものと考えているところでございます。8月から、山口県と岩国市に対しては皆さまにご説明を行ってきたところですけれども、25日に岩国市から、必要性を踏まえて御理解をいただいているところでありまして、感謝を申し上げたいというふうに思っています。

Q:関連して、地元では、今回の配備計画に伴って騒音や事故の増加を懸念する声もあります。防衛省としては今後、住民向けにどのような具体策を講じていくのかということと、地元自治体への国の情報提供のあり方、これをどのように見られていますでしょうか。

A:これまでも、米海兵隊は航空機の運用についても、適切に、必要に応じて運用されていると思います。事故等に際する不安、心配事というのは、周辺住民にとってはよくあることだと思いますけれども、そういったことに対してしっかり説明をしてもらうということ、それから、基地に運用を丁寧に行ってもらうということ、こういったことが必要ではないかと思っているところであります。

Q:防衛予算についてお伺いします。第2次安倍内閣以降、概算要求においては米軍費用が事項要求という形で、額が入っていなくて、新聞等には防衛予算、概算要求何兆円というのがかなり低めに出ているというのがあってですね、これが、今まで米軍の費用なんかは全部出ていたわけなんですけれども、これが概算値要求を低く見せるためではないのかというような疑念を持たれても仕方がないと思うのですが。あと補正予算も同様で、やっぱり第2次安倍内閣になってから、補正予算で「お買い物」がかなり増えている。これは釈迦に説法だと思うんですが、補正予算というのはあくまで編成時に想定しなかった、例えば水害であるとか、燃料代の高騰であるとかに関して手当てをする予算だと思うのですけれども、初めから政府専用機であるとか、装甲車であるとか、そういうものを買ってらっしゃる。例えば、本年度でいえば5.3兆円といわれている防衛予算が、実はそういう「お買い物」の補正予算を含めると5.8兆円になっちゃうんですよね。そうすると、国民には比較的低く防衛予算を見せるための方策じゃないかと思われても仕方がないと思うのですが、大臣、変えようという御意思はありますでしょうか。

A:我々として、防衛省・自衛隊としてもそれぞれの時期に、必要な防衛費について要求をしてきたところでございます。概算要求については、ちょうど、今後の話になりますけれども、内容は今、調整中ということであります。いずれにしましても、12月の要求時には明確に、そして国会での審議を通じて幅広く説明をしているということだと思います。引き続き、透明性の確保には努めてまいりたいというふうに思っております。

Q:今年の、例えば補正予算に関しては、そういういわゆる「お買い物」予算というのは減らしていこうという御意思はございますでしょうか。

A:先ほど申しましたとおり、防衛省・自衛隊としては、必要な防衛費について、これまでも要求をしてきたところであると、こういうふうに思っています。

Q:2年前の年末に、フリーランスの記者会見参加というのが防衛記者会の方に了承されて以来、全然、防衛省の方では、セキュリティーの問題を理由にまだそれが確保できていないということで、もう1年9カ月くらい過ぎているんですけれども、いつこれが実現するのか話を聞いても、「いや分かりません」。これが100年先か200年先か分かりません、みたいな話になっているんですよね。セキュリテイーということに関していえば、それはもう事務的なことであるので、それがいつになるか分かんない、そして、ジャーナリストの畠山さんが情報開示で求めたらですね、関連する経緯の返答とかに関して、全部黒塗りであると。これは全然、防衛省としてはフリーランスの参加を認めないというための言い訳なんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

A:ご指摘の要望については、あることはよく承知をしていることころですけれども、これまでと繰り返しになりますけども、経緯等聞いた上で、適切に判断してまいりたいと思っております。

Q:イージス・アショアの転用の件についてお伺いしたいと思います。イージス・アショアで使われることになっている米国製のSPY-7というレーダーなんですけれども、こちらを使うにあたって、性能確認の試験費用がかかってくると思うんですが、それを米国政府から追加要求される可能性があると思います。こちらについては、既にどれぐらいかかるか、どれぐらい払うことになるのかという概算はついていらっしゃるのでしょうか。

A:SPY-7の性能確認等々については、詳細については事務方にお問い合わせいただければというふうに思っております。

Q:イージス・アショア関連なのですが、イージス艦の場合、SPY-1レーダーを使っているのですが、50海里外洋に出ないと使えないと承知しておりますが、であれば、アショアが内陸に作れるということはあり得ないと思うのですけど、こういう法改正をしないとこれは設置できない。それをまた地元に説明した時には、イージスレーダーの性能とかですね、そういうことを説明せずに、中SAMミサイル、また違うものを使って説明したということがあるのですけれども、大臣、こういうことをちゃんと説明しないというのは、大臣としてはどう思われますでしょうか。

A:イージス・アショアの代替案ついては、先日もわが方から洋上案ということを方向性として示した上で、今後も検討進めてまいりたいということをお示しした次第であります。今後も様々な状況等について、しっかり調査・検討していきたいと思います。

Q:そもそも50海里以降沖合でしかつけないレーダーを内陸には置かないわけで、そういったリサーチとか含めて、そもそもアショアが設置できないという、法的にはできないはずなのですけれども、これはなぜ拙速に、しかもレーダーの機種も決めて、地域も決めてしまったのかということは、誰の責任かということは、はっきりさせるべきないのではないでしょうか。

A:レーダーの性能と覆域等については、公開をしているわけではございません。まず、今後も適切に説明をしてまいりたいと思います。

Q:イージス艦のレーダーの50海里の話はですね、昔は、普通にイージス艦の関係者から聞けた話なんです。最近聞いた話によると、これがいつの間にか秘密扱いになっているという話になっているんですね。例えば、僕がこういう話をすると、これは特定秘密保護法に抵触するのでしょうか。50海里沖合に出ないと使えないという話は、以前は普通に乗組員の方々がしていたのですけれども、10年ぐらい前から、これは秘匿扱いになったと最近聞いたのですけれども、既に知っている話を、今更なんですけれども書いてしまうと、これは特定保護法に抵触するものなのでしょうか。

A:そのことを質問することだけでは、特定秘密保護法に抵触するものではないというふうに思います。

Q:既に公開されていたものに関しては、問題ないということになるのでしょうか。

A:詳細について、経緯について承知しているわけではございませんので、これ以上お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

以上